カテゴリー「経済・政治・国際」の799件の記事

2024年2月20日

厚労省「飲酒ガイドライン」におけるジェンダー観

厚生労働省が酒に含まれるアルコールの量によって健康へのリスクが高まることを示した「飲酒ガイドライン」を初めて作成したと各メディアが伝えており、ネット上では「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(案)」というのが見つかる。下の動画は、昨日の ANN ニュースだ。

この「飲酒ガイドライン」において、生活習慣病のリスクを高める飲酒量は「一日あたりの純アルコール摂取量が男性 40グラム以上、女性 20グラム以上」とされている。この数字自体は目新しいものではなく、2013年発表の「健康日本21(第二次)」の中にも見えるから、10年以上も言ってるわけだ。

私は今月 12日の飲酒に関する記事で「1週間に 14単位以上のアルコールを摂取する人のほとんどは脂肪肝」という海外情報を紹介している。「1単位」はアルコール量 20グラムのことだから、「1週間に 14単位」は 280グラムで「1日当たり 40グラム」と一致する。

要するにガイドラインで示されたアルコール量は、海外情報に基づいた数字のようなのである。ただ、日本人は体質的に酒に弱い傾向がある(参照)というよく知られた点については、ここでは意識的にか無意識的にか無視されていて、欧米人の基準そのままの適用だ。

これと対照的に、厚労省はアルコール摂取量の男女差(上述の「男性 40グラム、女性 20グラム」という数字)という点についてはことさら熱心という印象なのである。女性の摂取量目安が男性の場合の半分とする公式文書は、私がざっと探してみたところでは、少なくとも英語圏では見当たらないのだが。

冒頭で紹介した「ガイドライン(案)」では、この男女の大きな差の根拠を示すために「参考文献」として海外論文を 9つも示しているが、一見する限り 2:1 という数字の十分な理由になるようには思われない。ちなみに他分野の参考文献は、「高齢者」7、「若者」4、「体質」4、「その他」5 である。

このガイドライン作成の関係者は、男性は欧米人並みに飲んでも OK としながら、女性のアルコール摂取量をことさら低く抑えるために、他分野に比して明らかに多くの海外論文を援用しているとわかる。なにしろ「若者」「体質」に関する文献の 2倍以上だから、読むのも大変だったろうに。

その意味で今回のガイドラインの基本は、「男性は欧米人並みにビール 2本飲んでもいいけど、女性は 1本までに抑えてね」というトーンなわけだ。これって因習的な男女観に妙に日本的な配慮をした結果なのかもしれないなんて思うのは、穿ち過ぎだろうか。

それから ANN ニュースにある「行動面のリスクとして暴力行為を起こしたり金銭や機密書類、USBメモリを紛失したりする危険もあるなどの例が挙げられた」という妙に具体的な文言には、ちょっと笑ってしまった。厚労省のお役人の中にも、泥酔して USB メモリなくしちゃったのがいるに違いない。

最後に念のため付け加えておくが、私は「女性ももっと酒を飲め」と言ってるわけでは決してないので、そのあたりなにぶんよろしく。

 

| | コメント (2)

2024年2月16日

トランプとバイデンの「じいさん対決」を巡る冒険

マネー現代が ”トランプとバイデンの「高齢対決」再び?米大統領選から考えるアメリカ人の「定年後」” という記事で "「本選挙では 81歳のバイデン氏と 77歳(11月5日の投票日の時点で78歳)のトランプ氏の「再対決」の可能性" と報じている。実際は「可能性」どころじゃなく、「ほとんど決まり」だよね。

240216

「もうちょっと若くてマシな候補者っていないのか?」と言いたくなるが、結論としては「いない」ということになる。いればこんな「じいさん対決」になんかならない。

どうしてこんなことになってしまったのかと言えば、有能な若手の参入がなかったからに決まってる。ほかの分野ではそれなりに有能な若手が輩出しているのに、政治の世界ではこんなじいさんしかいないというのは、政治家というのがもはや「不人気職業」になってしまったからだろう。

