カテゴリー「比較文化・フォークロア」の344件の記事

2024年5月31日

北朝鮮の「汚物風船」と「エンガチョ」のまじない

多くのメディアが、北朝鮮が韓国に向けて「紙くずや糞尿をぶら下げた風船」を飛ばしたと報じている。下の動画は TBS の "風船にごみや汚物 韓国・ソウルに飛来 北朝鮮が散布か 韓国軍「国民の安全を深刻に脅かす行為" というニュース動画だが、思わず「エ〜ンガチョ!」と口走りそうだよね。

これについて北朝鮮は、飛ばした汚物は韓国側が金正恩体制を批判するビラ風船を北朝鮮側へ飛ばしていることへの対抗で、「誠意の贈り物」なのだとマジで主張している。かくも低次元な所業で国家としての品位を自ら落としまくってみせるというのは、この国以外に知らない。

ちなみに汚いモノに触れた場合、例えば道で犬の糞なんかを踏んづけちゃったりした時なんかは、昔から「エンガチョ」と唱えれば穢れが落ちるという口伝がある。まことにもって手軽で便利なまじないである。

「エンガチョ」は口で唱えるだけでなく、お約束の仕草を伴うことが多い。例えば人差し指と中指を交差させるというのがある。こんなのだ。

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もっとダイナミックなバージョンは、最近では「エンガチョップ」とも言われているらしく、あの『千と千尋の神隠し』にも出てくる。

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というわけで私自身、幼い頃から「エンガチョ」には慣れ親しんできたわけだが、この言葉の意味とか語源とかいうことまでは考えたことがなかった。今さらのように調べてみると、Wikipedia の「エンガチョ」の項に次のような説明がある(参照)。

網野善彦によると、エンは穢や縁を表し、チョは擬音語のチョンが省略されたもので、意味としては「縁(穢)を(チョン)切る」を表すとしている。他に「因果の性(いんがのしょう)」の転訛とする説、「縁が千代切った」の略とする説などがある。

ふうむ、思いがけなく生じてしまった汚れとの縁をちょん切るということのようなのだね。人差し指と中指を交差させる仕草については、Wikipedia に次のような記述もある。

日本の民俗風習に於ける「穢れを防ぐ行為」は古来よりあるとされ、13世紀ごろの『平治物語絵詞』には信西の生首を見ている人々が人差し指と中指を交差させている図が確認できる。

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信西(「しんぜい」と読んでね)は保元の乱を画策し、平治の乱後に晒し首に処せられた人物である。その晒し首を見た人々は穢れを避けようと人差し指と中指を交差させていたというのだから、ずいぶん古くからある仕草なのだね。この時「エンガチョ」と言っていたかどうかまでは不明だが。

これっておそらく、通常とは別の指の並びという「ちょっとした非日常性」を導入することにより、日常的な身体感覚に紛れ込んだ「不浄のイメージ」を払拭するというような意味合いがあるのだろう。

最初に触れたニュースに戻るが、あの国って弾道ミサイルを発射する一方で、「ウンコ飛ばしちゃおう!」なんてアイデアが実際に採用されちゃったりするのだね。国家施策のコンセプトの幅は狭いが、落差はやたら大きい国である。

これの準備作業に当たらされた人が気の毒だ。

 

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2024年5月 7日

鯉のぼりの「布製」と「ナイロン製」という表記って?

2日遅れの話題となってしまったが、HUFFPOST がウェザーニュースの "「鯉のぼり」の泳ぐ風速ってどれくらい? 5月5日はこどもの日" という記事を紹介している。「ゴールデンウィーク終盤の 5月 5日はこどもの日。鯉のぼりが元気に泳ぐ風速について解説します」というサブタイトル付きだ。

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ウエザーニュースならではのおもしろい視点の記事だが、中身を読んでちょっと残念な気持ちになった。というのは、下の図のように鯉のぼりの分類の仕方が「布製」「ナイロン製」「子供用」という 3種類なのである。

