カテゴリー「自然・環境」の387件の記事

2021年5月 1日

牛肉レシピを載せない料理サイト

先月、生まれて初めて飛騨の国への旅に行った際の記事で、私は「開いているのは飛騨牛を食わせる店と高山ラーメン(飛騨ラーメン?)の店ばかり。肉を食わない私はどちらにも用がない」と書いている(参照)。本当に飛騨や佐賀など、牛肉が売り物の土地に行くと食うモノに苦労してしまうのだ。

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というわけで今回は、HUFFPOST の "牛肉レシピの掲載を停止「世界最悪の気候犯罪者の1人に出番を与えない」 アメリカの人気料理サイト" という記事に注目してしまった。これはもう、本当に「潔い」ことである。

このレシピサイトは "epicurious" という。ちなみに "epicurian" (快楽主義)という英語があるので、形容詞として「快楽主義の」という意味なのかと思ったら、私の手持ちの ウィズダム英和辞書にはこの項目がなかった。どうやら造語みたいなのだが、意味は誰でもすぐにわかるよね。

で、「快楽主義」と言うのだから牛肉もりもり食べ放題志向なのかいうと、そうじゃない。このサイトの宣言は次のようなものだという。

牛や、牛を食べる人々に対する“復讐”のようなものだと思う人もいるかもしれませんが、私たちはハンバーガーが嫌いだから、この決定をしたわけではありません(嫌いじゃありません!)

私たちの決定は、サステナビリティ(持続可能性)に関するものであり、世界で最悪の気候犯罪者の 1人に出番を与えないということです。これは、反牛肉ではなく、むしろ親地球だと考えています

世界の温室効果ガス排出量の約 15%は、家畜(および家畜の飼育に関係するもの)から発生しており、そのうち約 65%は、牛(牛乳も含む)から排出されているという。とすれば、epicurous のこの方針こそ、まさに「真の快楽主義」と言えるかもしれない。

私はこのサイトの "Left Beef Behind" ’(牛肉を置き去りにした)という方針を心から支持したい。

 

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2021年4月30日

梅雨と台風シーズンを前に意識しておくべき情報

東洋経済 ONLINE に "4月に猛烈台風が生まれた今年、警戒すべきこと" という気になる記事がある。"発信始まる「線状降水帯に関する情報」に注目" というサブタイトル付きだ。4月 14日に発生して猛烈な勢力にまで発達した台風 2号の話から始まっている。

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コロナ禍のニュースの影に隠れてあまり目立たなかったが、台風 2号は 4月に発生した台風としては 895hPa という統計史上最も低い気圧を観測したのだそうだ。900hPa を下回る気圧を観測したのは、2016年以来 5年ぶりというのだからすごい。

台風がここまで発達したのは、日本近海の海水温が高くなっているからだという。確かに 3月は桜の満開も早すぎたし、「もう初夏なんじゃないの?」と言いたくなるほど暖かい日が続いた。4月になって多少揺り戻しがあったとはいえ、やはり温暖化を切実に感じる。

この記事によれば、日本近海の昨年までの約 100年間の海面水温の上昇率は世界の約 2倍となっているのだそうだ。それはただ事ではない。台風が猛烈に発達してしまうだけではなく、梅雨の大雨も問題になっている。昨年 7月の九州での豪雨被害は記憶に新しい。

我が家の周辺は最近は治水が進んで洪水被害が出なくなったが、10年ぐらい前までは、年に 2〜3回は道路が浸水してクルマが通行できなくなるほどの被害が出ていたし、20年以上前のことだが床下浸水にまでなったこともある。それだけに豪雨被害というのは他人事とは思えない。

気象庁では今年の梅雨時期から「線状降水帯に関する情報」というのを発表する予定になっているらしい。最近、大雨による洪水被害が出る度に「線状降水帯」という言葉が聞かれるようになったので、これは覚えておいていい情報だろう。

