カテゴリー「経済・政治・国際」の862件の記事

2025年4月 8日

「外国を罰する」と言って自国民を罰してるトランプ

CNN の「関税で諸外国を罰すると語るトランプ氏、実際に罰せられているのはほぼ米国人」というニュース・タイトルはかなり傑作だ。とくに後半部分は、もろに言えてる。

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元記事のタイトルは "Trump says he’s punishing foreign countries. He’s mostly punishing Americans" で、書いたのは CNN の Allison Morrow というシニア・ライター。オリジナル・タイトルの後半部分は「彼はほとんど米国人を罰している」と、英語らしく直接的な言い方だ。

客観的に見ても思いつきみたいな関税政策のせいで、米国民は高い自動車を買わなければならなくなるし、他の輸入品についても同様だ。そのおかげで米国内での生産が増えるなんて見方をする人もいるが、それも楽観的すぎる。

先月 18日に 「米国アパレル業界は、国内生産回帰なんて無理」という記事で書いたように、生産業が疲弊した米国でそんなに急に増やせるわけがなく、コトはアパレル業界ばかりではない。それに米国が外国からモノを買わなくなれば諸外国も米製品を買わなくなるから、経済が縮小する。

常識的に見れば今回の関税政策にはいいことなんてないのだが、トランプとしては国民に忍耐を求める一方、「歴史的な投資と繁栄をもたらす」なんてノー天気なことを言っている(参照)。今のところトランプ支持層は「きちんと」だまされてくれているようだが、いくらなんでもそのうち目が覚めるだろう。

なにしろニューヨークでは既に卵 1個の価格が 1ドル以上(150円)という水準に達しているらしいから、この先ますます大変だよね。

昔は米国という国に「住みたい」とまで思ったこともあるが、今はまったく思わない。

 

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2025年3月31日

トランプがプーチンにムカついてるらしい

一時は妙に仲睦まじく見えたトランプとプーチンだが、本日付読売新聞は、トランプがプーチンに「非常に怒っている」と伝えている(参照)。

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記事によればこんなようなことだ。

NBC によると、トランプ氏はプーチン氏が停戦条件としてウクライナでの大統領選実施に言及したことについて、「非常に怒っている」と強調した。

トランプとしては自分がウクライナでの停戦に貢献しているようなイメージを作ろうとしていた時だけに、プーチンの明後日の方を向いたような発言にカチンと来てしまったんだろう。彼を相手にまともな話が進むわけがないとわかっただけでも、一つの収穫かもしれないが。

ちなみにこの件に関しては英文ニュースでも "very angry" という表現が多く、NBC はトランプが "pissed off" (ムカついた)なんてヤバい言い回しまでした(参照)と伝えているほどだから、 実際によほどブチ切れたんだろう。ちなみに "piss" というのは直接的には「小便」のことなのでよろしく。

トランプ関連で私自身がムカついたニュースは、トランプが 3選を狙っているという話である。CNN は "トランプ米大統領、3期目追求の「手段ある」と言明 「冗談でなく」" と伝えているのだが、こればかりは「悪い冗談」で終わって欲しい。

"Piss off" どころか、"shit off!" と言いたくなってしまうよ。

 

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2025年3月22日

イーロン・マスクの言動でテスラが危機に

WIRED が今月 18日付で「イーロン・マスクの物議を醸す言動がテスラを窮地に追い込んでいる」という記事を載せている。彼の言動が欧州でテスラ離れにつながり、テスラ関連メディアの運営者までもがほかの電気自動車(EV)に乗り換える事態となっていると報じられているのだ。

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テスラの電気自動車事業は確実に危機に直面しているようだ。「販売台数の急減、テスラ車への嫌がらせ、法人顧客の離反、テスラーオーナーが愛車を手放すなど、事態は深刻化している」というのである。環境問題を考慮してテスラ車を購入した世界中のユーザーは確実に後悔しているだろう。

テスラ社の業績悪化はとくにヨーロッパにおいて顕著で、「EVの市場シェアが内燃機関車を上回ったノルウェーでは、先月の販売が37.9%減少。フランスでは63.4%減、スペインでは75.4%もの減少を記録した」と報じられている。マスク氏の政治的な動きが大きな要因となっているのは確かだ。

