カテゴリー「マーケティング・仕事」の171件の記事

2022年4月19日

「本音」を語って「露悪」に陥った、吉野家常務発言

急な用件が夕方に一段落してやっと帰宅する途中のカーラジ・ニュースで、「吉野家常務が生娘をシャブ漬け云々」みたいな話をしていた。こちらとしては、どうしてそこに私の母校の名前まで出てくるんだという素朴な疑問まで重なって、「一体何のこっちゃ?」と思っていた。

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帰宅してウェブのニュースで調べて、ようやくコトの次第がわかった。早稲田大学の開いた社会人向けマーケティング講座で、講師として登壇した吉野家の伊東正明常務(既に解任されたらしいが)が、若い女性を顧客として取り込むための戦略を語った際に、ヤバい発言をしていたらしい(参照)。

いくつかのニュースをまとめると、問題発言の要旨はこんな感じのものだったようだ。

  1. 田舎から出てきた若い娘が、男に高い料理をおごってもらうようになると、それ以後は牛丼なんて食べなくなる。

  2. そうなる前に、生娘を「シャブ漬け」にするように「牛丼中毒」にしてしまう。

このレトリックは伊東氏の個人的な価値感からすれば、「本音で語ったユニークなマーケティング論」ということになるのだろう。これまでは結構ウケていたに違いない。

ただ、これには落とし穴がある。その一番大きな穴は、伊東氏が「生粋の吉野家育ちってわけじゃなかった」ということだろう。彼は元々は P&G 社でブランド・マネージメントをしていたが、2017年に独立し、吉野家に常務取締役として招かれたという(参照)。

というわけで、彼の意識の中には「俺は、牛丼なんてダサい食い物のマーケティングのために来てやったんだ」という、思い上がりがあったのだろう。だからこそ「男に高い料理をおごってもらうようになったら、牛丼を食わなくなる」なんて、平気で言えたわけだ。

そこから「シャブ漬けにするように」という発想に行き着くのは、彼流の思考では自然の流れなのだろう。とにかく「本音」で語ろうとすると、こんな風に「やたらと露悪趣味の論理展開」をしたがる人間というのが珍しくない。いや、珍しくないどころか、世の中では珍重されたりする。

そしてこの「アブナい露悪趣味」が妙にウケる環境に馴染みすぎてしまうと、同じようなことを他の場面でも得意満面で語ってしまうようになる。少しは気をつければいいのに、人間というのは「よくよく調子に乗りすぎる動物」なのだね。

そんなような例は政治家の世界ではクサるほど多くて、私は昨年 2月に "「悪くもないのに謝ってやってるんだ」と思ってる人" という記事でうんざりしながら語っている。そういえば、この記事で批判した森喜朗というオッサンも、ワセダ出身だったなあ。伊東正明氏は慶応出身らしいけど。

 

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2022年3月 8日

「ハイブリットワーク」が本格化してるんだそうだ

「現代ビジネス」のサイトに「ハイブリットワーク本格化!  改めて準備しておきたいサイバーセキュリティ対策セミナー」という、今年 2月 15日付の告知記事がある。セミナーは今月 29日にオンラインで開かれるのだそうだ。

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私としては見出しの「ハイブリッワーク」というのがずっと気にかかっているのだが、半月以上もそのまんまなので、ある意味スゴい。ちなみに記事本文ではちゃんと「ハイブリッワーク」と表記されている。念のために言えば、 ”hybrid work" は英語圏でも新語的に使われてはいるようだ。

この見出しを付けたのは、記事本文を書いた記者とは別の編集者なのだろうから、記者は「私は間違ってないからね!」と言い張ればいい。ただ、こっそりと「見出し、訂正しといて」と連絡すればよかったのにね。記事を書きっぱなしで、ネット上での確認なんてしてないとしか思われない。

