カテゴリー「言葉」の577件の記事

2020年9月17日

改めて数えてみると、「マイ造語」ってのが結構ある

18年以上もブログを書き続けていると、私特有の言葉遣いみたいなものができてしまっていたりして、中でも「マイ造語」ってのも結構あることに気付いた。きっかけは 9月 12日付 ”「ぶっちゃけ本音主義」もここまで来たか” という記事だ。

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この「ぶっちゃけ本音主義」というのは、ドナルド・トランプのスタイルをいったもので、初出は 2016年 5月 14日付の "近頃台頭している 「ぶっちゃけ本音主義」" 。これは 4年前の米国大統領選の前に書いた記事である。

この時点では、私は一応ヒラリー・クリントンが勝つと予想しているものの、「トランプが好きな中西部の連中は、たいていヒラリーみたいな女が嫌いだから、どう転ぶか知れたもんじゃない」と書いている。それが本当になって、「ぶっちゃけ本音主義」の強さを目の当たりにしてしまった。

というわけで、この「ぶっちゃけ本音主義」は私の造語の中でも最大ヒットと言っていいかもしれないが、その他にも結構あるので挙げてみよう。

和歌ログ」(初出: 2003年 12月 2日

私のもう一つのブログ「和歌ログ」が始まったのは、もう 17年も前になるわけだ。「マイ造語」の中でも定番化してしまっている。

夜蝉」(初出: 2009年 8月 10日 の和歌ログ)

「和歌ログ」の中で使った言葉だが、「代々木ゼミ」の略称、「代ゼミ」の洒落でもある。改めて 2013年 8月 11日、Today's Crack に "「夜蝉」という言葉を造語して" という記事を書いている。今や ”Weblio" に「季語」として載っている(参照)のだから、大ヒットだろう。

イタセリ」(初出: 2013年 8月 11日

上述の "「夜蝉」 という言葉を造語して" という記事中で、"これは妻との間でしか通用しない。「至れり尽くせり」 の省略形である" と紹介している。

バッファリング・プレイヤー」(初出: 2009年 8月 11日

「夜蝉」を造語した翌日、Today's Crack の「生物多様性ということ」という記事で何気なく使った言葉。「暑くなりすぎる要因を吸収してくれるバッファリング・プレイヤーが、いなくなってしまったのだ」と、さりげなく書いている。

「衝突を防いでくれる上手な調整役」という意味でも使っている。ちなみに「バッファー・プレイヤー」という選挙関連の和製英語もあるらしい。

独立双頭峰」(初出: 2019年 2月 18日

富士山のように、他の山と稜線を連ねずにすっきり聳えているのを「独立峰」というが、私の生まれた庄内平野の北の鳥海山と、今住んでいるところの筑波山は、峰が二つに分かれているので、「独立双頭峰」と名付けた。初出記事に飛ぶと、画像が見られる。

レコーダー・イヤ」(初出: 2020年 9月 14日

私の一番新しい造語。見たものを瞬時に写真に撮ったかのように記憶する「カメラ・アイ」に対して、音を録音したかのように記憶する能力を「レコーダー・イヤ」と呼ぶことにした。私にはこの「レコーダー・イヤ」があるらしい。

さらに個人的にしか通用しない、英語の造語なんてのもある。"tandle" という言葉(初出: 2019年 6月 18日)だ。

10代の頃、アストラッド・ジルベルトの歌う『イパネマの娘(The Girl form Ipanema)』の最初、"Tall and tanned and young and lovely" という部分を  ”Tall and tandle..." と空耳しちゃっていた。(リンク先の YouTube に飛んで聞いていただきたい。本当にそう聞こえるから)

"Tandle" とは「スリムでイケてる」みたいな意味のスラングなのだろうと勝手に思い込んでいたのだが、調べてみても実はそんな言葉はどこにもなくて、ひょんなことからできてしまった造語というわけだ。

これからもひょいとテキトーに言葉をつくってしまうかもしれない。

【同日 追記】

そうだ忘れてた、「異白」(異様な白さ)というのもあった。初出は 2016年 8月 20日の "「美白」と「異白」"。

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2020年9月15日

PayPal では「クマムシ」を意味する英単語が禁句

「スラド」の 9月 14日付に、「PayPal ではクマムシを示す英単語がブロック対象になっている」という、わけのわからないタイトルのニュースがある。

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米国では最近、"tardigrade"(クマムシ)をモチーフにしたオーナメントに妙な人気があるようで、今回の PayPal の措置がクリスマス商戦などに影響が出るのではないかという懸念にまで発展しているという。