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既に「洪水キキクル」という情報発表はスタートしているらしいから、これもしっかり意識しておこうと思う。

去年は台風が多く発生した割には日本への上陸がほとんどなかったが、今年になってその分まで上陸しまくられたら敵わない。海水温上昇を抑えるために環境対策をしなければならないのは当然だが、とりあえず今年の梅雨や台風シーズンを前に、しっかりと心構えだけでもしておこう。

 

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2021年4月 8日

「つのだせ やりだせ あたまだせ」の疑問が解けた

今日の記事は一見軽いようだが、ちょっとしたウンチクも含むことになる。文部省唱歌の『かたつむり』の歌詞についての長年の疑問が解けたという話だ。

この歌は、多分誰でも知っているだろう「♫ でんでんむしむし かたつむり おまえのあたまは どこにある」という、あの歌だ。ところが私はこの歌の後半、「♫ つのだせ やりだせ あたまだせ」という歌詞に、子どもの頃からそこはかとない疑問を感じていた。

「かたつむりの 『やり』って何だ?」ということだ。

「つの」はわかるし、「めだま」も、その先の小さな丸い部分のことを言ってるんだろうとわかる。しかしカタツムリが「槍」なんてもってるわけないじゃないか。この疑問については、大人に聞いても誰もまともな回答は与えてくれなかった。半世紀以上にわたる謎だったわけである。

ところが今日、ふとした気まぐれでググってみたところ、あっさりと、そして見事に疑問が解けたのである。それは BuNa というサイトの「カタツムリのツノって何? 目玉はどこにある?」という記事のおかげだ。西浩孝さんというカタツムリ研究の専門家の書かれたものだから、信頼性に問題はないだろう。

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この記事を読めば、カタツムリについてかなり詳しくなること請け合いだが、ここはスペースも限られるので、カタツムリの「やり」に関する部分に絞って紹介しよう。下は、このページの上から下に 3分の 2 ぐらい辿ったあたりの位置にある写真のスクリーンショットだ。

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カタツムリの頭の右から突き出ている、まさに「やり」のように見える白い突起に注目していただきたい。これ、「恋矢(れんし)」と呼ばれる器官だそうで、次のように説明されている。

ちなみに、歌詞の中の「ヤリ」は、一説には「恋矢(れんし)」だと言われています。恋矢は一部のカタツムリが交尾の際に相手を突き刺すのに使います。石灰質で先がとがっており、まさしくヤリの形(写真はツルガマイマイの恋矢)

強引な決めつけを避け、"一説には「恋矢(れんし)」だと言われています" と控えめな記述にとどめておられることで、逆に私は信頼を深めてしまったよ。長年の疑問を晴らしてくれた西先生に、心から感謝である。それに、そもそもこの器官の名が「恋の矢」だなんて、なかなか粋な話ではないか。

それにしても子どもの頃はよくカタツムリを捕まえてきて遊んだものだが、「恋矢」なんてものには全然気付かなかった。まさに大切なのは「じっくりとした観察」であると、つくづく反省した次第である。

【追記】

乙痴庵さんのコメントへのレスを書くにあたってのいろいろな四方山話を、一時的にこの記事の「追記」として書いたが、あまりにも長くなるため削除し、明日付の別記事とさせていただくことにした。

【4月 9日 追記】

この件について "唱歌『かたつむり』の「やりだせ」問題をむしかえす" という記事にまとめた。本日の結論とは違って、「カタツムリの『触覚』を『やり』と見立てたものと解釈するのが、とりあえず妥当ではないか」という結論に達した。とはいえ、「恋矢」説も捨てがたく、いろいろうだうだ述べているので、合わせて

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2021年3月26日

再生エネルギー普及と電気料金のパラドックス

Yahoo! Japan ニュースが「電気料金 1000円超値上げ 再生エネルギー普及へ」というニュースを伝えている(参照)。再生可能エネルギーの普及のために家庭の電気料金に上乗せされる負担額が、2021年度は1,000円以上値上がりして、初めて年間1万円を超えるのだそうだ。

