入院 5日目 - 虫見て「キャー」の生物学的、文化的考察
入院 5日目。NHK の「読むラジル」サイトで、子ども科学電話相談に寄せられた まるやましおりさん(神奈川県の小学 5年生)からの質問に、3人の大人がそれぞれの視点からとても誠実な回答をしているのを読んで、かなり感動してしまった(参照)。素朴な疑問に対しても真剣に向き合うことは大切だ。
しおりさんの質問というのは、次のようなものだ。
私は昆虫が大好きです。人間を見て「キャー」と言うのはダメなのに、虫を見て「キャー」と言ってもいいのはなぜですか? 虫がかわいそうだと思います。あと、虫が好きな女の子は少ないと思います。なぜですか?
"人間を見て「キャー」と言うのはダメなのに"、"虫がかわいそう"という視点が素晴らしい。昆虫と人間とを差別していないものね。
この質問に対して九州大学総合研究博物館准教授で昆虫のスペシャリストの丸山宗利先生は「昆虫がいなくなれば、人類は数年でいなくなってしまうといわれている」というほど昆虫は自然の中で大切な存在であることを指摘する。
その上で「幼稚園の子どもの半分くらいは、昆虫とかダンゴムシとか好き」なのだが、成長するにつれてとくに女性が虫を嫌いになるのは「殺虫剤の CM とか(中略)そういうメディアの雰囲気とか、あと、人間がもともと持っている社会性」が関係していると説く。
なるほど、ゴキブリ退治の CM なんて、ゴキブリが典型的悪役みたいな描かれ方だものね。こうした説明の上で「昆虫が好きというのはすばらしいことだと思うので、私としては、胸を張って自信を持ってもらいたいと」と、しおりさんをエンカレッジしてくれている。
さらに恵泉女学園大学学長の大日向雅美先生は、"女の子は虫を見て「キャー」って言うと弱々しくてかわいくて守ってもらえる" という傾向を指摘、ジェンダー問題にまで視野を広げている。つまり「ぶりっ子の方がチヤホヤされる」のだね。そんなの、私は個人的には付き合いきれないけど。
さらに筑波大学生命環境系准教授の田中康平先生は、世の一般の大人たちに対して「好きか嫌いかは子どもが決めることなので、あんまり子どもの前で『気持ち悪い』とか言わないでほしいなって、心の中で思ってます」と希望を述べて締める。まったくその通りだよね。
質問者のしおりさんは、なかなか見所がある。ちなみに私も虫は好きで、ゴキブリにも偏見は抱いていないし、私の妻もゴキブリ見て「きゃー」なんて言わない。ただ、家庭でのゴキブリ対策はフツーにしてるけどね。


















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