カテゴリー「言葉」の758件の記事

2024年5月24日

「舌先三寸」と「口先三寸」

山梨県でネットを中心に不動産業を展開しているフロンティア技研のブログに掲載された 2年以上も前の記事なのだが「舌先三寸? 口先三寸? 意味と誤用」というのがある。"「本心でない上辺だけの巧みな言葉」を何という?" という問題だ。

230524

言うまでもないが、正解はもちろん「舌先三寸」で、「口先三寸」は誤用。

ところで私の使っている日本語入力システムの ATOK で、この記事を書くために多分生まれて初めて「くちさきさんずん」と打ち込んだところ、いきなり下のような警告表示が出てきた。"「舌先三寸」の誤り" だから、shift + return で「舌先三寸」に修正しろというのである。

2405245

なんともはや、実に親切な設定だが、今回は行きがかり上、誤りは重々承知の上で入力する必要があるのだからしょうがない。というわけでそのまま続行していると、何度も同じ表示が出てきてめげそうになった。3度目ぐらいで事情を察して、後は放っといてくれるという設定がないものかなあ。

言うまでもなく、「口先三寸」という慣用句はない。少なからぬ人たちが「口先だけのごまかし」みたいな言い回しに引きずられて、言い間違えているいるだけだ。

ただこの記事には「誤用で使っている人の方が多いというデータがあります」なんてことが書いてあり、次の文章を読むと「おやおや」と思ってしまう。

文化庁の平成 23年度『国語に関する世論調査』では、本来の言い方である『舌先三寸』と回答した人が 23.3% に対し、本来の言い方でない『口先三寸』と答えた人が 56.7% という逆転した結果が出ています。

「逆転した結果」と言っても、並みの逆転じゃない。誤用しちゃう人の方が 2倍以上多いというのだから、かなり嘆かわしいい話だ。

世の中って、一度ボタンの掛け違いが起きると、なかなか修正しにくいもののようなのだ。「あらたし」が「あたらしい」になってしまった(参照)のも道理である。

 

| | コメント (0)

2024年5月15日

ローマ字表記は「ヘボン式」が基本になるだろう

NHK が「ローマ字表記 70年ぶり改定も視野に 文化庁の審議会に検討諮問」というニュースを伝えている。内閣告示では今でも「訓令式」(「ち」を "ti" と表記する方)が基本となっているというのだが、実情としては「ヘボン式」("chi" と表記する方)が主流だからね。

240515

実際、「し」と「ち」を訓令式で "si"、"ti" なんて表記したら、「スィ」「ティ」と読んでしまう。私の「庄内」だって "Shonai" と表記すればこそ曲がりなりにも「しょーない」と読んでもらえるのであって、"Syonai" だったら「すょーない」なんて、日本語にない音になってしまう。

2305152

駅名表示にしても完全にヘボン式が主流で、例えば「新宿」は "Shinjuku"、「神保町」は "Jimbocho" だ。"Sinzyuku"とか ”Zinbotyo”  とか表記されたら、私だって戸惑ってしまい、にわかにはまともに読めない。

2405153

おそらく今後はヘボン式が基本になるのだろうが、ニュースの最後の部分を読んで少々驚いた。こんな風に書かれているのである。

2023 の文化庁の世論調査では「訓令式」と「ヘボン式」のどちらが学びやすいか尋ねたところ音によって意見が分かれていて、文化庁は今年度、詳細な調査を行うことにしています。

おいおい、問題は「どちらが学びやすいか」ではなく、「どちらが自然に読みやすいか」だろうよ。「何を今さら妙な調査を」と言いたくなってしまう。

ちなみに「ヘボン式」というのは米国長老派教会の医療伝道宣教師、医師のジェームス・カーティス・ヘボンによって作られたものだ。前にも書いたことがある(参照)が、「ヘボン」のスペルは "Hepburn"であり、オードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)と同じ苗字である。

