カテゴリー「マーケティング・仕事」の184件の記事

2023年8月17日

実際の成果より「忙しそうに見せる」ことが重要な日本

「就活」をしたことがない(参照)私の仕事の出発点は、小さな広告代理店だったのだが、そこで社長に教えられたのは「常に忙しそうにパタパタしていれば、仕事は向こうからやってくる」ということだった。「余裕たっぷり」に見せちゃいけないんだそうで、まあ、一面の真理ではあるのだが。

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こんなような半世紀近く前の処世術が今でも堂々とまかり通っていることを、Gigazine の ”日本は「忙しそうに見せるだけの無駄な仕事」に時間を費やしている国トップ 3に入ることが Slack のレポートで発覚” という記事で知った。日本って、「忙しそうに振る舞うこと」が重要な国のようなのである。

ちなみにこの記事の見出しにある「忙しそうに見せるだけの無駄な仕事」というのは、"make it" というサイトの元記事では次のように書かれている(参照)。

Workers in Asia are spending the most time on “performative work” — in other words, focusing on appearing busy more than doing real, productive work

(アジアの労働者たちは実際的かつ生産的な仕事よりも「パフォーマンス的な仕事」、言い換えれば忙しそうに見えるよう専念することに、多くの時間を費やしている)

元記事の "performative work" というのは Gigazaine では「パフォーマティブな仕事」とそのまま書かれているが、私としては「パフォーマンス的な仕事」とする方が直感的に理解しやすいと思うので、そのように訳させてもらった。

で、その「パフォーマンス的な仕事」というのはどんなものかというと、元記事ではこんなこととされている。

Spending a lot of time in meetings where ‘teams present achievements’ rather than making decisions or addressing issues

(意思決定や問題への対処よりも、「チームの成果発表」の会議などに多くの時間を割くこと)

ただ、この程度ならまだ可愛らしいものだろう。実際場面では、どうでもいい仕事にもっともらしく時間をかけているだけなんてこともよく見られる。効率的にさっさと仕上げるより余計な時間をかける方が、いかにも仕事熱心みたいに見てもらえるというのは、日本のビジネス社会の「病気」だよね。

とまあ、こんなことだから日本という国はやたらと残業が好きな割に、実際の生産性が上がらないわけだ。私だったらダラダラと残業なんかしてるヤツより、定時に帰宅するヤツの方を評価するがなあ。

 

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2023年8月10日

最近のモロゾフの包装紙、唐草模様の風呂敷みたい

文明堂モロゾフは、仕事やお付き合いで訪問先への手土産が必要な時に、昔からかなり重宝してきた。文明堂のカステラか、モロゾフの洋菓子のどちらかさえ持っていけば、ちゃんと格好がつく。

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実は一昨日、そんなような関連で手土産を持参する必要が生じ、「今回はモロゾフで行こうかな」なんて心づもりで、地元のショッピングモール内の量販店に立ち寄った。しかしモロゾフの詰め合わせ商品の並ぶ棚の前に立って、「ありゃりゃりゃ・・・」となってしまったのである。

以前と包装紙が変わってしまったようで、緑地に白文字の ”MOROZOFF” がゴチャゴチャっと並ぶデザインになっている。白地にナチュラルカラーの文字というデザインは前からあったと記憶するが、この配色だと私なんかどうしても唐草模様の風呂敷を連想してしまうのだよね。

下の写真は東京キッチュのサイトにあるもの(参照)で、「布切れ一枚の大活躍。もう泥棒とは呼ばせません」というキャッチフレーズ付きだ。ただ、そんな風に訴求されてるってことは、やっぱり多くの人の心のどこかに、昭和のマンガでお馴染みのドジな泥棒のイメージ(参照)が存在してるってことだよね。

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それどころか私なんかさらに発展して、正月の獅子舞まで連想してしまったよ。下の写真は川添竹材商店という店の「民芸品 踊る獅子舞 大」という商品だが、かなりイメージが共通してしまうじゃないか。

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というわけで中身のチョコレートやゼリー菓子とのイメージ・ギャップが大きすぎて、「今回は文明堂のカステラにしとこう」と、方針転換をしてしまったのだった。モロゾフさん、ごめんね。

