カテゴリー「マーケティング・仕事」の190件の記事

2024年10月 5日

ビジネスメールの署名に勤務時間を明記することの意味

HUFFPOST に 10月 2日付で "勤務時間外のメールチェックはもう終わりにしよう。署名に「ウェルネス文言」を付けるのがアメリカで流行の兆し" という翻訳記事がある。この見出し中の「ウェルネス文書」(健康文書?)というのは初耳の人が多いだろう。私も「何のこっちゃ?」と思った。

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HUFFPODST 英語版を探したところ、"How To Write An Email Signature That Actually Promotes A Life Outside Work" (仕事以外の人生を上手に送れる Eメールの署名の書き方)というのが見つかった。どうやらこれが今回の元記事のようで、日本語版の見出しはずいぶん思い切った「意訳」である。

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この中で「ウェルネス文書」に該当するの元の言葉は "wellness-promoting email signature" (健康促進 Eメール署名)だった。「意訳」ついでとはいえ、「ウェルネス文書」ではいくらなんでも唐突過ぎるよね。せめて「ウェルネス署名」にしてもらいたかった。

この場合の "signature" (署名)というのはメールの末尾に付ける名刺代わりみたいなもので、例えば私の場合こんなようになる。

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とどのつまり問題の記事は、「仕事と生活のバランスをうまくとって健康に生きていくための、ビジネスメールの署名の書き方」を考えるためのもののようなのである。そのためには、署名の中に自分の勤務時間を明記することが推奨されている。

この記事の筆者である Brittany Wong さんの同僚は、Eメールを出すにあたって次のような断り書きを自分の署名に加えているという。

My working hours are typically 8:30 a.m. ET to 6 p.m. ET, Monday to Friday. If these are not your working hours, please do not feel an urgency to respond outside of your typical working hours.

私の勤務時間は通常、月曜日から金曜日の午前 8時 30分から午後 6時(米東部時間)です。もしこの時間帯があなたの勤務時間外である場合には、あなたの仕事の時間以外で返信を急ごうとされなくても結構です。

米国は東部と西部で 3時間の時差があるから、こうした表記には日本人が考える以上の意味がある。お互いのプライベートな時間を大切に考えていると示すことができるのだから、気の利いた配慮である。

日本の場合だとここまで丁寧に書かなくても、「勤務時間 9:00〜18:00(土日、祭日は休み)」ぐらいにさりげなく明記しておくだけでも意味があるだろう。相手は「18時以後にメールを送っても、明日の 9時過ぎまでは返信がないだろう」と納得することができる。

これ、早速やってみようと思ったのだが、考えてみれば私はフリーランスなので「通常の勤務時間帯」というのが存在しないのだった。土日だろうが祭日だろうが、必要とあらば仕事してしまう。メールチェックは夜でもするし、そのまますぐに返信してしまうことだって度々だ。

こちらが夜に返信しても、先方がそれを読むのは翌朝だろろうから「朝イチのメール」ということになり、それで構わないのだが、相手もフリーランスだと、夕食後のくつろぎ時間を邪魔することになりかねないから考え物である。これを機に、メールは朝になってから送信するように心がけよう。

 

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2024年9月14日

「ヴィレッジヴァンガード」という店の失敗とは?

東洋経済 ONLINE で "大量閉店「ヴィレヴァン」経営が犯した最大の失敗" というタイトルを見て、まず最初に浮かんだのは「ヴィレヴァンって何だ?」という疑問である。これ、モロに初耳だったもので。

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記事の冒頭を読んで「ヴィレッジヴァンガード」の略だとわかったものの、それでもまず思い浮かんだのは、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにある "Village Vangurard" の方である。直接訪問したことはないが、このジャズ・クラブでのライブ録音はずいぶん聞いている。

記事の写真をまじまじと見てようやく、「そういえば、イオン・モールつくばのユニクロの向かいに、こんなような見かけのショップがあったな」と思い当たった。記事には「遊べる本屋」とあって、どうやらサブカルっぽさが売り物らしい。

