カテゴリー「心と体」の473件の記事

2025年1月 4日

耳にこびりついた曲、「イヤーワーム」を消し去る音楽

特定の音楽が脳内で勝手に繰り返し流れて止まらなくなる現象を英語で「イヤーワーム(earworm)」というのだそうだ。「耳の虫」とは、なるほど実感である。そしてこの「イヤーワーム」を 40秒で消し去る「イヤーワーム・イリーサー」というのが開発されたというからおもしろい(参照)。

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「イリーサー(eraser)」という英単語は、フツーは「消しゴム」や「黒板ふき」を意味する。いつまでも耳に残ってイライラするメロディをあたかも「消しゴム」のように消し去ってくれるから、この名が付いたのだろう。

開発に関わった英国ダラム大学の音楽心理学准教授ケリー・ヤクボウスキー氏(Kelly Jakubowski)によれば、「耳から離れない曲」というのは「ダンスに適したテンポの曲 」と「全体的なメロディーの形が予測できる曲」 なのだそうだ。なるほどわかる。

複雑で覚えにくい曲というのは、耳に付いてしまったりしない。いい感じで自然な曲調だからこそいつまでも耳の奥に残ってしまうのだろう。ただ、いくら「いい感じ」でもあまりしつこいとやっぱりイライラしてしまうというわけだ。

だったらそれへのカウンター・アタックとして、複雑で覚えにくい曲を浴びせかければいいということになる。条件としては、キャッチーなメロディではなく、テンポも一定じゃない曲というのがいい。

というわけで、拍子やメロディ、さらに音楽スタイルもエレクトロニカからクラシックまで変化する不可思議な曲が仕上がったのだという。こんな曲である。

なるほど、メロディがちっとも印象的じゃなく、テンポもコロコロ変わり、曲調も一定しない。こんな覚えにくい曲、耳につきようがないし、はっきり言って「不愉快」というほどのレベルだ。それまでこびりついていた曲も影が薄くなるだろう。

ただ、この曲も万能というわけではなく、「効果がなかった」というコメントもあるらしい。とはいえ多くの人にはとても効果的らしいので、頭の中で常に同じ曲が繰り返されてうんざりしている人は、試してみるといい。

 

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2024年12月15日

幼児が何度も何度も同じ昔話を聞きたがるのは

ナゾロジーというサイトの "なぜ子供は「同じお話」を何度も見たがるのかを認知科学が解明" という記事がおもしろい。私も昔、3人の娘たちにせがまれて、同じ絵本を何度も何度も読み聞かせしてやったことがあるもので。

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子供たちおなじ絵本を何度も読んでもらいたがったり、同じ昔話を何度も聞きたがるのは、どうやらわけあってのことらしい。記事には「近年の研究では、この子供たちの不思議な習性が認知科学的に非常に理にかなっている行動であり「健全」な欲求であることが示されています」とある。

繰り返し同じ話に触れることは、まず「幼児の脳内にパターン形成を促す」という効果があるらしい。大人にとっては「ありふれたこと」でも、幼児にとってはまったく新しいことなので、例えば『桃太郎』のお話でも一度聞いただけでは全部を把握し、理解することは難しい。

そこで何度も何度も聞き直し、その度に新しい発見があり理解が深まる。「理解の深みが増す」という経験は人間にとっての大きな快感だが、幼い子達は同じ話を聞く度にその快感を味わえるのだ。さらに「ヒーローごっこ」などによっても、幼児は新しい発見を積み重ねることができるという。

記事にはまた、「子供が何度も同じ物語を見たがる背景には、将来に備えて脳を発達させたいと願う攻めの姿勢に加えて、安らぎを得たいという心理も同時に含まれているのです」とある。なるほど、なかなか馬鹿にできない心理的メカニズムだ。

こうした感覚は、大人になってからもまったく消えるわけではないようだ。私なんぞは古いビデオで植木等の「お呼びでない」を見る度に、曰く言いがたい懐かしさと快感に満たされる。これぞ「定番ギャグ」の力というものだが、昔懐かしい CM などにも似たような力がある。

