カテゴリー「経済・政治・国際」の806件の記事

2024年6月 1日

マイナンバーカードが iPhone に入るというので

来年春からマイナンバーカードを iPhone に追加できるようになる(参照)ことに関して、IT Media が "iPhoneへの「マイナンバーカード」にまつわる誤解を解く プラスチックカードより安全だが課題もある" という記事を載せてくれている。わかりやすい記事で、ありがたい。

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マイナンバーカードは健康保険証と一体化というのだから、箪笥の奥にしまいっぱなしというわけに行かない。私は財布にいろいろなカードを入れて持ち歩くことに抵抗があるので、カードそのものを持ち歩かずに済むのは基本的に賛成だ。

その昔は「定期券入れ」というものを持つのがかなり一般的で、この中に通勤・通学定期券のほか、社員証、学生証を始めとするいろいろな証明書などを入れていた。ところが定期券が SUICA と合体し、その他の証明書やカードもほとんどスマホに入ったので、定期入れは必要なくなった。

その代わり、スマホに入らないカードは財布に入れることになったので、財布はちょっと分厚くなってしまっている。お札が増えたわけじゃないに、ちょっとムカつく現象だ。マイナンバーカードがスマホに入れば、財布が少しはスリムになるし、後は運転免許証の番だろう。

ただ、当初の発表ではマイナンバーカードがスマホと一体化されるのは今年の 4月なんて言われていた(参照)のだから、運転免許の方はさらに遅れてしまうのが確実だ。お役所って、こうしたことの対応がやたらトロいというか、さっさと推進する気がないみたいだよね。

 

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2024年5月 8日

「日本人は外国人嫌い」ということについて

ちょっとだけ旧聞気味で今さら感があるかもしれないが、今月 1日に米国バイデン大統領が「日本は外国人嫌い」と発言したこと(参照)に関するゴタゴタに触れておきたい。

バイデン発言は、次のようなものだった(上の動画でご丁寧にも文字で示されている)。

”Why is China stalling so badly economically, why is Japan having trouble, why is Russia, Why is India, Because They're xenophobic. They don't want immigrants. Immigrants are what makes us storong"

【翻訳】「中国はどうして経済的にひどく失速しているのか、日本はどうして問題を抱えているのか、ロシアやインドにおいてはどうしてなのか、それは彼らが外国人嫌いだからだ。彼らは移民を欲していない。移民は我々を強大にしたのだ」

中国、日本、ロシア、インドの失速は「外国人嫌い」(xenophobic:「外国人恐怖症」とも訳される)だからで、米国が成功しているのは移民を積極的に受け入れてきたからだとしている。

このバイデン発言は日本を含む 4カ国を対象にしているわけだが、さすがに中国は即座にしっかりと反論している。

米国の経済誌 BARRON'S は "China Accuses US Of Hypocrisy Over Biden 'Xenophobic' Claims"(中国がバイデンの「外国人嫌い」発言を偽善として非難)と伝えている。抗議内容は「バイデンは中国ではなく自国のことについて言ってるんだろう」という結構挑戦的なもので、いかにも中国らしい。

そしてアルジャジーラは "India, Japan dismiss Biden’s ‘xenophobic’ comment"(インドと日本がバイデンの「外国人嫌い」発言を否定)と伝えており、要するに「米国が言っているようなことはないよ」と言っているってわけだ。

各国の反応は比較するとちょっと面白い。中国はいかにも「お約束通り」みたいな聞かなくてもわかる反論で、日本とインドはやんわりとした「否定」ということになっている。

そしてロシアの反応については、検索しても見つからなかった。ロシアとしてみれば、そんなことを強いて取り上げるとかえって面倒なことになるから無視ということなのだろう。

ちなみに日本の「外国人嫌い」ということについては、いかに政府が否定しても国際的にはかなり定評のあるところで、"xenophobia in japan -biden" (「日本における外国人嫌い」: 今回のバイデン発言関連を除外するために "-biden" としている)というキーワードでググると、どっさりヒットする(参照)。

 

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2024年4月23日

香港から脱出するためには、公務員ではいられない

NEWS ポストセブンが「香港で公務員が 1年間に 1万人以上も辞職 民主化運動弾圧や中国政府への忠誠を求めらることに嫌気、若手職員不足が深刻化」というニュースを伝えている。ほとんど中国政府直轄になってしまった香港で公務員なんかしたくない気持ちはよくわかる。