で、一消費者として心から進言申しあげたいのだが、あの緑の包装紙はどう見ても早めに変える方がいい。単体で見る限りはそれほどの違和感じゃないが、店頭に積み重ねられてるのを横から見ると、どうにも唐草模様みたいなのだよね。ちなみに前のデザインだったら、私も変に思いとどまったりしない。

ところで今回ふとした気紛れで関連事項を調べてみて初めて知ったのだが、「文明堂」の名を冠する企業って複数あり(参照)、どれも根っこは長崎の「文明堂総本店」のようなのだ。道理で長崎に行くと、「文明堂のカステラ」がやたら仰々しく売られてると思っていたよ。

【同日 追記】

そういえば、このブログの最近のタイトル画像にも、唐草模様を使っていたんだった。4つの和風伝統柄を組み合わせたデザインだが、こんな意匠の場合、やはり唐草模様は外せない。

 

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2023年7月27日

"X" になった Twitter には未練がないんだが

最近は自分の 2つのブログ更新の告知以外では Twitter をあまり使っていないのだが、2〜3日前頃からこの操作をする度に ”X" という文字が表示されるので「こりゃ、一体何じゃ?」と思っていた。調べてみると、なんと、Twitter の名称が ”X” ということになってしまったというじゃないか(参照)。

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というわけで、長年親しんだ ”Twitter” という名称も ”tweet” という動詞も青い鳥のロゴマークも、公式には既に捨て去られてしまって、過去のものになったんだそうだ。いやはや、ずいぶん思い切ったものである。

これに伴って公式アカウントも "@x" ということになったらしく、これまでこのアカウントを持っていた Gene X Hwang さんというユーザーは無料で強奪されてしまったという(参照)。さらには "@ai" なんて公式アカウントもあるみたいで、日本でもこんなケースが tweet されている(参照)。

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ただ、こんなようなことになってしまっても、私はこれまで通り Twitter や tweet という言葉を使い続けるだろうし、言わなくなるとしたら、近い将来に Twitter、いや、X というサービスから離れる時だろう。

何しろ、いきなり 「私、このほど ”X” に改名しましたんで、これまで通りよろしく」なんて言われても、「はあ、そうですか、こちらこそよろしく」なんてことは言いにくい。もう未練もへったくれもない気がしているのである。

これに関して、Bloomburg は 25日付で "ツイッター、40億-200億ドルの価値喪失も-ブランド名「X」に変更" という記事を発表している。この見出しの主語が「ツイッター」ということになっているのも、世間の見方を代表しているようでおもしろい。

この記事はこのブランド名変更に関して「この行動によって40億-200億ドル(約5700億-2兆8300億円)の価値が吹き飛んだ」と指摘した上で、「アナリストやブランド戦略会社は、今回の変更は間違いだとみている」と、明確に書いている。マーケティングの常識から発した正論だ。

というわけで、前々からこのブログの更新を通知する SNS の引っ越しを言い出しながら、そのタイミングをグダグダと引き延ばしてきた私としても、かなりその現実味が増してきたような気がする。ただ問題は引っ越し先をどこにするかだ。

最有力候補の ”Treads” はまだベータ版という印象で今イチ使いづらいし、もうちょっと待つしかないのかなあ。ああ、居心地悪い。

 

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2023年7月16日

「モスバーガー」って「苔バーガー」じゃないんだね

この年になって、初めて知ったことがある。それは、「モスバーガー」って「苔バーガー」じゃなかったんだってことだ。確かに画像検索してみると、看板は "MOS BURGER" であって "MOSS BURGER" じゃない。迂闊ながら、これにはずっと気付いていなかった。

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英語の "moss" は「苔」だから、私はこれまでずっと「モスバーガー = 苔バーガー」だと思い込んできて、長らく「変な名前だなあ!」と感じていたのである。何しろ看板まで、それっぽい緑色だしね。