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これ、分類としてはメチャクチャだ。というのは、「布製でない鯉のぼり」なんて「紙で作ったおもちゃ」ぐらいのものだからだ。

この場合、「布製」は「大分類」、「ナイロン製」は「中分類」だから、「含む・含まれる」の関係である。綿だろうがウールだろうが、ポリエステルだろうがナイロンだろうが、糸を織れば「布」 で、「ナイロン」はその素材だから、同列に並べることはできない。

さらに「子供用」と言ってしまうと、それは素材についてはまったく問わず、単に「小さなヤツ」ってなことなのだろう。これではまったく分類になっておらず、単に「雰囲気のモノ」でしかない。

想像するに、この生地の「布製」というのは多分伝統的な「綿織物」を指しているつもりなのだと思われる。一方、「ナイロン製」は「合成繊維織物」(おそらくポリエステルもごっちゃになってる)を使ったものというココロなのだろう。

そうでなければ、「ナイロン製」というのはナイロンの樹脂を糸にせず、そのまま延ばしてビニール袋みたいな筒状に整形したものということになってしまう。そんな鯉のぼりは存在しないが、あったとしたら破れやすいだろうなあ。

雛人形、五月人形、鯉のぼりなどを扱う prefer というサイトの「鯉のぼりが表しているものは? どんな素材でできているの?」というページの説明によれば、最近の鯉のぼりの素材は「ポリエステル生地とナイロン生地が主流」とある。綿生地は一般的ではなくなっているようだ。

綿はナイロンやポリエステルより比重が重いから、綿製の鯉のぼりを泳がせるには結構な風が吹かなければならない。最近の鯉のぼりがちょっとした風でも元気に泳いでいるのは、軽いからなのだね。

ちなみに、屋外が舞台となる鯉のぼりというのは直射日光による退色が進みやすく、案外寿命が短いようだ。徳永鯉のぼりというメーカーのサイトでは、ポリエステル製はナイロン製よりやや退色しにくいものの「5~8年程度で色褪せがはじまる場合があります」とされている(参照)。

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なるほど、5月の連休になると一時は小貝川を横断してズラリと吊されていた鯉のぼりが最近はかなり淋しくなってきたのは、どんどん寿命が来ちゃってるからなのだろうね。雛人形だと江戸時代に作られた値打物の骨董品が博物館などに展示されたりしているが、それとはエラい違いだ。

こうした視点からも、男の子とは哀しいものである。

 

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2024年5月 4日

花札の謎が解けた

日本独特のカードゲーム、花札だが、私は60年以上も不思議に思ってきたことがある。それは 1月の「松」、8月の「芒(すすき)」、12月の「桐」の札の絵が、どうしても「松」にも「芒」にも「桐」にも見えないということである。

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他の札は、2月の「梅」でも 3月の「桜」でも 4月「藤」でも 5月の「菖蒲(あやめ)」でも、素直にそのように見える。しかし、「松」と「芒」と「桐」だけは、そうじゃないと思っていたのだ(参照)。

しかし、このほど調べてみて謎が解けた。解けてみれば「なぁるほど!」というようなことだ。

まず 1月の「松」である。誰が見ても「どうして、こんなサボテンみたいなのが松なんだ?」となるが、実はこれ「正月飾り」などにする「若松」の図案化のようなのだ(参照)。なるほど、門松だと下の左のようになり、玄関口などにぶら下げる若松だと、右のようになる。

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花札の「松」は 1月の札だから、この「若松」を象徴化したデザインになったのだね。まあ、どうしても一見サボテンのように見えてしまうが、ここは一応納得しておこう。

次に 8月の「芒」だが、ただ黒くて丸い禿げ山みたいなのがあるだけなので、通称「ボーズ」なんて言われる。私も単なる禿げ山だと思っていたが、よく見ると黒い中にススキのような線があるではないか。うむ、確かにススキである。これまでこんなところまでしっかり見たことがないので気付かなかった。

最後は 12月の「桐」である。「桐箪笥」なんてものがあるぐらいだから、私は「桐」というのは木なのだとばかり思っていたが、実は草本なんだそうだ(参照)。道理で桐箪笥が軽いわけである。

