カテゴリー「言葉」の773件の記事

2024年9月 3日

画びょう、押しピン、プッシュピン・・・ 同じ物? 別物?

最近、部屋の棚を移動させたところ、後ろの壁に古い画びょうのささっているのを見つけた。引き抜いてみると表面がほとんど錆び付いてしまっているので、「今どき、こんな画びょうは使わないよね」と、捨ててしまった。

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ただ、捨てるに当たっては尖った針の部分を斜め上から金槌で叩き、横に潰してから「不燃ゴミ」用の袋に入れた。昔から画びょうを処分するときにはそうしてきた。そのまま捨てると、下手すると床や地面に転がり落ちてしまい、尖った針を踏んづけてしまいかねない。

40年ぐらい前までは、靴の裏を見ると画びょうのささっていることが少なくなかった。知らぬ打ちに踏んづけてしまっていたのである。外で厚みのある靴を履いている時はまだいいのだが、屋内で踏んづけると「あいたたた・・・!」と、大変なことになった。

しかし最近のピンは上の写真のように尖った針の部分が上を向かないから、危険がだいぶ減った。ありがたいことである。

ところで私は、昔ながらの形のものを「画びょう」と言い、上の写真で左側にある頭がプラスチックのものは「プッシュピン」と称してきた。

そして右側の透明プラスチックみたいな頭で、針の部分の長いものは、かなり昔に畳の上に敷いたカーペットの端を固定するのに使う人がいたと思うが、最近は見かけることも滅多にない。そのせいか名前で呼んだことなんてなく、私の中では長い間「名称不明」のままである。

試しに「画びょう プッシュピン」のキーワードでググってみたところ、withnews のサイトで "「押しピン」「画びょう」呼び名が違うのなぜ? コクヨと教授に聞く" という記事が見つかった。"「押しピン」と「画びょう」、違いはあるのかないのか調べました" というサブタイトル付きである。

この記事によれば、コクヨではこうしたもの全般に「画鋲」という包括的な名称を使っているという。文具メーカーのトップなのに、形状による区別には無頓着のようで、次のようにある。

ネットでも見られる商品カタログでは、分類を「画鋲」「ピン」として、あの金色の平らなアタマのものも、プラスチックのアタマのものも、ほとんど「画鋲」の名が付いています。

試しにコクヨの商品カタログのサイトに行き(参照)、「画鋲」で検索してみると、20種類がヒットした。形状によって「二重画鋲」とか「「平」とかのほか、「丸」とか「ダルマ」とかいうのがあるが、全て商品名は「画鋲」である。

ただ関西では「ピン」と呼ぶことが多いようで、大阪本社の広報担当者は個人的な話として「普段は『押しピン』と言っている気がします」と語っていたという。へえ、関西では「画びょう」のことを「押しピン」というのか。

一方、篠崎晃一・東京女子大教授(方言学)は、web 上で公開している「方言チャート」に、2013年のト公開当初、出身地を東西に分けることを狙って「押しピン」の設問もつくっていたが、東日本出身でも「押しピンを使う」という回答が多かったため、設問から外したという。

関東出身者の中に「針のアタマに平らな金属が付いているのが画びょう、プラスチックなのが押しピンじゃないの?」という人がいたというので、「方言」というより「分類」の観点で見る方が合理的というケースが増えてきたようなのだ。これ、先に述べた私の言い方と共通している。

ただ私は「プッシュピン」と言ってきたのだが、日本では「押しピン」の方が優勢らしく、記事を読んで「へぇ!」と驚いてしまった。"Pushpin" というのは「画びょう」という意味のちゃんとした英語ではあるのだが、日本ではあまり一般的ではないらしい。

ただいずれにしても、プラスチック製の頭のものは「画びょう」とは言わないという感覚が台頭しているのは確かだと思う。メーカー段階では確立した分類名称がないということの方が驚きだ。

 

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2024年9月 1日

「異にする」を「いにする」と読んじゃうことについて

Shirabeee の 8月 30日付に "「異にする」の正しい読み方を知ってる? 約 4割が「いにする」と誤読" という記事がある。不肖私もうっかりすると「いにする」と読みかけて、「おっと『ことにする』だった」となっちゃうことがないわけじゃない。

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Shirabeee 編集部が全国の 10代~60代の男女 709名を対象に調べたところによると、こんな結果だったという。