こうしてみると我が家の娘たちの幼い頃、何度も何度も同じ絵本を読み聞かせたり、庄内の昔話を語ったりしていたのは、全く無駄ではなかったようなのだ。少なくとも、やらなかったよりはずっと豊かな心の持ち主に育ってくれているのだろう。

今現在、幼い子を育てているという読者は、プッツンしたりせずに何度も何度も読み聞かせしてあげることを厭わない方がいい。

 

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2024年11月27日

アルツハイマーかどうかを簡単に見分けられる質問

NHK が「アルツハイマー病の疑い "簡単な質問で見分け" 慶応病院など」というネット記事を配信している。早期の治療につながると期待されているのだそうだ。私も 70歳を過ぎて「物忘れ」したりするので、なんだか気になって読んでみた。

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慶応大学の伊東大介特任教授らのグループが、患者と健康な人あわせて155人に簡単な質問をし、その答えやふるまいで病気を見分けられないか実験したという。その結果、次のようなことがわかった。

現在、困っていることがあるか」、「3か月以内で気になるニュースがあるか」という質問にいずれも「ない」と答え、「現在、楽しみはあるか」という質問に具体的に回答した人の 83%がアルツハイマー病の精密検査で陽性だったということです。

また、質問に直接答えず、付き添いの家族らに助けを求めて振り返る動作をした人の87%が陽性で、研究グループは質問への回答やふるまいをみれば病気の疑いがあるか高い精度で見分けられるとしています。

「へえ、そんなものかね」と思い、自分自身に同じ質問を投げかけてみたところ、「現在、困っていること」と「3か月以内で気になるニュース」に関しては、スラスラと答えられた。

日常生活上では「致命的に困っている」というわけではないものの、「何とかしたいものだが、なかなか対処する時間が取れない」みたいなことがゴロゴロある。あるいはこれって、「怠惰」の裏返しかもしれないという反省材料になりかねないが。

さらに「3か月以内で気になるニュース」なんて、このブログを書いているおかげでいくらでも出てくる。

逆に「現在、楽しみはあるか」という質問には「うぅん、何だろう?」となってしまい、我ながら情けない話だ。楽しみがないわけじゃないが、「忙しくてなかなかそれどころじゃない」というのが正直なところだが、よく考えればこれって、「現在、困っていること」になってしまうなあ。

強いて言えば「一番の楽しみはこのブログを書くこと」かもしれない。楽しくなければ 20年以上も毎日続けられるわけがないからね。

というわけで、アルツアイマーの心配は多分ないだろうということに落ちついて安心した。「物忘れ」に関しては、年取れば誰にでもありがちのことと片付けておこう。そういえば、若い頃から「忘れん坊」と言われていたし。

ただ、「嫌なことを忘れるのも才能の一つ」なんてノー天気なことを言ってるうちに、「気付いてみれば正真正銘のアルツハイマー」なんてことにならないように気を付けようと思う。アルツハイマーって、どうやら「楽しみ」しか答えられなくなるみたいだからね。

考えてみればそれって、ある意味幸せなことなのかもしれないが。

 

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2024年11月17日

「特茶」の広告、コピーとグラフが矛盾してるよね

先日仕事で湘南方面に行くために、久し振りで JR 電車に乗った。運良く座席に座ることができたのだが、近くの壁面に貼ってある広告のコピーとグラフがまったく噛み合わない。あまり気になるので、写真に撮って下車したほどで、それが下の画像である。

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改めて調べてみると、これはサントリー「特茶」の広告と確認できた。私が知ったのは数日前だが、実はずいぶん前からある広告なのだね。近頃は電車に乗ることが少なくなったので、まったく気付いていなかった。

この広告は、これを飲むことで「8週目から、体脂肪軽減が認められました」というコピーなのだが、これがまったく腑に落ちない。というのは、添えられたグラフを見ると、8週目に入るまでは確かに目に見えて減っているものの、それ以後(つまり「8週目から」)はむしろ横ばいに近いからだ。