2405154

オードリーの場合は、"Hepburn" をローマ字まがいの読み方されちゃったわけだね。「ヘップバーンとは 私のことかと オードリー言い」なんて字余り狂句ができてしまう。

 

| | コメント (2)

2024年5月13日

「バニラ」をこれまで同様に思い浮かべられなくなる

togetter に ”友人の結婚式に出た。料理の1品目が「ウナギのバニラムース添え」だったので博識故にキモくなってしまった→「フロイトが悪いよフロイトが” というエントリーがある(参照)ので、「何のこっちゃ?」とクリックしてみたら、堀元さんという方の tweet(参照)が発端のようだった。

240513

友人の結婚式で出てきた料理のしょっぱなが「ウナギのバニラムース添え」だったというのである。で、この堀元さんという人は博学がウリのようなので、「おっ!フロイト的にはウナギは男性器の象徴だし、バニラの語源はヴァギナなので、これは男女交合のメタファーだね!」と語ったのだそうだ。

この語源説、私もだいぶ昔に聞いたことがあるのだが、「ずいぶん悪趣味な洒落だね」程度に思い、本気にしていなかった。しかしもしかして、これってマジネタだったのかとググってみたところ、なんと本当に「バニラの語源はヴァギナ」というページがどっさりヒットしたのである(参照)。

「へえ! 本当の話だったのか!」と驚いてしまったのだが、それでもまだ信じ切れない。下手に信じてしまうと、後々になって「あれは国民的誤解だったのさ」なんてどんでん返しになり、恥をかかきかねないなんて思ったので、念のため英語でもググってみた。

すると、The Saturday Evening Post(サタデー・イブニング・ポスト)」の記事でおもしろいのが見つかった。内容は多くの日本語のページとほぼ同様のことを丁寧に説明してあるのだが、見出しがなかなかおもしろい。

"In a Word: You’ll Never Think of Vanilla the Same Way Again" (要するに、バニラを前と同じように思い浮かべることができなくなる話だよ)というのだ。

2405132

いやはや、ここまでくると、この語源説はマジネタもマジネタ、本当のことのようなのである。確かに「バニラ・アイスクリーム食べたい」なんて、気軽に言えなくなっちゃう。

ただ、英語の発音はまるで違うけどなあ。「バニラ」は日本人の耳には「ヴィネーラ」みたいに聞こえるし、もう片方は「ヴァジャイナ」だしね(どちらも太字部分にアクセント)。

 

| | コメント (2)

2024年5月12日

ANN、「目途」を「メド」と表記するビミョーな恥

NTT が決算発表記者会見で、社名変更の可能性を示唆したのだそうだ。正式名称は「日本電信電話株式会社」だが、既に「電信」のサービスは終了しているので、社名が実情にそぐわなくなっているためらしい。

2405121  

で、今日の記事で問題にしたいのは、この社名変更そのものについてではない。私のことだから、言葉についてのちょっとした問題である。

ANN のニュース見出しは "NTT 社名変更を検討「来年メド」" と表記されているが、動画を見る限り NTT の島田明社長のコメント時の字幕は「来年ぐらいを目途にしっかりと考えていきたい」となっている。字幕では「目途」だが、見出しではなぜかカタカナの「メド」に変わっている。

しかも島田社長は、「メド」なんて言っていない。上の動画をクリックすると、ちょうどその直前辺りからの音声を聞くことができ、「目途」をはっきり「もくと」と言っているのが確認できる。

もしかして ANN のニュース・スタッフ、「島田社長ったらしょーがねえなあ、 『目途』の読み方も知らねえで『もくと』なんて言ってやんの!」みたいに考えてしまい、見出しではわざわざこれ見よがしに「メド」なんてカタカナ使いにして添削してやったぐらいのつもりなんだろうか。