クマムシと言っても大抵は「何それ?」ということになってしまうだろうが、近頃では「どこにでもいる最強の生物」として注目が高まっているらしい。Leave a nest のサイト(参照)から引用してみよう。

ムシと名がつくことから昆虫と誤解されがちですが、昆虫ではなく正確には「緩歩(かんぽ)動物」と呼ばれる生き物です。体長は大きいものでも 1mm 程度しかなく、4対の足でクマのように「緩やかに歩む」ところから、クマムシ、そして緩歩動物と呼ばれるようになりました。

(中略)

その能力から「最強の生物」と呼ばれたりもするくらいです。例えば、クマムシは 150℃ という高温や、‐200℃ という低温につけられても生き延びます。また、ヒトの致死量の 1000倍以上の X線を照射されても、6000気圧もの高圧をかけられても生き延びてしまうのです。

本来は こちら の東大制作の動画で見られるように地味な外観の小さな生物なのだが、米国では上の画像のようにキラキラしたエナメルのオーナメントになって人気が出ているらしい。米国人というのは、時々妙なものを好むよね。

ところが米国の PayPal(決済サイト)では、「クマムシ」を意味する ”tardigrade” という単語がブロック対象になっていて、商品名や商品説明にこの単語の含まれる品物を取引しようとすると、決済が完了できないのだそうだ。

このことは、決済システムの不具合に気付いたシアトルのギフトショップ Archie McPhee が PayPal に問い合わせたことで判明したという。そんなわけで、商品名を "Tardigrade Enamel Pin" から "Water Bear Enamel Pin" に変えたショップもあるというのだから、面倒な話だ。

どうして "tardigrade" という単語がブロック対象になるのかは正式には発表されていないようだ。しかしどうやら、語頭にある "tard" と 語尾の "grade" の組み合わせで "retard" という単語が連想されてしまう可能性について、システムが過剰反応してしまうことによると考えられる。

iPhone にインストールしてある "The Wisdom English Japanese Dictionary" によると、"retard" は、動詞としては「...を遅らせる、後に延ばす、...を妨げる」という意味の一般的な単語だが、名詞としては「(けなして)知惠遅れの人」という意味の差別用語として使われることがある。

というわけで、”Tardigrade” は「グレード(段階)として遅れている」- "retard" という差別的イメージをもたれかねないとして弾かれてしまっているようだ。

米国のシステムというのはこうした「ポリティカル・コレクトネス」に関する要素に、かなり神経質になっているようなのだね(参照)。冒頭の画像に表示されたタイトルでは、"Cuba" という言葉まで禁句のようだし。

 

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2020年9月 2日

「血ぃ見るで!」・・・  一音節名詞のこなし方

本日は、一昨日の "「カガ/チガ」じゃなかった、「蚊/血」に見る二律背反" という記事の、いわば続編のようなものである。「またしても、妙なところにこだわってるな」と苦笑いされるかもしれないが、まあ、ちょっと我慢してお付き合いいただきたい。

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親が「蚊が!」とか「血が!」とか言いがちなので、子どもが「カガ」とか「チガ」とかいうのだと思い込むのは、結構よくあることのようなのだ。それで小学校 6年生の子が「『カガ』に刺されちゃった」と口走ったり、ウチの長女が怪我をして「『チガ』が出ちゃった」とアセったりする。

それで私としても、"げに恐るべきは「一音節の名詞」である" と書いている。

ところが関西弁では、「一音節の名詞」を文字通り短い一音節で発音することは少ないようなのである。母音をちょっと延ばし気味にして、寸詰まりの一音節で終わるのをビミョーに避けている。

というわけで「蚊」とか「血」は、「蚊ぁ」「血ぃ」になったりする。「いわゆる標準語」では「血をみるぞ!」というところが、「血ぃ見るで!」になり、このシステムの方がずっと迫力あるのだ。