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それにしても 1年で 1万人も辞職するというのはスゴい。本文には次のようにある。

香港ではここ数年の民主化運動の取り締まり強化などに抗議して、辞職する政府職員が増加。2022会計年度(2022年4月~2023年3月)の1年間では、1万人以上の公務員が辞職していたことが明らかになった。これは 2018年度の辞職者数 8500人を上回り、歴代1位の記録となった。香港各紙が伝えた。

この記事では辞職の理由を、「ここ数年の民主化運動の取り締まり強化などに抗議して」としか伝えていないが、実際にはもっと切実な理由がある。それは DIAMOND online がほぼ 1年前に伝えた「中国化が止まらない香港で、移民ブームと公務員の大量辞職が起きる理由」という記事に詳しい。

英国は香港の返還に際して「歴史上の道義的責任」として、1997年 6月まで香港生まれの市民に「英国海外国民(British Nationals Overseas)パスポート」(以下 "BNO")というものを発行していた。これさえあれば、香港を脱出して英国などへの移住が容易になるのである。

しかし香港政府は昨年以来、公務員の BNO 返上を命じていた。つまり「公務員は英国籍を捨てて、100% 中国人になれ」と強制しているわけで、要するに公務員を続ける限り移住が困難になるということにほかならない。

それならば結論を出すのは難しいことではない。公務員を続けて自由を失うより、辞めて移住への道を確保することの方がずっと重要だ。不自由な見せかけだけの地位よりも、自由を求める公務員が続出するのは当然の話である。

香港の問題について私は過去に何度か書いたが、2021年以後は残って自由を確保することの困難さが明らかになったので、とにかく脱出する方がいいというと思うようになった。以下の 2つの記事に詳しい。

香港人、逃げろ! (2021年 8月 15日)
再び、「香港人、逃げろ!」 (2023年 12月 8日)

 

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2024年4月14日

人口減少の日本、もう「消滅した星」だそうな

総務省が、「昨年 10月 1日現在の総人口は 13年連続減の 1億 2435万 2000人だった」と伝えた(参照)ことを受け、多くのメディアが人口減少による危機を報じている。こんな具合だ。

重要なポイントは、高齢層が増えて若年層が減っているということだろう。15歳未満の人口比率が 11.4% なのに対して 75歳以上は 15.1% と、完全に「年寄り国家」と化している。私が子どもの頃なんて、75歳過ぎたら「長生きの象徴」みたいにありがたがられていたものだが、今やそこら中にいるからね。

もう一つのポイントは、「13年連続の人口減」ということだ。いくら長生きとはいえ年寄りは順番に死んでいくが、生まれてくる子どもが死ぬ数より少ない。ここまでくると「日本消滅」の危機との言い方まで出ている。実際に「人口減少 日本消滅」でググると、200万件以上のヒットがある(参照)。

中でも「言ってくれてるなぁ!」的なのが、COURRIER JAPON の "日本はもう「消滅した星」なのだろうか" という記事だ。ショッキングな見出しに加え、冒頭の写真がさらに暗示的である。処分された墓石がびっしり並んでいる写真だから、「単なる人の死以上の死」を象徴している。

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この記事は有料記事で無料で読めるのは前半部分だけなのだが、”頑なに移民の受け入れを拒否し続けた結果、この国はいま、世界にとって「混じりけがない人口減少」のサンプルになっている” という書き出しからもわかるように、「純血主義」を押し通せば本当に「消滅した星」になるという警鐘である。

このブログの 4月 2日付で「500年後には「佐藤さん」ばっかりになるという問題」を報じたが、実際には 500年経つ前に「漢字一文字の名字」や「カタカナ名字」を増やさなければ、国としての機能がもたないかもしれないね。

「純血の日本」で行きたいという人たちは、「別の血が混じるぐらいなら滅亡する方がマシ」ぐらいに思っているのだろうか。あるいは「自分はその頃まで生きていないから、せめて生きてる間は純血で」ということなのだろうか。

彼らは「ちゃんと結婚して 2〜3人子どもを産む世の中にすればいいんだ」と言うのだろうが、現実にそうならないから問題なのだよね。こればかりは強制するわけにもいかないし。

