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2004年3月31日

平成十六年弥生 三十一日に詠める歌

岸辺より水面に映る自らに見入るがごとく咲ける菜の花

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今日は穏やかな一日である。家にこもって仕事をしているのがもったいないほどだ。

家の裏を流れる小川の川岸に今年も菜の花が咲いている。これから 4月 5月になると、どんどん増えて川岸が黄色に埋め尽くされる。

今のところは、川岸の一番端の日当たりのいいところに固まっているので、まるで川面に映る自分の姿をのぞき込んでいるようだ。水仙でなくても、ずいぶんナルシシズムを感じさせる光景である。

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2004年3月30日

平成十六年弥生 三十日に詠める歌

自転車をこぐ脚もまた軽くあるか花のトンネル潜る季節よ

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24日の和歌で 「桜のトンネル」 になると紹介した道が、ほぼ満開になった。

今日はこの道を抜けて駅に向かった。競輪選手がトレーニングする姿
も、心なしか楽しそうに見える。

この満開の状態は、多分あと 4~5日続きそうだ。その後は花吹雪となり、地面は花むしろになる。心浮き立つシーズンだ。

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2004年3月29日

平成十六年弥生 二十九日に詠める歌

みちのくに生まれしをのこの本懐ぞ太く打ちたる蕎麦を噛み締む

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酒田からの帰り道、山形そば街道の雄、あらきそばに寄ってその見事な田舎蕎麦を食した。

平日の 2時近くでも、店内はほぼ満卓 (本当に満員になると相席になるが、それはなかったので、「満席」 ではない)。

板が透けて見えるほどの 「うすもり」 でも、普通の江戸前の蕎麦の 3人前ぐらいの量はある。その上、妻と一緒だと、彼女は到底全部食べきれないから、半分以上こちらがもらうことになる。だから、多分 5人前近くを食べていることになるが、不思議なほど苦にならず、ぺろりと食べられる。 私にとって、「蕎麦は別腹」 だ。

この店の蕎麦は、食い終わってから 1時間以上も鼻の奥に立ち上る おいしい余韻に浸れる。贅沢な食い物である。

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2004年3月28日

平成十六年弥生 二十八日に詠める歌

頂は冬の姿の山ありて春の波寄す故郷の海

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とてもいい天気で、雪をいただいた鳥海山がきれいに見えた。

せっかくのいい天気なので、一緒に来た末娘に雪というものを見せてやろうと思い、鳥海山の途中まで車で登れるブルーラインをドライブしようと出かけたのだが、なんと積雪で閉鎖中だった。残念。

しかたがないので、 すぐ麓の日本海を見せることに変更した。

十六羅漢という名所がある。ここは磯の岩に十六体の羅漢さんが彫刻してあるのだが、なかなか全部は見つけられない。

岬からみる春の海は穏やかに広がっていた。

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2004年3月27日

平成十六年弥生 二十七日に詠める歌

故郷の真白き峰に影落とし行く雲の下雪は舞ふらむ

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今朝、筑波を発って酒田に来ている。寝たきりの母とその介護をする父の陣中見舞いである。

途中、月山越えの街道を通ると、道の両側はまだ雪が大量に残っている。月山山頂を見ると、たっぷりの雪だ。雲の影を落として輝いて見える。

今日から日本中高気圧に覆われて天気がいい。ありがたいことだ。

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2004年3月26日

平成十六年弥生 二十六日に詠める歌

春雨の降りたるもなほ潤はぬ世界よ暫し水を求めよ

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近頃はっきりしない天気が続いている。

春雨というには冷たすぎる雨がしばらく続いたが、昨夜からやや気温が上がり、今朝はそれほど寒くは感じない。

先月から雨が少なくて地面はカラカラに乾いていたが、この間の雨で、少しは潤ったようだ。

しかし、気分的にはなぜかあまり潤ったような気がしない。干からびたようなニュースが多すぎるからだろうか。

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2004年3月25日

平成十六年弥生 二十五日に詠める歌

ロケットという名のハーブ咲きにけり小さき糸巻き車の如く

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庭に今年もロケットの花が咲いた。

ロケットというのは綴りがあの宇宙ロケットと同じ "rocket" である。なんでそうなのかと思っていたら、イタリア語で 「糸巻き」 のことを 「ロケット」 というのだそうで、宇宙ロケットもその形からの連想らしい。