そのおかげで、「手を出す」と言うところを「手ぇ出す」と発音して、「を」という助詞の省略を可能にしている。「いわゆる標準語」では助詞を省くと「手出す」になって寸詰まり感が出てしまうが、「手ぇ出す」だとかなり自然だ。やはり関西弁の方が日本語の本家本元と思わざるを得ない。

ちなみに私の故郷の庄内弁でも、「蚊ぁ」「血ぃ」「手ぇ」・・・ になる。「蚊に刺された」は、庄内弁だと「かぁがらかっだ」。わけわからないだろうが、原語的には「蚊から食われた」ってこと。

ついでに説明しておくと、「食う」は「食わない、食います、食う、食うとき、食えば、食え、食おう」の五段活用だが、庄内弁では、「かね、(くいます)、く、くどぎ、けば、け、こ」と、チョー・シンプル。なお、「くいます」なんて言い方は滅多にされず、敢えて丁寧に言うなら、「くなでがんす」かな。

尾籠な例だが、「へぇふる」と言ったら「屁をひる」という意味で、ちょっと高尚になると「木を見て森を見ず」は「木ぃ見で森見ね」だ。関西だと「木ぃ見て森見ぃひん」みたいになるのかな。

自然な日本語では、「てにをは」が結構自然に省かれる。ところが「一音節の名詞」をかっちりと短く発音する際には、ことさらに使う必要が生じてしまうわけだ。ちょっとワンクッション置かないと、どうしても寸詰まりになってしまうのでね。


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2020年8月 9日

“Music Don't Lockdown” を正しい英文に直せ

6日前、NHK の朝の番組「マイあさ」で高山羽根子・作の『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』という小説を知った(参照)が、今朝の「マイあさ」では「MDL “Music Don't Lockdown"」というオンライン・イベントを知った。6日前は大きな共感があったが、悪いけど今朝は違和感だったのだよね。

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番組には発起人の いとうせいこう が出演していて、このイベントについてかなり得意げにアピールしていたのだが、悪いけど私は、いとうせいこう と みうらじゅん の 2人にはあまりいい印象を持っていない。今回も “Music Don't Lockdown” と聞いて、「何じゃ、そりゃ?」と思ってしまった。

この違和感は、イベントの趣旨についてではない。あくまでも、言葉の観点からのものである。まず誰でも気付くのは、「主語が "Music" という「三単現」の名詞なのだから、次は "Don't" じゃなく ”Doesn't" になるよね」ということだ。こんなのは中学英語の「基本の基本」である。

2番目の違和感は、"Lockdown" というのは「厳重監禁」とか「封鎖」といった意味の「名詞」だってことだ。まあ、名詞を動詞として使っちゃう(日本語でも「神ってる」とか)こともあるのだが、この場合は「うーん」となってしまう。

というのは、”lockdown" を動詞として使う用例には、私は未だかつて遭遇したことがないのだ。この名詞は動詞化しにくいんじゃないかと思っている。元々 ”Lock" という動詞からわざわざ派生させた名詞だしね。

”Music Doesn't Lockdown" と修正した上で、「無理矢理に動詞として使ってるんですよ」と言われるかもしれない。これだと「音楽は封鎖しない」って意味になるだろうが、しかし今度は「音楽は何を封鎖しないの?」と聞きたくなってしまうではないか。

「いやいや、"lockdown" は他動詞でなく、自動詞として使ってるんです」ということなのかもしれない。しかしそれだと「音楽は閉じこもらない」との意味になり、「今さら改めて言われるまでもなく、音楽って本来そういうもんでしょ」と言いたくなる。どうしても言葉としての不自然な感覚は残ってしまうのだ。

「いや、こういうご時世だから『音楽よ、閉じこもるな』というメッセージなんでしょ」と弁護する向きもあるかもしれない。しかしそれならそれで、"Music, Don't Lockdown” と、カンマで区切ってもらいたいところだ。あるいは、"Music, Don't Get Lockdown” の方がまだいいかも。

というわけで、「"Music Don't Lockdown" の趣旨を極力親切に汲み取った上で、「正しい英文」に直せ" という試験問題を出したくなってしまった。正解は 1つじゃなく、いろいろな言い方があるだろうね。

ちなみに、NHK 「マイあさ」のサイトには「MDL“ミュージック・ロック・ダウン”」(下線 筆者)と表示されている(参照)。要するに NHK、よくわかってないようなのである。

