「わかりにくいピクトグラム」のおもしろさ
広島現代美術館のトイレにあるピクトグラムについての tweet が一部で話題だ(参照)。下の写真で言えば右側の上が女性用、下が男性用なんだそうだが、日常的な感覚でフツーに受け取る限りでは、「見るだけで直感的に理解できる」という意味でのピクトグラムの常識からほど遠い。
商業施設などでよく見かける例では、まずカラリングとしては男性用が黒(あるいは紺)、女性用が赤という例が圧倒的に多い。さらに形状として、男性用がズボン、女性用がスカートを着用しているように見えるというのが一般的だ。
ところがこのピクトグラムは、そうした「常識」を無視している。一見すれば、ピクトグラムのもつ効果を果たさないように作られていると言って過言ではない。上に紹介した tweet も、ピクトグラムの制作意図について「何言ってるのかわからない」として、単純素朴なまでに批判的だ。
ただ、この問題を取り上げるにあたっては、これを tweet した「公(広島市を護る会)」という方の意図をきちんと見据えなければならないだろう。アカウントを見ると、この方はヘイトスピーチ条例制定に反対という立場らしく、当然のように「性自認」に関してもかなり保守的なスタンスのようだ。
というわけで、このトイレのピクトグラムに関する tweet が単純に批判的に見えるのは、そうした立場からすれば当然のようなのである。ということは、この tweet は単に「わかりにくさの批判」という以上に、実は「政治的なメッセージ」なのだと気付かなければならない。
私としては、「政治的」をさらに超えた視点で見てしまえば、こうしたピクトグラムも「一つの趣き」なのではないかと思う。さらに「現代美術館」という場所柄を思うと、「コンセプチャル・アートみたいなもの」と捉えてもいいんじゃなかろうか。
よく見れば「男」「女」という表示もあるし、このピクトグラムのせいで入るべきトイレを間違えてしまったなんてことにはなりにくいだろう。ということは、決定的な不都合はない。さらに 添えられた「断り書き」のようなのものの末尾にある「オチ」もおもしろい。
なお、ピクトの区別はついているけれど、どちらに行くべきか迷っている。そのような場合は、エントランス受付横、「誰でも多目的トイレ」をご利用ください。
ということなのだが、ただ、いくら私でもこうした「わかりにくいピクトグラム」をのべつまくなしに設置しろと言ってるわけじゃないので、その辺りのことは
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