ハーブのロケットは、花の形が 「糸巻き車」 を連想させるのかもしれない。

葉の部分はビタミンが豊富なのだそうだ。そのうち食卓にあがるだろう。

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2004年3月24日

平成十六年弥生 二十四日に詠める歌

この道の 「桜のトンネル」 となるを待つ蕾は未だ固くあれども

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近所に桜の並木道があり、満開の頃には、両側から道を包み込むように咲き誇る。

我が家の長女はことさらに桜が好きで、この道を 「桜のトンネル」 と名付けている。

今朝通ったところでは、まだ蕾が膨らみかけているだけで、一輪も咲いていなかった。さすがに東京よりは少し遅れ気味だ。

あと 1週間もすれば、今年も見事なトンネルをくぐれるだろう。今から楽しみにしている。

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2004年3月23日

平成十六年弥生 二十三日に詠める歌

昼下がり行き交ふ人の足元に空を映して光る敷石

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が降るといわれていたが、朝になったら雨も止み、道路が少し濡れている程度だった。しかし、花冷えは相変わらず。

今日の仕事先に、昼過ぎに着いた。有明の TFT ビル。9階建てのビルの真ん中は大きな吹き抜けになっていて、ガラス張りの屋根に覆われている。

お昼の休憩を終えてオフィスに戻る人が足早に行き交う。その足元の敷石は、掃除が行き届いてぴかぴかに光り、空を映している。

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2004年3月22日

平成十六年弥生 二十二日に詠める歌

予報では雪に変はると言ひし雨も降り続きては日暮れとなりぬ

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朝から雨が降っていて、天気予報では今にも雪に変わるようなことを言っていたが、結局、夕方になっても雨のままだ。

天気予報の言い方もだんだんと変わってきて、「夜になって気温が下がったら、雪になる場合もある」 ということになった。

とはいえ、気温は十分に低い。桜が咲いてからというもの、寒い日が多い。

近所のショッピングセンターで買い物をしたのだが、晴れていれば買い物客でにぎわう屋外のテーブルも、雨に濡れて閑散としていた。

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2004年3月21日

平成十六年弥生 二十一日に詠める歌

目覚むればよしなしごとを覆ふ霧好きことのみを透かしてぞ見む

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今朝、階段の踊り場の窓から外をみたら、まるでターナーの絵にでも出てきそうな見事な霧の景色だった。

晴れてみればターナーの絵とは似ても似つかぬ筑波の里の景色なのだが、霧がかかれば大抵雰囲気が似てしまう。その中で、好ましいもののみを想像力で見ればいいのだから、霧の景色はほとんどがいい景色だ。

朝に霧が出ると、その日は天気がいい。今日は昨日ほどの寒さではないらしい。

今日は町内会の総会だ。もうそんな時季になった。

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2004年3月20日

平成十六年弥生 二十日に詠める歌

桜にも追ひ越さるるか遅咲きの梅が呼ぶらむ彼岸の寒さ

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桜の開花宣言が出されたとたんに、今日は真冬の寒さに逆戻りだそうだ。

彼岸に入ったのに、急に気温が下がってきた。「暑さ寒さも彼岸まで」 というが、正岡子規の句に 「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」 というのがある。これは彼の母がつぶやいたのを、そのまま俳句にしたらしい。

我が家の庭の超遅咲きの梅は、今ようやく三分咲きといったところで、このままでは桜に追い越されてしまうと思っていたが、この寒さで、桜にはブレーキがかかっただろう。

とはいえ、梅にも同様にブレーキがかかっているので、なかなか満開にはなりそうにない。

一昨年の春は、桜が咲いたとたんに雪が降ったのを覚えているが、今年はいくらなんでもそこまでではなかろう。

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2004年3月19日

平成十六年弥生 十九日に詠める歌

自らの意識の底の昭和初期レトロポスターにそを垣間見る

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有明の TFT ビルの飲食店の前の壁に、こんなレトロなポスターの複製が飾られている。

横書き文字を見ると、左から右に書かれているのもあるので、戦前だけでなく戦後のものも混じっているとわかる。

高度成長期の昭和 30年代になると、こうしたレトロな感覚は急速に失われていったが、私の生まれた田舎町の片隅では、こうしたポスターや看板が取り外されずに、かなり後まで残っていた気がする。