そんなこともあって、花札の「桐」は花の部分を図案化してこんな草みたいな形になっているらしい。いやはや、調べてみるものである。

花札って、他の札はかなり具象的なデザインなのだが、「松」「芒」「桐」だけは妙に抽象的なのだね。

 

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2024年3月14日

「ホワイトデー」と郵便局の、かなりアヤシい関係

今日は「ホワイトデー」で、何でもバレンタインデーでもらったプレゼントのお返しをする日なんだそうだ。とにかくよくわからないので、試しにちょっとググってみたところ「ホワイトデーのお返しの意味を解説! マシュマロやクッキーのお返しの意味とは?」というページが見つかった。

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これ、「郵便局のネットショップ」というサイトにあり、最下段の「サイト運営会社について」をクリックすると、日本郵便株式会社の運営とあるから、確かに他ならぬあの郵便局のページに違いない。2007年に「日本郵政公社」から民営化されて以来、郵便局もずいぶんクダけた存在になったものだ。

で、問題は郵便局のこのページで解説されている「ホワイトデーのお返しの意味」なのだが、よくわからないけどアヤシくもおもしろいのである。それぞれの品物の意味は、かいつまんでまとめればこんなようなことになるという。

マシュマロ 「あなたのことが嫌いです」「その気持ちはお断りします」
キャンディー 「あなたのことが好きです」
チョコレート 「あなたと同じ気持ちです」「これまでと同じ関係を保ちましょう」
クッキー 「友達でいましょう」
キャラメル 「安心する存在」「あなたと一緒にいると安心します」
マカロン 「あなたは特別な人」
マドレーヌ 「あなたと仲よくなりたい」
カップケーキ 「あなたは特別な人」
グミ 「あなたのことが嫌いです」
バームクーヘン 「この幸せが長く続きますように」
ハンカチ 「これまで続いてきた関係を終わりにする」
香水 「あなたと親密な関係になりたい」

注目すべきは「マシュマロ」に「あなたのことが嫌いです」「その気持ちはお断りします」なんていう意味があると、ことさらトップで紹介されている点だ。この「マシュマロ」の項目では妙にご丁寧なことに、ホワイトデーの誕生についてまで次のように語られている。

ホワイトデー誕生には諸説ありますが、マシュマロがホワイトデーの定番のお菓子となった歴史は、老舗の和菓子・洋菓子店である石村萬盛堂がきっかけといわれています。

郵便局が自ら「マシュマロがホワイトデーの定番のお菓子」と認めて、石村萬盛堂自身も ”ホワイトデーの起源は、昭和 52年に石村萬盛堂の考えついた「マシュマロデー」より由来しております” と自社サイトで訴求している(参照)。

それだけに郵便局の「マシュマロには『あなたのことが嫌いです』という意味がある」という決めつけには、かなりの違和感が残ってしまう。もしかしたら、郵便局はマシュマロか石村萬盛堂に恨みでもあるのかしらん。

男性側からマシュマロのお返しをされた女性がこの郵便局のページを読んだせいで関係が気まずくなったとしたら、郵便局は責任を取ってくれるのだろうか? まあ、そんなのどうでもいいけど。

ちなみに Wikipedia によれば中国では「ホワイトデー」を「白色情人節」というらしい(参照)が、いくら日本の「ホワイトデー」という名称からきたとはいえ、日本的感覚からするとちょっとスゴいなあ。下手すると白人のお妾さんをもつ日なんて誤解されそうだが、これもまたどうでもいいや。

 

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2024年3月 3日

本来の桃の節句(旧暦)は、来月 11日なのだよね

今日は 3月 3日で世間では「桃の節句」ということになっており、ひな祭りが行われる。しかし私の生まれた山形県の庄内の ひな祭りは「月遅れ」の 4月 3日ということになっている。下の写真は 17年前の 3月末に帰郷した際、近所の蕎麦屋に飾ってあった庄内の雛人形を詠んだ『和歌ログ』のものだ(参照)。

