「さいな」という言葉、大阪弁と茨城弁でまったく違う
茨城県に住み始めて 40年以上経って、近頃初めて知った茨城弁がある。「さいな」という言葉だ。「さいなら(さようなら)」の省略形であるらしい。
もっとも、実際の会話で使われているのは一度も聞いたことがない。水戸在住の知り合いが「そういえば、昔は『さいな』なんて言ってたね」と言うのを聞いて初めて知ったほどだ。ちなみに茨城県南部の筑波辺りでは、「まだな」(「またね」の意)が辛うじて現役で使われているようだ。
そういえば大阪弁にも「さいな」という言葉があるが、こちらは「さいなら」ではなく「そうだね」という意味合いである。こちらもやはり現実の会話では滅多に聞けず、たまに歌舞伎や浄瑠璃で聞けるぐらいのものだ。
忠臣蔵の「六段目」では、お軽の母が勘平の帰りの遅いことを気に掛けると、お軽が「さいな、こりゃまぁ、どうして遅い事じゃ。わし、ひと走り見て来やんしょ」なんて言う(参照)。実はこの時点で悲劇は始まっているのだが、長くなるからここでは触れないでおこう。
この「さいな」は現代では「船場言葉」とされてしまっている。上品な商人言葉だが、摂津弁と河内言葉が幅をきかせている今の大阪では、やはり廃れつつあるようだ。"さいな" でググっても、見当外れのリンクばかり表示されるし。
大阪に本社のある会社に勤めていた 40年ほど前、会社の飲み会でどんなきっかけだったか忘れたが、常務が「さいな」と口走り、社長に「今どき『さいな』かいな!」とウケていたのを聞いたきりだ。
ちなみにこの時、関西人でもない私を除いて周囲の若手にはさっぱりウケていなかった。歌舞伎の力は大きいとしみじみ思ったものだ。
この「さいな」は語頭の「さ」にビミョーなアクセントがあり、なかなかの風情なので復活させてもらいたいなあ。「さいなら」の省略形の方は、別にどうでもいいけど。
























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