さらにサブ見出しの「プレゼンの神澤円氏登壇」というのは、プレゼン上手の「神澤円」(かみさわまどか?)という人が講師を勤めるのかと思ったが、そうではなく、「プレゼンの神」であらせられて、その御名を「澤円」とおっしゃる先生が基調講演をされるのだそうだ。

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(この写真は現代ビジネスの告知ページより拝借)

だったら「プレゼンの神澤円氏登壇」と、読点入りで表記してもらいたかったなあ。さらに言えば、仮にも「神」と称するなら、「一段下から」というニュアンスの「登壇」という語は避けて、いっそ「降臨」とすべきだったかも。これも見出しの問題だから、記者は「私は関知しない!」で済むけど。

このセミナー、「参加費 無料」の「募集人数 500名」で、申込みはまだ締め切られていないみたいなのだが、私は聞くつもりがないので、あとは

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【同日 追記】

ここまで来てしまったからには、あとは当日の講師の誰かがつい「ハイブリッワーク」なんて口走ってしまわないように祈るだけだろう。

世の中にはこんなページもあるから、いろんな意味で他人事じゃなく気をつけようね。(画像のクリックで飛べる)

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2022年1月26日

自分が「老害」扱いされないために

東洋経済 ONLINE に ”50代は「老害」か? 調査でわかった若手社員の本音” という記事がある。読んでみると、20〜30代の社員は 50代の社員に結構辛辣な印象をもっていることがわかる。ネガティブな意見で目立つのは、IT 化に関する意識の遅れ、パワハラ、セクハラ、積極的に働かないなどといった点だ。

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私は現在、直接には会社などの組織には属していないが、チームワークで仕事する機会はかなり多い。そして、今年の夏に「古希」(70歳)を迎える身としては、「50代」どころではないので他人事じゃない。

下手すると、自分でも気付かないうちに若手の仕事仲間に「老害」扱いされかねないんじゃないかと、ちょっと心配になってしまった。例えば最新の IT 機器やシステムなどは、若い頃は率先して仕事に取り入れていたのだが、最近は本当に必要になってあわててやり方を調べたりすることもあるし。

今の世の中、テレワークやオンライン・ミーティングなどで Zoom は必須アプリになっている。これを使っての 1 対 1 のミーティングなんかは何の問題もなくスイスイこなして来たが、先日、数十名の参加するミーティングで PowerPoint を使ってのプレゼンをする時にいきなり戸惑ってしまった。

パワポのプレゼン・ファイルは慣れた仕事なのでは何のことなくスイスイと作ってあったのだが、それを Zoom の画面上に表示するのに、「共同ホスト」ってやつの権限が必要だなんて、ちっとも知らなかったのだよ。「こんな基本的なこと知らなかったんですか?」なんて言われて、正直アセった。

泥縄でこの「共同ホスト」になったのだが、Zoom の操作画面がちょっとわかりにくいせいもあり、結構戸惑ってしまった。昔はこの程度のことは先回りしてどんどんやっていたのに、最近のツールをきちんと使いこなしていなかったことに改めて気付いた次第である。

それから、ややこしい複数のタスクを短時間で集中的にこなすなんてことも、昔はスイスイこなしていたが、最近は妙に神経が疲れてしまう。そんな事態は避けたいので、仕事は普段からチマチマ片付けておくに限る。

まあ幸いなことに、若手に「tak のおっさん、何遍教えても同じことを聞いてくる」なんて鬱陶しがられるようなことにはまだなっていない(と思う)。20年ぐらい前まで自分が言っていたことを、巡り巡って言われてしまわないように、常々体だけでなく頭のトレーニングも怠らないようにしておこう。

ちなみに、年は取っても「パワハラ/セクハラ」だけはしてないという自信はある。そういうのって、基本的に性分に合わないのだ。そして私は今、69歳 6ヶ月だが、上で紹介した問題の記事の写真(50代のオッサンということなんだろう)より、見かけだけは若いぞ。白髪、ないし。

 