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太陽光や風力などの再生可能エネルギーから作られた電力は、大手電力会社が買い取り、その費用の多くが電気料金に上乗せされて国民が負担する仕組みになっている。政府は再生エネルギー導入を拡大する方針で、それに伴って国民負担もさらに増える可能性があるという。

これは複雑な気分にさせられるニュースである。どうやら我が国では、再生エネルギー普及と電気料金とは、パラドキシカルで不幸な関係にあるらしい。

それを象徴するように、このニュースには「太陽光を持っている金持ちの電気代を貧乏人が払うシステムはおかしい」「太陽光発電に共感していない人まで強制的に負担させる構造はおかしくないか?」といったコメントがいくつか寄せられている。その気持ちはわからないでもない。

ただ、「太陽光を持っている金持ち」という言い方にはちょっとカチンとくるものがある。私だって貧乏人だけど、わざわざローンを組んで太陽光発電パネルを設置したのだよ。これは損得勘定じゃなく、ひたすら環境のためを思ってのことだ。

我が家では太陽光発電で生み出された余剰電力を東京電力に売っている。ただ発電設備が小規模なので、年間を通してみると自宅で消費する電力より売っている電力の方がほんの少しだけ多いという程度のものだ。つまり年間通算でみれば、我が家の電力は辛うじて地下資源に依存していないと言えないこともない。

ただ、曇りや雨の日は東京電力から買う電力の方が多いので、計算上は晴れた日に自宅で発電して売った電力を、雨の日には少し上乗せした値段で買い戻しているということになる。それが気に入らないなら蓄電バッテリーでも備えるしかないが、そこまで投資するほどの余裕はないのだよね。

というわけで、今後は「再生可能エネルギーの方が、エコで安上がり」となるようにインフラと発電システムを整えていくことが望まれるのだろうね。この件に関しては、フリージャーナリストの志葉玲さんの昨日付のコメントがとても参考になる。(参照

 

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2021年3月 5日

ライオン対バッファロー

実は私は、幼い頃からアフリカ辺りの野生生物の映画を見るのが大好きだった。今でも時々、YouTube でそんなような動画を見て心躍らせたりしている。

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このタイプの動画の見ものは、ライオンや豹などの肉食動物のハンティングである。私も昔はライオンがバッファローなどに襲いかかり、倒してしまうのを見て興奮していたが、最近はちょっと変わってきてしまった。自分が肉食を絶ったせいか、どうしても草食動物の方に肩入れしてしまうのである。

上の画像からリンクされる動画などを見ても、平和に草を食んでいるバッファローの群れを襲うライオンについ反感をもってしまい、バッファローの反撃に遭って逆に逃げ惑ったりする場面で、「いいぞ、バッファロー!」などと拍手を送りたくなったりする。

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さらにこの瞬間(ビデオ開始から Ⅰ分 5秒後)のように、角を振りたてたバッファローがライオンを軽々と空中にはね上げたりしてしまうと、「やるじゃないか、バッファロー!」なんて大喜びしてしまうのである。実は 1 対 1 になればライオンよりも体の大きいバッファローの方が強かったりするのだ。

こちらの動画では、開始後 4分 50秒後ぐらいから、ライオンがバッファローに小気味よいほど無茶苦茶にやられてボロボロになってしまうところが見られる。バッファロー、なかなかやるのである。

ちょっとムカつくのは、1 対 1 だと敵わないくせに、ライオンってやつは群れを組んで(この群れを「プライド」と言う)大型草食動物を襲うことだ。1 対 1 ではキリンにも蹴散らされたりするくせに、群れの力で倒してしまうのである。