店に入ったことは一度もないが、外から見た印象ではわけのわからない小物が雑多に積み重なっているばかりで、「本屋」っぽい雰囲気はまったくない。率直に言って、自分の欲しいものが手に入りそうな気はまったくしないし、客が入っているのを見たこともない。

記事によれば、この「ヴィレヴァン」とやらの 2024年 5月期の決算は、売上高が約 247.9億円で前期比約 2%の減少。営業利益は 9.15億円の赤字(最終赤字は 11.4億円)となっている。店舗数で見ても一時は全国で 400店舗を展開していたが、現在は 300店舗を割り込みそうな状況だという。

記事には、「ヴィレッジヴァンガード全店巡る人(ヴィレ全)さん」という方(その筋では有名人なのかなあ)が、この不調の原因を次のように語っていたとある。

  1. ショッピングモールなどへの出店を進めたことによって、「ヴィレヴァンらしさ」が普通のものになってしまった
  2. 人材教育が十分にされなかったことで、ヴィレヴァンを支える店員にサブカルの知識が薄く、普通の売り場しか作れなくなってしまった

というわけで、ヴィレ全さんみたいな濃い顧客には、現在の店舗が薄味になってしまっていることが不調の原因と映るのだろう。しかし、あの店作りを一目見て、「普通の売り場」とは到底感じられない私のような者には、原因は別のところにあるとしか思えない。

それは単純な話で、要するに「オーバーストア」だったんだろうということだ。アヤシい和製英語だが、要するに「店舗数過剰」ということである。

サブカルチャーのマーケットは元来それほど大きなものじゃない。限定的な市場に向け、調子に乗って大量出店し過ぎれば、限界にぶち当たるのも当然である。

そんな状況でヴィレ全さんの言うようにマニア向けの「濃い味」を徹底しちゃったりなんかしたら、ますます「過剰」になってしまうというのはマーケティングの常識だ。というわけで「ヴィレヴァン」も店舗数を適正規模に絞り込めば、まともな経営を継続できるだろう。それなら余計な人材教育も要らないし。

要するにそれだけの話なんだと思う。とくにフツーのショッピングモールでのヴィレヴァンって完全に場違いだから、さっさと撤退した方がいい。

 

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2024年7月14日

レナウンが名実ともに消滅するというので

東京商工リサーチが "法人としての「レナウン」が消滅へ" という記事を伝えている。同社は 4年前の 2020年に実質的に倒産してしまっていた(参照)のだが、面倒くさい法的な手続きがようやく終了して、今年中には名実ともに世の中かから「消えてなくなる」ことになったのだそうだ。

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私がジャーナリズムや業界団体で繊維・アパレル業界と密接に関わっていたのは、1980〜2000年までのほぼ 20年間だった。アパレル・メーカーの社員として直接業務に関わったことはないが、それだけに客観的な視点で業界をウォッチすることができたと思っている。

レナウンは 1990年代には売り上げ 2000億円を突破して、世界最大のアパレル・メーカーとなっていた。しかし外部から見ると、その「世界最大」というにふさわしい明確なコーポレート・アイデンティは感じられなかったのである。

何しろ販路は百貨店頼りで、主力商品は「アーノルド・パーマー」ブランドに代表される値段だけはいっぱしに高いカジュアルウェアと、一応扱っていた婦人服。ただ婦人服とはいえ、いわゆる「ミッシー・カジュアル」という名の、無難ではあるがぱっとしないものばかりだった。

そしてあまり目立ちはしなかったが、実はおっさんの下着(アンダーシャツとか、ブリーフとか)の売り上げが結構大きかった。元々は大阪で創業した「メリヤス屋さん」だったのだから、それは当然である。

歴史を振り返れば、「メリヤス屋さん」が東京に本社を移し、1960年代の「ワンサカ娘」(シルヴィ・ヴァルタン起用)だの「イエイエ」だのの CM がヒットして高度成長の波に乗ったのが売上拡大の契機となった。そして 1970年代にはアラン・ドロンを CM に起用し、「ダーバン」を立ち上げた。