テスラ社の下取り価格は下落の一方で、オランダのテスラ車ショールームは落書きの被害に遭ったという。ロンドンではヒトラーを彷彿とさせるマスクの顔の描かれた反テスラのステッカーが配られ、ドイツではテスラ社のギガファクトリーの壁面に ”Heil(ハイル)" の文字が投影された(下の写真)。

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ヨーロッパではことほど左様に、イーロン・マスクへの反感が強いようなのである。日本ではテスラ車はほとんど売れていないようで、これは幸いなことと言わなければならない。

それにしてもイーロン・マスクは、自らのビジネスを犠牲にしてまでトランプ政治に加担したいみたいなのだね。

【翌日 追記】

最新ニュースによれば、「テスラを破壊した者はエルサルバドルの刑務所送り トランプ氏示唆」なんだってさ。大人の権力を持った子どもの言い草。

 

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2025年3月20日

兵庫県知事のパワハラ、やっぱり「あった」で決着

いろいろなメディアが兵庫県知事のパワハラが認定されたと伝えている。下に紹介するのは、毎日新聞の「兵庫知事の行為 10件をパワハラ認定 第三者委が調査報告書公表」という記事で、要するに「斎藤氏によるパワハラは実際にあった」ということで決着している。

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私は昨年の 9月から 11月にかけて、この問題に関連して 3本の記事を書いている。こんな具合だ。

見たくないモノは見ないし、聞きたくないことは聞かない (9月 19日)
今回の兵庫県知事選挙の、世論誘導に関する大きな教訓 (11月 18日)
「さいとう元知事」が「〜元彦知事」というセコい戦略 (11月 23日)

かなり興味深いのは、このほぼ 2ヶ月間のうちに斎藤氏に関する評価が極端に変わってしまったことだ。1本目の記事では、「仕事はできる」という点で評価する人が多いが、「横暴で人の話を聞かない」という点は大きな問題となっているようだという大筋の話を主に紹介している。

そして 2本目は選挙の結果、斎藤氏が再選されてしまったという事実に驚いて書いたものだ。選挙期間中にはかなりの「世論誘導」が行われたようで、問題となった「パワハラ」に関しては情報が二転三転し、ほとんど「デマ扱い」に近いまでになっていた。

そして 3本目は斎藤氏の選挙運動を担当したとみられる PR 会社代表取締役の折田楓さんの「自己暴露」について触れた。これに関する「毀誉褒貶」に関しては、私は一般的な世論とは別の見方をしているので、詳しくは実際の記事を読んでいただきたい。

こうして見ると「世論」というのはかなりいい加減なところがあって、ちょっとした風向きで 百八十度近く変わってしまうのがよくわかる。一時は「パワハラなんてデマ」なんてことになりかけていたのが、実際の調査ではしっかり認定されたのだから、きちんと見定めることが大切だ。

兵庫県の有権者たちとしては、再選挙であれだけ圧倒的に斎藤氏を支持してしまったのだから、客観的な結果が出てもあっさりとは受け入れにくいものがあるだろう。それだけに、一方に振れすぎるというのはかなりアブナい。

私自身はどちらにも触れすぎないようにしつつ、斎藤氏に関してはそれなりに一定の批判的な立場を維持して 3本の記事を書いたと自負している。これ、結果的には間違ってなかったわけだ。

【3月 22日 追記】

はてな匿名ダイアリーの「何が陰謀論だよ兵庫県民なら皆知ってるんだよ全部本当だったじゃない」という記事(本日付)がなかなか興味深いので紹介しておく。選挙直前の「斎藤知事批判一色」から YouTube の大量投稿をきっかけに世論が「斎藤支持」に一転したことについて、現場の視点で書かれている。

 

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2025年3月18日

米国アパレル業界は、国内生産回帰なんて無理

Courrier が "「国内回帰」したくても… 米国のアパレル産業に立ちはだかる高いハードル" というニュースを伝えている。「トランプの関税が服飾部品の調達のネックに」というもっともらしい小見出し付きだが、関税云々を抜きにしてもそもそも無理な話だろうよ。