ライオンというのは「社会生活を営む唯一のネコ科動物」と言われ、徒党を組んで狩りをする。こうなると、基本的に独力で狩りをする一匹狼(いや、一匹豹?)のヒョウの方がずっと潔いなんて思ってしまったりする。「百獣の王」なんて言われているが、ライオン、実は案外ダサい。

それにしても肉食獣を見ると、「何とまあ、因果なことだ」と思うのだよね。「お前らもバッファローやシマウマやレイヨウみたいにのんびりと草を食って生きれば、そんなに苦労して他の動物を殺してまで食う必要なんてなくなるのに」

そこら中に生えている草を食うのと比べると、他の動物を襲って倒して食うというのはものすごく手間がかかって効率の悪い作業である。何しろ草は逃げないが、動物は逃げたり抵抗したりするからね。逃げない草を見過ごして、強いて逃げる動物を食うという選択は、不合理そのものに思える。

ところがライオンなどの肉食獣というのは、草を食って生き延びることができないらしいのだ。彼らの口の中には、肉を切り裂くための鋭い牙はあっても、草を磨り潰して消化しやすくするための臼歯がないので、肉を食うしかないというのである。

何という不自由な体の構造なのだ。まったくもって因果なことと言うほかない。

とはいえ肉食獣も、自然のサイクルの中では重要な一定の役割を果たしているのだろう。ただ、それは甚だご苦労で損な役どころというしかないようなのだ。気の毒に。

 

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2021年2月20日

ヴィーガンでも、たんぱく質不足にはならないようだ

鈴木形成外科院長で第 1回ベジタリアンアワード企業賞を受賞したCHOICEのオーナー&プロデューサーである鈴木春恵さんという方が一昨年 5月に書かれた「ヴィーガンとたんぱく質」という記事を、今頃知った。ヴィーガンでもたんぱく質不足にはならないことが説かれている。

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まず「らくなちゅらる通信」というタイトルが気に入った。「楽で自然なのが一番」と思っていることもあって、納得の記事である。私自身は魚介類は食べていて完全にヴィーガンというわけではないが、たんぱく質不足の心配なんて一度もしたことがないし。

そしてヴィーガンでバリバリのスポーツマンはいくらでもいるから、「肉を食べないとたんぱく質不足になる」というのは、多くの人が信じている根拠のない思い込みに過ぎないと、元々確信はしていた。ただ、そのあたりの専門家による情報というものに今イチ接していなかったのである。

以下に上記のページから引用させていただく。

必須アミノ酸(人体で合成できないアミノ酸)が一つでも足りないと人体に必要なたんぱく質は作れませんが、植物でも何種類か組み合わせれば必須アミノ酸は不足なく摂取できるのです。

さらに、植物性たんぱく質は消化吸収が良く、体内で利用されやすいのに対し、一般に「動物性たんぱく質」と称されている、牛や豚の筋肉や乳製品などのたんぱく質は消化されにくく、腸内で腐敗し、さまざまな病気のもとになります。

(中略)今では動物性食品の摂取割合が多いほど、がん、高血圧、心臓病、脳梗塞、糖尿病、骨粗鬆症、アルツハイマー病、アレルギー、自己免疫疾患、黄斑変性などの病気の発症が多くなることが、数多くの研究で明らかにされています。

というわけで、今後も安心して肉は遠ざけて暮らしていこうと思っている。数年前に高校時代の同級会に出席したとき、医者になっている友人が食事で肉を避けている私を見て、「肉を食わないと長生きできないよ」と忠告してくれたことがあるが、それも「諸説ある」ってなことに過ぎないわけだ。

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上の写真は 2019年 5月 25日付の「長生きしたくて肉食を避けてるわけじゃないので」と言う記事に使ったものだ。要するにこんな具合に「諸説あり」で、個別の寿命の話は「ケースに依存する」というほかなかろう。

だったら、どっちの説を信じるかは好きにさせてもらう方が、いい気分で生きられるというものだ。死に際になって、「しまった、肉を食っとくんだった!」なんて思うことはないから。