念のために、ウェブ上にあったグラフ(参照)を転載しておく(クリックでより拡大された画像が表示される)。

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8週目から、体脂肪軽減が認められました」という文言だと、言外に「8週目に入るまでは、体脂肪軽減が認められません」と言っているとになる。しかるにグラフでは 8週目に入る時点まで明らかに体脂肪が減っているのだから、「7週目までに、体脂肪軽減が認められました」と言うべきだろう。

この方が効き目が早く表れると訴求できるのだから、むしろサントリーにとってメリットのある表現のはずだ。ところが「特茶」関連のサントリーと広告代理店の担当者はどういう酔狂か知らないが、効き目が表れるまで 8週間も待たなければならないという「不利な表現」にしてしまっている。

から」と「まで」では意味が反対なのである。そもそも 8週目から突然効き出すなんていうのはおかしな話だし。

ちなみに、このグラフに基づいてより正確に言うならば「7週目までは体脂肪がある程度減りますが、8週目からは減り方があまり目立たなくなります」となるだろう。さらに私は「7週目までは『特茶』を飲んで、8週目からは競合商品を飲む方がいいかも」なんてことまで思ってしまったよ。

別の情報では、ひろゆき氏の「特茶で脂肪減らない」という発言に対し、サントリーが「ひろゆきさん、こちらにはエビデンスがあるんです」と「論破」したと伝えられている(参照)。サントリーは、ひろゆき氏の言説の類いを「惑わしの呪文」と呼んでいるらしい。

サントリーの手にかかったら、私のこの記事も同様に「惑わしの呪文」扱いされかねない。しかし冷静に見れば、サントリーが自分で言ってる「8週目から・・・」の方が、「エビデンス」どころか「惑わしの呪文そのもの」だよね。

最後に念のため付け加えておくが、今回の「惑わし」の要因は「広告中のコピーとグラフが矛盾する」という 1点に尽きる。「Yahoo 知恵袋」の質問への回答で言われているような、下手なグラフの裏側にあるかもしれないと親切過剰に推測される曖昧な情報なんてのは、こっちの知ったことじゃない。

実際、私は電車で証拠写真を撮っちゃうほど惑いに惑ってしまったんだから。

【同日 追記】

山辺響さんがコメントで、このグラフは「増減」ではなく「変化量」を示すものだということを指摘してくれたお陰で、疑問はかなり晴れた。とはいえ、完全に晴れたわけでもない。詳しくはコメントの推移をご覧頂きたい。

 

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2024年11月 6日

歩いたり休んだりする方がカロリーを消費するらしい

Gigazine が "ウォーキングは歩き続けるより「休憩」を挟んだ方が最大 60%も消費カロリーが多いとの研究結果" という記事を伝えている。ひたすらコンスタントに歩き続けるより、歩いたり休んだりする方がダイエットにいいという指摘はちょっと意外だが、どうやら本当のことのようなのである。

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これはクルマの運転でも頻繁に加速したり停まったりする方が、一定速度でコンスタントに走り続けるより燃費が悪くなるのと同じ理窟らしい。人間の体も動いたり休んだりする方がどんどんカロリーを消費して、効果的なダイエットになるのだろう。

ちょっと考えてみたところ、歩くなら市街地の方が自然にこの効果が得られそうだ。嫌でも信号で何度も止められるからね。自然豊かな散策路の場合は、あまり調子に乗ってどんどん歩き進まずに意識的に休むように気を付ければいいのだろう。花に見とれるとか。

とはいえいくら「休む」と言っても、上の写真のようにいかにも「エクササイズしてます」みたいな格好で舗道の端に腰を降ろし、車道に足を放り出すのはオススメできない。車道を走ってきたクルマの運転手は、驚いてブレーキを踏むだろう。

記事のどこを読んでも、ウォーキング中に道に座り込んで休めとまでは書かれていない。Gigazine の翻訳は変なのが多いと前に書いた(参照)が、今回の場合はどちらかというと写真が変だよね。元記事の写真はずっとまともである。

ちなみに記事中に「エクササイズ・スナッキング」(exercise snacking)という言葉があるが、これについては同じ Gigazine で 8月 4日付の "ジム通いしなくても少しの運動で十分な効果が得られる「エクササイズ・スナッキング」とは?" という記事に詳しく述べてある。

