カテゴリー「言葉」の783件の記事

2024年12月 1日

「図に乗る」というのも、突き詰めるのは難しい

ミチルさんという方が "以前作った「図に乗るクッション」が商品化しました。座ると調子づくかも" と tweet しておられる。なるほど、座ると文字通り「図に乗った」というカタチになる。

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ところが私はお恥ずかしいことに、この「図に乗る」という言葉の表記をずっと「頭に乗る」と勘違いしていた。改めて調べてみると『精選版 日本国語大辞典』に "「ず」は「頭」をあてることも多い" という但し書きもあるにはある(参照)が、やはり「図に乗る」が正しいようだ。

ただ、それでも疑問は残る。どうしてまた「図に乗る」なんていう言葉ができたのだ? そもそもこの場合の「図」って何なんだ? こうなると調べずにはいられなくなるのが、私の「ビョーキ」みたいなものである。

ググってみたところ、imidas のページには次のように書かれていた(参照)。

「図」は、仏教の声明(しょうみょう)で転調のことをいい、吟誦(ぎんしょう)の途中で転調がうまく行われることを「図に乗る」といったことからという。

へぇ、そんなこととはちっとも知らなかった。念のためもっと調べてみると、「日蓮宗 いのちの合掌」というページには、もう少し詳しく次のようにある(参照)。

元々は、声明の転調を「図」といい、難しい転調が成功することを図に乗る(上手くいく)と言いました。声明とは仏教の儀式において経文に節をつけて朗唱する声楽の総称で、古代インドに起り、仏教とともに中国を経て日本に伝えられたものです。

ですから、図に乗るとはネガティブな意味ではなく、本来は、少し難しいかな、大変かなという事にチャレンジをして、上手くいく成功することを指します。

つまり、元々は悪い意味ではなかったのだね。そこから「つけあがる」みたいな悪い意味に変化したことについては、AERA.dot に次のように説明されている(参照)。

ここでの「図」は、仏教の僧が唱える声明(しょうみょう)の転調のことです。この転調は難しく、うまくいくことを「図に乗る」といいました。そこから、声明の転調に限らず広く調子づくことを表すようになり、いい気になってつけあがるなどの悪い意味になりました。

なるほど、坊さんでも難しい転調がうまくいくと時にはつけあがってしまったりするようなのである。凡夫の身としてはよくよく気をつけなければ。

ただ、こうして言葉の上の説明だけでわかったつもりになるのも中途半端である。こうなったら、実際の声明の「図=転調」ってやつを聞いてみなければ気が済まないじゃないか。私の「ビョーキ」もかなり重症だ。

しつこくググってみたところ、伝統的な声明を再現した上に音楽をかぶせたものが見つかった。実際の URL には次のような説明がある(参照)。

この声明集では呂と律の部分が明確に朱と墨で書き分けられており、曲中に呂律が入れ替わります。

要するにそれが「転調=図」なのだろうか。よくわからないが、とりあえず聞いてみるほかない。下の動画の「▷」をポッチリしていただきたい。

はっきり言って、実際に聞いてもどの部分が「図=転調」に相当するのかわかりにくい。もしかしたら 2分 40秒あたりと、3分 20秒あたりなのかなあ。いずれにしても、モノにするのはかなり難しそうだ。

これ以上突っ込むと手に負えなくなりそうで、図に乗ってつけ上がったりするまでには遠く及ばない。最後に「呂律(ろれつ)が回らない」と言った場合は意味が違ってくるということを書き添えて、本日はこれぎり。

 

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2024年11月30日

新幹線車内での富士山案内アナウンス、英語バージョン

私のもう一つのブログ『和歌ログ』にも書いた(参照)のだが、昨日は関西は曇っていたものの、新幹線で三島付近まで来ると文字通りの「雲一つない青空」になっていた。雪を戴いた富士山の姿が「理想的」と言っていいほどの美しさだった。

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この景色が見える直前、新幹線車内に「左の車窓より富士山の姿が見られます」という案内放送が流れた。これって正式のアナウンスというわけではなく、車掌のサービス精神によるものらしい。何かに夢中で外の景色に気付かない人もいるだろうから、ありがたいと言えばありがたいことである。