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私は 1980年代からしばらく国際的な繊維・アパレル業界を専門分野としていろいろな記事を書いていたのだが、当時の米国でのアパレル国内生産比率なんて微々たるもので、ほとんどは香港や東南アジアでの生産だった。

「ブランド」としては米国のブランド("Levi" とか "Anne Klein" とかね)でも、実際の縫製という労働集約的な作業はほとんど海外の工場が下請けで行っているのである。半世紀以上にわたってそうしたシステムでやっているのだから、いきなり「国内生産」なんて言ってもできるわけがない。

一方、当時日本でのアパレル国内生産比率は 70%ぐらいだったと思う。ブランドを保有して製造責任を負うアパレル・メーカーは「アパレルさん」、その下請けで縫製を行うのは「工場さん」と呼ばれていたものだ。地方に行けばこの「工場さん(縫製工場)」という地場産業がまだまだ健在だった。

ところが 21世紀も 4分の 1を越えようとする今、日本のアパレル国内生産もほとんど消え失せてしまった。WWD ジャパンは 2022年の状況について "アパレルの国産比率「1.5%」 過去 20年で生産量 6分の1に" と報じている。日本中にあれだけあった「工場さん」は、今や影も形もない。

日本がこうした状態なのだから、アパレル生産の国外シフトでは 30年以上先行する米国で、トランプが思いつきみたいに「国内回帰」なんて言ってもできるはずがない。「縫製」みたいな労働集約的な仕事は、人件費だけを考えても米国内では非現実的なのだ。

トランプはいろいろな分野で「メイド・イン・USA」の掛け声をかけまくっているが、彼は経済に関してはほとんど素人丸出しだから、実際には「掛け声以下」の幻想に終わってしまうだろう。多くの米国民がそれに気付く頃には「時既に遅し」で、米経済がおかしくなってるかもしれない。

 

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2025年3月 2日

トランプの「稚拙なやりたい放題」に、早くもほころび

米国トランプ大統領の矢継ぎ早のわけのわからない振る舞いだが、まともに考えればあんなやり方が長く通用するはずがない。共同通信が "トランプ大統領は「マフィア」 米有力紙が社説で批判" という記事を報じているほどだ。

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「米有力紙」というのはワシントンポストで、3月 1日付の社説として、トランプ大統領のゼレンスキー大統領に対する振る舞いは、映画「ゴッドファーザー」の主人公でマフィアのボスである「ドン・コルレオーネのようだった」と批判したという。確かにそう言われても仕方がないよね。

何しろ米国民の圧倒的多数は「ロシア嫌い」である。第二次世界大戦後の「米ソ対立」以来の「アカ嫌い」がずっと続いているのだから、こればかりは急には変わりようがない。ところがトランプはプーチンと一脈通じてしまい、あからさまな「仲良し」ぶりなのだから違和感あり過ぎだ。

こうした行き方に対しては身内の共和党内部からも批判が出始めているようだ。当然といえば当然である。

穏健派のマカウスキ上院議員は1日、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談の終了後、「政権は同盟国から離れ、ロシアのプーチン大統領を受け入れようとしているようだ。吐き気がする」と、SNS で痛烈に批判したと伝えられる(参照)。

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さらに、CNN が「解雇に不満の米連邦職員、ロシアと中国が採用に動く」という情報筋の話を伝えており、かなり危険なニュースと受け止められている。なにしろ CIA などを辞めた人物がロシアと中国に雇われてしまったら、機密情報筒抜けになってしまいかねない。

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トランプの「稚拙なやりたい放題」は、既にボロが出始めていると言ってもいい。これが米国だけの問題で済めばいいのだが、全世界に悪影響を及ぼすのは必至だから、しばらくの間、世界は馬鹿馬鹿しい混乱に付き合わなければならないのだろう。

 