この記事にある階段昇降の繰り返しなどはエネルギー消費を増やせるだけでなく、年齢的に衰えがちな足腰も鍛えられそうなのでよさそうだ。やってみよう。

 

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2024年10月24日

旅は体のエントロピーを低下させ、老化を防ぐらしい

カラパイアというサイトに「旅行は究極のアンチエイジング。旅先の環境が老化の兆候を遅らせることを発見」という記事がある。今年 8月 8日発行の "Journal of Travel Research" に、旅行は「体のエントロピー増大」を防ぎ、老化の予防や健康維持に最高という研究が載ったのだそうだ(参照)。

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どういうことかというと、「若いうちは体がきちんと整っておりエントロピーが低いが、年をとるにつれて乱雑になり、エントロピーは増大していく」らしい。それによって体は老化し、健康も失われていく。

ということは、「若さや健康を保つ秘訣は、体のエントロピーを低く維持すること」というわけだ。オーストラリア、エディス・コーワン大学博士課程のフ・ファンリさん(Ms Fangli Hu)によれば、そのための最高の方法が旅行に行くことなのだという。

旅に出ることによって体のストレス反応が刺激され、新陳代謝や自己組織化機能がアップする。要するに「体の防御システムが強靭になる」というのである。

さらに旅行でゆったりとリラックスして過ごせば、慢性的なストレスが和らぎ、免疫システムの過剰な活性化が抑えられる。これも体のエントロピーの低下に寄与するという。

何も海外旅行のような大きな旅をすることが必要というわけではなく、近くの温泉やハイキング、登山、ウォーキング、サイクリングといった活動でも十分らしい。要するに環境を変えるためにちょっと外に出ることが、体の老化を防ぐというわけだ。

私は月に 1〜2回出張することの多い生活を続けてきたのだが、コロナ騒ぎの期間はそれが激減し、年に 2〜3回ぐらいしか旅に出ない時期が 3年ほど続いていた。確かにその間、何となく若々しい気分から遠離っていたような気がする。

昨年末頃から再び出張が増え始めたので、気分がいい。体のエントロピーが低下しているのだろう。これで老化が防げるというなら嬉しいことである。

 

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2024年9月10日

甘いコーヒー飲料を飲むと、体内時計が狂うおそれ

「カフェインと甘味料を加えた水をマウスに与えると体内時計が乱れたとする研究成果を広島大などのチームがまとめた」と、読売新聞が伝えている(参照)。体内時計が 1日 26〜30時間のリズムになってしまい、昼夜逆転してしまうケースもあったらしいのだ。

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チームは、マウスを3グループに分け、それぞれに「一般的なエスプレッソの半分の濃度のカフェイン水」「甘味料も加えたカフェイン水」「通常の水」3種類を自由に飲ませて1週間以上観察したという。その結果は次のように報告されている。

甘いカフェイン水のグループは、1日のリズムが 26~30時間周期と乱れ、昼夜逆転に陥るケースもあった。摂取をやめると元のリズムに戻ったという。残り2グループに生活リズムの大きな変化は見られなかった。

というわけで、「甘いカフェイン水」には体内時計を狂わせる働きがあるようなのだ。「カフェインと甘味料には、覚醒に関わる脳内物質ドーパミンの分泌を活性化させる働きがあり、何らかの相乗効果が生じている可能性がある」というのである。つまり「眠気覚まし」が効きすぎたってことのようだ。

私自身について言えばコーヒーは毎日ブラックで飲み、たまにミルクを少し加えることはあるが、自ら砂糖を加えることは 100%ない。缶コーヒーなんてものも飲まないから、「甘いコーヒー」を飲む機会は、稀に砂糖入りを押しつけられてしまった場合(1年に 3〜4回)ぐらいのものだ。

ただ、「だから安心」と言っていいのかどうかはわからない。というのは、時々コーヒーと一緒にケーキみたいなものを食ってしまうこともあるからだ。コーヒーはブラックでも、一緒に胃袋に入ってしまうケーキは砂糖たっぷりだろうから、悪影響がないとも限らない。