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ちなみに日本の多くの地方では、三人官女の真ん中が座り、両端が立っているというパターンが多いが、庄内では真ん中が立っている場合が多い。「月遅れの三人官女真中には立ち雛のゐて懐かしきなり」という歌になっているのは、そうした文化的背景がある。

ところで庄内ではひな祭りをどうして月遅れで祝うのかというと、もちろん雪国で春の来るのが遅いからということもあるが、それはむしろ二次的な理由で、本来的には「桃の節句」自体が旧暦のものだからである。ずっと昔から祝われてきた行事なのだから、当然の話だ。

そもそも「桃の節句」と言っても、3月初めには桃の花なんて咲いていない。桃の開花時期は、3月下旬から 4月上旬と言われているのだから、新暦 3月 3日では早すぎるのだ。

今年の旧暦 弥生 3月 3日は、新暦でいうと 4月 11日にあたる(参照)ので、桃の花の満開の時期である。本来ならこれでちょうどいいのだが、旧暦は計算が面倒なので便宜的に「月遅れ」が慣習になっている。

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桃の節句だけでなく、日本古来の「五節句」というのは新暦ではいくらなんでも早過ぎる。

  • 1月 7日 ・・・ 人日の節句(七草の節句)
  • 3月 3日 ・・・ 上巳の節句(桃の節句)
  • 5月 5日 ・・・ 端午の節句(菖蒲の節句)
  • 7月 7日 ・・・ 七夕の節句(星まつり)
  • 9月 9日 ・・・ 重陽の節句(菊の節句)

考えてもみるがいい。大寒の 10日以上前の真冬に「春の七草」なんて、白々しいにもほどがある。さらに梅雨も明けないうちの新暦の七夕は、織姫と彦星に気の毒すぎるではないか。東北ではかの有名な仙台の七夕祭りにしても月遅れでやるから、かなりしっくりくる。

同様のことは正月でも言えて、私は個人的に、現代の年賀状の挨拶に「新春のお慶びを申し上げます」なんて書くのはいかがなものかと思っている。「大寒」(今年でいえば 1月 20日)より半月以上前なのに「新春」なんて言うのはよく考えれば、いやそれほど考えなくても白々しくも寒々しい。

年賀状に「新春」なんて言葉を使うのは、「旧正月」(旧暦 1月 1日)でやっていた頃の名残りだろう。今年の場合で言えば旧正月は 2月 10日にあたり、これなら立春を過ぎてるから立派に「新春」なのだ。

新暦の 1月 1日に届く現代の年賀の挨拶では「新春」という言葉は避けたいところだ。どうしても「新春のお喜び」と言いたいなら、旧暦の元日に届くように出せばいい。日本以外のアジア圏では正月と言えば旧正月の方が盛んでもあることだし。

というわけで、年賀状はもう仕方がないにしても、五節句は少なくとも月遅れで祝うことにしたいと私は常に思っているのだよね。東北の素朴で趣き深いひな祭りを見たいなら、今日ではなく今月末以後に訪れればいいのである。

 

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2024年2月22日

スコットランドのキルトって、すごいじゃないか!

らばQ に「スコットランド民族衣装のキルトは…こんなに着るのが難しかった」という記事がある。この記事からリンクされる動画は、ちょっと感動ものだ。

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何しろ、プリーツ・スカートみたいに見える「キルト」というのは、実は大きな 1枚のウール生地なのである。まずそれを広げてプリーツを着け、寝転がって体全体に巻き付ける。起き上がるとウエストから下が二重のスカートみたいになり、その外側を上半身にたくし上げるのだ。

百聞は一見にしかずというから、下の画像をクリックして Reddit に投稿された動画を見ていただきたい。「なるほど!」と理解できると思う。

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こんなに大きな布を手間をかけて身に付けるというのは一見ナンセンスに思えるが、下に紹介したコメントをみれば納得される。

衣服としてしか使わないのであれば、非効率的だ。キルトは寝袋、毛布、レインコート、テント、タープとしても使える。17世紀の人々にとっては、非常に汎用性の高いものだ。