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2020年7月27日

ポリティカル・コレクトネス(政治的適正)という問題

スラドが 7月 26日付で "VMware がコネクターの「オス/メス」表記を非推奨にするとの報道" という記事を載せている。元記事は The Register の "VMware to stop describing hardware as ‘male’ and ‘female’ in new terminology guide" (7月 23日付)というものだ。(VMware: 参照

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コネクターの(いわゆる)「オス/メス」を英語でも ”male/female" と言い慣わしているとは、この年になって初めて知った。洋の東西を問わず、発想は共通しているようなのである。

そして今後は "plug/jack" (プラグ/ジャック)の表記を推奨するというのだが、「ジャック」が「受け口」の方だったなんてことも、この年になって初めて知った。何しろ 68歳になったばかりだし。

ポリティカル・コレクトネス(政治的適正)に基づいた表現というのは、1980年代に米国で始まったものだが、40年近く経った今でもコネクター関連で ”male/female" なんていう言葉を使っていたとは、かなり意外なことである。妙なところに盲点ってあるものだ。

この記事では、次のような語句の置き換えも推奨されるとしている。

  英語   意味
she/he → they 彼女/彼 → (ちょっと意訳して)人々
kill/abort → stop 殺す/中絶する → 止める
segregate → separate 隔離する → 隔てる
blacklist → denylist ブラックリスト → 否定リスト
black hat → unethical 悪意あるハッカー → 非倫理的

なるほど、性的、身体的、人種的にアブない、あるいはビミョーな表現は避けようということのようだ。ただ、これに関しては次のように触れられていて、さらにビミョーのようなのである。

ソースはThe Registerが目撃した「Offensive Terminology Effort」というVMwareの内部文書とのことで、真偽も確認できない。導入時期や方法については記載がなかったとのことだが、VMwareが数日前に公開したサポートドキュメントの中にも「blacklist/whitelist」が使われているものがあり、VMware内部で話が進んでいる感じでもなさそうだ。

本当だ。リンク先をみると何とまあ、見出しの部分に "whitelist and blacklist" としっかり表記してあるじゃないか。ことほどさように、この問題に関しては、まだまだこれからのようなのだ。それにしても改めてみると、IT 用語って、ヤバい表現が案外多いのだね。

 

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2020年7月17日

漢字の「四」がこうした字になってしまったわけ

Quora という Q&A サイトに、「なぜ漢字の四はこんな形なのですか?」という質問が寄せられており、その回答が「へえ! 知らなかった!!」というレベルだったので、ちょっと感動してしまった。下の図は、その回答に添えられたものである。

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寄せられた回答は、端的に言えば「当て字の方が正式な字になってしまったから」というものだ。つまり「四」という字は、元々は「当て字」だったというのである。

具体的な話はリンク先に飛んでいただければ詳しく書いてあるが、大昔の元々の漢字では、四というのは「二」を縦に 2つ重ねて書いた形、つまり「横棒が 4本」だったという。上の図の右側が、元々の 「一、二、三、四」だったというのだ。

ところが、見た通り「横棒が 4本」では、他の漢数字と続けて書いた時にわかりにくい。そこで、「シ」と読む同音異義の「四」を当て字として用いるようになり、いつの間にかその方が正式になってしまったというのである。

ちなみに「四」というのは、元々は「口の中に歯や舌が見える様子」を表した象形文字で、「息」を意味する漢字だったという。念のため重ねてググってみたが、"漢字の「一」「二」「三」の次がいきなり「四」になるのはなぜなのか?" というページにも同様の説明があるので、一応信じていいだろう。

いやはや、知らんことってあるものである。

こうなると "「五」という字は、「三」に縦の棒 2本を足してできたのか" なんて考えたくなってしまうが、それは「素人の浅ましさ」というもので、実際には下図のような成り立ちらしい(参照)。「五行説」から来ていて、結構深いのだ。

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なるほど。「三」の字に単純に縦棒 2本を加えたら「日」の字になって、「火・水・木・金・土」の五行説からビミョーに離れてしまう。

以上、本日は「漢数字講座」のお粗末。

 