ここはレナウン追悼の意味で、話題となった CM を列挙しておこう。今の目で見れば 3つともビミョーにダサい(2番目はモロにダサい)が、当時はエラく話題になったのだよ。

広告代理店には相当に高い金を払ったとしか思われず、電通はレナウンに足を向けて寝られない。ただ、CM を通じて世の中に広まったファッション・コンセプトがグループ内にしっかり還元されることは遂になく、会社を訪問しても雰囲気は「アパレル・メーカー」というよりむしろ「二流の商社」だった。

男性社員はビシッとダーバン・スーツを身に付けてはいるが、それは単に「自分のところの品物だから」でしかなく(社割で安く買えるしね)、営業部門と企画部門の意思疎通なんてほとんど感じられなかった。そうした意味では、どこまで行っても「メリヤス屋さん」だったのだと思う。

そんなわけなので高度成長期に数字だけはやたら伸びたものの、遂に「スマートでしっかりしたファッション企業」になることはできず、新時代への対応は致命的に遅れた。それでバブル崩壊とともに足許から崩れてしまったというわけだ。

そのあたりの雰囲気は、WWD の "レナウン破綻1年 23歳元社員の挫折「服が好きなだけじゃ、やってけない」" という記事を読めば如実に伝わってくる。

この記事に登場する入社 1年でレナウンを退社した吉田修太郎さん(仮名)は、学生時代から「洋服好き」だったのに、アパレル業界を目指して就職活動を始めるまでレナウンを知らなかったという。つまり 2020年頃、レナウンのイメージは既に「ファッション業界の埒外」だったのだ。

レナウン関係者には知り合いも少なくないのであまりムチャクチャなことは言いたくない気もしていたが、今回は敢えて率直な書き方をさせてもらった。悪しからず。

【馬鹿馬鹿しい追記】

ダーバン CM でのアラン・ドロンの決めゼリフ、"D'urban c'est l'elegance de la moderne hommes." (と言ってるのかな? フランス語は苦手でヒアリングに自信ない)をもじり、「ダーバン、セガレでやんす、どんなもんでぇ」というのを一部で流行らせたのは、私の学生時代の若気の至りである。

 

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2024年4月 1日

最北の甘み ー「知床みかん」プロジェクトが進行中

よく柑橘類の北限は茨城県だと言われるが、これは茨城県より北では柑橘類が育たないということではない。まとまった量の安定的出荷を行って農業として成立させるには、茨城県辺りが北限と長らく言われてきたのである。ところが最近は、東北の宮城県でもみかんが栽培されているという(参照)。

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宮城県だけでなく、雪国と言われる山形県でも試験栽培は進んでいる。注目されているのは、私の生まれた酒田市の試験圃場における取り組みだ。下の動画でその一端を窺うことができる。

さらに出荷を目的とせずに個人的趣味としてささやかにみかんを育てているということなら、それほど珍しいわけでもなく、私の知り合いにも何人かいる。

その気になれば雪国だろうがなんだろうが、みかんは穫れるということのようだ。最近の温暖化も味方しているといわれ、要は「気合い」だが、実際には毎年コンスタントに収穫するのは容易ではないようだ。

ちなみに北海道でもみかんは栽培されている。上手に育てれば、別にビニールハウスで覆わなくてもみかんの実がなるらしい(参照)。そしてなぜか、北海道で収穫されるみかんは、同じ品種でも本州以南で穫れるものより甘いのだそうだ。

我が故郷の酒田辺りでは気温の低さのため甘いみかんの収穫が難しいといわれるが、いっそ北海道ぐらいに寒くなるとそれが逆転してしまうらしい。みかんの木が気温の低さに対抗して「必死に頑張らざるを得ない」と見られ、その結果として糖質が過剰なまでに形成されるということのようなのだ。

先日、仕事でまだ雪の残る釧路に出張した際に、知床半島でみかんの栽培に取り組んでいるチームがあると知った。「日本一甘いみかん」の生産を目指すプロジェクトが進行しているというのである。