ドナルド・トランプとジョー・バイデンの 2人はたまたま親の代からの政治家というわけではないが、米国でも政治家は世襲が多くなっている。ケネディ家とブッシュ家が有名だが、ほかにも世襲議員は山ほどいる。米国の選挙はとにかく金がかかるから、金持ちの家系でないと参入しにくいのだ。

世襲議員といえば、日本はそればっかりみたいな様相になっている。金の問題ばかりでなく「地盤」だの何だのという面倒な要素が絡むので、親が政治家だとぼんくら息子でも後を継ぎやすい。

私は世襲ということに意味があるのは、歌舞伎や能などの伝統芸能ぐらいのものだと思っている。日本では政治が伝統芸能みたいな世界になってしまっているのだから、まったくどうしようもない。

さらにタレントからの転身というのも多い。ちなみにドナルド・トランプは富豪ではあるが、タレント政治家とみるとかなりしっくり来る部分があり、下の動画がそれをよく示している。

この動画でトランプはレスラーのボビー・ラシュリーと組んでド派手なベビーフェイス(善玉)を演じ、プロレス団体 WWE のオーナーでヒール(悪役)のヴィンス・マクマン(東スポ的には「ビンス・マクマホン」)を坊主頭にしている。詳しいストーリーはこちらだが、お恥ずかしいほどの猿芝居だ。

バイデンはさすがにこんな馬鹿はやらないが、いくらなんでも年を取り過ぎている。というわけで私は今年の米国大統領選にはシラけきっていて、政治そのものに関してもあまり期待しない方がいいと思っている。

【2月 17日 追記】

上のビデオで頭を丸刈りにされるというパフォーマンスを見せたヴィンス・マクマン(東スポ的には「ビンス・マクマホン」)が、性的暴行で提訴されて WWE を保有する親会社の会長職を辞任したんだそうだ。いやはや、私生活でまでヒールだったとはね。

プロレスの話題だけに、東スポの記事にリンクしておく。

 

| | コメント (2)

2024年2月 3日

東京が中国リベラル・インテリ層、新富裕層の避難先に

東洋経済 ONLINE の 2月 3日付 ”中国人向けの書店が東京で続々開業する深い事情 言論統制を嫌うインテリが日本に脱出している”(9:50付)と ”習近平の手を逃れ、中国のインテリが東京に大集結 中国国内の政治対立が日本を巻き込み始めた”(9:51付)という 2本の記事が注目される。

2402031

2402032

いずれも中国のインテリ層が、自国の言論統制を逃れるために東京に集結しているという内容だ。中国内では自分の信念に基づいた活動ができないため、東京に逃れてきているというわけだ。2本目の記事の小見出し「中国国内の政治対立が日本を巻き込み始めた」というのが気になるところである。

いずれも中国・東南アジア専門ジャーナリスト、舛友雄大氏によるもので、彼は昨年 8月にも ”中国から日本へ大脱出する「新富裕層」驚きの生態 日本でのお目当ては不動産買収と子どもの教育” という記事を書いている。こちらの主語は「インテリ層」ではなく「新富裕層」である。

2402033

とにかく中国の新富裕層とインテリ層は、自国の不自由な政治体制に嫌気がさしていて、東京で自由な活動を展開し始めているというのである。彼はこの状況が 1895年〜1920年代半ばごろの「辛亥革命」前後の状況と通じるとして、次のように述べている。

当時、魯迅、梁啓超、孫文といった進歩派の中国人の文学者、思想家が日本に滞在していた。混沌とした清末〜中華民国初期にあって、彼らは日本で貪欲に西洋思想を身につけた。東京では、清朝打倒を目的とする中国同盟会が設立され、横浜では「清議報」や「新民叢報」といった雑誌や新聞が誕生した。

こうした状況から、彼らの東京での活動が中国にフィードバックされる可能性があるというわけである。私としては、こうした動きに注目せざるを得ない。

現在の中国の鬱陶しい状況が打開されるきっかけになるならば、歴史的にも意味があるのではなかろうか。下手するととんでもなく面倒なことになるかもしれないが。

 

| | コメント (0)