これが間違いと知ったきっかけは、昨日クルマを運転しながら聞いていたラジオ番組で、"モスバーガーが期間限定で「白いモスバーガー」を展開" という話題を取り上げていたことだ。番組ではその流れとして、「モスバーガー」という名前の由来をこんな風に説明していた。

Mountain(山)の "M"
Ocean(海)の  "O"
Sun(太陽)の  "S"

「山のように気高く堂々と」「海のように深く広い心で」「太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って」という意味合いがこめられている。

これは Wikipedia(参照)など複数のページに同様の記述があり、この会社自身もそう説明しているらしいので、多分本当なのだろう。ご立派すぎて聞いてる方が気恥ずかしくなるほどだが、Wikipedia には次のような記述もある。

創業者・櫻田慧がモス・フード・サービスの前に起こした株式会社モスの社名には、これに加えて、Merchandising Organizing System の意味もある。

ふぅむ、これにしても「理に落ちすぎ」で面白くもなんともない。それに、こっちの方が先にあったんだとしたら、山だの海だの太陽だのというのは、いかにも「後付け、こじつけ」っぽい気がしてしまう。

まあこの際、そんなことはどうでもいい。とにかく私が言いたいのは、「苔バーガー」に聞こえてしまう名称は、フツーたっだら何はなくとも避けるところだろうがなあということだ。

というわけで、私はモスバーガーでハンバーガーを食ったことはこれまで一度もない。さらに数年前から肉食を絶っていることもあって、この崇高過ぎる意味合いのハンバーガーは、今後も食うことがないだろう。

さんざん書いておいて、最後に念のため付け加えておくが、私はモスバーガーには恨みがあるわけでも何でもないので、そのあたりどうぞ

Yoroshiku4

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2023年7月 5日

「就活」なんて、したことないし

昨日の記事でもちょっと触れたジェーン・スー 生活は踊る」という TBS ラジオの番組だが、今日も昼飯を食いながら聞くともなく聞いていると、21歳の女子大生という聴取者から人生相談が寄せられていた。「就活」というもので悩んでいるというのである。

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「就活」って、「就職活動」の略語なのだね。「しゅうかつ」と入力して変換すると、ごく当たり前のように「就活」という文字が現れるのに驚いてしまった。ちなみにこの相談者は、この「就活」というものにストレスを感じて、鬱々とするほど悩んでいるというのである。

で、番組では、この年頃の大学生にとって「就活」というものが世の中の全てであるように見えてしまう幻想について論じていた。試しにスタジオのガラス窓の向こうにいる番組スタッフたちに「就活ってした?」と聞くと、ほとんどが「してない」と答える。世の中って、そんなものである。

リクルートスーツに身を包んで会社廻りし、いろいろ面接したりして就職先を決めるのを「就活」というらしいのだが、不肖私も、そんなのしたことがない。ワセダの「大学院文学研究科」なんて妙なところに通い、「七代目団十郎論」なんて修士論文を書いていた人間が、そんなことするわけないじゃないか。

そんなことしなくても、一応仕事先は見つかるものである。最初の就職先でいろいろゴチャゴチャしているうちに、別の会社から声がかかりみたいなことで、ちょこちょこっとステップアップしているうちに独立してフリーランスとなり、70歳を過ぎてもその残り火でなんとかなっている。

私のような人間にとって「就活」なんてのは、むしろ「異様なもの」としか思われない。そんなこと、しなくてよかったと思っているほどである。

本日はそんなところで、

Yoroshiku4

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2023年1月21日

マニュアル通りの接客って、ちょっとね

ぎゅうにゅう さんという方の「薬局の店員さん」というマンガ入りの tweet が話題だ。「よく行く薬局のめちゃくちゃやる気のない店員さん、好きだ」で始まり、「明るくて優しい店員さんもいるんだけど、この人にレジが当たると妙に気楽だ」で終わる。

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やる気のなさ加減は、上の画像をクリックして tweet のマンガに飛んで見ればよくわかる。そしてこれに不思議な共感のコメントが付いたりしている。こんな具合だ。