しかしまあ、コーヒーとケーキを一緒に楽しむなんていうのも週に 1度ぐらいのものだから、それほど気にする必要はないか。

 

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2024年9月 6日

酒は飲まないに越したことはないようなのだ

Threads に sao.ri0616 さんという方が次のような投稿をしている(参照)。大谷翔平選手が酒の誘いを断っていたということに関するものだ。

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大谷選手は先輩からの誘いも「お酒ですか? お酒なら行きません」とキッパリ断るというのである。「嫌われたらどうするの?」という声には、「世界一の選手になったら、みんなが僕のこと好きになる」と答えるという。「酒に付き合わないぐらいで嫌うなら、どうぞご勝手に」ってなもんだ。

さすがに世界の大谷翔平である。一方で毎日新聞の連載まんが、いしかわじゅん さんの『桜田です』の本日付最終コマは、こんな感じだ。

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桜田家のお父さんと上司が、会社の帰りに「あっという間に暗く鳴っちゃったなあ」「仕方ない ちょっと寄ってくか」なんてことで、日の短くなったのを飲み屋に寄る理由にしている。ほとんど言い訳みたいに「一杯だけですよ」なんて言ってるが、それで済みそうには思えない。世の中、いろいろだ。

私について言えば、7年前に「お酒は卒業しちゃったようだ」という記事で書いたように、最近はほとんど飲んでいない。先月 27日には「今年になって酒を飲んだのは、昔の仲間と集まった時の 2度しかない」と書いているほどで、そうした機会さえなければ一度も飲まずに済んでいただろう。

決して「禁酒」とか「断酒」したとかいうわけではないが、最近は飲むのが面倒になってしまったのである。10年ぐらい前まではほとんど毎日飲んでいたのに、今は目の前に酒瓶があっても栓を開けて飲もうという気にならないのだから、我ながら驚きだ。

ちなみに 7年前の記事では「NHK の番組では、一日に一合ぐらいなら『酒は百薬の長』として機能すると言っていた」と書いてしまったが、最近の医学的研究では、飲酒はほんの少しでも体に害になるということがわかってきたらしい。

アルコール分解物質が DNA を傷つけ、がんを誘発するのだそうだ(参照)。もっともらしく聞こえることでも時代によって変わってくるのだから、信じすぎてはいけない。

やっぱり酒は飲まないに越したことはないようなのである。前世紀末はタバコの害が明らかになって禁煙の動きが強まったが、今後は酒の害が話題になって禁酒がトレンドになるかもしれない。

 

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2024年9月 2日

36年前のキットカット CM に見る「美少女の行進」

えのげ に "【納得】昔のキットカット CM を見て「宮沢りえ可愛い!」の前に出てくる感想がコチラwww" というページがあるのだが、言いたいことは「昔のキットカット、でかい!」ということのようだ。

画像で比べると、こんなことになる。昔のキットカットは長さが 9cm あったが、今のは 5cm しかないという。ずいぶん世知辛くなったものである。もっとも味そのものはもちろんチョコレートだから、甘いはずだが。

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ただ、私が昔の CM を見て驚いてしまったのは、チョコのサイズなんてことではなく、登場する二大美少女、宮沢りえと後藤久美子の歩き方である。CM 冒頭に見られる通り、腕をやたら大きく振り、膝を曲げて股を高くあげるという、モロに旧帝国陸軍式、今の甲子園野球入場行進式のスタイルなのだ。

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一緒に歩いている英国兵の、脚が自然に伸びた「国際スタンダード」とはエラい違いである。この CM の流れていた 1988年頃というのは、こんな前時代的な歩き方がしっかりと残っていて何の違和感も生じさせず、あまつさえ「カワイイ!」なんて思われていたようなのだ。

私は一昨年 6月 29日付「見るだけでうんざりしてしまう行進スタイル」という記事で、2つの極端な歩き方について書いている。一つは共産国家式の膝を異常なまでに真っ直ぐに伸ばした軍事パレードで、動画で見るだけで「ゲゲッ」となってしまう。