この画期的なプロジェクトを主導するのはこの地の農協青年部。北海道大学との連携で、寒さに強く、しかも糖分の生成が旺盛な品種改良を行っている。

現在のところ、これまでになく糖度の高いみかんの生産に成功しているが、安定して一定量の収穫を行うにはまだ多くの課題が残されているという。ただ、これを試食したことのある人たちは、口を揃えて「みかんというより、産高級の桃を食べたみたいだった」と印象を語っていた。

釧路農協ではいずれ「最北の甘み 知床みかん」のブランドで出荷することを目指し、さらなる改良に励んでいるという。次は収穫期に訪れて、ぜひ私も試食させてもらいたい。

【4月 2日 追記】

えぇと、毎度お馴染みのエイプリルフール・ネタで、お粗末様でした。

ただ、コメントにあるように「知床メロン」や「知床マンゴー」が開発中となると、エイプリルフールでは済まなくなってしまいそうで、ちょっと恐ろしくなっております。「夕張メロン」は既にステイタスがあるし。

 

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2024年2月15日

「50歳からの」という通俗マーケティングの怪現象

読売新聞オンラインに ”出版界の怪現象「50歳からの」と題名をうたった本が続々……読書案内や精神論、旅案内も” という記事がある。このタイトル、「〜と題名をうたった本」という言い回しにもちょっと「怪現象」っぽさを感じるよね。

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ただこれ、見出しを付けた編集者の方の言葉センスの問題のようで、本文はオーソドックスにこんな書き出しなので安心した。

題名に「50歳からの」とうたった本を最近、書店でよく見かけるようになった。

「50歳からの〜」というタイトルの本が増えたことの理由はまったく単純な話で、日本の年齢別人口を見ると 50歳前後が最も多いということのようだ。人口が多いなら少しは売れるだろうという、単純マーケティング視点である。

記事に添えられた統計グラフによれば、50〜54歳の人口が 970万人、45〜49歳の人口が 903万人と、明らかに多い。いわゆる「団塊ジュニア」世代だ。

ただ驚いたことに、見たところ私(現在 71歳)の属する 70〜74歳 という年齢層が 45〜49歳に続いて 3番目になっている。詳しい資料(総務省統計局人口推計)を参照してみると 2024年 1月現在、70〜74歳は 867万人で、団塊の世代より多いじゃないか。

いわゆる「団塊の世代」は「第一次ベビーブーム期(1947~49)の生まれだから、昨年 1月時点の資料では 75〜79歳の層なのだが、人口は 755万人となっている。「数の力」を武器としてきた彼らもそろそろあの世に召される時期に差しかかり、減少し始めているようなのだ。

世の通俗マーケッターたちとしては、これまで金科玉条としてきた「団塊の世代」の威力が失われてしまったので、それならばと「団塊ジュニア」に軸足を移したということなのだろう。

ちょっと蛇足だが、こうした企画の一つ、中央公論新社編『50歳からの読書案内』という本の紹介文に "50歳は「人生100年時代」の折り返し地点 " とある(参照)のに驚いてしまった。いつの間にか、人はフツーに 100歳まで生きるってことにされてしまったようなのだね。

しかし 80歳に近付いた「段階の世代」向けに『残された 20年以上の読書案内』なんて本を出しても売れるはずがないから、これもまたお馴染みの「雰囲気のもの」なのだろう。

 

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2023年12月22日

また営業コンサルタントの戯れ言が始まった

PRESIDENT Online に ”メールの書き出しが「会社名+名前」はダメ・・・営業コンサルが勧める「売れる人間がやっている必殺の書き出し」” という記事がある。「必殺の書き出し」ってどんなのかと思い、読んでみると「休みの日でもお客様のことを考えてしまう菊原です」なんだそうだ。

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これには完全にコケてしまったよ。実際にこんな書き出しのメールなんか届いたら、私だったらまず「気持ち悪い奴っちゃなあ!」と思う。下手したらスパム・メールと勘違いして、即刻「迷惑メール」フォルダにぶち込んでしまいかねない。