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2025年2月26日

現れよ! ボブ・ディランやジョーン・バエズの 21世紀版

イーロン・マスクがすべての連邦政府職員に前の週の成果を返信するよう求める鬱陶しいメールを送り、できなければ辞職と受け止めるとわめきちらしたことについて、トランプは「素晴らしいこと」と支持していると伝えられる(参照)。米国はもはや「まともな法治国家」じゃなくなっているようなのだ。

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こんなのは法的根拠がまったくなく、連邦政府の人事管理局(OPM)は、「返信しなくても辞職とは見なされず、職員にはメールに返信する義務はないと、人事担当者に伝えた」と報道されている(参照)が、実際には全体の半数弱にあたる 100万人強が報告要請に応じてしまった(参照)らしい。

イーロン・マスク、100万通以上の返信メールをどうやって読むんだろう。馬鹿馬鹿しすぎる話である。

トランプとマスクの好き放題に関連して、当然ながら米国内でも批判が起きており、”米国の経済学者が警告「トランプ率いる米国では『エリート機関』が破壊され、進歩が止まるだろう" という記事もある。ジョセフ・スティグリッツ氏の警告を紹介したものだ。

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私は先月 22日に "4年間の長いレイムダックをやり過ごす用意はいいか?" という記事を書き、トランプの任期の 4年間を辛抱すれば次は何とかなるみたいな雰囲気を伝えてしまったが、どうもそれほど楽観的なものでもないようなのだね。これは世界的な潮流の現れのようなのだ。

トランプの任期が終わっても、今回トランプを支持した人たちがいる限り、第2、第3 のトランプが現れないとも限らない。さらに「日本は安心」なんて呑気に構えていられるわけでもないようなのである。

こうなると、1960年代後半に米国で台頭した「公民権運動」のようなものをもう一度再現しなければならないんじゃなかろうか。あの頃一世を風靡したボブ・ディランやジョーン・バエズのフォークソングの 21世紀版を作り出さなければならない。

そうでないと、世界はどんどん悪くなってしまいそうだ。

 

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2025年2月25日

「100万円の過払い金」という話の謎が解けた

Quora に「TV でよく聞く過払い金が戻ってくる CM ですが、100万円が戻ってきたと言ってますが、払い過ぎた利息が 100万円ですよね。一体いくら借金をしたらそんなになるのですか?」という質問がある。私は TV ではなくラジオで何度も聞いているのだが、同じ疑問をもっていた。

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よく聞くのは「息子の結婚披露宴のための借金を 18年で完済したのだが、過払い金が 100万円以上戻ってきた」という話である。息子の結婚披露宴のために親が多額の借金をするというのも馬鹿馬鹿しいが、利息の払い過ぎだけで 100万円にもなるなんて、どんな豪勢な披露宴だったんだと思うじゃないか。

ところが、このQuora の質問への回答によれば、借金の元金はそれほど多額ではない場合がほとんどだというのである。多くは「リボ払い」のために、長年にわたって返済し続けても借金残高がなかなか減らないというケースなのだという。

「へぇ!」ってなものである。「毎月 3万円の返済で OK」なんて話に乗ってしまい、少額返済を繰り返すうちにまたまた借金を繰り返すというパターンが多く、長年にわたって返済しているうちに過払い金が 100万円を超すなんてケースも珍しくないらしいのだ。

この回答をしてくださっている Takashi さんによれば、「会計リテラシーがない人が多すぎる」「リボ払い自体が、情弱をカモにした阿漕な商売でしたからね」ということのようなのである。

いやはや知らなかったが、結構恐ろしい話だよね。

【2025年 2月 26日・記】

2月 25日付の記事としては、昨日に "「粕汁」とか「かすうどん」とかいうもの" という記事をアップロードした(証拠は下の Bluesky 画像)のだが、今回のココログのサーバー・メンテナンスによって消えてしまったようなので、急遽別の記事を書いた。まったく迷惑な話である。

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この消えてしまった記事に関しては、後日書き直して再度アップロードするつもりなので、よろしく。

 

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2025年2月15日

ビヨンセの「最優秀カントリー・アルバム賞」受賞

今さらのようだが、今月初めのビヨンセのグラミー賞受賞のことについて触れる。第67回グラミー賞において、彼女の "COWBOY CARTER" に「年間最優秀アルバム賞」が授与された。ただ注目したいのは、このアルバムが「最優秀カントリー・アルバム賞」も同時受賞していることである(参照)。