ことにする 41.0%
いにする 44.8%
あだにする 14.1%

「いにする」という誤解答が、「ことにする」の正解より多かったというわけだが、上述の通り、私もつい間違えそうになっちゃうのだから、気持ちはよくわかる。

ただ「あだにする」というのは、「異」という字に「あだ」という読みもないではないが、そう読んじゃったらちょっと「異様」だよね。フツーは「仇にする」と表記するし。

というわけで私としては、ここまで来たら「異にする」を「いにする」と読むということに関しては、カタいこと言わずに認めてしまってもいいんじゃないかという気がしているのである。

Precious.jp というサイトの「大人の女性のための知っておきたい日本語常識クイズ」というページには、"「いにする」と読んだら大恥!" なんてあるが、ことさら「大恥」なんてことまで言う必要はなかろうよ。

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今の世の中では半数近くの人が「いにする」と言い、聞けばそれでちゃんと通じてしまう。そんなことで「お前、『異にする』の読み方も知らねえのかよ!」なんて妙に居丈高に迫るのは、かえってカッコ悪い。

「異にする」という言葉は、古語の「こと(異) = 別なもの」という名詞から発している。この名詞に「なり」という補助動詞が付いて「異なり」という形容動詞になった。これが現在の「異なる」の元の形である。「異にする」という言い方は、元の名詞の形をより強く残しているわけだ。

さらに「異」の一文字を、漢字の音読みを採用して「い」と読む場合だってある。「これはまた異なことを・・・」とか「縁は異なもの味なもの」なんて言う場合には、漢語由来で「い」と読む。

だったら「異にする」を「いにする」と読む人がいても、つべこべ言わないでおこうじゃないか。

ただ、「異なこと/異なもの」とか言う場合は「妙な」というニュアンスがあり、「異(こと)にする」という場合の「別なもの」という意味合いからはビミョーにズレてしまうのは確かなので、「そこは譲れん!」という人もいるだろうけどね。

とはいえ言葉って時代で変化するものだし、あと何十年かすれば、「いにする」の入力でフツーに「異にする」と変換される世の中になるかもしれない。

【9月 2日 追記】

「異を唱える」の場合は、「別のこと」でも「い」と読むということもあるし、ますますカタいこと言わなくてもいいような気がしてきた。

 

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2024年8月26日

茨城の「いばらき/いばらぎ」より根源的な問題

茨城県というのは、正式には「いばらぎけん」ではなく「いばらきけん」(「き」が濁音ではない)なのだが、私自身 40年前に東京都から茨城県に越して来てからもしばらくは「いばらぎけん」だと思っていた。

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これに関して、Al lAbout ニュースの "茨城の読み方は「いばらぎ」「いばらき」どっち? 正しい読み方を解説" という記事に次のようにある。

茨城県の公式Webサイトを開くと、トップ画面の左上に県章と「茨城県」の文字がありますが、その下には「Ibaraki Prefectural Government」と表記されています。「Ibaragi」ではありません。

というわけで「いばらき」が正解のようなのだが、多くの人が「いばらぎ」だと思っている理由を次のように述べている。

(茨城方言の特徴は)カ行やタ行の音が濁音になる(有声化する)ことである。たとえば、「赤」アガ 「柿」カギ (中略)

「茨城」という地名も、地元の人間は「いばらき」といっているつもりなのだが、(中略)よその土地の人には「いばらぎ」といっているように聞こえる。

というわけで、他ならぬ茨城県民自身が「いばらぎ」と発音してしまっているのだから、こればかりはどうしようもない。

とはいえ私の生まれた山形県では、県民の多くが「やまがだ」と発音しつつも本来は「やまがた」なのだとちゃんと認識している。それは「あぎだ」と発音しがちな隣の秋田県民も同様だ。

その点、茨城県民は発音の訛りに関する自覚があまり明確じゃないのだね。しかし茨城県民でなくても「いばらき」より「いばらぎ」の方がずっと自然に発音しやすいのだから、そのうち「秋葉原」が「あきばはら」から「あきはばら」に変化したようなことにならないとも限らない。

ちなみに私はこれまで、「いばらき/いばらぎ」問題よりずっと大きな疑問をもっていた。それは「」と「」の発音が逆転しやすく、「色鉛筆」をフツーに「エロインピツ」と言っちゃう茨城県民が、自らの県名に関してはどうして「えばらぎ」と言わないのかということだった。