営業メールの書き出しは、「お世話になっております。△△の〇〇です」といった簡潔な決まり文句で十分以上だ。さらっと読み飛ばしたい書き出しなんかに、あまり余計な意味を込めないでもらいたい。こっちだって忙しいんだから。

申し訳ないが、私は日頃から「営業コンサルタント」という人種はうっとうしい存在と思っていて、このブログでもそのあたりのことを何本か書いている。代表的なのは "喉元過ぎれば「いらしゃいませ、こんにちはぁ〜」を忘れる" (2019年 12月 18日付)という記事だ。

一時、「いらっしゃいませ、こんにちはぁ〜」というけったいな挨拶がコンビニを始めとするサービス業界を席巻していて、客としては気持ち悪くてしょうがなかった。最近はようやくあまり聞かなくなってホッとしているのだが、この妙な挨拶もまた、営業コンサルタントのこねくりあげたもののようだ。

私の「本宅サイト」内にある "「いらしゃいませこんにちはぁ」 の怪 この違和感には根拠がある" という記事に、「接客マニュアルの勘違い」として「コンサルタント会社の言い草」というのをいくつか紹介してある。これがまさに「勘違いオンパレード」で、ちょっと例を挙げるとこんな具合だ。

「いらっしゃいませ」 という挨拶は、最近では形骸化している。一言、「こんにちはー」 などのあいさつを加えることで、“貴方に向かって、あいさつをしています。貴方を出迎えています。” という感覚を与えることができる。

お客としても、「いらっしゃいませ」 だけでは、どう返事をしていいかわからないで、黙っている自分を 「いやだなァ」 と感じたりしている。お客さまだって、何か声を出したいのだ。

「貴方に向かってあいさつをしています」という感覚を与えると言うのだが、店員のほとんどは適当な方向を向いて口だけ動かしていたし、「いらっしゃいませ」にどう返事していいかわからない自分を「いやだなあァ」と感じる客なんて、コンサルタントの勝手な想像の中にしかいない。

というわけで、私は営業コンサルタントという人種の言うことはあまり信じないことにしている。いちいち信じていたら、世の中やたらと面倒なことになってしまいかねない。

とはいえ、最後にコンサルタント諸氏の名誉のために、「コンサルタントはそんなに酷くはないが 」(2007年 8月 2日付)という記事も書いていることを付け加えさせていただく。まあ、記事を読んでいただけばわかるように、上げたり下げたりしてはいるのだが。

 

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2023年8月17日

実際の成果より「忙しそうに見せる」ことが重要な日本

「就活」をしたことがない(参照)私の仕事の出発点は、小さな広告代理店だったのだが、そこで社長に教えられたのは「常に忙しそうにパタパタしていれば、仕事は向こうからやってくる」ということだった。「余裕たっぷり」に見せちゃいけないんだそうで、まあ、一面の真理ではあるのだが。

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こんなような半世紀近く前の処世術が今でも堂々とまかり通っていることを、Gigazine の ”日本は「忙しそうに見せるだけの無駄な仕事」に時間を費やしている国トップ 3に入ることが Slack のレポートで発覚” という記事で知った。日本って、「忙しそうに振る舞うこと」が重要な国のようなのである。

ちなみにこの記事の見出しにある「忙しそうに見せるだけの無駄な仕事」というのは、"make it" というサイトの元記事では次のように書かれている(参照)。

Workers in Asia are spending the most time on “performative work” — in other words, focusing on appearing busy more than doing real, productive work

(アジアの労働者たちは実際的かつ生産的な仕事よりも「パフォーマンス的な仕事」、言い換えれば忙しそうに見えるよう専念することに、多くの時間を費やしている)

元記事の "performative work" というのは Gigazaine では「パフォーマティブな仕事」とそのまま書かれているが、私としては「パフォーマンス的な仕事」とする方が直感的に理解しやすいと思うので、そのように訳させてもらった。

で、その「パフォーマンス的な仕事」というのはどんなものかというと、元記事ではこんなこととされている。

Spending a lot of time in meetings where ‘teams present achievements’ rather than making decisions or addressing issues