もしそうだとしたら、しょーがねえのは ANN の方である。

「目途」は「めど」とも「もくと」とも読むのだ。下は Goo 辞書での検索結果で、それぞれの画像をクリックすると元の辞書ページに飛ぶ。日本人の多くは「めど」と読みたがるが、それだと重箱読みなので、こだわる人ほど「もくと」と読む傾向があるように思う。

2405122

2405123

これって ANN がビミョーに恥かいてると思うのだよね。余計なことを考えずに、記事見出しを「来年メド」なんかじゃなく「来年を目途に」ぐらいにしておけば、当たり障りなく済んだのに。

 

| | コメント (0)

2024年4月30日

「何が楽しくて・・・」となるかねえ

投資カピバラ @米国株相場実況Youtube さんという方が、「何が楽しくてハワイのホテルで自炊せにゃならんのだ...」と tweet しておいでだ(参照)。

240430

これ、ANN の「超円安で ”節約” ハワイ旅行の現実」というニュースをもとにしたものらしい。ハワイ旅行をする人たちが節約のため、コンドミニアムに宿泊して自炊しているという話だ。

ニュース動画では円安のために海外旅行がにかかる費用がやたら高額になっていることがこれでもかと繰り返され、円高で浮かれていた 2011年頃の「爆買いツァー」との対比も浮き彫りにして伝えられている。いやはや、時代は変わるものだ。

ただ、ここで問題にしたいのはそうした経済問題ではない。私のことだから、例によって「言葉」に関する話である。そもそも私に経済なんか語らせてもしょうがないからね。

私が何に引っかかってしまったのかというと、記事タイトルにもしたように、冒頭の tweet の「何が楽しくて・・・」という言い方についてである。こうした場合、いわゆる「こなれた日本語」としては「何が悲しくて・・・」という常套句があるのだがね。

2404303

Wiktionary では「話し手から見て意欲が湧かず憤りすら覚える行為をする必要に自分自身あるいは第三者が迫られた場合にその行為を修飾する表現として用いられる」とある(参照)。ずいぶん持って回った説明でわかりにくいが、要するに揶揄するというか、今どきの言葉ではディする場合の決まり文句である。

ちなみにこの項目の「関連語」として「何が楽しくて」というのが挙げられているので、「何、最近はそんな言い方が一般的になってるのか?」と驚いてクリックしてみたところ、"「何が楽しくて」を作成中  ウィクショナリーには現在この名前の項目はありません" と表示された。やっぱりね。

「何が楽しくて・・・」と言ってしまっても、もちろん「単純意味」的には通じないわけではないが、「ちょっと乱暴な言い方の疑問文」になってしまい、ディスり感覚はすっかり薄れる。「お答えします。これこれこういうことが楽しいんですよ」と言われたら、「ハア、そうでしたか」と矛を収めておしまいだ。

ちなみにこの tweet をされた当人の意図としては、やっぱりディスりたかったようなのである。「こんな海外旅行は嫌だ...」と自分でコメントしている(参照)ことからも、それは明白だ。

であるならばこう言っちゃナンだが、「何が楽しくて・・・」では、やはり日本語としての「稚拙感」は否めない。この方、経済問題には強くても言葉にはそれほどでもないみたいなのだね。私とは真逆である。

まあ、世の中いろいろな人がいて、それだからこそ面白いということにしておこう。で、いろいろな人がいるからこそ、「ハワイで自炊」を楽しむ人だっていていいわけだ。

 

| | コメント (2)

2024年4月29日

「中国での日本語」と「日本での英語」は似たようなもの

砂浜さんという方が、「初めて旅先で発熱したのだけど、ホテルが優しくて冷えピタ買ってきてくれた…」と tweet しておいでだ(参照)。旅先というのは中国のようなのだが、どうやらこれ、小林製薬の「熱さまシート」の中国版パチモンらしい。