分かります‼︎
明るい店員さんも好きだけどミョーに緊張してしまって淡々とレジしてる店員さんのレジ行ったりしちゃいますww

わしの主観だけど、めっちゃ明るくてコミュ強な従業員もいいんだけど、話しかけてこなくて淡々と仕事をこなしてくれる従業員が最高。

かくいう私も、いかにも「マニュアル通り」という感じからは外れた接客の方が気楽で安心したりする。ご贔屓にしたいのは、この tweet のように淡々と無愛想か、逆に適度にカジュアルな接客かのどちらかだ。

前にも書いたが、私が最も好きなホテル・フロントの対応は、山梨県昭和町のホテル昭和のものだ。2014年 5月 10日付「ホテル昭和(甲府昭和インターすぐ近く)礼賛 」という記事でこう書いている。

そしてフロントの女性が、マニュアル通りの接客というのではなく、フレンドリーな丁寧さ(機械的な慇懃さではないということ)とナチュラルな笑顔で接客してくれる。妙に愛想よすぎるというわけでもなく、対等な人間同士の関係という感覚が心地よい。

こういう感じって日本ではなかなか味わえないので、貴重である。

逆に「そこまでされると、かえって居心地悪いからやめてくれよ!」と言いたくなるのが、某ロードサイドコーヒー店(ファミレスみたいな造りの「〇〇珈琲店」てな店名の店)の接客だ。

先日、つくば市内のそんなようなコーヒー店に午前 10時半頃に入り(店内はガラガラに空いてた)、40分ほどの時間を潰すためにコーヒー(結構高い値段だった)を注文した。この時の注文のやり取りにしても何だか要領を得なくて、コーヒー 1杯のことで何度も確認し直すことになり、ちょっとムカついた。

そしてテーブルで MacBook を叩いて原稿を書いていると、11時前頃になって突然さっきのウェートレスがやってきた。何かと思ったら、何と目の前でひざまづき、「間もなくモーニング・サービスの時間が終了になりますが、よろしいでしょうか?」なんて言うじゃないか。これにはさらにムカついた。

よろしいでしょうかも何も、そんなの店の決まりなんだろうから、こっちの仕事の邪魔なんかしないで勝手に終了しちゃってくれよ。そもそもコーヒー注文して 30分近く経って、改めてモーニング・サービスなんか注文するわけないじゃないか。

この手の店って、高くてまずいコーヒー 1杯だけの客は居づらいような雰囲気にする方針なのだろうか? とにかくこういうムードはまったく苦手なので、すぐに荷物をまとめて引き上げてきたのだった。

コーヒー店は、ごくフツーのさりげないサービスが一番だよね。

【追記】

ここで触れたコーヒー店は、あの「コ*ダ」ではないのでよろしく。

 

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2022年10月18日

「東京カリント」と「くまモン」のコラボ

昨日、当サイトの右サイドバーにある「人気記事ランキング」の項目で、いきなりのように "「東京カリント」は、大阪で食べても「東京カリント」だが " という 8年前の記事がトップに躍り出ているので驚いた。書いた当人が「なんでまた、こんな記事が・・・」と思うほどの「藪から棒」的現象である。

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これはもう、東京カリントが何か画期的なことをしているに違いないと思い、試しに「東京カリント キャンペーン」でググってみると、「Twitter プレゼントキャンペーン」というのに行き当たった。締め切りが 10月 17日(昨日)だというので、急にアクセスが増えたのかもしれない。

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それにしても、こんなようなことで私のブログにアクセスしてくる人も少なからずいるのだね。なんだか複雑な思いである。

ただおもしろいのは、東京カリントの売り物は社名が示すように「かりんとう」のはずなのに、このキャンペーンの対象はなぜかドーナツで、「ハロウィンドーナツ」なんて銘打たれている。しかも、東京から遠く離れた熊本県の「くまモン」がフィーチャーされているではないか。

一体どういうことなのかと調べてみると、東京カリントが今年 9月からドーナツも扱い始めたとわかった。"くまモンパッケージが熊本県牛乳使用をアピール。深く豊かな味わいの「ミルクチョコドーナツ」" という時事通信の記事(2022年 9月 5日付)に詳しく書いてある。