(意思決定や問題への対処よりも、「チームの成果発表」の会議などに多くの時間を割くこと)

ただ、この程度ならまだ可愛らしいものだろう。実際場面では、どうでもいい仕事にもっともらしく時間をかけているだけなんてこともよく見られる。効率的にさっさと仕上げるより余計な時間をかける方が、いかにも仕事熱心みたいに見てもらえるというのは、日本のビジネス社会の「病気」だよね。

とまあ、こんなことだから日本という国はやたらと残業が好きな割に、実際の生産性が上がらないわけだ。私だったらダラダラと残業なんかしてるヤツより、定時に帰宅するヤツの方を評価するがなあ。

 

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2023年8月10日

最近のモロゾフの包装紙、唐草模様の風呂敷みたい

文明堂モロゾフは、仕事やお付き合いで訪問先への手土産が必要な時に、昔からかなり重宝してきた。文明堂のカステラか、モロゾフの洋菓子のどちらかさえ持っていけば、ちゃんと格好がつく。

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実は一昨日、そんなような関連で手土産を持参する必要が生じ、「今回はモロゾフで行こうかな」なんて心づもりで、地元のショッピングモール内の量販店に立ち寄った。しかしモロゾフの詰め合わせ商品の並ぶ棚の前に立って、「ありゃりゃりゃ・・・」となってしまったのである。

以前と包装紙が変わってしまったようで、緑地に白文字の ”MOROZOFF” がゴチャゴチャっと並ぶデザインになっている。白地にナチュラルカラーの文字というデザインは前からあったと記憶するが、この配色だと私なんかどうしても唐草模様の風呂敷を連想してしまうのだよね。

下の写真は東京キッチュのサイトにあるもの(参照)で、「布切れ一枚の大活躍。もう泥棒とは呼ばせません」というキャッチフレーズ付きだ。ただ、そんな風に訴求されてるってことは、やっぱり多くの人の心のどこかに、昭和のマンガでお馴染みのドジな泥棒のイメージ(参照)が存在してるってことだよね。

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それどころか私なんかさらに発展して、正月の獅子舞まで連想してしまったよ。下の写真は川添竹材商店という店の「民芸品 踊る獅子舞 大」という商品だが、かなりイメージが共通してしまうじゃないか。

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というわけで中身のチョコレートやゼリー菓子とのイメージ・ギャップが大きすぎて、「今回は文明堂のカステラにしとこう」と、方針転換をしてしまったのだった。モロゾフさん、ごめんね。

で、一消費者として心から進言申しあげたいのだが、あの緑の包装紙はどう見ても早めに変える方がいい。単体で見る限りはそれほどの違和感じゃないが、店頭に積み重ねられてるのを横から見ると、どうにも唐草模様みたいなのだよね。ちなみに前のデザインだったら、私も変に思いとどまったりしない。

ところで今回ふとした気紛れで関連事項を調べてみて初めて知ったのだが、「文明堂」の名を冠する企業って複数あり(参照)、どれも根っこは長崎の「文明堂総本店」のようなのだ。道理で長崎に行くと、「文明堂のカステラ」がやたら仰々しく売られてると思っていたよ。

【同日 追記】

そういえば、このブログの最近のタイトル画像にも、唐草模様を使っていたんだった。4つの和風伝統柄を組み合わせたデザインだが、こんな意匠の場合、やはり唐草模様は外せない。

 

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2023年7月27日

"X" になった Twitter には未練がないんだが

最近は自分の 2つのブログ更新の告知以外では Twitter をあまり使っていないのだが、2〜3日前頃からこの操作をする度に ”X" という文字が表示されるので「こりゃ、一体何じゃ?」と思っていた。調べてみると、なんと、Twitter の名称が ”X” ということになってしまったというじゃないか(参照)。

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というわけで、長年親しんだ ”Twitter” という名称も ”tweet” という動詞も青い鳥のロゴマークも、公式には既に捨て去られてしまって、過去のものになったんだそうだ。いやはや、ずいぶん思い切ったものである。