2024年1月28日

「犯罪者は外国人ばかり」というデマ

HUFFPOST の ”殺人・傷害罪の受刑者、「中国人」「韓国・朝鮮人」が各 3割超は誤り。「日本人は 3%」との画像が拡散” という記事がある。記事中では元となった tweet は敢えて隠されているが、ググってみればすぐに特定できる。これだ。

240128

それにしても、こんなデマ情報を信じてもっともらしく tweet しちゃう人間が現実にいるということには、驚くというよりあきれ果ててしまったよ。日本国内で「殺人・障害」で収監されている囚人のうち日本人がたった 3%なんて、まともに考えたら、あり得るはずないじゃないか。

こんなのは言うまでもなく「デマ」に決まっていて、日本ファクトチェックセンター(Japan Fact-check Center)のサイトでも「刑務所の殺人・傷害の収容者は中国、韓国・朝鮮籍が 65%は誤り」としっかり認定されている。下のグラフはこの記事にあるもの(クリックで拡大表示される)だ。

2401282

グラフの説明として、次のように書かれている。

新たに収監された人のうち中国、韓国・朝鮮籍が占める割合は、過去16年間、2〜4%で推移している。グラフの青い部分、9割以上が日本人だ。

そりゃそうだわな。日本国内の話だもの。

それにしても「殺人・傷害罪で新たに収監された人」の数って、年ごとにみると 2021年は 2006年の ほぼ 3分の 1に減っているのだね。日本って、この 15年ほどの間にそれほどまでに治安が良くなっているのかなあ。

もしかして「殺人・傷害」の事件自体は減っていないが、検挙数が減り、そのために収監数も減っているのだとしたら、かなりイヤな話になってしまう。ただ念のために法務省の犯罪白書のサイトに当たってみたところでは、そんなことはないようだ(参照)。

2401282_20240128133201

それにしてもお役所のこうしたサイトってムチャクチャ見にくいし、そのうえ元号表示でわけがわからなくなってしまうことが多いが、上のグラフの「平成 12」というのは西暦 2000年のことなので、そのあたりよろしく。

おおまかな傾向として「殺人・傷害」の事件数自体は徐々に減っていて、検挙率はむしろ上がっているのがわかる。ただ「暴行・脅迫」事件となると、逆に増加傾向にあるのが気がかりだ。

2401283

日本が国際的には安全な国と目されているのは確かな話だが、決して手放しで喜べるというわけではないのだね。

 

| | コメント (0)

2024年1月20日

自民党の派閥に関するゴチャゴチャ

自民党ではパーティ券収入のキックバックから発した問題が派閥の弊害にまで及んでしまい、安倍派、岸田派、二階派が解散を表明するに至ったわけだが、一方で麻生派は「存続」という意向と TBS が伝えている(参照)。足並み揃えて派閥解散になるのかと思ったが、どうやらそう簡単には運ばないようだ。

2401201

自民党が自ら「派閥をなくす」と言い出したのは今回が初めてではない。35年前のリクルート事件で政治資金問題が取り沙汰された時にも、自民党は自ら「政治改革大綱」なんて文書の中で「派閥解消」を宣言していた。私はそれをはっきりと覚えているが、結局ウヤムヤになっていたわけである。

そんなことがあるので、今回も「派閥解散」のニュースが伝えられる度に、個人的には「そんなに簡単に派閥をなくせるわけないだろう」と思っていた。派閥はたとえなくなったように見えても、そのうち必ず復活する。

そうした中で「派閥は解散しない」との意向を示した麻生太郎は、ある意味「正直」なものである。ファッション・センスは最悪だけどね。カウボーイがマフィアになったみたいな帽子を屋内でも取らないし。

ただ、こうして反対の意向が示された以上は、これまで「解散」を表明してきた三派はかえって「ウヤムヤ」にはできなくなってしまった。「じゃあ、解散は止めときましょう」では済まされない。

麻生派の意向を振り切ってでも「解散」に突き進むとしたら、「本当に『本当の解散』なんだよ!」と言わなければ格好がつかない。ただ、そうなると党内でかなりの軋轢になる。