いやはや、ちっとも知らなかった。いかにかりんとうの名門、東京カリントといえども、今どきはそれだけにこだわっていては時代に乗り遅れるということなのか。しかも「ドーナツはドーナツでもひと味違う」というアピールのため、熊本県とコラボしてるというのも、なかなかおもしろい。

マーケティング的な視点からすると、東京カリントとくまモン、どちらもエラい!  なにしろウチのブログの記事へのアクセスまで急増させてくれてるのだから、他にもいろいろな波及効果があるのだろう。

それにしても、くまモンの存在感というのは圧倒的だね(参照)。

 

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2022年10月 9日

「リスキリング」は、自分で学ぶのが一番

「リスキリング」という言葉を初めて文字で見たときは素っ頓狂にも「リスを殺すんか?」なんて思ってしまったが、最近は 10月 3日付日本経済新聞の「リスキリング支援「5年で 1兆円」 岸田首相が所信表明」という記事の見出しにまでなっているほどで、やっとお馴染みになった。

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元の英語は "reskilling" (「スキル」のやり直し)で、Cambridge Dictionary では次のように説明されている(参照)。

the process of learning new skills so you can do a different job, or of training people to do a different job:

「異なった仕事をするために、新技術を学ぶことの、または人々を訓練することのプロセス」ということで、繰り返しになるがいずれにしても、"to do a defferent job" (異なった仕事をするために)というのがポイントだ。

極端に言えば、パイロットが酪農家になるとかいう「まったく異なった職種」に転向するケースも想定されていないわけではないだろう。しかし現実的には、過去に身に付けたスキルの単純な応用ではこなしきれない新事業に着手するケースで使われることが多いと思われる。

つまり技術的進歩の著しい昨今のビジネス社会では、転職なんかしなくても、この「リスキリング」が不可欠なのだ。ところが実際の現場でこれがなかなかうまくいかないのは、誰もが感じている通りである。

東洋経済 ONLINE の ”35歳過ぎて「全然学ばない人、独学する人」の大差 「独学で、人生が劇的に好転!」超納得の 4大理由” という記事には、リスキリングしないとこんなことになるよという例が 4つ挙げられている。

  1. 変化に追いつけず「やるべきこと」を見失っている
  2. 「自分が育てられたときと同じこと」しか部下に教えない
  3. 「自分にはもう人生の選択肢なんてない」と諦めている
  4. 「自分の考えは正しい」と無理やり意見を押し通す

まあ、こんな手合いは私が現役で仕事をしていた頃からいくらでもいたから、驚くようなことじゃない。

こんな上司と付き合うには、口だけ「はいはい」と言って従うふりをしながら、実際の仕事はどんどん新しいやり方で進めてしまえばいい。初めのうちは何だかんだと文句や嫌味を言われるが、そのうち自然に向こうが引き下がって大人しくなる。何しろ結果を出した方が強いのだよ。

それだけに、東洋経済の記事を書かれた高橋俊介氏も「独学」を強調されているわけだ。こういう話は会社に期待しても多くは得られないから、自分でやるしかない。

 

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2022年8月18日

地方百貨店は、存在し続けるだけで苦しい

北海道新聞が "「百貨店ゼロ県」の山形 老舗閉店から2年の今は" という記事を伝えている。北海道資本最後の百貨店、帯広市の藤丸が来年 1月末で閉店することになったため、2020年に日本初の「百貨店ゼロ」となっていた山形県を、モデルケースとして取材したらしい。

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藤丸が閉じると北海道の百貨店は、札幌の大丸、東急、丸井今井、三越、函館の丸井今井だけとなり、これらはすべて北海道外の資本である。函館にはテーオーデパート、シエスタ函館などがあるものの、百貨店協会に加盟しておらず、「百貨店」として認められていない。

いずれにしても地方百貨店は、存在し続けるだけで苦しいのである。

ちなみに山形県では、わが故郷の酒田市に「マリーン 5 清水屋」という「百貨店」があったが、1994年に百貨店協会を離脱していたので、2020年時点で「百貨店ゼロ県」の烙印を押されていた。そしてその清水屋も昨年初めに倒産し、今は「名実ともに百貨店ゼロ県」となって、苦しみから解放されている。