それがよくわかる動画もある。タイトルからして "The Great Kilt -ULTIMATE SURVIVAL BLANKET? - Outdoor Clothing & Shelter in ONE Multifunctional Cloth"(偉大なるキルト - 究極のサバイバル・ブランケット? - 1枚の多目的生地でのアウトドア服 & シェルター)というものだ。

とにかく動画の冒頭からして簡易テントや寝袋としての使い途の紹介なのだから、ちょっとわくわくする。

「うちにはキルトを着る床のスペースがない」というコメントへの解答は動画の 11分 23秒あたりから示される。草の上に広げてやる方法もあるし、なんなら立ったまま広げずにやる(12分 2秒あたりから)こともできるのだ。

「プリーツを付けるのが面倒」という向きには、ファーストベルトを通して簡単にプリーツを着けるためのループ付きキルト(12分 30秒あたりから)もある。さらに大きなポケットのように使うこともできる(14分 35秒)し、「おぬし、なかなかやるな!」ってなもんだ。

私も 1枚欲しくなってしまうほどだが、これだけ大きなウール生地だと、かなりお高いだろうなあ!

値段を調べようと Amazon にあたってみたのだが、キルティングの生地既製品のスカートみたいなものしか見つからなかった。要するに、大きなウール生地を手に入れればいいのだろうね。

【追記】

ざっと調べてみたところ、ウール 100% のハリスツィードだとこんなところのようだ。お値段は 50cm で 1,990円。

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用尺 4m は必要そうだから、税込みで 9,000円弱。単なる酔狂(さすがに来て外出したら目立ち過ぎ)にしてはちょっとしたお買い物になっちゃうよね。妻に怒られそうだから、我慢しとくか。

 

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2024年2月18日

指を使った数え方、日本式が便利でスムーズなんだが・・・

パンドラの憂鬱というサイトに ”海外「なんで日本だけ違うんだ?」指を使った数の数え方が日本人だけ世界的に特殊だと話題に” という記事がある。なるほど、日本以外は折った指を立てていくという「外向的」な数え方だが、日本は立てた指を折っていくという「内向的」なアクションだ。

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上の画像では、一番上が米国・中国式、2番目がドイツ、イタリア、フランス、スペインなどのヨーロッパ式、そして一番下が日本式である。

日本では昔から「指折り数える」なんて言うが、日本式以外だと「指立て数える」と言わなければならないだろう。そして日本式は常に掌を自分の方向に向けるのが特徴だ。向こう側に向けて数えるなんてことは、ほとんどない。

ということは、日本式は自分の目で確認しながら数えていくためのメソッドで、いわば「内向的」かつ「連続進行的」である。そして日本式以外は「数える」という連続性よりも、外に向かって「数を示す」という「外向的」かつ「固定的」な機能の方がやや大きいだろう。

「残りは 3つしかないよ!」と言う時には、指を 3本立てて他に示す方が圧倒的にわかりやすい。そして注目すべきことに、日本人だってそんな場合は米国・中国式に指を立てる。指を 3本折った状態で他に示すことなんてないのだから、意識的、無意識に関わらず使い分けているのだ。

それだけに「数を連続的に数えていく」という機能に限定すれば、日本式の「指折り数える」やり方にメリットがある。それは 5 まで達したら、あとは逆戻りして指を開きつつ「6,7,8・・・」と、10 まで数えられるということだ。他の方式だと 10まで数えるには両手を使わなければならない。

さらに余計なお世話かもしれないが、米国・中国式だと 3 を示すのに小指を折って親指で押さえるというのが結構難しいし、ヨーロッパ式だと 3 から 4 に移る時に一度開いた親指をたたんで小指を開くという、ちょっと変則的な動きになってしまう。その点でも日本式は圧倒的にスムーズだ。

元記事へのコメントを見ると、外国でも日本式の数え方をしているという人は少なくない。それだけ、慣れてみれば日本式が便利と言うことだろう。そしてパンドラの憂鬱の記事は、最後で筆者が次のようにまとめている。