だから、意識の奥底ではぎりぎりで、こうした感覚をリアルタイムと感じることができるのだ。だから、こんな風に陳列されると、やや気恥ずかしさを覚えてしまう。平成生まれが中学を卒業した世の中では、既に歴史となっているので、かえって新鮮なのだろうか。

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2004年3月18日

平成十六年弥生 十八日に詠める歌

深々と座りたる膝にモバイルを置きて開けば我がオフィスなり

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何だか、アポイントの時間を間違えてずいぶん早めに先方に到着してしまったようで、相手は朝イチで立ち寄り先があり、まだ来ていない。

仕方なく、近所のスタバで時間を潰すことにした。とはいえ、たまった仕事をちょいちょい片付けながらである。

こんな時、モバイル PC は本当にありがたい。PCさえ開けば、「どこでもオフィス」 である。ゆったりとしたソファタイプの椅子に腰掛けてふんぞり返り、PC は膝の上に乗せて仕事している。

この PC はパナソニックの Let's Note というもので、重量は 1Kg を切っている。スペアバッテリーと AC アダプターを持ち歩いても、それほどの重さは感じない。

天気予報ではまとまった雨が降ると言っていたが、まだ降り始めていない。早く一雨欲しいという気持ちと、自分が外出して歩いている間は晴れていてもらいたいという気持ちが、混在している。我ながら勝手なものである。

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2004年3月17日

平成十六年弥生 十七日に詠める歌

この国は湿り気ありて心地よし明日の雨待つ砂ぼこりの里

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今日の写真は、何がなんだかわからないと思う。わからなくて当然の写真で、これは、朝から砂埃でかすんだ景色である。

大した風でもないのに、ちょっと離れた景色が砂埃でかすんでいる。よほど空気が乾燥しているのだろう。畑の土がすぐに舞い上がってしまうのだ。

明日は雨が降るといっているが、はやく一雨来てくれないと、干からびてしまいそうだ。

(追記)
「大した風でもないのに」 などと書いたが、昼前から強風が吹き荒れて、さながら砂塵嵐の様相と化してしまった。

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2004年3月16日

平成十六年弥生 十六日に詠める歌

ゆっくりとゆっくりと回る観覧車うねる高架よりそを眺め行く

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新橋と有明をつなぐ 「ゆりかもめ」。レインボーブリッジをわたると、大観覧車がだんだんと近くに見えてくる。

遠くからだと、動いているようには見えない大観覧車だが、近づくに連れて、ゆっくりと動いているのがわかる。

その下を走る 「ゆりかもめ」 の軌道
は、かなり大きくうねっている。うねる軌道を羽ばたきもせず、ゴロゴロと転がるゆりかもめの車両。

大観覧車は代わりに大きくゆったりと羽ばたいているかのようだ。

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2004年3月15日

平成十六年弥生 十五日に詠める歌

米中韓広東語まで取り混ぜてエンドレステープの呼び込みは流る

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夕方から会議。その前の予定が早く切り上げられたので、秋葉原に寄ってみる。

相変わらずの活気だ。大通りの店頭には、さまざまな国語の呼び込みがエンドレステープで流されている。

大型店に入ると、フロアごとに雰囲気が違う。ゲーム売り場は耳をつんざくような音楽が流れているが、ビジネスソフト売り場は、発売されたばかりの 「一太郎 2004」 のプロモーションが、ちょっと大人っぽい雰囲気で流されている。

テレビ・チューナーが欲しいと思っていたのだが、考えてみると、ただでさえのんびりとテレビを見ている暇なんてないのに、パソコンに向かってテレビを見ることなんてなかろう。きっと無駄な出費に終わるだろう。やめたやめた。

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2004年3月14日

平成十六年弥生 十四日に詠める歌

日溜まりもまだできぬ間の梅の花 「おはやう」 の声に色づいてゆく

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仲間と水戸の偕楽園に観梅に出かけた。少しでも時間が遅くなると混雑してしまうので、早朝に出発して、現地に 7時半頃に着く。

このくらいの時間だと、近所の人たちがウォーキングやジョギングをしている程度で、それほどの混雑ではない。ボランティアで園内のゴミ拾いをしながら、ゆったりと見物。見知らぬ同士でも 「おはようございます」 「ご苦労様」 と声を掛け合う。