ちなみに我々夫婦は 3人の娘を育てたが、その 3人は揃って子どもを産む気がない。従って孫は 1人もおらず、日本の将来を先取りした「先進的」ファミリーとなっている。

 

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2024年4月10日

韓国大統領選挙での「長ネギ」を巡る冒険

今日は韓国の総選挙ということなのだが、ちょっと前からこの選挙に関して「長ネギ」だの「たまねぎ」だの言われていて、私としては「はあ、なかなか味のある選挙シンボルだなあ」ぐらいにしか思っていなかった。しかし今日がいよいよタイムリミットでもあるし、きちんと勉強してみたい。


(この動画は昨日付の TBS ニュース)

そもそも「長ネギ選挙」なんて言われるようになったのは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が 3月中旬のキャンペーンでスーパーを訪れ、特売の長ネギの値段を見て「875ウォン(約100円)なら妥当な価格」なんて言ったのが発端らしい。

ところがこれ、実は「妥当」なんてもんじゃなく、通常の 3分の 1という破格の特売価格だった。このスーパー、大統領が来るというので頑張りすぎたみたいなのである。要するにスーパーがやった余計なことに大統領が乗っかって、さらに余計なことを口走ったという構図なのだね。

これをきっかけにネットは「大統領は庶民の生活感覚を知らない」と炎上し、それどころか期日前投票所に長ネギを持ち込む人が続出して、長ネギが現政権批判のシンボルにまでなっているという。いやはや、長ネギの値段なんて日本の岸田首相も知らないだろうけどなあ。

4月 8日付の毎日新聞 "韓国総選挙で長ネギ論争 特売価格を巡る大統領の発言が「炎上」" という記事には次のようにあるから、決してハンパな話じゃない。

中央選挙管理委員会は投票所の職員に対し、「長ネギを持った有権者には投票所の外でネギを保管した後、中へ入るよう案内を」との通達を出した。

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長ネギは完全に選挙キャンペーンの道具と見なされるに至っており、投票所には持ち込めないという見解だ。てことは、入り口には「長ネギ保管所」なんてのが必要になるよね。

これに乗っかったのが、第三極として勢いづく祖国革新党の代表、曺国(チョ・グク)氏で、SNS に「テパ(長ネギ)を恐れる勢力はテパ(大破)されるだろう」とベタな洒落の投稿をしたという。この人、ちょっと前までは共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の側近だったようだ。

ちなみにこの人、韓国では「玉ねぎ男」として知られているというから、話がややこしい。Wikipedia には次のようにある。

曺国は 2019年 8月 9日に文在寅大統領から次期法務部長官候補に指名されたが、その直後から不正の疑惑が次々に浮上したため、長官就任を巡って全国規模の大きな論争を引き起こした。この論争と疑惑追及の動きを韓国では曺国事態と称している。

玉ねぎの皮を剥ぐように次から次へと疑惑が出てくるというので、「玉ねぎ男」(参照)なのだが、ちょっとイケメンってこともあって、韓国では結構な人気があるようなのだ。あの国って、ルックスが重要事項なのだね。

とまあ、そんなこんなで、今回の選挙は李在明(イ・ジェミョン)氏の共に民主党が優勢であるらしい。李氏は強硬な反日姿勢で知られてるので、今後はまたしても日韓関係はよくないものになるんだろう。やれやれ。

ちなみに私は昔、韓国とも縁のある企業や国際団体に勤務していたことがあるのだが、もっぱら欧米方面の仕事をしていて韓国イシューを担当したことがないので、まったく詳しくないのだよね。そもそも 1度も行ったことがないし、焼き肉も食わないし、韓国語で 3つまで数えることもできない。

せめて、今回登場した 尹錫悦(ユン・ソンニョル)、李在明(イ・ジェミョン)、曺国(チョ・グク)の 3人の顔と名前ぐらいは一致させとかないとね。

【同日  追記】

韓国語の「長ネギ」と「大破」の発音が同じという件だが、念のため Kpedia(韓国語辞書サイト)で調べると、確かに韓国語の「대파」(テパ)は同音異義語のようだ(参照)。以下の通りである。