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2021年12月11日

「『問題』と『課題』の混同」という「問題」

世の中の広告関連の「プランナー」とか「マーケティング担当」とかいう人の言うことって、「はぁ?」となってしまうことが少なからずある。東洋経済 ONLINE の 12月 9日付 "「問題」と「課題」を区別できない人がしがちな失敗" というのも、その一つじゃなかろうか。

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この記事、「意外と違いがわからず使っている場合もある」というサブタイトル付きで、電通の「戦略プランナー」という肩書きの人の書いたものだが、まずは次のように始まる。

「課題は、20代女性間の知名度が低いことです」

ビジネスシーンにおいて、このような発言には注意が必要です。なぜなら、この発言は、「課題は〜」と言いながら、「課題」になっていないからです。「20代女性からの知名度が低い」は、「課題」ではなく、「問題」に相当します。

こんなの当たり前すぎて、今さら言われるまでもないと思うがなあ。ところが文章は次のように続く。

そして、にわかに信じがたいかもしれませんが、この2つの言葉を区別できないと、結果的に商品やサービスがヒットする確率が大幅に下がってしまうのです。私も入社してからしばらくの間は、この 2つの言葉の違いをまったくわかっていませんでした。

いやはや、驚いた。広告の世界って、スゴいなあ(皮肉的に)と思うほかない。

ただ、もしかしたら「日本語だと混同しやすい」という話なのかもしれないと思い直し、手持ちの ”Wisdom English Japanese Dictionary” にあたってみた。その結果は以下の通り。

問題: 【解決を要する事項】 a question; (困難な)a problem;  (政治・経済上の)an issue;  (研究課題、話題)a subject; (警察などの専門機関の調査を要する)a case.

課題:【解決を要する問題】a problem;  (論争の)a question; (差し迫った)an issue; (練習用の)an exsercise; (宿題)an assignment.

なんとまあ、さらに驚いてしまった。これでは 2つの言葉の違いがほとんど明確にならない。なるほど、こんな感じで言葉を使ったら混乱するのも道理である。世の中には「雰囲気のモノ」というのがやたら多いから、「問題」と「課題」の違いというのもそんなものなのかもしれない。

とはいえ、ビジネス、とくにマーケティングということになれば、話は別だ。きちんと明確に区別して使わないと、お話にならない。

私が以前、日常的に英語を使う仕事をしていた頃は、マーケティング的な「課題」という概念を表すには "challenge" という言葉を使うことが多かったように思う。試しに "challenge" を同じ辞書で引いてみると、名詞としてはこんなふうになる。

...するという/...にとっての(やりがいのある)課題。意欲をそそるもの

うむ、ようやく少しまともになった。訳語としてちゃんと「課題」とあるしね。念のため断っておくが、この場合、「チャレンジ」は「挑戦する」という動詞なのだという固定観念からちょっとだけ離れてもらいたい。

要するに「問題」は "problem" で、「課題」は "challenge" と切り分ければすっきりするのだ。"Problem" という視点のままでいれば手をこまねくだけという状態に陥りやすいが、"challenge" の視点を持ち込めば、解決に取り組む意欲が湧くということもあるし。

「『問題』と『課題』の混同」という「問題」を解決する「課題」に取り組むには、 "problem" と "challenge" という視点がポイントになるってことだ。「問題(problem)」をきちんと分析することで、解決に取り組むに値する「課題(challenge)」として明確に認識される。

 

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2021年5月23日

ティッシュペーパーのブランドとメーカー

東洋経済に "自宅の「箱ティッシュ」メーカーを答えられますか" という記事がある。「スマホメーカーを答えられない人は少ないのに」というサブタイトル付きだ。

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この記事の筆者は、次のように指摘している。

  • 箱ティッシュのブランド名を自信をもって答えられる人は実は 1割くらいしかいません
  • ブランド名を答えられてもメーカー名を答えられる人はほとんどいません。
  • スマートフォンについては多くの人が「iPhone8です」とか「Galaxy S8です」とか、ブランド名だけでなく、型式まで詳しく答えられます。
  • そして、メーカー名を聞いて「アップル」が出てこない人もいません。