茨城県に越してきて 20年を越すのに、偕楽園に行ったのは初めてである。どだい、無料で入場できるということすら知らなかった。話には聞いていたが、見事な梅である。

園内には幹の内側が空洞になってしまったような、老木も多い。歴史を感じさせられた。また、来年の今頃も早朝に起きて行ってみよう。

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2004年3月13日

平成十六年弥生 十三日に詠める歌

世の中のなべての人よ来て見よやおのが遺伝子の為せるこの業 (わざ)

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広島に来たからには、是非とも見ておかなければならぬと思い、朝、早めにホテルを出て原爆ドームに向かった。

これまで、いろいろな映像で何度も見てきたが、初めて生で見て、その惨状に圧倒された。原爆が投下されて 59年になろうとしているのだが、生々しいままで保存されていることに驚いた。

これは、すべての人が訪れて生で見るべき世界遺産だ。我々のすべての遺伝子の中に、こんなことをしでかした資質が組み込まれているのだと思うと、悲しささえ覚える。

すべての暴力的遺伝子の、最大限に発揮された結果がこれだ。小さな 「いじめ」 から 世界戦争に至るまでの元になる遺伝子の象徴だ。こんな遺伝子情報を発動しないように、常に 「スイッチ・オフ」 にしておかなければならないと思った。

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2004年3月12日

平成十六年弥生 十二日に詠める歌

新幹線のプラットホームのガラス越しに切り取られたる城壁を望む

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新幹線で広島に向かっている。昼過ぎに着いて、夜まで取材。一泊の予定だ。

今日は昨日とは一変して、冬に逆戻りしたような寒さだ。最近の東海道新幹線を利用した出張は、いつも富士山がきれいに見えていたが、今日は雲って、裾野しか見えなかった。このあたりは、やはり冬ではなく、春になっているのだなと感じる。

「のぞみ」 の車両は、このところ窮屈な思いをした 500系ではなく、700系のようだ。多少窮屈感がやわらげられているような気がしないでもないが、やはり窓側の席はしんどい。

ただ、途中の名古屋で 3人がけの真ん中に座っていた人が降り、新大阪で通路側の人も降りたので、最終的には 3人掛けを一人で独占する形になった。これなら楽だ。

広島に着く直前、福山駅に停止して、反対側のホームのガラス窓越しに、切り取られたように福山城の白い城壁が見えた。駅を出てしまってから振り返ると、天守閣があっという間に小さくなってしまった。

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2004年3月11日

平成十六年弥生 十一日に詠める歌

大風と地震で揺れる家の中捜し物して時間は経ちぬ

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「3月は風の春」 とはよくぞ言ったもので、今日は朝から強風が吹いている。畑の土が舞いあげられて、遠くの景色はすべて土色にかすんでいる。

おまけにさっきは地震があった。Yahoo News にもさっそく載ったが、震源地は茨城県沖で、この近辺は震度 3 だそうだ。

この程度の揺れは、茨城県ではしょっちゅうで、慣れてしまった。初期微動というものがなく、突然ズズーンと来るので、震源地は近いとわかる。震源地が近くてこの程度なら、あわてることもないと、落ち着いていられる。

逆に、初期微動がある程度あると、大きな本揺れが来るのではないかと身構える。初期微動が長くて本揺れが大したことがなかったりすると、どこか遠くでかなり大きな地震があったとなり、まさかウチの田舎じゃあるまいなと、さっそくテレビをつけたりするわけだ。

そんな揺れる家の中で、大事な書類がどこかに紛れ込んでしまって、探すのに 1時間かかってしまった。忙しいときほどこんなものだ。

風はまだ強く、小さな地震ぐらいの揺れを感じるほどだ。

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2004年3月10日

平成十六年弥生 十日に詠める歌

有明の海を見渡すテラスにてテーブル越しに雀と見合ふ

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昨日、ベイサイド有明のビルのテラスで昼食を取っていると、テーブル越しの椅子にスズメが飛んできてひょいと止まった。