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2020年5月25日

「ソーシャル・ディスタンス」ではなく「フィジカル・ディスタンス」

新型コロナウイルスによる感染症拡大に関連して、WHO は最近 ”social distancing" ではなく"physical distancing" という言葉を使うことを推奨している(参照)。カタカナ言葉で言えば、「ソーシャル・ディスタンス」(社会的距離)ではなく「フィジカル・ディスタンス」(物理的距離)ということだ。

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個人的にも、「お互いの距離を十分に取り合う」ということを「ソーシャル・ディスタンス」という言葉で表現することには、かなりの違和感を覚えていた。「『社会的距離を置く』なんて言ったら、意味合いが別になっちゃうだろう!」と思っていたので、当初はなるべくこの言葉を使いたくなかった。

しかし言葉としてどんどん市民権を確立してきたように見えたので、今月 16日の「満員電車には乗れない体になってしまった」という記事中でしかたなく、(西欧人、米国人に関して)「彼らの『ソーシャル・ディスタンス』は、どうみても日本人よりずっと広い」と、初めてこの言葉を使った。

ところが皮肉なもので、それより 2ヶ月も前に、WHO が、"physical distancing" という言葉を使おうと呼びかけていたのだ。東京新聞も先月 25日付で "<新型コロナ>「ソーシャル・ディスタンシング」→「フィジカル・ディスタンシング」 人との距離、言い換える動き" という記事を載せている。

ああ、もうちょっと注意深くニュースに接していればよかった。

よくよく考えるまでもなく、そりゃそうだよね。この場合はどう見ても、「社会的距離」なんて言うより「物理的距離」と言う方が的確な表現だ。私が元々抱いていた違和感は正しかったということになる。

今後は自分の言葉センスにもっと自信をもとうと思ったのであった。

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2020年5月24日

"No, thank you." という英語の意味

こんなことはとうの昔にさらりと書いてしまったはず思っていたが、自分のブログを検索しても出てこないので、意外なことにまだ書いていないようなのだ。それで我ながらちょっと驚きながらも、今さらながら書いておくことにする。

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何かと言えば、「"No, thank you" という英語の意味」についての話だ。

最近、結構いい年の知り合いに、「英語の『ノーサンキュー』って、『ありがたくない』っていう意味で、要するに『放っといてくれ』ってことだよね」なんて聞かれた。これにはちょっとびっくりで、「そんなつもりぶっきらぼうに言い放ったら、確実に角が立っちゃいますよ」と答えた。

で、改めて Google で画像検索してみると、いわゆる「スタンプ」(言葉代わりの画像と言えばいいのかな?)のほとんどで、"No, thank you." (コンマ入り)じゃなく、コンマなしの ”No thank you" になっていて、「単純拒絶」的な意味合いのものが目立つ。へえ、そんなことになってるのか!

今さら言うまでもないことながら、この言葉の "No" は ”Thank you" に直接かかって「ありがたくない」という意味を形成するわけじゃない。あくまでも "No" の後ろにつくコンマで一区切りあって、その後に改めて ”Thank you” が続くのである。

強いて言えば「それは結構です。でも(申し出てくれて)ありがとうね」ってな意味合いだ。そんなことなのだから、それなりの気持ちで言うべきであって、無感情に一繋がりで言ったら、ぶっきらぼうすぎる。ただ、日本人の多くは典型的にぶっきらぼうな言い方をしてるみたいだよね。

で、こんな風なぶっきらぼうシチュエーションをどうしても避けたいなら、例えば "I'm OK. But I appreciate that." ぐらいに言えばいいのかもしれない。

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2020年4月29日

「ネスティング」という言葉の意味合い

久しぶりに会った友人が、「近頃は『ステイホーム』というより、もろに『ネスティング生活』だよ。」と言っていた。「へえ、『巣ごもり』しちゃってるわけね」と言うと、「いや、『巣ごもり』というよりもっと積極的で、家の住み心地をよくするのに情熱を燃やしちゃってる」なんて言う。

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部屋の模様替えをしたり、壁紙を貼り替えたり、照明をアレンジしたりと、結構楽しんでいるらしい。コロナ騒ぎが起きる前は仕事仕事で、それどころではなかったので、これを機会に「インテリア親父」になってしまっているという。とにかく、何か夢中でしていないと気が済まない男である。