ところがこの日本語アナウンスに続いて、「ザビューオブマウントフジキャンビーシーンフロムザレフトウィンドー」という思いっきりのカタカナ英語(いや、平仮名っぽくさえ聞こえる)アナウンスが流れた。ちなみに一昨日の往路では、最後の部分が「ライトウィンドー」だった。

"The view of Mt. Fuji can be seen from the left window." というココロなのだろうが、外国人に理解されたかどうかはわからない。聞いてもわからない日本語アナウンスの延長と思われても仕方がないほどの口調だったからね。

思うにあの英文って、日本語の直訳なのだろう。しかも「キャンビーシーン」なんて持って回った受動態になっているところから察するに、機械翻訳の産物なんじゃあるまいかとさえ思われる(can be thougut)。

こんな時は同じカタカナでも、あるいは平仮名でも、ごく素直な中学生英語で「ゆーきゃんすぃーまうんとふじおんざれふと」(You can see Mt. Fuji on the left.)と言う方がずっと楽だし、まだ英語のつもりと気付いてもらいやすくて、辛うじて通じると思うがなあ。

まあ、ご参考までにということでよろしく。

【同日 追記】

あの車内アナウンス、やはり通じていなかったと思う。というのは、あの時は何人もの外国人が乗車していたが誰一人として反応していなかったもの。近くに座っていた米国人らしき夫婦も、顔を左に向けることすらなかった。

通じていたら、あの富士山の見事さだもの。"Oh!" とか "Beautiful!" とかいう声の一つぐらい聞こえてきてもいいはずだしね。やはり日本語アナウンスの延長としか思われていなかったのだろう。

 

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2024年11月24日

Bluesky で英語のネット・スラングを学べた

最近、金ももらってないのに Bluesky という SNS の宣伝なんかしちゃってる気がするのだが、この度は図らずも英語のネット・スラングを学べたというお話である。Bluesky の運営当事者の書き込みが原則英語で表示されるので、目の前に字があればつい読んでしまうカラダの私としては結構勉強になる。

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今回注目したのは、今月 21日付の「いくつかの技術面での機能的問題があるとわかったんだけど、忍耐強く使ってくれてありがとう」というお詫びみたいな書き込みで、「近日中の改善を期待しててね」と添えてある(参照)。自画自賛的アピールだけじゃないというのは、かえって好感度アップにつながる。

で、問題はこの書き込みの最終行にある "TL;DR we're so back" というものだ。恥ずかしながらこんなの初めて見た表現でさっぱりわからなかったが、とりあえずググってみたところ、こういうことだった。

TL;DR:  "Too Long, Didn't Read" (長すぎて、読まなかった)の省略形。転じて「長すぎるという方のための要約です」

We're so back: "Things are good again!" or simply "hooray!" (「また良くなってるよ」あるいは単に「万歳!」)

要するに「長くなるから詳細はくどくど書かないけど、どんどん改善されてるよ。やったね!」って感じなのだろうね。

それからちょっと戸惑ってしまったのは、この書き込みへの自己レスにある "I jinxed it" である。日本語では「ジンクス」というカタカナ語がいい意味にも悪い意味にも使われるが、英語の場合は「またやっちゃったよ、ついてないなあ!」みたいな、悪い意味だけに使われるからだ。

ただこの場合は、「😌」という「ごめんなさい」的な顔文字付きなので、「真剣に改善努力するから、もうちょっと見守っててね」というようなニュアンスなのだろう。

さらにこれに対するレスの "gl lol" にも戸惑ってしまったが、"gl" は "good luck" (幸運を)の略語で、"lol" は両手を挙げて笑ってる姿を表したもののようだ。日本でよく見かける「\(^o^)/ 」の米国版なのだろう。

米国式が両手をまっすぐ上に挙げているのは、全角バックスラッシュ(「\」)なんて英文字にないからだろうが、半角でも "\o/" だとよりリアルに見えるがなあ。ただ、"lol" の方が圧倒的に素早く入力できるのは確かだ。

いやはや、いつまで経ってもお勉強のタネは尽きないものである。それにしても、Bluesky ってかなりカジュアルな雰囲気に満ちてるなあ。

【同日 追記】

ちなみに X (元 Twitter)の方でもイーロン・マスクの tweet が英語で出てくるが、くだらないものばかりで付き合いきれない。

 