ところがものは調べてみるものである。このほど「日本語どうでしょう?」というサイトの "「茨城」──イバラギではありません!" というページを読んで、この疑問は一気に解けた。「茨城」という地名は、古来うばらき」と読まれてきたというのである。

実際に万葉の昔には、「」は「うばら」(あるいは「うまら」)と読まれていたという(参照)。なるほど、それなら「茨城」は本来「うばらき」だから、「えばらぎ」には変化しようがない。

そういえば 21世紀となった今の世でも、茨城の古老の発音を注意深く聞くと、確かに「うばらぎ」に近く、「/」とは別のメカニズムなのだとわかる。英語の曖昧母音([ə]を想起させるビミョーな発音だ。

こういうことって、先祖代々しっかりとカラダに染みついて伝わるのだね。

 

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2024年8月21日

「流暢」「流ちょう」「悠長」、そして「流調」

先日仕事関係で初めて会った人が、共通の知人について「〇〇さんは、英語もフランス語もとても悠長ですよね」と言う。はずみで言い間違えたのかとも思ったが、重ねて「あれだけ悠長だと、トライリンガルと言っていいかも」なんて言うので、相づち打つのにちょっと困ってしまった。

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「流暢(りゅうちょう)」を「悠長」と言っちゃう人って、案外よくいるのだよね。確かに発音的には紛らわしいが、意味は全然違う。口で言われる分には取り立ててあげつらうのも面倒だが、時に文字でしっかり「悠長」と書かれてしまうと、さすがに「うぅ〜む!」となってしまう。

試しにネット検索してみると、Yahoo! 知恵袋に「英語をドラマや映画で悠長に話すタレントさんというと誰ですか?」という質問があったので、思わず「早見優チョー」なんて答えたくなってしまったよ。「悠長」じゃないから、質問の答えにはなっていないけど。

「悠長」と「流暢」では、文字のイメージからして違いすぎる。ただ「暢」という字は常用漢字外(人名漢字ではある)なので新聞などでは「流ちょう」と表記されることが多く(参照)、「流暢」という文字表記は思いのほか馴染みが薄い。誤用の増える遠因かもしれない。

ちなみに「流暢」を「流調」なんて書く人もいる。「流れるような調子」というココロなんだろうが、いずれにしても誤表記だ。ECC オンラインレッスンのページでは「正確さや流調さには個人差があり・・・」なんて表記されちゃってる(参照)から、英語は達者でも日本語は問題ありみたいなのだ。

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ただ「流調」でインターネット検索してみると、水道工事の世界では「流調」という業界用語があるようで、「流調弁」というのはどうやら水道管の中の流量を調整する弁のことのようなのである(参照)。

やれやれ、言葉の世界というのはなかなか奥深い。いずれにしても、「流暢」を「悠長」なんて言い間違えないように気を付けつつ、文字にするときには「流ちょう」と表記する方が無難に読んでもらえそうだ。「流調」なんて表記すると水道屋さんと間違われかねないので、要注意。

それからまったく別の話で、春風亭柳朝というと今でも先代の五代目を思い浮かべる人が多いが、当代は六代目なのでよろしく。

 

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2024年8月12日

感じのいい人って、そんなこと言うんか!?

DIAMOND online に "【夏の挨拶】普通の人は「毎日、暑いですね」。では、感じのいい人は何と言う?" という記事がある。コミュニケーション講師の吉井奈々さんの文章を元にしているようだ。

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暑い日が続くと、多くの人が「毎日、暑いですね」「暑くて、イヤになりますね」などと挨拶しがちになるという。しかしこの記事によれば、それを「いよいよ夏本番ですね」や「夏真っ盛りですね」など、ポジティブな表現にすると素敵な印象に変わるのだそうだよ。

とはいうものの、既に 1ヶ月半以上も前からの真夏日と猛暑日の連続でグッタリしている身としては、今さらのように「いよいよ夏本番ですね」なんて言われても反応に困るだけだ。「はあ!?」としか言いようがなくて、「感じのいい人」どころじゃない。