 

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2021年2月19日

満月の前は睡眠時間が短くなるらしい

NewSphere の「満月の前は睡眠時間50分短く 満ち欠けにあわせ変動 米研究」という記事に目が止まった。人の睡眠は、満月が近付くにつれて短くなり、月が再び欠け始めると、長くなるという周期を繰り返しているのだそうだ。

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本日 2月 19日の晩は上弦の月で、それがだんだん満ちていき、27日に満月になる。ということは、今は睡眠が短くなるプロセスにあるわけで、26日の土曜日で最短になり、その後はまた長くなっていく。この働きによる睡眠時間の差は 50分にもなるらしい。

98名の被験者から収集されたデータを分析したところ、満月が近づくにつれて睡眠時間は短くなり、入眠のタイミングも遅れてゆく傾向が確認された。満月の前にピークを迎え、人々は平均して30分遅く眠りにつき、睡眠時間は50分短くなる。その後は再び睡眠時間が増え、月齢周期である29.5日とほぼ一致するサイクルで変化を繰り返す。

(中略)

精神医療と睡眠の専門家であるアレックス・ディミトリ博士の見解を伝えている。博士によると、睡眠調整ホルモンであるメラトニンの働きは、何らかの光を見ることで抑制される。そのため、月光が多く降り注ぐ満月が近づくと眠気が抑制されることは十分に考えられるという。

夜は月明かりしかなかった大昔からの体の「クセ」みたいなものが、現代人においても引き継がれているらしいというのはなかなか興味深い。考えてみれば、それほど太古の昔というわけではない江戸時代頃までは照明といえば行燈ぐらいしかなく、それもなるべく長く灯さないようにしていたという。

つまり人間というのは 19世紀までは、日が暮れたら素直に眠りについていたのだ。ライフスタイルは昔とは比べものにならないほど変わり、夜になっても皓々とした明かりのもとで暮らせるようになった今でも、人間の体の中の深いところはそれほど変わっていないようなのだね。

ということは、満月の前に「近頃、ベッドに入ってもすぐに眠れない」なんて言って、不眠症なんじゃないかと思い煩う必要はないということだ。元々目が冴えてしまうものなのだと思っていればいい。

「狂気」を表す「ルナティック(lunatic)」という言葉が「月」を意味するラテン語の "luna" から来ているというのも、これと関係があるような気がしてきた。 昔は眠れない夜には闇の中で悶々としているほかなかったので、「狂気の一歩手前」みたいな気がしていたのかもしれない。

 

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2021年2月15日

ユニクロのサステナビリティ戦略

HUFFPOST が、ユニクロの柳井社長の 2月 2日の記者会見の模様を伝えている(参照)。サステナビリティに関連して「地球環境に対してかなり負荷を与えているので、それをできるだけ少なくしていく」と、かなり踏み込んだ発言をしたと話題だ。

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私は結構長い間、繊維、アパレル関連の情報を扱う仕事に就いていたので、かなり興味を持ってこのニュースを読んだ。「踏み込んだ発言」というので、どの程度踏み込んでいるのかと思ったが、まあ、そこそこ程度の踏み込み方ではある。

この日の記者会見で発表された「サステナビリティレポート 2021」も、誰でも読めるようにインターネット上に公開してある。これはいいことだ。

ファッション企業のものだけに、一見すると多少はムード先行のイメージはあるものの、読み込んでみればそこそこの努力を認めざるを得ない。業界で他に先駆けてこうしたものを世に出す姿勢は評価されていいだろう。

これまでのファッション業界はシーズン在庫が売れ残ると、次シーズンに回すことなく二束三文で処分したり廃棄したりするため、環境負荷の高い産業と思われてきた。ところがユニクロは、多シーズンにわたって売り場に出せる商品を展開するという。これまでのファッションの常識をくつがえす姿勢だ。