基本的には人によるでしょうかね。
自分も最後から2番目の方と同じで、
自分のために数える時は「日本式」で、
相手に伝える時は「米国式」ですね。 

穿った見方をすれば、「内向き/外向き」で表現がガラリと変わるメソッドというのは、そもそもの日本的メンタリティを象徴しているとも言えそうである。

 

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2024年1月 3日

「おみくじ」って、やっぱり「雰囲気のもの」なのだね

HUFFPOST に「おみくじの運勢の順番は?神社で結ぶのが正解?初詣前に知りたい【おみくじ豆知識】」という記事がある。”「吉と小吉、どっちの方が良い?」「神社に結ぶ?それとも持って帰る?」初詣前におさらいしておきたい、おみくじの豆知識を紹介します」” というサブタイトル付きだ。

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神社のおみくじについては、詳しいことはほとんど何も知らないで生きてきた。個人的には神社でおみくじ引くことなんてあまりないし、これまで「小吉」と「末吉」以外に遭遇した記憶がないから別にどうでもいいんだけどね。

おみくじの運勢というのは案外ややこしくて、記事には「一般的なおみくじには、次の 2パターンの順番があるといいます」とある。

  • パターン ①
    大吉 > 吉 > 中吉 > 小吉 > 末吉 > 凶 > 大凶

  • パターン ②
    大吉 > 中吉 > 小吉 > 吉 > 末吉 > 凶 > 大凶

「へえ!」ってなものである。はっきり言って、どちらもしっくりこない。

「大吉、中吉、小吉」があってそれとは別に「大でも中でも小でもない『吉』」があるというのが不自然で、単純な順番付けをするには無理がありすぎだよね。そんなことだから、「吉」が「中吉」より上だったり「小吉」より下だったりという混乱が生じてしまう。

それから「末吉」というのもわからない。辞書的には「おみくじで、あとになって開ける運のこと」 とある(参照)が、時間軸の異なるものを同列に並べて順番付けするのは理窟に合わないじゃないか。 

さらに ”「半吉」「平」「吉凶末分」「吉凶相交」など、珍しい吉凶が存在する神社もあります” というのだから、ますますわけがわからない。

多くの人は「吉凶相交」(「いいことも悪いこともある」ってことだろう)の日常を過ごしてるんだろうから、こう言っときさえすればほぼ間違いなく当たる。ところが「吉凶末分」(「いいことも悪いことも後になって分けられる」と解釈できる)となると、「おみくじ」の意味がなくなるだろう。

こう考えるとそもそもの話として、おみくじに書かれた「運勢」というものに順番を付けるということ自体が見当外れということになる。結局のところ、あまりこだわらずに「雰囲気のもの」(参照)と受け取っていればいいのだろう。

 


お知らせ


このブログサイトに「tak-shonai 年賀状ギャラリー」というのを作らせていただいた。これまで web 上で発表した年賀状を一挙に閲覧できるようにしたものである。

その年ごとの干支などに関するウンチクページにもリンクされるので、宜しければ下のバナーをクリックしてギャラリーに飛んでいただきたい。

Nycicon

 

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2023年12月28日

知恩院の除夜の鐘の突き方がなかなかいい

朝日新聞 が ”一足早く除夜の鐘 「日本三大梵鐘」京都・知恩院で試し撞き” というニュースを伝えている。そういえば 10年以上前に知恩院を訪れた時、梵鐘を見て確かに「デケぇなあ!」と思った。

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記事には ”釣り鐘は「日本三大梵鐘」の一つで、高さ 3.3メートル、直径 2.8メートル、重さ 70トン。17人の僧侶が息を合わせて撞くため、毎年、事前に練習している” とある。やっぱりこのくらい大きいと、本番前に練習が必要みたいなのだ。

ところでこの記事に、気になる表現が見つかった。こんなのである。

1人が親綱を持って「えーい、ひとーつ」と掛け声をかけると、16人が「そーれ」と応じて子綱を引き、親綱役が仰向けになって、長さ 4.5メートルの撞木を勢いよく鐘に打ちつけた。

仰向けになって」だと? 鐘を撞くのに仰向けになるのか?