念のため記事の掲載日を調べたら "2024.8.9 4:17" とあるから、3日前の早朝で、決して 1ヶ月前の記事じゃない。吉井奈々さんの元記事の方はリアルタイムで書かれたものではないのだろうが、改めてこのタイミングでこのような形でネットに載せるというのは、編集部のセンスを疑ってしまう。

とにもかくにも、この夏の暑さは半端じゃなく、「暑いですね」なんて言うより「あづ〜い!」というのが臨場感ある表現と言っていいほどだ。そんな中でこんな挨拶をするのは、よほど鈍感な人か冷房の効いたタワマン住まいの人ぐらいだろう。

さらに「蝉時雨が愛おしく感じられます」なんていう一言も素敵なのだそうだが、それもあんまりリアルじゃないと言っておこう。先月 25日の記事で書いたように、あんまり暑いと蝉も鳴かないのだよ。「蝉も大変だねえ」という方が実感だ。

DIAMOND 編集部の言うところの「感じのいい人」って、実は自分でそう思っているだけで、本当は「ズレまくった人」なんじゃなかろうかと思ってしまいそうだ。

というわけで、こんな記事は決して真に受けないように。ただ、ズレてるのは編集部であって、引き合いに出された吉井奈々さんがズレてると言ってるわけじゃないので、その辺りよろしく。

【8月 14日 追記】

この記事、egone の 13日付で取り上げられている(参照)。ありがたいことだが、「マナー講師とかこーいう生き物はズレた事言ってナンボだからな」というコメントが記事の主旨からズレているのは、本文の最後のパラグラフをまともに読んでいただければわかると思うので、よろしく。

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2024年8月 1日

「前向き駐車」って、どっちに「前向き」なんだ?

近所のドラッグストアの駐車場側の外壁に「前向き駐車禁止 ご協力をお願い致します」という表示があるのだが、実際に駐車しているクルマの向きはバラバラだ。「ご協力」しようにも、表示の意味が曖昧なのでどうしようもない。

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私としては「前向きで駐車スペースに入ることが禁止されている」との解釈で、いつもフツーにバックで入っているのだが、半数は前から入って駐まっている。これだとクルマの通路側からは「後ろ向き」に見えるから、それでいいのだと解釈しているのかもしれない。

とにもかくにも「どっちに "前向き" なのか」がはっきりしないので、明快な対応ができないのである。

それで先日、「前向き駐車って」というキーワードでググってみたところ、トップに表示されたのがソニー損保の「前向き駐車の意味と注意点」というページで、そこには "前向き駐車は英語では「head in parking」となり、クルマの前方から駐車スペースに入れるのが正解です" とある。

損保会社がそう言うんだから、信用していいだろう。そして近所のドラッグストア駐車場の場合は、それが「禁止」されているわけだから、逆に「バックで入れ」ということになる。私の解釈でよかったわけだが、それはほんのたまたまみたいなもので、いずれにしてもわかりにくい。

下の画像のようなケースでは、それぞれの駐車スペースの奥に「前向き駐車でお願いします」とあるので、これならば「フロントから入れ」ということなのだと感覚的にも理解しやすい。実際にも紛れが少ないだろう。

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ところが近所のドラッグストアの場合は、10台分ほどの駐車スペースから歩行者通路を隔てた店舗外壁にたった 2枚の表示があるだけなので、そもそも駐車しようとするクルマから見えにくい。クルマから降りて店舗の入り口に向かう段階で初めて気付く。

クルマを降りてから気付くのだから、「駐車スペースから出る時には前向きでなく後ろ向きで出る」みたいな錯覚に陥るのも当然だ。

もっと言えば、「前向き駐車」だけでもわかりにくいのに、さらに「禁止」なんて言葉で打ち消しているのだから、とにかく面倒過ぎる話なのである。結局のところ「ま、いいか!」となってしまい、「次は気を付けよう」とすら思わない。何しろ、どう気を付けていいのかもわからないのだから。

いくら日本語は雰囲気重視の言語(参照)とはいえ、ここは「バックで駐車してください」のように具体的な表現にしてくれないと、結局は何も言っていないのと同じである。

ちなみに英語で「前向き駐車」を表す "head in parking" というのはわかりやすくて、さすが具体性を重視する言語だけのことはあるよね。

 

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2024年7月28日

「どうぞよろしく」を英語で言うと?