いっそ足並み揃えて「派閥解散」にした方が、後でとぼけて復活させやすいのだろうが、麻生さん、余計なところで変な正直さを発揮して、話を面倒にしてしまっている。

 

| | コメント (2)

2024年1月18日

自民党の支持率低下と「目白御殿」の焼失

JIJI.COM が「自民支持、過去最低の 14.6% 内閣支持は微増 18.6%」というニュースを伝えている。内閣支持率は前月比微増となったが、自民党支持率は「1960年 6月の調査開始以降で、野党だった期間を除き最低」を記録したというのである。

240118

画像に示されているグラフは自民党の支持率ではなく岸田内閣の支持、不支持の推移を表したものだが、とにかく一昨年の夏以後は低下傾向を示している。一時的にアップしたのは昨年の 5月に韓国やアフリカを歴訪したのがきっかけで、とにかくこの人、外向きの顔の方が強くて内向きは散々だ。

とくに昨年秋以後はガタガタで、内閣支持率は 20%を切っているし、自民党の支持率も 14.6%というのだからヒドいものである。

ところが、時期を同じくして発表された NHK の政党支持率調査結果では、自民党の支持率は 30.9% というじゃないか(参照)。時事通信調査の倍以上の支持率というのだから、「おいおい、一体どうなってるんだ?」と言いたくなる。

2401182

個人的感覚では、NHK 調査の「100人中 30人が自民党支持」なんて、ちょっと信じられない気がする。まあ、支持政党が「特になし」というのが半分近くというのもかなり問題だが。

私は内閣支持率がムチャクチャに下がりまくった昨年秋、11月 11日の「岸田内閣の支持率低下を巡る冒険」という記事で、"これって、「岸田内閣の危機」というより「自民党の危機」と見る方がいいのかもしれない" と書いたが、こうした感覚は最近さらに強くなった。

とくにエポックメイキングな出来事となったのは、今年 1月 8日に田中角栄元首相の「目白御殿」が焼失したことである。

実は私は学生時代の 1970年代前半に高田馬場の炭屋(燃料店というより「炭屋」だった)でバイトをしていて、冬はあの近辺に灯油を配達しまくっていた。目白御殿というのも案外近くて、しょっちゅう近くを通り過ぎていたのだが、あの頃から「異様な威容」を誇っていたのを覚えている。

ただ、あの頃から既に半世紀以上経ったのだから、はっきり言ってかなり結構老朽化はしていたのだろう。焼け跡の骨組みなんかを見ても時代を感じさせる造りである。

昭和の自民党政治を動かしていた目白御殿があっさり燃えてなくなってしまったというのは、かなり象徴的な気がしてしまうのである。2024年という年が、古い骨組みの政治が燃え尽きていくスタートポイントになってくれればありがたいのだが、まあ、実際の動きは遅々たるものなのだろうね。

 

| | コメント (0)

2024年1月15日

日本式日付表示順「年-月-日」の特殊性と合理性

「【海外の反応】パンドラの憂鬱」というサイトに "海外「日本式が一番合理的だ!」 日本の日付の表記が世界的に特殊過ぎると話題に" という記事がある。日付の表記では日本式の表示順が、世界的には極めて特殊だが、実は最も合理的というものだ。

240115

国際的な日付表示の順番は、たとえば 2023年 12月 31日だったら、次のようになる。

欧州式: 31/12/2023 (日-月-年)
米国式: 12/31/2023 (月-日-年)

これに対して、日本では "2023/12/31" のように「年-月-日」(大→小)というコンセプトだが、実はこれ、国際的には極めて希なスタイルのようなのである。

昔、英国に本拠を置く国際団体の日本支部に勤務していた時は、国際的なメールのやり取りでの日付表記は欧州式の「日-月-年」だった。もっとも "31/12/2023" なんて表記ではなく、"31 Dec. 2023" というスタイルがスタンダードだったと記憶している。

この頃の習慣が身についてしまったため、しゃべる英語は米国式のくせに英文での日付表記だけは今でも欧州式だ。”Dec. 31 2023” なんて書くと、単なる気分の問題だが体がむず痒くなってしまうのである。慣れというのは恐ろしい。