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さらに、weblio 辞書によれば 2000年代初めから「대파」(テパ)はスラング的に「やばい」という意味で使われるようになっているという(参照)。日本語の「やばい」と同様にいい意味でも使われることがあり、ギャンブルでは「大当たり」を意味してしまうようだ。

てことは、ネガティブ・キャンペーンに用いるのは「逆にやばい」ことになる可能性もあるよね。大丈夫なのかなあ。

 

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2024年4月 2日

500年後には「佐藤さん」ばっかりになるという問題

ネット上では「2531 佐藤さん問題」というのが注目されてしまっている。日本は世界で唯一、夫婦が同姓でなければならないと定められている国なので、経済学者が指摘するには「このままいくと 2531年には全員の名字が佐藤になる」というのである。YouTube でみるとわかりやすい。

ちなみに私の生まれた山形県庄内というところは「佐藤、斎藤、馬の糞」と言われていたほどで、佐藤と斎藤という名字がやたら多く、10年以上前の 2013年 2月 21日にはこんなように書いている。

とにかくこの 2つの名字は道に落ちている馬糞同様に、あふれるほどある。そして馬糞がむしろ珍しい時代になっても、こればかりはずっと同じように言われている。

小中学生の頃は 1クラスの生徒数が 50名をちょっと越えていたが、思い出すだけでも、佐藤という名字の子が男女合わせて 12~3名いたし、斎藤も 7~8名はいた。それに高橋、池田を加えたら、あっさり過半数。

高校を卒業して上京してみると「そこらじゅう佐藤さん」という状態ではないので、「これが日本標準というものか」と納得していた。しかし今回の指摘によれば、全国的にもあと 500年経たなくても 330年ぐらいで「4人に 1人が佐藤さん」という「庄内レベル」になるようなのだ。

240402(この図はクリックすると別画面で拡大表示される)

全国的にそうなる頃には、庄内は「地域住民の半数以上が佐藤さん」という状態に達しているかもしれない。「50人のクラスで 12〜3人が佐藤さん」ぐらいならそれほど大きな問題はないが、半数以上が同姓となったらかなり紛らわしいだろう。

日本人から見ると、隣国の韓国、北朝鮮は「金さんばっかり!」みたいな印象があるが、それでも Wikipedia によれば「約 2割」程度なのだそうだ(参照)。

隣国は夫婦別姓なのでこれ以上の大きな変化は避けられるだろうが、日本がこのまま夫婦同姓のままで進んでいったら、遠からず世界中から「日本人って、サトーさんばっか!」と思われるようになるだろう。いいとか悪いとかいう問題ではないが、あまり好ましいとも思われない。

保守派は「夫婦同姓は古来から日本の伝統」などと言い張っているが、事実としてみればそれは誤りである(参照)。どこかの時点でドラスティックな手を打たなければならなくなるだろうね。

その意味でも、「2531 佐藤さん問題」というのはきちんと意識しておく必要があるだろう。

 

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2024年3月 5日

香港は、わざわざ訪れるところじゃなくなった

香港政府観光局が ”HELLO Hong Kong” なる観光キャンペーンをしているらしい(参照)。「初めて訪れても何度訪れても、香港はあたらしい」なんていうキャッチフレーズだが、今となっては「う〜む、白々しい」と思うばかりだ。

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これについて Jizi_t さんが、「精神的に物理的に苦しみ抱えた日々を送る人の多い場所で寛ぎ楽しむってのはちょっと無理」と tweet しておられる(参照)。私は ”香港は「とっとと逃げ出さなければならないところ」で、「わざわざ訪れるところ」じゃなくなりましたね” とコメントさせていただいた。

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香港が中国の一部になってからというもの、遠く離れた日本から見ていさえ心が痛むばかりである。1997年の返還に先立ち、中国は「一国二制度」を香港にも適用して 50年間は自由を守るとしていたのだが、実際には 30年も経たないうちに香港の自由はめちゃめちゃじゃないか(参照)。

私は香港には 1980年代、90年代に何度も行っている。すべてビジネスでの出張で呑気な観光なんかじゃないから、現地の人たちともかなり濃厚に触れ合ってきた。そんなわけで、私は香港にエールを送る記事を何度か書いている。

香港の自由を守る運動に心の底から共感 (2014年 11月 25日)
死ぬなよ、香港!(2019年 11月 24日)
死に体を乗り越えろ、香港!(2020年 7月3日)