というわけで、この記事の筆者は、スマホには「代替不可能性」があるが、箱ティッシュはどれでも同じと説明している。しかし私としては、「これって、質問対象者がずいぶん偏っているんじゃないかなあ」と思ってしまったよ。

というのは、私の知り合いの多くは、少なくとも自分の使っている箱ティッシュのブランドぐらいはちゃんと知っているからだ。そしてそれとは逆に、先月 4日の記事で書いたように、自分のスマホに関しては機種名どころか iPhone と Android の区別にさえ無頓着で、単に「スマホです」という人が多い。

これは私の印象に過ぎないかもしれないが、箱ティッシュのブランドをスラスラ答えられる人は、たいてい「クリネックス」か「無印良品」のユーザーである。そして私は「ジョイフル本田」というホームセンターのショップ・ブランド、「プレジャブル」というヤツを使っている。

この「プレジャブル」は圧倒的なコストパフォーマンスで、200組 7個入りで 税込み 349円という安さだ。「箱入り」じゃなく、無印良品同様にビニール袋入りなのだが、1個あたり 50円しないのである。私は専用のケースを使って、こんな風にデスクサイドにぶら下げている。

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試しにネットで調べてみると、一般的には値段の勝負でにシェア・トップになったと言われている「エリエール」は、アスクルで買うと 180組 5箱で税込み 419円(参照)だが、「クリネックス」はイトーヨーカドーで、同じ数量スペックで税込み 327円と頑張っている(参照)。

かと思うと値段がこなれていると思われがちな「無印良品」は、180組 5個で税込み 490円。安くない上に、ことさら「高級品」という訴求もしていないのに、ユーザーのブランド・ロイヤルティが高いのである。「箱ティッシュはどれでも同じで『代替不可能性』がない」なんてことはない。

無印良品ユーザーはいつも無印良品の、あの漂白されていないのに洗練感の高いペーパーを使うし、私は 1年のうち 5ヶ月以上は花粉症に悩まされるので、何よりコストパフォーマンス重視で、多分ここ 20年ぐらいは「プレジャディス」専門である。かかりつけ歯科医の診療台にもこれが置いてある。

さらにスマホのことを言えば、私はかなりの Apple 信者で、PC は iMac と MacBook Air の 2台持ちで、iPad、iPhone のほか Apple Watch まで使っているが、自分の iPhone の型式なんて「設定画面」を開いてみないと答えられない。長く使いすぎて、そんなのごっちゃになってしまっている。

この記事の筆者はもしかして「スマホオタク」なのかもしれないが、ティッシュペーパーに関してはあまり詳しくないようなのだ。ネピアの「鼻セレブ」を特別扱いしている割には、それについて詳しく書いているわけでもないし、クリネックスにも同様コンセプトの「肌うるる」というのがあることを無視している。

ちなみに私自身は「鼻セレブ」ってのはイヤなネーミングだと感じていて、花粉症なのに全然使う気になれない。ネピアには悪いけど。

 

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2021年4月16日

ビデオ会議では「良いマイク」を使えというのだが

Gigazine に「ビデオ会議で良いマイクを使うと賢そうな印象を相手に与える」という記事がある。ふぅむ、私の場合は Mac 付属のマイクで、それほど「お馬鹿」とは思われていないようだし、他の人のマイクも特別誂えではなさそうだが、とくに不足を感じたことはないんだがなあ。

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記事には「ビデオ会議での会話音質は相手への印象も大きく左右すると、マーケティング調査企業の Ariyh の設立者であるトーマス・マッキンレイ氏が解説しています」とあるので、その Thomas McKinlay という人の "High quality audio makes you sound smarter" という記事に飛んでみた。