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2024年11月19日

紛らわしいカタカナ言葉 -「リスキリング」とか

イスイ さんという方の「リスキリングって聞くと脳内にこういうリスが出てくる」という tweet があって、「なるほどね!」と笑わせてもらった。ただ私だったら逆に「リスを殺す」みたいな連想をしてしまうところだが。、

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これは spartacus さんという方の次のような tweet を受けたものである。

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そう言えば私も遙か昔になってしまうが「リスキリング」というカタカナに始めて出会った時には、元の英語が "reskilling" (re-skilling)だなんて、すぐには想像つかず、やはり "risk" に関係のある言葉かと思ってしまった。「リ・スキリング」みたいに表示すれば、少しはましなのだろうが。

ちなみにこの tweet では reskilling の意味が「再教育」ということになっているが、本来は「(労働者の)新しい技能習得」というような意味合いが強く、「スキルを一つ増やす」みたいな感覚だ。「再教育」と言ったら、フツーは "re-education" だろうなあ。

こんなような紛らわしいカタカナ言葉の筆頭格は、前にも書いたことがある(参照)「ダイバーシティ」だろう。元々は "diversity" (多様性)という英語で、米国発音は「ディヴァースティ」に近いのだが、カタカナ言葉にするとどういうわけか「潜水夫の街」になってしまう。

さらに最近「ムムム・・・」となってしまったのは「コンコーダンス」というカタカナ言葉だ。私が見たのはお薬関係のパンフレットか何かだったと記憶するのだが、初めはどんな踊りかと思ってしまったよ。

検索してみたら「くすりのしおりとコンコーダンス」というページがヒットしたが、コンコーダンスというのは「医療者が患者さんの生活スタイルや気持ちを重視する考え方」ということだという。何のことはない "concordance" (「一致」とか「調和」とかいう意味)だ。

「リスキリング」や「ダイバーシティ」ぐらいなら「新技術習得」とか「多様性」とか言ってしまえば話は楽なのだが、「コンコーダンス」の場合はこうして薬の業界用語みたいな感じで使われてしまうと、他の言葉での言い換えはなかなかむずかしいよね。

 

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2024年11月 3日

「入国審査」が「入獄審査」になってしまう件

昨日のブログを書いていた時に「入国審査」をついうっかり「にゅうごくしんさ」と入力して「入獄審査」に変換されてしまい、慌てて修正した。「入国」という言葉、正しくは濁らずに「にゅうこく」と読むので、そう入力しなければならない。

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ここで思ったのは、誤変換に気付かずそのままアップロードしてしまっているケースもあるんじゃなかろうかということだ。試しに "入獄審査" でググってみたところ、出てくるわ出てくるわ・・・ 期待を上回る惨状である(参照)。

初っぱなから笑ってしまったのは、「AI による概要」として「入獄審査とは、入獄する際に実施される審査です」と出てきたことだ。Google によれば、裁判で懲役刑が科せられても「入獄審査」で引っかかったら監獄に入れてもらえないみたいなのである。

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「生成 AI は試験運用中です」という但し書きはあるものの、単に「入国」が「入獄」に置き換わっただけってことが見え見えだ。AI ってやつは、当分の間あまり信用しないことにしよう。

もう一つは某大阪市議会議員さん(公明党所属)のページで、大阪港天保山客船ターミナルが監獄の入り口みたいなことになっている。日付が「平成 25年 12月」だから、10年以上もこのまま晒されているのだね。こんなの誰も(本人さえ)まともに読まないから気付かないのだろう。

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敢えて直接リンクはしないでおくけど、上の画像で見えている「大阪港天保山客船ターミナルが国内外観光客」という文言で一発検索できちゃうから、同じことか。

もしかしたら関係者がたまたま私のブログを目にしてこの恥さらしに気付き、こっそり修正してしまうかもしれないが、ご覧の通りしっかり証拠の画像があるので、完全にしらばっくれるわけにはいかない。公職にあるお方のページは、よくよく気を付けなければならないね。

最近、私も年のせいか細かい字が見えにくくなってきて、タイピング・ミスをしても気付かなかったりすることがある。これを機に慎重を期すよう肝に銘じておこう。

 