240429

パッケージ・デザインまでパチモンの王道を行っていて、カラリングはオリジナルの赤ちゃん用を踏襲したようだ。まあ、効果がありさえすればいいんだけどね。

2404295

それにしても「斎藤は熱を抜く」というのは意表を突いた商品名である。パッケージの左上には「斎藤薬品」というおそらく架空のメーカー名が記されており、もしかしたら「熱さまシート」の「シート」が「斎藤」の中国語発音と似ているのかとも思ったが、どうもビミョーだ(下の【備考 1】参照)。

これへのコメントとして nori さんという方が、”中国では意味不明な日本語でも「日本=高品質」みたいな感じで売れるそうです” として、「アンメルツ」の正規の中国版とパチモンの並べられた店頭写真を紹介してくれている(参照)。

2404292

ちなみに「アンメルツ」(これも小林製薬)は中国では「安美露」という表記なのだね(右端)。「アンミールゥ」みたいに発音するのかなあ。対してパチモンの方のネーミングは「なきゐ/づづきき」だの「なまう/つぢつぢ」だの、摩訶不思議な呪文じみている(参照)。

なまじ中国語に迎合して「安美露」なんて漢字にするより、意味はどうでもいいからモロに平仮名を前面に出す方が「日本」を感じさせられるのだろう。なるほど、確かにインパクトが違う。

日本人はこれで笑ってしまうが、実はそう安易に笑ってもいられない。例えば初めて来日した米国人が日本人に「マクドナルド好き?」なんて聞かれても、それがハンバーガーの " McDonald's" のこととは理解できない(【備考 2】 参照)から、「なまうつぢつぢ」とそれほど変わらないと言っていい。

2404294

さらに日本における英語(らしきもの?)表現というのもかなりなもので、下は今年 3月 20日の記事で紹介した「変な英語」入りの看板である。

これらの看板の英語を見た英米人は、中国の薬局でアンメルツのパチモンを見た日本人と同様に「はぁ?」となってしまい、次の瞬間「しょうがねえなあ」と苦笑いするのだろう。

つまり「中国での日本語」は「日本での英語」と同様、「一見もっともらしく見えさえすればいい」という点で、似たようなものなのだ。言葉として「まともに通じるように」なんてことは、思いもしてないからね。

【備考 1】

シートは中国語で「床単」(Chuángdān)だそうで(参照)、「斎藤」は ”Zhāi téng”(ジャイトン)だそうだ(参照)。似ているようで、そうでもないようで、まさにビミョーだね。

【備考 2】

このことについては、2021年 7月 13日付の「 日本語の固有名詞をローマ字表記する場合のむず痒さ」という記事で、次のように触れている。

その昔、一緒に合気道を習っていた生まれも育ちもニューヨークのユダヤ人、ピーターは、「日本に住んで何年経っても、日本人が『マクドナルド』と言うのを聞くとムズムズ(itchy)する」と言っていた。

 

| | コメント (4)

2024年4月26日

電車内の迷惑行為、「前リュック」に関するチグハグ

HUFFPOST に "電車内の迷惑行為。「前リュック」「足を広げて座る」よりも嫌がられるのは意見が分かれるあの行為だった" という記事がある。この見出し、「はぁ?」と思わない方がおかしいだろう。記事内の表では「??」でボカされた 1位の「あの行為」なんてことよりずっと気になってしまう。

2404261

何がおかしいのかというと、見出しでは迷惑行為として「前リュック」が挙げられているが、そのすぐ下の表では「リュックを前に持たない」ということが第 2位になっているのだ。おいおい、一体どっちが迷惑行為なんだと言いたくなってしまうではないか。

この記事自体は市場調査を手がけるマーケティングテクノロジー社が「電車やホームでの迷惑行為」について行ったアンケート結果を報じたものである。そしてその結果、「リュックを前にもたない」ことが迷惑行為として第 2位に挙げられたということのようなのだ。