まず気付いたのは、Gigazine の記事見出しでは 「良いマイク」だが、元記事では "high quality audio" (高品質のオーディオ)であり、マイクだけに限った話じゃないということだ。その上で調査結果の数字に注目すれば、「高音質の方が多少はいい結果を得られる」というのはどうやら間違いない。

ただ、最近は仕事で何度もビデオ会議に参加している私自身の印象としては、大切なのは「良いマイク/オーディオ」なんかより「作法」なんだと思う。実際問題としてハードウェアはごくフツーで十分だが、ソフトウェアとしての「作法」次第で、与える印象は決定的なまでに左右される。

ビデオ会議の作法で最も基本的なことは、自分が発言していない時にはマイクを「オフ」にすること。ずっと「オン」のままだと、余計なノイズやエコーを拾って他の参加者をイライラさせることになり、当然にも「賢い人」とは思ってもらえない。

マッキンレイさん、元記事の洒落たタイトルからの印象通り、"sounds smart"(賢そう)な人なんだろう。とはいえ率直に言えば、マイク/オーディオへの投資だけで文字通りに "sounds smart" になるとは限らない。要するに話が「それらしい」というだけである。

そもそも自分が「良いマイク/オーディオ」に多少の金をかけても、相手のスピーカーがちゃっちかったら、違いなんてそれほどわかるものじゃない。要は双方向の話だからね。

それにビデオ会議の作法の身についていない人が下手に「良いマイク」を使ったりしたら、余計な音をさらにしっかりと拾うことになりかねない。挙げ句の果てにハウリングなんか起こしたりしたら、明らかに逆効果になってしまうので、ご注意。

 

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2021年4月13日

「会議は 30分」というトヨタ的テーゼの導くものは

東洋経済 ONLINE に "トヨタの会議が「30分で終わる」超合理的な理由" という記事がある。"少しの差を積み上げ最終的に大きな時間を作る" というサブ見出し付きだ。それにしても「超合理的」とはスゴい。

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この記事の筆者である山本太平氏は「トヨタ本社のエンジニアとして、長らく生産現場にいた」方のようで、"社内で「会議は 30分!」と、口を酸っぱくして言われていた" と力説している。会議の時間が短いと他の仕事に回すことのできる時間が増えて、非常に効率的であるというのだ。

これはまことにもって「もっともな話」である。反対する理由は極めて見つけにくい。

ちなみに私は以前、合計 10年以上業界団体事務局というところに関係していて、その団体の理事が集まる「理事会」を主催していた。その他にもプロジェクトごとに企業から派遣される委員の集まる「〇〇委員会」という会議も頻繁にあったと記憶している。

業界団体の会議というのは、最低でも 1時間半ぐらいの時間を設定していた。そのくらいの時間を取らないと、定められた会議室までわざわざ各社から集まってもらうための「もっともらしさ」が出ないのである。この時間の長さは、「必要悪」というものかもしれない。

そうなると、この長い時間を埋めるために、どうしても「無駄な時間」を会議に盛り込む必要が生じる。本当に必要な話だけなら 30分足らずで終わってしまうので、適当な名目で「世間話」を交わす時間を確保するわけだ。

本当に有能な理事や委員なら、この「一見どうでもいい世間話」の中から自分の仕事に役立たせる「エキス」を吸い上げることができる。しかし他のほとんどの出席者にとっては、単に「楽しい雑談」に過ぎず、そのまま会議後の「飲み会」に突入するためのプレリュードみたいなことになってしまうのだ。

こうした体験から、「会議は 30分もあれば十分」ということには私も充分に賛成だ。とはいいながら 1時間や 1時間半の「一見無駄な時間の多い会議」をしても、有能な人はその「無駄」の中にさえ、あるいは「無駄」の中にだからこそ、貴重な何ものかを見出すことができるものである。