ただ、そうした生活を「ネスティング」と言うのは、ちょっと意味合いが違うんじゃないかなあと思っていたが、どうやら英語の "nesting" と日本語の「ネスティング」は、微妙にニュアンスが違うらしい。手持ちの辞書で調べてみると、こんな具合である。

英和辞書の "The WISDOM English-Japanese Dictionary" で ”nest" ("nesting" の項目はなかった)を引くと

名詞

  1. (鳥、昆虫、小動物の)巣、巣穴
  2. (悪党の)巣窟、隠れ場、(犯罪の)温床
  3. 家、住処、心地よい(くつろげる)場所、(人目に付かず安全な)休息の地、避難場所
  4. 入れ子式家具、(容器)一式
  5. ひとかえりのひな、(同じ巣に住む鳥、昆虫などの)群れ、(悪党などの)一味、同じものの集まり
  6. (火器の)陣地、基地

自動詞

  1. (鳥などが)...に巣を作る、巣ごもりする
  2. (物が)ぴったりはまる、入れ子になる
  3. 鳥の巣を探す、採りに行く

他動詞

  1. 入れ子にする、重ね合わせる
  2. ...を巣にすませる(入れる)

とある。どちらかと言えば、鳥や虫の「巣」とか「巣窟」とかいうイメージが勝っていて、あとは「入れ子」というイメージが強い。そういえば、入れ子式に積み上げて収納する椅子なんかを、「ネスティング・チェア」なんていうよね。

一方、国語辞書で「ネスティング」を引くと、上の画像(Goo 辞書)で示したように、こんな具合である(参照)。

外で遊び回らず、自分の部屋を居心地よく演出することを重視するライフスタイル。インテリアに凝ったり、自分の趣味に合う食器や家具をそろえて恋人や親しい友人を招き、食事やゲームを楽しんだりする。

さらに「ネスト 4」というのは、「 構造化プログラミングにおいて、複数の命令群を何層にも組み合わせ、内包させながらプログラムを構成すること。入れ子構造。ネスティング」ということになっている(参照)。プログラミングの世界の専門用語で、「入れ子」という意味合いが強調されている。

うぅむ、こうしてみると日本語の「ネスティング」では、やたら具体的に「家の居心地を良くすることにこだわる」みたいな意味合いが強調されているように思われるよね。ずいぶんドメスティックな価値観に沿っているわけだ。

 

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2020年4月20日

「ウイルス」って、一体何語なんだ?

この緊迫した時にそんなことをことさらに気にしてどうするんだと怒られてしまいそうだが、「コロナウイルス」の「ウイルス」という発音は何語なんだろうと、ずっと気になっていた。

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昔のことを思い出すと、日本では「ビールス」と発音する時期が長かったように思う。「インフルエンザ・ビールスに感染しないように気を付けましょう」なんて言われていたのを覚えている。

ところがお馴染みの英語の発音は「ヴァイラス」に近い(参照)し、医学用語でもっぱらとされるドイツ語でも「ヴィールス」に近い(参照)。リンク先に飛んで、スピーカーのアイコンをクリックすれば聞くことができる。ちなみにフランス語でも「ヴィーリュス」みたいに聞こえる(参照)。

じゃあ「ウイルス」と発音するのは何語なんだとさんざん調べまくったら、どうやら元はラテン語のようなのだ。上述のサイトで言語を選択すると聞ける。そしてラテン語直系のイタリア語でも、しっかり「ウイルス」だ。

Wikipedia に当たってみると、次のようにある。

1953年(昭和28年)に日本ウイルス学会が設立されたのを機に、「ウイルス」という表記が日本語の正式名称として採用された。その一方、日本医学会はドイツ語発音に由来する「ビールス」を用い、1970年代頃は「ビールス」呼称が学校や一般で使用されていた。現在は宿主に関わらず「ウイルス」が正式名称である。

やはり、1970年代は「ビールス」だったのだね。ただし、"ドイツ語発音に由来する「ビールス」を用い" とあるが、正しくは上述のように「ヴィールス」に近いよね。ちなみにスペイン語では "v" と ”b” の区別がないらしく、「ビールス」と発音するらしい。「へえ!」である。

まあ、現在の日本では「ウイルス」というのが正式とされているらしいので、ここはおとなしく従っておこう。ちなみに日本ウイルス学会というのは、ラテン語をありがたがる体質だったのだね。

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