ところがこの記事の見出しを付けた編集スタッフは「前リュック」の方こそ迷惑と固く信じているようで、そのため記事の内容まで勘違いしたらしく、迷惑なのは「前リュック」と受け取れる見出しにしてしまっている。見出しと記事内容がこんなにまでチグハグというのも珍しいことだ。

ちなみに「前リュック」に賛否両論があるのは事実で、dmenu ニュースには【電車内で「前リュック」はマナー違反なのか 鉄道会社も配慮する "リュックは前に抱えるな派" の言い分】という記事もある。実はなかなか難しい話なのだ。

2404262

ただこの記事についていえばあくまでもアンケート結果を報じるものなのだから、「前リュック」が迷惑行為という編集スタッフの個人的見解が前面に出た見出しは問題だろう。

とはいえもう少し深掘りすると、アンケートへの「前リュック」に関する回答にも実は 2通りあったのに、集計した人間がつい 1つにまとめてしまったという可能性もある。こうなるとなかなか一筋縄では行かない。

ちなみに私は個人的には、電車内ではリュックを背負ったり前に抱えたりせず、片手で持って足許にぶら下げるか棚に置くようにしている。多分、これが正解だ。

私は「リュックサックとの長い付き合い」(2016年 3月 21日付)いう記事で、自分が「ワセダで多分最初にデイパックで通学した男」と書いていて、半世紀近くリュックを背負っているベテランだから信じてもらっていい。なお「デイパック」というのは小型のリュックのこと(念のため)。

最後に書いておくが、アンケートの 1位に挙げられたのは「化粧をする」ということだそうだ。まあ、これについても意見が分かれるところだが、私は2009年 9月 8日付 ”「電車内での化粧」に関する「良識の落とし穴」” という記事で論じているので、よろしければどうぞ。

 

| | コメント (2)

2024年4月21日

「アタオカ」って、さすがにわからなかったよ

今月 18日に "「コスパ」はわかるが、「タイパ」はちょっとなあ" という記事を書いた。「タイパ」というのは「タイム・パフォーマンス」を縮めた若者言葉なんだそうだが、今度は「はてな匿名ダイアリー」で「アタオカ」という難語に遭遇してしまった。

240421

同じページにある「ブコメ」と「大量スター」というのも何だか謎である。こうして ブログの毎日更新を20年以上続けているのだから、ネット界隈での新語にも少しは通じているつもりなのだが、ここまでくるとさすがに難解すぎる。

すぐに降参してググってみると、weblio 辞書に ”「あたおか」とは、頭がおかしいことを意味する表現である” とあった(参照)。「見取り図」というお笑いコンビが言い出した言葉らしく、次のように説明されている。

M-1 という大きな舞台で披露したことで、広く世の中に浸透していった。そして、「あたおか」は2019年のインスタ流行語大賞にノミネートされるほどに人気を博した。

へえ、4年以上前から「広く世の中に浸透」していたとは、ちっとも知らなかった。私ってば「世の外」で生きてるのかしらん。ちなみにこの「インスタ流行語大賞」というのをググってみると、2023年上半期インスタ流行語大賞というのが見つかった。こんなのだそうだ。

2404212

うぅむ、トップの「蛙化現象」というのは聞いたことがあるが、自分で実際にこの言葉を使うほどの共感はまったくないし、3番目と 5番目の意味は単純に想像がつくが、他はわからない。そして、わからなくて困るようなケースに遭遇したこともない。

さらに言えば、この「上半期」のランキングは昨年 6月 12日付の発表のようだが、同年下半期の発表はググっても見当たらない。ポシャっちゃったのかなあ。いずれにしてもよくわからん。

念のため、「ブコメ」というのは ”「ウェブサイトをブックマークした際にコメントを併記すること、および、そのコメントのことである。「ブックマークコメント」の略と解釈される。もっぱらHatenaが運営する「はてなブックマーク」および「はてなブログ」などで用いられる語” とある(参照)。