Business Journal の 2020年 10月 23日付に「次の “百貨店ゼロ県” 予備軍・14県…徳島もゼロに」という記事があり、この年の 8月に日本で 2番目の「百貨店ゼロ県」となった徳島県の状況を伝えている。

この記事では、百貨店が 1つしかない「“百貨店ゼロ県” 予備軍」が 14県もあると紹介されている。私の住む茨城県も「百貨店が 1店のみ」(水戸市の京成百貨店)ということで、「予備軍」の中に入れられているが、それで不便を感じることなんてない。

茨城県南地域では、どうしても百貨店で買い物したいという人は、東京都内に行くことになる。常磐線の途中の柏市に高島屋、西武丸井などがあるにはあるが、そこで途中下車なんてほとんどしない。こんなわけだから、地方百貨店が苦しいのは当然だ。

私はこれまで百貨店に関して、次のような否定的な記事を書いている。

百貨店は付き合いきれない業界  (2016年 10月 3日付)
百貨店という業態は、既にオワコン (2017年 3月 7日付)
閉店、撤退の続く百貨店業界 (2018年 9月 29日付)
まともにものを考える人間は、百貨店で服なんて買わない (2020年 10月 15日付)

これらの記事で、私の百貨店に関する考えはほとんど述べてあるので、今さら繰り返すことはしない。とにかく百貨店というのは、かなり前からフツーの人間にはとくに必要のない業態になったのだと思っている。

どうしても必要だという少数派のためには、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、博多のほか、金沢、広島あたりにちょこちょこっとあれば済むだろう。百貨店での買い物なんて、多くてもせいぜい年に数回程度だろうから、それだけあれば十分だ。

それで足りないという大金持ちなら「外商」という手があるし。

 

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2022年7月 8日

「働かないおじさん」の白日夢

COURRIER のサイトに "英紙が注目「日本では『働かないおじさん』が増殖している」" という記事がある。「おやつにたばこ、次はトイレ休憩」という、ため息をつきたくなるようなサブタイトル付きだ。

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この元記事はどんなのだろうと思って検索してみると、"The rise and rise of Japan’s unsackable slacker" という記事が見つかった。

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ここで「増えに増えている」とされる "unsackable slacker" (解雇不可能な怠け者)というのが、日本語記事の「働かないおじさん」というわけだが、添えられたイラストを見ると、「おばさん」も、おじさんと一緒になってお茶してる。これで辛うじてジェンダー差別を回避しているのかな。

記事中には “boutto suru“ なんていう日本語の「専門用語」(?)が出てきて、"sitting at a desk, staring into space" (机に向かって虚空を見つめる)なんて説明されている。日本語記事に添えられた写真の、完全に突っ伏して寝ちゃってるというのは、ちょっとやり過ぎだよね。

そして "hatarakanai ojisan” という、さらに「核心的な専門用語」までそのまま使われていて、"the old man or, more rarely, his female equivalent" (高年齢の男性、あるいは稀に女性も)なんて説明が付いている。やはり元記事も、実質的には「おじさん」メインで論じているようなのだ。

思い返してみると、私が勤め人だった時代にも、こうした「働かないおじさん」というのは確実に存在した。名前だってすぐに思い出せる。ただ正直言って、彼らが急に思い出したようにしゃしゃり出てきたりすると、トンチンカン過ぎて足手まといになるので、隅でおとなしくしてくれている方がありがたかった。

とはいえ、企業にしてみればこんな存在に賃金を払い続けるというのは、結構な無駄遣いである。しかし彼らは「年功序列」という慣習に護られて、むやみにクビにはしにくい。それで元記事は「解雇不可能な怠け者」なんてタイトルにしているわけだ。

そしてさすがに英国の新聞だけに、記事の終わり近くで ”「働かないおじさん」は企業買収に対する秘密の盾になるかもしれない” というシニカルな見方も紹介している。なるほど、そんなおじさんだらけの企業を買収してもしょうがないからね。

ただ、そんなのは「将来性のない企業」の別の言い方でもあるわけだが。

 

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