改めて写真を見ればなるほど、確かに仰向けになっている。ただしこの写真だけではよくわからないので動画を探してみると KYODO NEWS の動画が見つかり、これを見てようやく様子がわかった。

これは確かに口で説明するのが難しい。要するに重力に任せて自分の全体重を撞木に伝えるのだね。

京都には何度も行っているのだが、大晦日に行ったことなんてないので、こんなような鐘の撞き方は初めて知った。私はほとんどテレビを見ないので、視覚的に見ないとわかりにくいことには案外疎かったりする。

それにしてもちょっとアクロバチックで面白い撞き方だ。私もやってみたい気がしてしまったよ。

 

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2023年11月15日

本の外側の箱は、その道では「函」というらしいが

「何とか全集」とか辞書などの類いの本には、外側の箱が付いていることが多い。しかし外国ではどんな豪華本でもこんな箱の付いているのは見たことがないので、どういうことなんだろうと急に気になってググってしまった。

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ブックカバー(表紙に付けるカバー)が日本独特のものとは知っていた(参照)が、もしかしたらこの箱もそうなのかもしれない。ちなみにこれを正式に何と称するかについては、Yahoo! 知恵袋にも以下のように諸説あって(参照)、決定版とも言うべき正式名称ってないみたいなのだ。

  • 「函(はこ)」または「ケース」といいます。
  • 業界用語で「貼函」、一般用語では「外箱」「ブックケース」というそうです。「貼函」という語は、箱の中(本体)を段ボール紙で作り、上から装丁用の紙を貼るので、そのように呼ばれるとのことです。
  • ”外装箱”といいます。略して”外箱”ってよんでます。

どうやら一般的には「外箱」で漢字表記も「箱」でいいようだが、その道に深入りすると「函」という表記になるようなのだ。そして上の 2番目に登場する「貼函」というのは、片側の狭い口から入れるいわゆるフツーの「外箱」じゃなくて、こんなような豪華本用の蓋付きの箱を指すようだ。

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さらに問題は「ケース」とか「ブックケース」とかいうカタカナ名前だが、これらはまともな英語とは到底思われず、"bookcase" で画像検索すると、以下のようにいわゆる「本棚」ばかりが出てくる。つまり英語で "bookcase" と言ったら、フツーはまず「本棚」が頭に浮かぶってことだね。

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じゃあ、この「外箱」のことをホントの英語ではなんというのか、辞書サイトの英辞郎で調べてみるとこんな結果になった(参照)。

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一番上の "forel" というのは「(本の)」というもっともらしい但し書きのせいで逆に不安になり、"forel" で画像検索をかけたら、魚の画像ばっかり出てきた(参照)。そして Wictionary では ”forel" が次のように説明されている(参照)が、いわゆる「外箱」とは別物としか思われない。

A kind of parchment for book covers; a forrill. (一種のブックカバー用羊皮紙; forrill とも言う)

一番下の "slipcase" も、文字通り滑らせるように入れるケースってことで、別に本のケースに限らないだろう。要するに「眉唾」だ。

いろいろ調べてみたところ、「日本における書籍函の盛衰について」というかなり信頼の置けそうな研究レポートが出てきて、その冒頭近くに次のようにある。

明治初期(19世紀半ば)わが国に導入された洋式製本の技術は,それまで日本に定着していた文化と技術の伝統を活かし様々な冒本型の製本様式を作り上げるが,以下に述べる書籍用函もその一つの例である。

なるほど、やはりこれもまたブックカバー同様に、日本独特の様式なのだね。道理で、英語でどういうのかなんて調べてもまともな訳語が示されないわけだ。

ちなみに私の手持ちの紙の辞書は、「外箱」をすべて処分してしまってる。あんな邪魔くさい「ハコ」があるから、気軽に辞書を引く習慣がつかなくなるんじゃなかろうか。

 

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