「廉価品の大量生産、大量販売」というイメージの強かった企業が、温室効果ガス排出の実質ゼロを目指し、再生ポリエステルを大幅に使用しつつ、仕上げ加工のプロセスで水の使用量を最大 99%削減する目標を示すなど、具体的な目標を明らかにしている点はかなり思い切った施策といえる。

もちろん、今回示された方針が最良のものというわけではない。ということは多分、今後もさらにアップデートしつつ進むのだろう。

HUFFPOST は今年 1月 25日にも「ファッションは悪なのか? アパレル各社のサステナ戦略、3つのポイント」という記事で、この分野の問題提起につなげている。今後は多くの業界で環境配慮が当然という世の中になることを期待する。

 

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2021年2月11日

「アンチ・エコ」のメンタリティが見えてきた

世の中でエコ意識が徐々に高まるのと平行して、「アンチ・エコ」とも言える言説も結構もてはやされてきた。『偽善エコロジー ー 「環境生活が地球を破壊する』なんていう本もあるし。

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私の 3日前の "「ヴィーガンが地球を救う」と、言い切ってよさそうだ" という記事にも、案の定、反論コメントが付いた。「takさんがヴィーガンをするのは別にいいんですが、私はみんながヴィーガンになれば皆んなが不幸になると思います」というのである。

彼が何をもって「不幸」とするのかよくわからないが、コメントの末尾のあたりには「ヴィーガンの考えることは正しくても、そこには合成の誤謬が発生することに成る」ともあるので、私は次のようにレスした。

まあ、「みんながヴィーガンになる」なんてことは少なくとも急には無理でしょうから、仮定の条件設定を極端にすることで妙に悲観的になる必要はないと思いますよ。

明日から世界中の人が急にヴィーガンになるというなら、いきなり社会のバランスが喪失して大変なことになるでしょうが、それはできの悪い SF の世界です。

実際問題としては、ゆっくり時間をかけて考えましょう。「合成の誤謬」の発生を抑えるためにもね。ヴィーガン人口が増えれば、その時はその時でその状況に適応するための新しい社会システムが構築されるでしょうし。

(参考までに:「合成の誤謬」<Wikipedia)

というわけで、エコ派とアンチ・エコ派のすれ違いの構図が、私にもようやく単純に図式化された形で見え始めた。

要するにアンチ・エコ派は、「急にエコ派の言うような世の中になったら、社会システムがガタガタに崩れてしまうのがわからんのか!」と言ってるわけだ。基本スタンスは、エコ派が「現状では危ない」と思っているのに対し、アンチ・エコ派は「現状の方がマシ」という認識なんんだろう。

つまり「現実的な環境悪化への警鐘」に対して、「エコ・プロセスへの不信」で反論するという構図だ。こうなると完全に逆説的な言い方になって我ながら気持ち悪かったりするが、「心配しなくていいですよ。極端な変化なんて急には生じませんから」と言ってあげたくなる。

エコ派の主張がいきなり主流になってそれまでの慣習や社会システムが一挙に様変わりしてしまい、人々の生活が破壊されるなんてことはあり得ないから、余計な心配は要らない。それでなくても世の中の改革プロセスというのは、行きつ戻りつしていろいろな適応策を模索しながら進むものだから。

ただこの分野の変化がやたらトロいのは、アンチ・エコ派のみなさんの強烈な抵抗のおかげというよりは、一般社会に環境悪化への危機感が足りないためという要因の方が大きいと思う。その意味でも、エコ派の不断の働きかけは必要だろう。アンチ・エコ派にはずいぶん耳障りだろうけど。

それからもう一つ。アンチ・エコ派は「エコ警察」と言われるような、余計なお節介好きで、些細なことにばかり口うるさいオジサン、オバサンの存在にかなりの嫌悪感を抱いているようだ。そして実を言えば私としても、こうした人たちにはうんざりである。

