耳にこびりついた曲、「イヤーワーム」を消し去る音楽
特定の音楽が脳内で勝手に繰り返し流れて止まらなくなる現象を英語で「イヤーワーム(earworm)」というのだそうだ。「耳の虫」とは、なるほど実感である。そしてこの「イヤーワーム」を 40秒で消し去る「イヤーワーム・イリーサー」というのが開発されたというからおもしろい(参照)。
「イリーサー(eraser)」という英単語は、フツーは「消しゴム」や「黒板ふき」を意味する。いつまでも耳に残ってイライラするメロディをあたかも「消しゴム」のように消し去ってくれるから、この名が付いたのだろう。
開発に関わった英国ダラム大学の音楽心理学准教授ケリー・ヤクボウスキー氏(Kelly Jakubowski)によれば、「耳から離れない曲」というのは「ダンスに適したテンポの曲 」と「全体的なメロディーの形が予測できる曲」 なのだそうだ。なるほどわかる。
複雑で覚えにくい曲というのは、耳に付いてしまったりしない。いい感じで自然な曲調だからこそいつまでも耳の奥に残ってしまうのだろう。ただ、いくら「いい感じ」でもあまりしつこいとやっぱりイライラしてしまうというわけだ。
だったらそれへのカウンター・アタックとして、複雑で覚えにくい曲を浴びせかければいいということになる。条件としては、キャッチーなメロディではなく、テンポも一定じゃない曲というのがいい。
というわけで、拍子やメロディ、さらに音楽スタイルもエレクトロニカからクラシックまで変化する不可思議な曲が仕上がったのだという。こんな曲である。
なるほど、メロディがちっとも印象的じゃなく、テンポもコロコロ変わり、曲調も一定しない。こんな覚えにくい曲、耳につきようがないし、はっきり言って「不愉快」というほどのレベルだ。それまでこびりついていた曲も影が薄くなるだろう。
ただ、この曲も万能というわけではなく、「効果がなかった」というコメントもあるらしい。とはいえ多くの人にはとても効果的らしいので、頭の中で常に同じ曲が繰り返されてうんざりしている人は、試してみるといい。
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