ただ、問題は「有能な人なんて、出席者の 1割程度でしかない」という現実だ。つまり、9割の人にとっては 30分以上の会議は「時間の無駄」でしかない。たった 1割の人のために、9割の人に「不合理」を強いるなんてことは徹底して避けるというのが、トヨタのスタイルなのだろう。

ということは、トヨタのクルマというのはほぼ 9割の人を満足させる「超合理性」を発揮することはできても、「たった 1割の人にだけアピールするようなユニークな面白さ」には欠けることが多いというのも道理である。社風そのものなのだね。なるほど、なるほど。

「面白さ」とは「無駄」の中にあることが多いものだから。

 

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2021年2月15日

ユニクロのサステナビリティ戦略

HUFFPOST が、ユニクロの柳井社長の 2月 2日の記者会見の模様を伝えている(参照)。サステナビリティに関連して「地球環境に対してかなり負荷を与えているので、それをできるだけ少なくしていく」と、かなり踏み込んだ発言をしたと話題だ。

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私は結構長い間、繊維、アパレル関連の情報を扱う仕事に就いていたので、かなり興味を持ってこのニュースを読んだ。「踏み込んだ発言」というので、どの程度踏み込んでいるのかと思ったが、まあ、そこそこ程度の踏み込み方ではある。

この日の記者会見で発表された「サステナビリティレポート 2021」も、誰でも読めるようにインターネット上に公開してある。これはいいことだ。

ファッション企業のものだけに、一見すると多少はムード先行のイメージはあるものの、読み込んでみればそこそこの努力を認めざるを得ない。業界で他に先駆けてこうしたものを世に出す姿勢は評価されていいだろう。

これまでのファッション業界はシーズン在庫が売れ残ると、次シーズンに回すことなく二束三文で処分したり廃棄したりするため、環境負荷の高い産業と思われてきた。ところがユニクロは、多シーズンにわたって売り場に出せる商品を展開するという。これまでのファッションの常識をくつがえす姿勢だ。

「廉価品の大量生産、大量販売」というイメージの強かった企業が、温室効果ガス排出の実質ゼロを目指し、再生ポリエステルを大幅に使用しつつ、仕上げ加工のプロセスで水の使用量を最大 99%削減する目標を示すなど、具体的な目標を明らかにしている点はかなり思い切った施策といえる。

もちろん、今回示された方針が最良のものというわけではない。ということは多分、今後もさらにアップデートしつつ進むのだろう。

HUFFPOST は今年 1月 25日にも「ファッションは悪なのか? アパレル各社のサステナ戦略、3つのポイント」という記事で、この分野の問題提起につなげている。今後は多くの業界で環境配慮が当然という世の中になることを期待する。

 

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2020年12月11日

アップル・ロゴが逆さまだったなんて

"Top 33 Unknown, Hidden, Secret Facts about Apple and Steve Jobs" (Apple と スティーブ・ジョブズについて 33の知られざる隠された事実)というサイトがあり、その 28番目は「昔のアップル・ノートブックはロゴが逆さまだった」というものだ。

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上の写真の左側は、アメリカの連続テレビドラマ "Sex and The City" (1998〜2004 に放映)に出てくる MacBook。確かに開いたラップトップのロゴが逆さまだ。これが右の写真のように逆さまでなく配置されるようになったのは、どうやら 2012年以後のことらしい。

私が Windows から Mac に乗り換えたのは 2014年 1月のことだから、そんなことは全然知らなかった。自分がまだまだ駆け出しの Mac ユーザーでしかないと痛感した。

元々写真の左側のような逆さまデザインだったのは、決して「うっかりミス」だったわけじゃない。むしろ「ユーザー・フレンドリーにするために綿密に検討しての結果だった」と書かれている。

スティープ・ジョブズ自身も、閉じている時に自分から見て逆さまでないのが自然で、それこそが「ユーザーフレンドリーなデザイン」と考えていたからようだ。開いた時に逆さまでないデザインだと、閉じた状態では自分から見て逆さまだから、慣れないとつい逆サイドから開けようとしてしまう。

