節分行事の鬼が怖くて、保育園に行きたがらない子
朝のラジオを聞いていたら、「子どもが節分行事の鬼が怖くて保育園に行きたがりません」という聴取者からの投稿があった。保育園や幼稚園によっては「セイフティー・ゾーン」なるものを設定し、「この中にいれば鬼に会わずに済む」なんて妙な配慮をしているところもあるのだという。
私は子どもの頃から節分の鬼が怖いなんて一度も思ったことがないので驚いてしまい、「保育園 節分 鬼が怖い」のキーワードでググってみたところ、何と 17万件以上のページがヒットしてしまった。ますます驚きである。
ここで自分が鬼を怖いと思ったことがないのはなぜかと考えてみたところ、「鬼に馴染みがあったから」としか思えない。子どもの頃から鬼の登場する民話や童話をどっさり聞いて育ったので、ある意味「耐性」ができていたのではなかろうか。
民話の「桃太郎」なんかでは、鬼ヶ島の鬼どもは桃太郎 1人とその家来の犬、猿、雉子に簡単に退治されてしまうし、「こぶ取りじいさん」では、鬼にこぶを取ってもらったりする。さらに新作童話の「泣いた赤鬼」では、心優しい 2人の鬼の友情に感動せざるを得ない。
そんなこんなで、「鬼って、決して怖い存在じゃない」という印象が自然にできあがっていたように思うのである。節分行事の鬼がどんなに乱暴そうな様子で出てきても、それって一応鬼らしく振る舞うためのの「ポーズ」に違いない。それに、お面を取ればいつもの先生に決まってるのだから。
鬼が初めからにこやかだったりしたら、そこから先のストーリーが展開できないということは、子供心にも理解できる。それならそれで、こちらも「お付き合い」である。初めのうちはさも怖がっているようなフリをしてあげようじゃないかと、殊勝なことさえ思っていた。
ちなみにこの時ヒットした中から「保育園の節分行事 鬼が怖いという子どもへの対応はどうすべき?」というページに目を通してみると、こんなことが書かれていた。
節分行事の前に、鬼がテーマの絵本の読み聞かせをしてみましょう。
絵本に描かれている可愛らしい鬼であれば、子どもの恐怖心も和らぐかもしれません。
絵本の内容は、鬼が怖いお話よりも、「鬼の中にも優しい鬼がいるんだよ」ということが伝えられるようなお話がおすすめです。
これには、「我が意を得たり!」と膝を打ってしまったね。
最近の子供たちって、民話や昔話に馴染みがなくなってしまってるんじゃなかろうか。そうだとしたら、ちょっとした「文化的損失」である。ましてや「セイフティ・ゾーン」で鬼を見ることなく過ごすなんて、「心の損」でもある。
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