このあたりまでは、ある程度の期待をもってエールを送る記事になっていると言えるのだが、その後ははっきり言ってあきらめてしまった。「香港人、逃げろ!」というトーンに変わってしまっているのである。

香港人、逃げろ!(2021年 8月 15日)
再び、「香港人、逃げろ!」 (2023年 12月 8日)

そんなわけで、香港は「とっとと逃げ出さなければならないところ」で、「わざわざ訪れるところ」じゃなくなったとモロに思っているわけなのだ。誰が中国当局の口車に乗って金を落としになんか行くものか。

 

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2024年2月20日

厚労省「飲酒ガイドライン」におけるジェンダー観

厚生労働省が酒に含まれるアルコールの量によって健康へのリスクが高まることを示した「飲酒ガイドライン」を初めて作成したと各メディアが伝えており、ネット上では「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(案)」というのが見つかる。下の動画は、昨日の ANN ニュースだ。

この「飲酒ガイドライン」において、生活習慣病のリスクを高める飲酒量は「一日あたりの純アルコール摂取量が男性 40グラム以上、女性 20グラム以上」とされている。この数字自体は目新しいものではなく、2013年発表の「健康日本21(第二次)」の中にも見えるから、10年以上も言ってるわけだ。

私は今月 12日の飲酒に関する記事で「1週間に 14単位以上のアルコールを摂取する人のほとんどは脂肪肝」という海外情報を紹介している。「1単位」はアルコール量 20グラムのことだから、「1週間に 14単位」は 280グラムで「1日当たり 40グラム」と一致する。

要するにガイドラインで示されたアルコール量は、海外情報に基づいた数字のようなのである。ただ、日本人は体質的に酒に弱い傾向がある(参照)というよく知られた点については、ここでは意識的にか無意識的にか無視されていて、欧米人の基準そのままの適用だ。

これと対照的に、厚労省はアルコール摂取量の男女差(上述の「男性 40グラム、女性 20グラム」という数字)という点についてはことさら熱心という印象なのである。女性の摂取量目安が男性の場合の半分とする公式文書は、私がざっと探してみたところでは、少なくとも英語圏では見当たらないのだが。

冒頭で紹介した「ガイドライン(案)」では、この男女の大きな差の根拠を示すために「参考文献」として海外論文を 9つも示しているが、一見する限り 2:1 という数字の十分な理由になるようには思われない。ちなみに他分野の参考文献は、「高齢者」7、「若者」4、「体質」4、「その他」5 である。

このガイドライン作成の関係者は、男性は欧米人並みに飲んでも OK としながら、女性のアルコール摂取量をことさら低く抑えるために、他分野に比して明らかに多くの海外論文を援用しているとわかる。なにしろ「若者」「体質」に関する文献の 2倍以上だから、読むのも大変だったろうに。

その意味で今回のガイドラインの基本は、「男性は欧米人並みにビール 2本飲んでもいいけど、女性は 1本までに抑えてね」というトーンなわけだ。これって因習的な男女観に妙に日本的な配慮をした結果なのかもしれないなんて思うのは、穿ち過ぎだろうか。

それから ANN ニュースにある「行動面のリスクとして暴力行為を起こしたり金銭や機密書類、USBメモリを紛失したりする危険もあるなどの例が挙げられた」という妙に具体的な文言には、ちょっと笑ってしまった。厚労省のお役人の中にも、泥酔して USB メモリなくしちゃったのがいるに違いない。

最後に念のため付け加えておくが、私は「女性ももっと酒を飲め」と言ってるわけでは決してないので、そのあたりなにぶんよろしく。

 

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2024年2月16日

トランプとバイデンの「じいさん対決」を巡る冒険

マネー現代が ”トランプとバイデンの「高齢対決」再び?米大統領選から考えるアメリカ人の「定年後」” という記事で "「本選挙では 81歳のバイデン氏と 77歳(11月5日の投票日の時点で78歳)のトランプ氏の「再対決」の可能性" と報じている。実際は「可能性」どころじゃなく、「ほとんど決まり」だよね。

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「もうちょっと若くてマシな候補者っていないのか?」と言いたくなるが、結論としては「いない」ということになる。いればこんな「じいさん対決」になんかならない。