このデザイン変更の経緯について、当時 Apple でマーケティングを担当していたジョー・モレノが述懐している。

最終的に今のデザインになったのは、スティーブ・ジョブズが、「ラップトップを逆サイドから開けようとしてしまい、自分がそれを直す。これは数秒のことだ。しかし、開いた時の逆さまロゴ、これは永遠に残ってしまう 」と気付いたことが大きいという(参照)。

なるほど「永遠に残ってしまう」のは、上の写真が雄弁に物語っている。スティーブ・ジョブズはそのことに耐えきれなくなったのだろうね。

ただ、Apple ロゴが特別ってことでは決してない。というのは、私が Mac に乗り換える前に使っていた Panasonic の Let's Note だって、開いた状態ではこんな具合だからだ。

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ただ、このロゴが閉じた状態で逆さまに見えていたいうことについては、使っていた当時は全然意識していなかった。改めて確認してみて初めて気がついたほどである。文字だけのデザインだと、そんなものなのだね。

Apple のロゴというのはそれほどまでに圧倒的で、印象に残るデザインということなのだろう。

 

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2020年10月31日

日本人はリモートワーク(テレワーク)が苦手

オーストラリアのシドニーに本拠を置くソフトウェア開発企業のアトラシアン(Atlasian)が調査会社 Paper Giant(本社:シドニー)に依頼して行った COVID-19 関連での労働環境変化に関する調査によると、主要 5カ国の中では日本人が最もリモートワーク(テレワーク)が苦手のようだ(参照)。

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今回の調査はオーストラリア、米国、日本、ドイツ、フランスの 5カ国を対象に行われ、 "Reworking Work/Understanding The Rise of Work Anywhere" ("仕事の改訂/「どこでも仕事」の増加" とでも訳しておこうか)というレポートにまとめられた。結果として浮かび上がったのは以下の 3点。

  • 苛酷な環境にありながら、多くの米国人はリモートワークをエンジョイしている。
  • 仕事と生活のバランスが改善され、仕事の満足度が高まったとの指摘が多い。
  • 米国人は他の調査国よりもオフィスに戻ることへの抵抗が強い。

調査対象 5カ国のうち、米国が最もリモートワークを楽しんでおり、ドイツ、フランスもその傾向が強いという。

一方、日本とオーストラリアはリモートワークに向いていないようで、とくに日本では 15%しか在宅勤務を支持していない。オーストラリアでも「77%がオフィスの同僚と一緒に働いていた頃より働く意欲がなくなった」と回答したとされている。

こうした違いの出る要素としては、① 家族のあり方の違い、② 仕事上の役割の違い、③ ネットワーク品質の違い の 3点が指摘されている。

日本は 2世代 3世代同居も少なくなく、オフィシャルとプライベートの区別もしっかりしていない部分がある。そして仕事そのものがチームワークによって運営される傾向が強いので、家に引っ込んでしまうとやりにくくなるのだろう。

日本のアドバンテージは ③のネットワーク品質ぐらいかもしれない。ちなみにオーストラリアは「インターネット回線が遅い」という定評があるようだ。

とはいえ最大の要因は、日本人の「自分の責任分野に関しては自分で決める」という当然のことに抵抗を感じるメンタリティだろう。長らく「隣が田植えを始めたら、自分も始める」という意識できたので、いつでも「それは皆で決めたことだし・・・」という「逃げ」を用意しておきたいわけだ。

この際だからもっとはっきり言ってしまうと、日本では「会社に顔を出しさえすれば、仕事してるみたいなアリバイが作れる」ってことで、一人だと何をしていいのかわからなくなるのかもしれない。

【参考】

スラドの記事では「サンフランシスコに拠点のあるソフトウェア開発企業アトラシアン」となっているが、本社はオーストラリアのシドニー(参照 1参照 2)にあり、今回の調査を実施したのが、サンフランシスコの拠点ということのようだ。


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