Quora に "「どうぞよろしく」という言葉を英語に翻訳するとしたら、どのように言うのが適切でしょうか?" という質問があり、「文脈によって訳し分ける」という模範解答のほかに「訳さないかも」とかいうのもあるので、「そうだよなあ」と笑いつつも共感してしまった。

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「どうぞよろしく」という日本語はとても便利な言葉で、大抵の場合はそれでさらりと済んでしまうのだが、じゃあ英語でどう言ったらいいのかと言われたら訳しようがない場合が多い。元々それほど具体的な意味のある言葉じゃなくて「雰囲気のもの」だし。

Quora には時々似たような趣の質問がアップされることがある。"「あらよっと」は英語で何ですか?" とか "「ウケる」って英語で何と言いますか?" みたいなヤツだ。

そのまま直訳すれば通じるとか、日本語独特の言い回しに完全に対応するイディオムみたいなものが英語にもあるだろうなんて考え違いをしている人も案外多い。翻訳に難儀するのはそんなところから出た言葉だ。

例えば「紅一点」という日本語にはそれなりのニュアンスというものがある。しかしそれをフツーに "only woman in the group" なんて訳してしまうと、「それが何か?」で済めばまだいい方で、「なんで女性が一人しかいないの?」とか「男女平等に反する」なんて話になりかねない。

思えば日本語というのは、その場を無難に切り抜けるにはとても便利だが、英語はよくも悪しくも具体性を重視する言葉なので、多少面倒なところがある。このことに関しては、昨年 2月 25日付の "世界の「よいしょ、どっこいしょ!」" という記事でも触れている。

軽い気持ちで発せられた日本語をしっかり翻訳し過ぎたために、思いのほかヘビーな話になってしまうことだってある。「後はよろしく」という言葉のココロは "good-by" でしかないのだから、"I hope your best finish."(あなたが最高の仕上げをしてくれると期待する)なんて訳しちゃいけない。

逆に、複雑に込み入った問題を整理しようと思ったら、英文直訳式の日本語で考えるとうまくいくこともあったりする。あるいは、まんま英語で、yes か no かみたいに考えていくとか。

思考の結論というのは、何語で考えるかによっても違ってくることがあるのだね。国際理解というのが思いのほか難しい所以である。

 

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2024年7月24日

"This is a pen." とか "This is a dish." とか

英語の教科書に出てくる "This is a pen." なんていう文はナンセンスの極みで、実際の会話で使われることなんてないというのは、昔からまことしやかに語り継がれていることだ。しかし 平田朋義さんという方の tweet は、これに対する見事なアンチ・テーゼだった。

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空港のセキュリティチェックで「これは何ですか?」と聞かれて答えたというもの。8年も前の tweet だが、色褪せることがない。とにかく左側の写真を見ただけでは何だかわからないのだから "What's this?" と聞かれても何の不思議もないよね。

左の写真の状態から右の使えるペンの形にするまでは、青い部分を下の写真のように開き、白いペンの部分を伸ばしててセットするもののようだ。なるほど、話のタネとしてもなかなかのものである。私も一度でいいから実際の場面で "This is a pen." と言ってみたいものだ。

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ちなみに私が中学校 1年生の時の英語の教科書(開隆堂の "New Prince Readers")では、Lesson 1 の最初は "This is a pen." ではなく、 "This is a dish." だったと記憶している。なんでもない白い皿の絵まで覚えている。

それに続くのは、"Is this a dish?" で、その次が "Yes, it is a dish." だった。どうしようもないほど間の抜けた会話だよね。"This is a dish." を実際の会話で使うためには、よほど凝った「折りたたみ皿」みたいなものを持ち歩かなければならないだろう。

そう思いつつダメ元でググったところ、なんとお誂えみたいなモノが見つかってしまったのである。"24" Foldable Beauty Dish" というものだ。こんなふうにして使う。

ご覧になっていただければおわかりだが、これ、写真撮影に使う照明用器具である。英語ではこうしたものも "dish" と称するのだね。

ただ、"This is a dish." と言うためにのみこんなものを買い求めて飛行機に乗るというのは、ちょっとハードルが高いなあ。高級そうなカメラとセットでなければ不自然すぎるしね。

 

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2024年7月12日

イオンさん、「超ケツ夏祭リ」だって !?