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2024年10月27日

有楽町線の英語カンペ: "The" の「ジ/ザ」問題

有楽町線の駅らしいのだが、とにかく構内の一般客から丸見えのところに貼ってあるという英語のカンニングペーパーらしき年季の入った貼り紙について、Yoshi さんという方が tweet しておいでだ(参照)。なかなか涙ぐましいものに見える。

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これについては、「理由言えないと詰む設計」とか 「理由言える英語力あるなら振りがないらんのでは…」といったコメントが付いていて、私ももっともな話だと思う。

あるいは "an accident"(アン ナクスィデント:事故)とか "the congestion" (ザ コンジェション:混雑)などのサンプルが、裏で用意されているのかも知れない。ただそうだとしても、さらに突っ込んだ質問をされたらお手上げだろうけど。

ただ、それ以上に気になるのが、この tweet に付けられたいくつかの「細かい指摘コメント」である。「有楽町だから "" じゃないの」 とか 「あ行の音(母音)からじゃないのに『 有楽町ライン』なのか。『(ダ) 有楽町ライン』が正解な気がするんだけどな…」とかいうものだ。

"The" という単語は母音の前では「」になるという、中学英語の金科玉条をずっと引きずってる人が多いのだね。はっきり言ってしまえば、そんなのは「どうでもいい話」なのだが。

強いて細かいことを言えば、この場合は 「ザ」よりはほんの少し「ジ」に近い音になるような気がしないでもない。それはすぐ後に来る「有楽町」の "Y" の音に移るためにはその方が言いやすいからで、ただそれだけのことだ。

ただ、そんなことをいちいち意識してしゃべっているネイティブ・スピーカーなんてほとんどいない。人によってもビミョーに違うだろうし。

要するに "the" は「ザ」とか「ジ」とかいう以前に "the" でしかないのである。「曖昧母音」なので、母音の前で発音を変えようなんてことさら思わなくても、自然にビミョーな融通が利いてしまうというだけのことだ。

これについては、2023年 3月 24日付の【"The" を「ザ」と読むか、「ジ」と読むか】という記事で詳しく触れている。『ザ・インターネット』(『ジ・インターネット』じゃない)という映画のタイトルから発しているので、興味のある方はどうぞ。

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2024年10月14日

「トイレをビューティフルに使う」って?

SNS には「世界よこれが日本人の英語力だ」というお約束パターンのお笑いを誘う書き込みがかなりある。しかし「クレイジーゆーた@スキマ時間で楽しく英会話」さんという方が最近 Threads に投稿された件(参照)については、笑うというより「う〜ん」と考え込んでしまった。

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貼り紙に表示された「トイレは きれいに つかって ください」という日本語の下に "Please use the rest room beautifully." という英訳が添えられているのである。

とにもかくにも「トイレをビューティフルに使う」って、一体どんなんだろう?

無理矢理に思い浮かべたイメージは、花を一輪持って入り、出てくる時にはそれを鏡の前に飾って来るというようなものだ。しかしそんな面倒なことを要求するトイレなんて、この歳になるまで見たことも聞いたこともない。

さらに面倒なことに、この貼り紙は「日本語能力試験」(JLPT:Japanese-Language Proficiency Test)の会場にあったもののようなのだ。この試験、なにやら長くてもっともらしい名称の 2つの公共法人が主催する「日本語を母語としない人の日本語能力を認定する語学検定試験」だというのである。

ということは、受験者のほとんどは外国人なのだろう。少なからぬ受験者が「こんな妙な英語を書く団体が、我々の日本語能力をまともに認定できるのかなあ?」と不安に思ってしまったに違いない。「日本語と英語は別だから」なんて言い訳しても、説得力はまったくない。

そんなところからもっと突き詰めて言えば、トイレを「きれいに使う」という日本語も、意味的には曖昧と言えば曖昧だ。言いたいことは要するに「トイレを汚すな」ということなのだから。

というわけで、英語の方も "Please keep the restroom clean." ぐらいがまだフツーなんだろうなあ(別に厳密な決まりはないようだが、トイレは "restroom" 、休憩室は "rest room" と表記されることが多い印象がある)。

ちなみに「世界よこれが日本人の英語力だ」関連で最も有名なのは、当ブログでも取り上げたことのある(参照)これのようだ。

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これは本当にアブナい表示だなあ。

 