へえ、「はてな」のサービスは私も利用しているが、そんなことまでは知らなかった。これを知って、逆に「あまり深入りしないでおこう」なんて思ってしまったよ。

もう一つの「大量スター」というのはググってもわからなかったが、要するに「いいね」が大量に付くみたいな意味なのかもしれない。

今回は「はてなダイアリー」に書かれた「太陽光発電てインフラ?」なんていう内容まで入っていく前に疲れてしまったので、これでおしまい。入っていっても別に大したことないみたいだし。

 

| | コメント (0)

2024年4月18日

「コスパ」はわかるが、「タイパ」はちょっとなあ

HUFFPOST の「早く知りたかった…!タイパ最高の部屋干し方法を、家事のプロが伝授」という記事を思わずクリックしてしまった。別に上手な部屋干しについて知りたかったというわけじゃなく、ただひたすら「『タイパ』って何だよ!」と反応してしまったのである。

240418

まず先に書いてしまうが、「プロが伝授」という効率的な部屋干しの仕方というのは、「洗濯物は部屋干し×衣類乾燥除湿機」ということなんだそうだ。おもしろくもなんともない。我が家ではそんなこと何十年も前からやってるからね。

こちらの心がざわついてしまったのは、この結論の紹介のしかたである。こんな具合だった。

どうすればタイパ(かけた時間に対する効果や満足度)良く、室内で洗濯物を乾かすことができるのか、プロがその方法を教えてくれました。

ここで初めて「タイパ」というのは「タイム・パフォーマンス」の省略形なのだろうと推定できたが、この文章の中ではそのことについては一言も触れられていない。何だかなあ。

ちょっと調べてみたところ、HRpro というサイトに ”Z世代が重視する「タイムパフォーマンス(タイパ)」の意味とは? メリットやビジネスにおける事例を解説” という記事がある。昨年 7月 5日付だ。

この記事では ”三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2022」では「タイパ」が大賞に選出された” と紹介されているが、そんなことはちっとも知らなかった。この 2年の間にこの言葉の認知度が高まってフツーに使われるようになったとは、全然思われないがなあ。

しつこくググってみたところ、この「今年の新語」ということに関しては nippon.com というサイトに ’No Time to Waste: “Taipa” Chosen as One of Japan’s Words of 2022’ という記事が見つかった。これを読むと、英語圏では ”time performance" という言葉すら一般的ではないようだ。

実際のところ、”time performance" でググってもヒットするのは日本のページが圧倒的で、Wikipedia では ”「コストパフォーマンス」の「コスト」を「タイム」(時間)に置き換えた造語で、和製英語” と断言されている(参照)。

ちなみに冒頭で紹介した記事で、室内干しの効率的なやり方を教えてくれたのは "「タイパ家事」のプロ・矢野きくのさん" なのだそうだが、この名前でググっても「家事アドバイザー」と表示されるばかり(参照)で、”「タイパ家事」 のプロ” なんて奇妙な文言での紹介はほとんどない。

なお経験上の話になるが、「洗濯物は部屋干し×衣類乾燥除湿機」というのは、天気のいい日でも外干しより「タイパ」とやらがよく、あっという間に乾く。しかし当然ながら「コスパ」は悪いので、天気さえ良ければ外干しの方がオススメだ。

ついでに念のため、ほかにも「〜パ」という言葉があるかと調べてみたところ、「スペパ」なんていうのが見つかった。「スペース・パフォーマンス」の略語なんだそうだが、やれやれだ。

こんな感じでいいなら「エネパ」(エネルギー・パフォーマンス)なんてのがすぐに思い浮かぶし、「会議」は "congress" だから「コンパを意識した会議」なんてマジで言い出すやつが出てきそうでコワい。

【同日 追記】

エネパ」は既に使い始められているらしい。ちょっと安易だよね(参照)。

 

| | コメント (2)