中国ロシアの軍事パレードも似たような感じでうんざりしてしまうが、北朝鮮は最も異様だ。

これとは対照的なのが、甲子園野球の入場行進である。膝を曲げて股だけを高く上げるのが特徴だ。こう言っちゃナンだが、足だけ「ドスドス」してるみたいで、もっさりドンくさく見えてしまう。まあ、共産国家式よりはマシかもしれないが。

故・武智鉄二氏はこのような「膝を曲げて股を高く上げる」歩き方を「農耕民族式」と言っていた。泥の中で田植えする際には膝を伸ばしての移動ができないので、日本民族の歩き方はどうしても膝を曲げて股を上げ、「スタスタ」というよりは「ひょこひょこ」という感じになってしまった。

そして我が国の軍隊行進はこの「膝を曲げて股だけ高く上げる」というコンセプトを何の疑問もなく採用しつつ、背筋だけはピンと伸ばしてドスドス歩くという特殊なスタイルになったというのである。

現代では陸上自衛隊だってフツーの歩き方でパレードする(参照)ようになったので、「旧帝国陸軍式」は、もう高校野球の入場行進ぐらいでしか見られないスタイルとなってしまった。この世界では令和の世の中になっても、行進の際に「股を高く上げて〜!」と強要する指導者が絶滅していないらしいのだ。

それがいにしえのキットカット CM に極端過ぎるほどの形で登場しているのを見せられて、「オヨヨ・・・」となってしまったのだよ。私はこの CM をリアルタイムで見たことがなかったので、今となっては逆の意味で「新鮮」すぎる。

【9月 6日 追記】

いやはや驚いた。甲子園野球だけじゃなく、高校サッカーでも半分以上は「旧帝国陸軍指揮」なのだね。半分弱は自然な歩き方なので、野球よりはまだマシだが(参照)。

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2024年8月27日

若者って本当に酒離れしているようなのだが・・・

今朝、ラジオのニュース番組で「ソバーキュリアス」という言葉が話題になっていた。酒を飲まない志向のことだが、最近では実際に若者の間で「酒離れ」が進んでいるというのである。

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「へぇ、そうなんだ!」という驚きと、「それも道理だよね」という納得感の交差するような気持ちで「若者 酒離れ」のキーワードで検索してみると、DIAMOND online のサイトで【「若者のアルコール離れ」は本当だった!"飲酒嫌い" の若年層に人気の飲み物とは?】という記事が見つかった。

これは今年 2月 7日付の記事なのだが、この記事の元になったニッセイ基礎研究所のサイトのページ(参照)には次のようなグラフがあり、週 3日以上飲酒する率を示している。1999年から 2019年までの 20年間で、男性の飲酒習慣率が「若者」ばかりでなく全年代で低下しているのが明らかだ。

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こうした飲酒習慣率低の理由を、DIAMOND online の記事は「健康志向の高まり」のほか、飲酒を娯楽としてみると「コスパもタイパ(タイムパフォーマンス)も悪い」ことだとしている。

仕事の後に会社仲間が連れ立って飲み屋に繰り出すなんて、要するに一日中会社に縛られていることにほかならず、まともな神経だったらやってられない。することは他にいくらでもある 20歳代の若者にとって、それはごく当たり前の実感なのだろう。

紹介した記事のタイトルには「"飲酒嫌い" の若年層に人気の飲み物とは?」とあるが、それは「ノンアルコール・微アルコール飲料」なんだそうだ。若者と言えどもリアルでの「コミュニケーション」をすべて拒否しているわけではないが、そのために酔っ払う必要なんかないということのようなのだ。

ちなみに私自身も 4年前の「お酒は卒業しちゃったようだ」という記事に書いたように、昔はほとんど毎日酒を飲んでいたのだが、最近はほとんど飲まなくなった。今年になって酒を飲んだのは、昔の仲間と集まった時の 2度しかない。「週に 3日」どころか、4ヶ月に 1度という飲酒ペースである。

「酒離れ」しているのは何も若者ばかりでなく、70歳を過ぎた私のようなものまで、「もう、のべつうだうだと酒なんか飲んでる時代じゃないね」と感じてしまっているわけである。

 

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