昨日イオンタウン守谷というショッピングセンターに寄ったところ、松平健をハデにフィーチャーしたポスターが何枚も貼られており、そこには「イオン超ケツ夏祭リ」とあるので、一体どんな「ケツ」なんだと驚いてしまった。

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近寄ってよく見ると「イオン超!ナツ 夏祭リ」で、紛らわしさを避けるために敢えて分かち書きで表示すれば「イオン 超! ナツ 夏祭リ」ということのようなのである。とはいえ間隔をグッと詰めた表示なので、わかってしまってからでも、やっぱり「超ケツ」に見えてしまうんだがなあ。

そう見えてしまうのは私だけではないはずと思い、"超ケツ夏祭り" のキーワードでググってみたところ、やっぱりほかにもいた。しかもトップに表示されたのは「ももの正直ブログ」というブログの記事(参照)で、その日付を見ると 2年前の 2022年 7月 16日付じゃないか。

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さらに下のように去年の証拠画像もちゃんと残ってる(参照 1参照 2)ので、イオンてば少なくとも 2年前からこの表示を続けているようなのである。

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はっきり言って「ナツ夏祭リ」と、「なつ」を不自然に 2度繰り返す必然性も理解できず、ここまでくると、本当に狙ってやってるとしか思われない。イオンさん、実はよっぽど「ケツ」がお好きなのかもしれない。

今年の夏祭りは 3日後の 15日までのようなので、16日になってこのポスターが撤去されれば、店全体から「ケツっぽさ」が消えてスッキリするだろう。

【7月 16日 追記】

これは「イオンタウン守谷」ではなく「イオンモールつくば」の話なのだが、昨年 9月 6日の記事で書いたように、「映画を見るなら つくばにオトクにグルメ!!」という表示の大形看板があちこちにあるのを思い出した。「つくばにオトク」でも「客にオトク」でないんじゃ、訴求しても意味ないと思うがなあ。

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つくばオトクに・・・」というならまだわかるけど、イオンさんって、この辺りの感覚がちょっとズレてるよね。このズレた看板、昨年秋前からずっとある。そろそろ撤去した方が自身の名誉のためにもいいと思うのだが。

 

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2024年7月 3日

「夏の内々の見本市」を大っぴらに宣伝?

近所の「ファッションセンターしまむら」が、本日より「インナーフェア」というものを開催しているのだそうだ(参照)。ただ、店頭で "SUMMER INNER FAIR" として派手に宣伝しているのを見ると、どうしても奇異な感じがしてしまう。

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言葉を文字通りに受け取りがちな「アスペルガー症候群」一歩手前の私としては、どうしても「なんでまた『夏の内々の見本市』を大っぴらに宣伝しちゃってるの?" となってしまうのだよね。「内々の」催しなら、内部でひっそりやればいいじゃないか。

ところが、しまむらさんのいう "inner" というのは「肌着、下着」のことらしい。それを言うなら "innerwear" (あるいは underwear)というちゃんとした言葉があり、単に "inner" だけだと「内部的な」でしかないんだが。

「ファッションセンター」(この言い方も、かなりお恥ずかしいんだけど)のしまむらさんが言うのだから "inner" だけでわかれよとは、決してならないだろう。まあ、"Innerwear Fair" だとカンじゃいそうではあるけどね。

それにしても多くの日本人は、これを一瞬で「夏の肌着の特売」と了解できるのかなあ。そりゃいくら私だって 3〜4秒考えれば推量できるが、「一瞬で」とはいかないので、時々「変な日本人」扱いされちゃうんだよね。

ただ一般論としても、外来語(のようなもの)としてフツーに通じちゃってるカタカナ言葉をまんまアルファベットで表記するというのは、結構アブナい。前に取り上げたことだが、こんなお笑いに近い看板もあった(参照)。

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出張で泊まったホテルのレストラン入り口にかけてあったもので、朝食バイキングが「朝の北欧海賊」になってしまってる。外国人宿泊客が増えているご時世ということでわざわざ英語(?)も併記したのだろうが、これじゃかえって「日本の謎」を深めるばかりだ。

カタカナ言葉としてなら曲がりなりにも定着しているが、それをまんま英語として使ったら「???」になってしまうという言葉はいくらでもあるので、くれぐれもご注意。よく知られたところでは、「クレーム」とか、ホテルの「フロント」とか、「マンション」とかね。

 

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