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カントリー・ミュージックと言えば「白人の音楽」というイメージが強いが、よく調べるとブラック・ミュージックの影響もないではないし、黒人のカントリー・ミュージシャンだっている。

ところがこれまで、グラミー賞の「最優秀カントリー・アルバム賞」は、白人以外に与えられたことがなく、今回のビヨンセが黒人初の受賞となる。それだけに、かなり画期的なことと言える。

さらに言えば、これって米国の音楽界のトランプに対する反発と見ることもできる。トランプが聞きそうなカントリー・ミュージックと言ったら、モーガン・ウォーレンみたいな、日本で言えば「ド艶歌」みたいなものになってしまいそうだが、ビヨンセのはかなりソウルフルだし。

今回受賞したアルバムに収録されたヒット曲、" TEXAS HOLD 'EM" を聞くだけでそれは如実にわかる。こんな感じだ。

それに何より、ビヨンセは今回の米国大統領選で民主党のハリス支持を明確に打ち出していたしね。

トランプはムチャクチャな政策を矢継ぎ早に打ち出しているが、米国民の中にビヨンセの歌を楽しむ流れがあれば、4年後はきっと大丈夫と信じることにしよう。

 

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2025年2月 3日

やっぱり正統的呼称は「メキシコ湾」のようなのだ

トランプがメキシコ湾の「アメリカ湾」への改称なんてことを言い出したせいで、ややこしいことになっている。Gigazine が "Googleマップで「メキシコ湾」が「アメリカ湾」に変更される件にメキシコの大統領が抗議、「アメリカ」を「メキシカン・アメリカ」に変更することも提案" と伝えている。

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日本語で「メキシコ湾」と言い習わしている海域というのは、英語では "Mexico Bay" じゃなく "Gulf of Mexico" である。"Bay" という英語の概念は、もっと小さな湾だからね。そしてメキシコを初めとするスペイン語の国では "Golfo de México" と言う。

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当のメキシコ人にしてみればトランプの主張は寝言じみたことであるらしく、CNN は "「馬鹿馬鹿しい」 トランプ大統領が命じた湾の名称変更、冷笑で受け流すメキシコ人" と報じている。なかなか大人の対応である。

なお、冒頭で紹介した記事タイトルの後半部分、"「アメリカ」を「メキシカン・アメリカ」に変更することも提案" というのは、メキシコのシェインバウム大統領が米国の国名を変えろなんて無茶を言ったかのように聞こえてしまうが、もちろんそんなことじゃない。

彼女は北米大陸全体をそう言ってはどうかと提案したのである。記事の本文まで読めばそう理解できるものの、見出しだけで読み飛ばしたらアブナい。Gigazine の翻訳って相変わらずちょっとテキトーなところがあるから、気を付けなければならない(参照)。

もちろん彼女は "Mexican Amarica" とは言わず、スペイン語で "America Mexicana" と言ったわけだが、彼女が示した 1607年の地図には確かにそう表記されている(参照)。ジョークとはいえ歴史的根拠はトランプの寝言よりもずっと確かだよね。

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それに何よりも、この地図の右下辺り、メキシコ湾に相当する部分を拡大して見ると、ちゃんと "Golfo Mexicano" とあるじゃないか。やっぱり「メキシコ湾」の方が歴史的にも正統な呼称なんだろうと思わせるに十分な資料である。

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さらに細かいことを言えば、「アメリカ」という地名の元になったイタリアの探検家、アメリゴ・ヴェスプッチはメキシコ湾にはあまり興味を示さず、もっぱらカリブ海から南米にかけて探検したもののようだ(参照)。よってこの勝負、圧倒的にシェインバウム大統領の勝ち。さすが博士号もつだけある。

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ただ、トランプはこんな単純なことがわからないんだろうなあ。Google のスタッフならわからないこともないんだろうけど、ずいぶん日和見だよね。信頼感がかなり落ちた。

 

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