どうしてこんなことになってしまったのかと言えば、有能な若手の参入がなかったからに決まってる。ほかの分野ではそれなりに有能な若手が輩出しているのに、政治の世界ではこんなじいさんしかいないというのは、政治家というのがもはや「不人気職業」になってしまったからだろう。

ドナルド・トランプとジョー・バイデンの 2人はたまたま親の代からの政治家というわけではないが、米国でも政治家は世襲が多くなっている。ケネディ家とブッシュ家が有名だが、ほかにも世襲議員は山ほどいる。米国の選挙はとにかく金がかかるから、金持ちの家系でないと参入しにくいのだ。

世襲議員といえば、日本はそればっかりみたいな様相になっている。金の問題ばかりでなく「地盤」だの何だのという面倒な要素が絡むので、親が政治家だとぼんくら息子でも後を継ぎやすい。

私は世襲ということに意味があるのは、歌舞伎や能などの伝統芸能ぐらいのものだと思っている。日本では政治が伝統芸能みたいな世界になってしまっているのだから、まったくどうしようもない。

さらにタレントからの転身というのも多い。ちなみにドナルド・トランプは富豪ではあるが、タレント政治家とみるとかなりしっくり来る部分があり、下の動画がそれをよく示している。

この動画でトランプはレスラーのボビー・ラシュリーと組んでド派手なベビーフェイス(善玉)を演じ、プロレス団体 WWE のオーナーでヒール(悪役)のヴィンス・マクマン(東スポ的には「ビンス・マクマホン」)を坊主頭にしている。詳しいストーリーはこちらだが、お恥ずかしいほどの猿芝居だ。

バイデンはさすがにこんな馬鹿はやらないが、いくらなんでも年を取り過ぎている。というわけで私は今年の米国大統領選にはシラけきっていて、政治そのものに関してもあまり期待しない方がいいと思っている。

【2月 17日 追記】

上のビデオで頭を丸刈りにされるというパフォーマンスを見せたヴィンス・マクマン(東スポ的には「ビンス・マクマホン」)が、性的暴行で提訴されて WWE を保有する親会社の会長職を辞任したんだそうだ。いやはや、私生活でまでヒールだったとはね。

プロレスの話題だけに、東スポの記事にリンクしておく。

 

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2024年2月 3日

東京が中国リベラル・インテリ層、新富裕層の避難先に

東洋経済 ONLINE の 2月 3日付 ”中国人向けの書店が東京で続々開業する深い事情 言論統制を嫌うインテリが日本に脱出している”(9:50付)と ”習近平の手を逃れ、中国のインテリが東京に大集結 中国国内の政治対立が日本を巻き込み始めた”(9:51付)という 2本の記事が注目される。

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いずれも中国のインテリ層が、自国の言論統制を逃れるために東京に集結しているという内容だ。中国内では自分の信念に基づいた活動ができないため、東京に逃れてきているというわけだ。2本目の記事の小見出し「中国国内の政治対立が日本を巻き込み始めた」というのが気になるところである。

いずれも中国・東南アジア専門ジャーナリスト、舛友雄大氏によるもので、彼は昨年 8月にも ”中国から日本へ大脱出する「新富裕層」驚きの生態 日本でのお目当ては不動産買収と子どもの教育” という記事を書いている。こちらの主語は「インテリ層」ではなく「新富裕層」である。

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とにかく中国の新富裕層とインテリ層は、自国の不自由な政治体制に嫌気がさしていて、東京で自由な活動を展開し始めているというのである。彼はこの状況が 1895年〜1920年代半ばごろの「辛亥革命」前後の状況と通じるとして、次のように述べている。

当時、魯迅、梁啓超、孫文といった進歩派の中国人の文学者、思想家が日本に滞在していた。混沌とした清末〜中華民国初期にあって、彼らは日本で貪欲に西洋思想を身につけた。東京では、清朝打倒を目的とする中国同盟会が設立され、横浜では「清議報」や「新民叢報」といった雑誌や新聞が誕生した。

こうした状況から、彼らの東京での活動が中国にフィードバックされる可能性があるというわけである。私としては、こうした動きに注目せざるを得ない。

現在の中国の鬱陶しい状況が打開されるきっかけになるならば、歴史的にも意味があるのではなかろうか。下手するととんでもなく面倒なことになるかもしれないが。

 

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