これに伴って公式アカウントも "@x" ということになったらしく、これまでこのアカウントを持っていた Gene X Hwang さんというユーザーは無料で強奪されてしまったという(参照)。さらには "@ai" なんて公式アカウントもあるみたいで、日本でもこんなケースが tweet されている(参照)。

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ただ、こんなようなことになってしまっても、私はこれまで通り Twitter や tweet という言葉を使い続けるだろうし、言わなくなるとしたら、近い将来に Twitter、いや、X というサービスから離れる時だろう。

何しろ、いきなり 「私、このほど ”X” に改名しましたんで、これまで通りよろしく」なんて言われても、「はあ、そうですか、こちらこそよろしく」なんてことは言いにくい。もう未練もへったくれもない気がしているのである。

これに関して、Bloomburg は 25日付で "ツイッター、40億-200億ドルの価値喪失も-ブランド名「X」に変更" という記事を発表している。この見出しの主語が「ツイッター」ということになっているのも、世間の見方を代表しているようでおもしろい。

この記事はこのブランド名変更に関して「この行動によって40億-200億ドル(約5700億-2兆8300億円)の価値が吹き飛んだ」と指摘した上で、「アナリストやブランド戦略会社は、今回の変更は間違いだとみている」と、明確に書いている。マーケティングの常識から発した正論だ。

というわけで、前々からこのブログの更新を通知する SNS の引っ越しを言い出しながら、そのタイミングをグダグダと引き延ばしてきた私としても、かなりその現実味が増してきたような気がする。ただ問題は引っ越し先をどこにするかだ。

最有力候補の ”Treads” はまだベータ版という印象で今イチ使いづらいし、もうちょっと待つしかないのかなあ。ああ、居心地悪い。

 

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2023年7月16日

「モスバーガー」って「苔バーガー」じゃないんだね

この年になって、初めて知ったことがある。それは、「モスバーガー」って「苔バーガー」じゃなかったんだってことだ。確かに画像検索してみると、看板は "MOS BURGER" であって "MOSS BURGER" じゃない。迂闊ながら、これにはずっと気付いていなかった。

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英語の "moss" は「苔」だから、私はこれまでずっと「モスバーガー = 苔バーガー」だと思い込んできて、長らく「変な名前だなあ!」と感じていたのである。何しろ看板まで、それっぽい緑色だしね。

これが間違いと知ったきっかけは、昨日クルマを運転しながら聞いていたラジオ番組で、"モスバーガーが期間限定で「白いモスバーガー」を展開" という話題を取り上げていたことだ。番組ではその流れとして、「モスバーガー」という名前の由来をこんな風に説明していた。

Mountain(山)の "M"
Ocean(海)の  "O"
Sun(太陽)の  "S"

「山のように気高く堂々と」「海のように深く広い心で」「太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って」という意味合いがこめられている。

これは Wikipedia(参照)など複数のページに同様の記述があり、この会社自身もそう説明しているらしいので、多分本当なのだろう。ご立派すぎて聞いてる方が気恥ずかしくなるほどだが、Wikipedia には次のような記述もある。

創業者・櫻田慧がモス・フード・サービスの前に起こした株式会社モスの社名には、これに加えて、Merchandising Organizing System の意味もある。

ふぅむ、これにしても「理に落ちすぎ」で面白くもなんともない。それに、こっちの方が先にあったんだとしたら、山だの海だの太陽だのというのは、いかにも「後付け、こじつけ」っぽい気がしてしまう。

まあこの際、そんなことはどうでもいい。とにかく私が言いたいのは、「苔バーガー」に聞こえてしまう名称は、フツーたっだら何はなくとも避けるところだろうがなあということだ。

というわけで、私はモスバーガーでハンバーガーを食ったことはこれまで一度もない。さらに数年前から肉食を絶っていることもあって、この崇高過ぎる意味合いのハンバーガーは、今後も食うことがないだろう。

さんざん書いておいて、最後に念のため付け加えておくが、私はモスバーガーには恨みがあるわけでも何でもないので、そのあたりどうぞ

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