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2024年10月 9日

「レベチ」と「微レ存」という略語

HUFFPOST に「ここまでやるのか... 叶姉妹・美香さんの "フェイスパック姿" が見たことないほどレベチでゴージャスだった」という記事がある。今回いきなりこんな記事をフィーチャーしたことについては、「tak もいい年してついにトチ狂ったか !?」と驚いた方がおいでかもしれない。

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言い訳させてもらえば、叶姉妹のお二人には申し訳ないが、私はこの人たちの「フェイスパック姿」なんてものにはちっとも興味がなくて(というより見るのも恐ろしくて)、ただひたすら「レベチ」という言葉にひっかかってしまったのである。どう想像してみても意味がわからない。

こうしたことってわからなければググってみるのが一番で、今回も Oggi.jp の "若者生まれの言葉「レベチ」の意味や使い時って? 例文・類語 ..." という記事に当たってみてあっさり解決した。早い話、「レベルが違う」の略語なんだそうだ。

「段違い」を「だんち」と言うのは大昔から(江戸時代かららしい)あったが、最近は「レベチ」なんて言うのだね(参照)。さらに「ジゲチ」なんていうのもあるらしく、これに関しては「レベチ」の謎が解けた直後なので「次元が違う」の略語とすぐに想像が付いた。

そういえば、この類いの言葉について 9月 28日に "セブンとセブイレ、さらにスカツリ、いたせり、絞り染め" のタイトルで書いていたんだった。セブンイレブンは関東では「セブン」と略されることが圧倒的に多いが、関西では「セブイレ」と呼ばれることもあるというのが話の入り口である。

私も大昔は「セブイレ」なんて言っていたので、関西流の略語センスにはかなり共鳴してしまう。略語というのは大抵の場合 4音の方が収まりがいいので、個人的には「ファミリーマート」だって「ファミマ」ではなく「ファミリマ」と言いたいぐらいのものだ。

こうした感覚からすると、「レベチ」というのも何となく収まりが悪い。関西ではなく首都圏の女子高生が広めてしまったものに違いなかろう。関西流だったら「レベチガ」とまではいかないにしても、「レベッチ」ぐらいのところまではこなしてくれそうだ。

ちょっと気になってさらにググってみたところ、「親が知っておくべき若者言葉・ネットスラングとは?」というページが見つかった。次のような言葉が紹介されている。

スパダリ: スーパーダーリン
あたおか: 頭がおかしい
メンブレ: メンタルブレイク、精神的にきつい状況
エゴサ: エゴサーチ。自分自身のことをネット検索すること
イチキタ: 一時帰宅
微レ存(びれぞん): 「微粒子レベルで存在している」の略で、わずかしか可能性しかないという意味

この中で「あたおか」と「メンブレ」は知っていたが、ほかは初耳である。

この記事、2021年 1月のものなので、「そんなの、もう流行らないよ」ということがあるかもしれないが、私としては「微レ存」というのがかなり気に入ってしまったよ。ただ個人的趣味としては、「びれぞん」ではなく「びれそん」と発音したいところだなあ。

さらに凝ってフランス語っぽく「♫ ヴィレソォン」なんて言っちゃったら、かなりそれらしい。実存主義哲学でいう「微かな可能性」という意味だなんて言ったら、信用されちゃったりして。

 

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2024年9月29日

セブンとセブイレ、さらにスカツリ、いたせり、絞り染め

日本でコンビニが急速に拡大し始めた 1980年代頃、私はセブンイレブンのことを略して「セブイレ」なんて呼んでいたのだが、周り中が「セブン」と言うようになったので引っ込めてしまった。しかし大阪に出張すると「セブイレ」という人が実際にいて、ちょっと嬉しくなってしまう。

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改めてネットで検索してみると「ソトコト」というサイトに "「マック」か、それとも「マクド」か? 関東と関西でこれだけ呼び名が違う 5選" というページが見つかり、「セブンとセブイレ」という項目の中に "関西では「セブイレ」と呼ぶ人もいます" とあった。うむ、やっぱりこれもありだよね。

「マック」が関西では「マクド」になるというのは関東でも結構知られているが、「セブイレ」の方はほとんど認知されていない。私は「マクド」とはさすがに言わないが、「セブイレ」では関西センスに共鳴してしまう。