もっとも、日本語で書くときはもちろん日本式で「2023年 12月 31日」というように書く。体の中にダブルスタンダードが存在しているわけだ。

ただ「国際標準化機構(ISO)」の国際規格「ISO 8601」では、大→小の順序(big-endian ビッグ・エンディアン)が採用されている。嬉しいことに日本式なわけで、例えば 「2022年 9月 4日」は "2022-09-04"(拡張形式)、あるいは "20220904"(基本形式)と表記される。

冒頭で紹介した記事の結びにも次のように書かれており、納得するほかない。

例えば03/12/2024と書いた場合、2024年の3月12日なのか、それとも12月3日なのか、アメリカとヨーロッパとの間で混乱が生じるので、やはり国際規格としては「日本式」が妥当ですかね。

今年の 10月 10日頃に "10/09/2024" なんて日付表記を見たら、さらに混乱するだろう。先に触れた国際団体で "10 Sep. 2024" 式の表記としていたのは、米国とのやり取りでの混乱を避ける意味もあったと思う。しかし考えてみれば、日本式なら単なる数字表記にしても間違えようがない。

というわけで、私もファイルの整理などでは「大→小」方式を採用している。試しにこの記事の上の方の画像にマウスポインターを合わせれば、"240115" というファイルネームが表示されるはずだ。

言うまでもなく「2024年 1月 15日の画像」というココロで、ありがたいことに 2099年より先まで生きてしまう心配はないから、西暦は下の 2ケタだけで済ませている。

 

| | コメント (6)

2024年1月12日

岸田首相は「鈍感力」というものに恵まれているらしい

昨日の記事ではスギ花粉症が早くから出てしまうことに関して「こういうことは鈍感な方がずっといい」と書いた。ところが間の良すぎることに、その直後に ”岸田首相、ここにきて「鈍感力」で逃げ切りか・・・パーティー裏金は自民党ではなく「安倍派の問題」” なんていう記事を見つけて驚いてしまった。

240112

岸田内閣の支持率というのは、2021年秋の発足以来上がったり下がったりを繰り返している。発足直後はほぼ 50%内外で推移していたのだが、翌年夏を境に急に下がり始めた。

私は 2022年 9月 19日付 ”岸田内閣の支持率が、やたら落ちてるようで” という記事で、支持率低下の要因は安倍暗殺事件の影響で「自民党と統一教会の癒着」が注目されたことと指摘している。

ところが 2023年 5月には広島サミットの成功もあって支持率が急上昇した。この年の 5月 28日に私は "岸田首相、最近は「無双」なんだそうだよ" という記事まで書いている。

菅前首相に比べれば発言の意味がちゃんと通じるというだけでも大変な違いだし、サミットで各国首脳と直接英語で交流している姿も結構頼もしく見えた。この人、案外外向きの姿で点数稼ぎのできる人である。

ここでせっかく点数が上がったのに、夏を過ぎて世間の視線が内向きになるとこの人のメリットは見えにくくなる。秋以後の支持率は下がる一方で、最近は 30%を切ってしまっている。

私は昨年 11月 11日の "岸田内閣の支持率低下を巡る冒険" という記事で、私はこんなようなことを書いた。

  • 岸田首相は直接的にはこれといった大失点がないのに支持率だけはどんどん下がるというのは、「不思議な現象」である。
  • 突然ブチ切れたりされる心配もなさそうで、コワくもなんともないから、世間的には悪口を言いやすい。

確かにこの人、少なくとも悪いことはしていないし、ヒドい大失態もない。今問題になっている「パーティ裏金問題」は安倍派の問題なのだから、「そんなことで自分が責められるのは不本意だ」と思っているに違いない。

さらに周囲から「突然ブチ切れたりされる心配もなさそう」に見えるということは、裏を返せば「鈍感力」というものには恵まれているということだ。首相を続けて周り中から責められるのがほとほと嫌になり、「だったら辞めてやる!」ということにはなりにくい。