ただ「〇〇警察」はエコに限らずいろいろな分野で発生しがちで、「エコ警察狩り警察」みたいなのも発生しかねないから、お互い気をつけようね。

 

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2021年2月10日

フランスでヴィーガン・レストランが初ミシュラン

NewSpere の「ヴィーガンが地球を救う?」(2月 1日付)という記事を、一昨日に ”「ヴィーガンが地球を救う」と、言い切ってよさそうだ” というタイトルで紹介したが、NewSphere はその日のうちに「ヴィーガンレストランがフランスで初ミシュラン、その意味とは」" という新しい記事を載せていた。

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NewSpere は近頃ヴィーガンづいてる。そのレストランとは、「フランス南西部ボルドー近郊の小さな街アレスにある ONA」という店だそうだ。へえ、パリじゃないのだね。

私は元よりミシュランに載るような高級レストランなんて興味がないのだが、ヴィーガン・レストランとなると話はちょっと別で、「へぇ、やったじゃん!」と拍手を送りたくなった。パリの街は好きじゃないので、フランスの田舎町にあるというのも気に入ったし。

ONA という店名の由来は、"Origine Non Animale” で、英語だと "Non-Animal Origin"、「動物起源ではない」という意味だそうだ。ひねりも何もなく、「まんまじゃん!」というネーミングだが、それだけにヴィーガニズムへの思いが強いのかもしれない。

ちなみにフランスでのヴィーガニズムや動物生存権の運動は最近ちょっとした抵抗にあって、案外低水準で推移しているらしい。依然として「旨い肉を食わせてこそナンボ」という意識が主流のようなのだ。

そんな中だけに、ミシュランガイドの国際責任者、グウェンダル・ポウレネック(Gwendal Poullenec)氏のコメントが次のように紹介されている(記事の翻訳がちょっと悪文だけど)。

「一般的に、シンプルなヴィーガニズムと美食体験が連想されることは少ない。今回のミシュラン星獲得は、プラントベースの料理を探求することに消極的なシェフを解放するかもしれない」と語った。

この記事の元記事、ニューヨーク・タイムズの "Vegan Restaurant Gets Michelin Star in France, a First" に飛んでみると、冒頭にシェフ、MS. Claire Vallée の写真もあるし、なかなか充実した情報だ。

そもそも NewSphere の記事からだとリンクが生意気にも ONA のフランス語版に飛んでしまうので、私には魔法の呪文でしかなかったが、ニューヨーク・タイムズからのリンクでは、英語版ページが表示されるのでほっとしたよ。なかなかハイブロウな内容で、例えば次のような記述がある。

Pythagoras said: “The Earth gives abundant riches and peaceful food. It offers us meals that are not stained with blood or murder.”

ピタゴラスは言った: 大地は豊富な富と平和な食物を与えてくれる。我々に血と殺戮で汚されない食事を提供してくれるのだ。

「なぬ、ピタゴラスがそんなこと言ったのか?」と驚いたが、調べてみると彼は西欧菜食主義の父と言われているのだね(参照)。おまけにジャン・ジャック・ルソーも菜食志向だったらしい(参照)。いやはや、私としたことがちっとも知らなかった。高校の「倫理社会」の教科書にもそんなの載ってなかったし。

わざわざフランスまで行って実際に ONA の料理を食べてみる機会は、個人的には多分これからもないだろうが、ONA の挑戦は西洋料理の保守的な肉偏重意識に風穴を開ける契機になるかもしれないと期待する。

例えば私が出張先で夕飯を食おうとしても、レストランは肉系のメニューばかりで私にとって選択肢の少ないのが現状だ。しかしヴィーガン料理を提供してくれる店がミシュランの星を獲得したとなれば、私のような者の選択の幅が少しだけ広がるきっかけぐらいにはなるかもしれない。

いずれにしても時間はかかるだろうけど。

 

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