ちなみに「呼び名が違う 5選」の残り 3つは、「ファミマ と ファミ⤴︎マ」「USJ vs ユニバ」「ケンタ と ケンタッキー」なのだそうだ。確かに「ファミマ」は関西ではアクセントが違うようだ。私的には以前「ファミリマ」なんて言ってたけどね(「マ行」が続くよりこの方がスルッと言いやすい)。

私は家族に「お父さんの言葉の略し方、独特だよね」なんて言われることがある。確かにそうかもしれない。何しろ「東京スカイツリー」は「スカツリ」と略されるものと信じていたのだが、誰もそう言わないので我が家独特の省略語になってしまった。

ついでに言うと、「いたせり」というのも我が家独特の言い回しで、「至れり尽くせり」の省略形である。「いやぁ、『いたせり』のサービスだったよ」なんて言ったりするのだが、ほかではまず通じないだろう。

さらに究極の我が家語は、「息も絞り染め」というやつだ。そのココロは「息も絶え絶え」で、江戸っ子は「絶え絶え」を「たいだい」と発音することから、「タイダイ(tie-dye:絞り染め)」に引っかけたものだ。これは私の妻も結構気に入ってくれている。

言葉ってやつは、結構遊べるものである。

 

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2024年9月23日

親友を空港に置き去りにした "AITA"(あ痛!)な女性

産経新聞の昨日付に「空港に親友を置き去りにした女性 SNS投稿で批判殺到、友情巡る大論争に」という「変な記事」がある。海外旅行に出かけた 20歳の女性が親友を空港に置き去りにしたことを SNS に投稿したところ、批判コメントが殺到して大論争になったというのだ。

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記事によれば、女性 2人の予定していた乗り継ぎ便がキャンセルとなり、経由地のフランスで一晩過ごすことになった。この時、片方が「2人ともひどい目に遭うことはない」と、現地ビザのない親友を空港に置き去りにして、自分だけ近くのホテルに滞在したというのである。

ただこの記事、「どうもアヤシいな!」という直感があったので、元記事を探してみたところ、FOX NEWS の 21日付記事が見つかった。

"Woman is left alone in 'creepy' section of airport as 'best friend' heads for hotel"(「親友」がホテルに向かったため、女性は空港の「身の毛もよだつ」区域に置き去りに)というものである。

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さらに元ネタを探してみると、"reddit" という米国の SNS に "AITA for staying in a hotel while my friend was trapped overnight inside the airport?"(友達が空港で一晩囚われの身となってる間にホテルに泊まったのって AITA)という 20日付のスレッドが見つかった。

確かに多くのコメントがついているが、決して産経新聞の言うように「批判殺到」というわけではない。ソフトな反応やジョークで応じたものが多く、「そんな調子だと、友達失うよ」というのが批判として目立つ程度だ。「友情巡る大論争に」という見出しは、どう見ても大げさ過ぎる。

というわけで「やっぱりちょっとアヤシかったよね」と納得するまでは比較的楽だったが、問題は SNS タイトルの "AITA" という枕詞である。興味は俄然「AITA って一体何だ?」ということの方に移ってしまった。

いろいろ検索してみると、ありがたいことに英語勉強日記というブログに「【Reddit】AITAとは? 意味は? 何の略?【ネットスラング】」という記事があるのが見つかった。こんなように書いてある。

AITA = Am I The Asshole?

とても下品ですが真面目に解説すると、assholeが「尻の穴」「ゲス野郎」などの意味があります。

日本語で言えばAITAは「俺ってクソ野郎?」「私って最低?」という感じでしょうか。

いやはや、こんなネットスラングはちっとも知らなかった("asshole" は知ってたけどね)。つまり元記事は「友達が空港で一晩囚われの身となってる間にホテルに泊まった私って、最低のゲス女?」ということだったのだね。本人がちゃんと自覚しているのだから、もとより「大論争」にはなりようがない。

ちなみにこの "AITA"、日本でも「あ痛!」と置き換えて使えそうだ。

【9月 24日 追記】

この日の翌日付 "トランプ選挙集会ルポに見る米国の「アブナい一面」" という記事とは、奇しくも「asshole つながり」になってしまっているので、ご一読いただきたい。

 

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