2024年3月20日

最近の変な英語看板は「自動翻訳」の産物なのかも

この国では全然珍しくも何ともない「変な英語看板」だが、最近は「自動翻訳」に頼りすぎた結果なんじゃないかと思われるものが増えているように思う。何しろ機械的過ぎるほどの「トンデモ直訳」が目立つのである。

240320

典型的なのは、「トイレは駐車場です」を "The toilet is a parking lot." としちゃってる例だ。名古屋城正門前のトイレは、クルマを突っ込まれてしまいそうだ。

2403203

日本語的には「トイレは駐車場です」でも何とかわかってもらえるだろうが、自動翻訳はバカ正直に「トイレ=駐車場」と受け取っちゃいがちだ。実際に試してみたところ、Google 翻訳では "The toilet is in the parking lot." とまともだった(参照)が、weblio ではまんまの訳が表示された。

240320112

本来は元の日本語を「トイレは駐車場内にあります」とすべきだったのだが、それでも weblio でやってみると、まともな翻訳のほかに第二候補として、”In the restroom, a parking lot is inner”(トイレ内では駐車場が奥にあります ???)なんてぶっ飛んだ訳が示された。

24032013

さらに「本日は終了しました」が "Today is over." になってしまったのも、単純直訳の産物だ。終了したのは決して「本日」ではなく、「本日の営業」なのだが、直訳のせいで「今日が終わった」になってしまっている。

2403205 

「本日は閉店しました」ということなら、フツーは "Closed for today." といった決まり文句があるんだけどね。

次の写真は多分ホテル客室内の冷蔵庫に関する表示のようだ。「使用不可/不能使用」が "I cannotuse it" という翻訳になってしまったのは、自動翻訳がちょっと気を利かせたつもりで「私は」という主語を補ったからだろうが、そのせいでますますおかしくなってしまった。

2403208

しかもそれを書き写す際に "cannot" と "use" をつなげちゃったものだから、摩訶不思議なまでの不調法になっている。

この水は飲めません」という日本語も、自動翻訳にかける場合は理窟が通るように「この水は飲用ではありません」と言い換えれば、ごくフツーに "Not for Drinking" とはならないまでも、なんとかなっただろう。

2403206

この場合も「私は」という主語が補われた結果、"I cannot drink this water." (私はこの水、飲めません)なんてことになってしまった。せめて主語を "You" にしてくれたら、何とか理解してもらえるだろうが。

一方で、補う主語を "you" にしたのはいいのだが、補い過ぎてヤバいことになった例もある。

2403209

あぶないから、はいってはいけません」が "Because you are dangerous, you must not enter." では、「あなたはアブナい人だから進入お断り」になってしまう。余計なことを考えずに、ごく素直に "Off limit" にしとけばよかったのに。

というわけで、自動翻訳にかけてトンデモな英語にされてしまうのは、元々の日本語からしておかしい、といって語弊があるなら、翻訳にかけるには不親切過ぎる表現の場合が多いのだと気付いた。要するに日本語の段階で不自由なのだから、自動翻訳なんかにかけたら不自由以下の英語にしかならない。

こうした看板を作っちゃう人って母国語が不自由なほどだから、翻訳結果の外国語が不自由以下のできでも、ためらうことなくそのまま看板にして平気なのだね。フツーの英語のお約束的言い回しを知っていれば、まどろっこしくて余計な翻訳なんてせずに済むのに。

教訓その 1: 自動翻訳(とくに和文英訳)の結果をそのまま信じてはいけない。

教訓その 2: どうしても自動翻訳を使いたい場合は、元の日本語を村上春樹調(下の「注」参照)に書き換えてからにすべし。ただ、それができるくらいなら自動翻訳なんていらないか。

【注】

村上春樹調」の英訳は weblio では "Haruki Murakami-like" と表示されるが、どうもこなれが悪いので、"Haruki Murakami style" と言いたいところだなあ。

| | コメント (4)

より以前の記事一覧