今回の裏金問題で主流派の実力者たちは表舞台に立ちにくくなってしまったから、岸田氏の代わりは見つけにくい。鈍感力さえ発揮すれば首相の地位を守り続けることはできる。

ただ自民党という政党まで鈍感に見えてしまったら、次の選挙は大変だろう。

 

| | コメント (2)

2023年12月21日

トランプを「きっちり以上」に裁いたコロラド州最高裁

HUFFPOST が「トランプ氏に再び大統領になる資格はない コロラド州最高裁が判断」(12月 20日付)という記事を載せている。元記事は ”Trump Ruled Ineligible For Presidency By Colorado Supreme Court, Disqualified From State Ballot” (12月 19日付)というもの。

231221

この判決の根拠は「憲法修正第14条3項」であるという。「アメリカ合衆国憲法を支持する宣誓をした者が国に対する暴動や反乱に関与した場合、議員や大統領、国の官職などに就くことができない」と定めた項目だ。

この条文を素直に読めば、「なるほど、もっともな判決だよね」となる。なにしろ彼は 2021年 1月 6日の支持者らによる連邦議会議事堂への襲撃の関与を問われていて、どう見ても彼の扇動は明らかなのだから、大統領選挙には「お呼びでない」というわけだ。

トランプ陣営は当然ながらこの判決を不服として連邦最高裁に上訴する予定だが、おもしろいのはここから先である。

「連邦最高裁が上告を受理すれば、この問題に関して全国的な判断が示される可能性がある」という。つまりコロラド州限定の話ではなくなってしまうかもしれないのだ。

さらにコロラド州最高裁は上訴を見越して「判決を年明けの 1月 4日まで確定しない」としている。何でまた 1月 4日なのかというと、コロラド州の共和党予備選挙候補者を決める最終期限が 1月 5日となっているためだ。

州段階での裁判結果が連邦最高裁に上訴されると、そこでの結論が出ないうちは効力をもたない。つまり、トランプ陣営は判決が確定されるやいなや大急ぎで連邦最高裁に上訴手続きをとらなければならず、それが間に合わなければ、トランプはコロラド州での予備選を捨てなければならない。

コロラド州での大統領選は前回もバイデンが勝っているから、まあ大勢に影響はないかもしれないが、今回の判決はまさに「きっちり以上」のもので、大変なゲームの出発点にまでなっている。というのは、同様にトランプの出馬資格剝奪を目指す訴訟が 25州以上で起きているらしい(参照)からだ。

今後のドタバタに注目しよう。

 

| | コメント (0)

2023年12月17日

「言えば言うほどアホがバレる言い草」ってあるよね

読売新聞が ”安倍派中堅「悪意を持って裏金を作ってはいない」” なんて伝えている。いい年こいて「悪意はなかったんだから、大目に見てよ」みたいな言い草で、「言えば言うほどアホがバレる」とわかってないみたいなんだよね。

2312171

一方で河野デジタル相は、「デジタル庁として総務省と連携し、政治資金の透明性を高められるようにしたい」と述べたという。「デジタル技術を活用した政治資金の透明化を進める考えを強調したもの」というのだが、具体性のまったくない話で、期待しろという方がムリというものだ。

それから降って湧いたように、”安倍元首相は激怒、会計責任者に「ただちに直せ」自民パー券疑惑、岩田明子氏が緊急取材「裏金」は細田派時代の悪習だった” なんて記事まで出てきていて、とんだ物笑いの種になっている。ネタ元は昔から安倍べったりで有名だった岩田明子という女性だ。

2312172

「細田派時代の悪習」に関して派閥領袖になってから初めて知った安倍は「ただちに直せ」と激怒したというのだが、はいはい、それまで全然知らなかったって言いたいわけね。そしていくら「激怒」してみせても全然効き目なかったって認めてるわけね。これもまた「言えば言うほどアホがバレる」の一環だ。

記事に添えられたパーティの記念写真なんか見ても、こういう世界から遠いところで生きていられて幸いと思うばかりである。

それにしてもこの写真の会場、お粗末なことに正面の垂れ幕と国旗の水平が取れてないよね。カメラマンは仕方なくこれに合わせてるので、正面の上手(向かって右側)が下がっているみたいに錯覚してしまう。

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