手を伸ばせば触れられそうな距離である。

スズメというのは用心深くて、人間との距離がある程度以下になると飛んで行ってしまうと思っていたが、最近のスズメは鷹揚になってしまったのか。

あるいは、この辺にくる人間が、スズメに関心を払わないから、スズメの方でも安心してしまったのか。

そういえば、パリあたりのスズメはかなり人間と接近しても平気な顔をしている。日本のスズメも西洋化してしまったのか。

あるいは、こちらの落とすパンくずを心待ちに狙っているのか。

それにしても、スズメをこんな至近距離で眺めるというのも非日常的な経験である。都会のスズメは、胸のあたりが排気ガスで黒ずんでいるということも知った。

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2004年3月 9日

平成十六年弥生 九日に詠める歌

川筋にパワーショベルの築く道は古き流れを閉づる岸らし

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我が家の裏手を流れる小川の小貝川に注ぐあたりで、水路を変える工事をしている。

まず、このあたりの川幅を広げ、その真ん中にパワーショベルが少しずつ新しい川岸を築いていって、最終的に古い水路 (写真の左側) を閉じ、新しい水路のみに水が流れるようにするようだ。なかなか時間のかかる工事である。

パワーショベルがだんだんと新しい堤防を築きながら、先に先にと進んでいく様は、なんだかとても非日常的な光景である。川底から土をすくい取って、自分の進む道を造っているのだろうか。

このようにして、田舎の景色も急速に変わっていく。古い流れは埋められていく。

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2004年3月 8日

平成十六年弥生 八日に詠める歌

土手際に緑の増えて雑草といふ名の草はなしと聞こゆる

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天気予報では、今日からまた少しずつ気温が上がっていくと言っている。

久し振りで我が家の裏手の土手を眺めると、すっかり緑の色が増えているのがわかる。冬の間は茶色っぽい冬枯れの色だったのに。

この緑も、今はうれしいが放っておくとどんどん伸びて手に負えなくなる。そうなると、「雑草」 として、一斉に草刈りをしてしまう。かわいいがるのも今のうちか。人間というのも勝手なものだ。

昭和天皇は 「雑草という名の草はない」 とおっしゃったそうだ。この言葉、何となく、大きな愛を感じてしまうなぁ。雑草のような私だが、ちゃんと名前があるわけだ。

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2004年3月 7日

平成十六年弥生 七日に詠める歌

町内の自治会総会の知らせ来て 「コミセン」 なるものできたるを知る

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町内の自治会総会を開くとく知らせが届いた。例年、3月の終わり頃に開かれる。桜の咲く頃だ。

今年は会場は 「コミセン」 (コミュニティセンター) になるという。近所にそんなものができたと初めて知った。どんなところなのか、まだ知らない。

ここに越してきて、20年以上になるが、周囲の様子もだんだんと変わってくる。

今日は陽射しは完全に春だが、風が北風だ。昨日より 6度以上も気温が下がるという。この激しい変化が、春だなぁ。

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2004年3月 6日

平成十六年弥生 六日に詠める歌

むき出しの畑の土の風に舞ひ筑波嶺もまたむせかへるなり

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昼頃から猛烈な風が吹いて、外出先から車で帰ったのだが、ハンドルをとられっぱなしだった。

この時期、畑は乾いた土がむき出しになっているところが多く、そこに風が吹くものだから、砂嵐の様相を呈した。

筑波山までが土色に煙ってむせかえっているように見えた。

帰宅すると、今度は @nifty のサーバが不調で、自分のサイトにアクセスできない。当然、FTP も不調で、コンテンツの更新もできない。さきほどようやく復旧したようだが、@nifty のホームページをみると、不調はまだ完全には復旧しておらず、一部で継続中らしい。

ということは、今日はアクセスしてくれた方々の多くがまともにサイトを閲覧できなかったということになる。@nifty になり代わってお詫び申上げる次第。

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2004年3月 5日

平成十六年弥生 五日に詠める歌

新しきパソコンてふは新しき住処のごとし家移りに力仕事はなかりしかども

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新しいパソコンが届いた。今度のは、DELL コンピュータで、CPU は 2.8 GH。こないだ誂えた 19インチの液晶ディスプレイとセットにすると、かなりグレードアップした気がする。

ただ、新しいパソコンを使い始めるということは、新しい家に引っ越すようなものだから、セッティングにものすごく手間がかかる。

パソコンというのは、自分の使いやすいように細部に至るまでカスタマイズしてあるから、それをそのまま新しい機械に移さないと、大変なストレスなのだ。

今、マイドキュメンツを新しいパソコンにコピーしているのだが、30分以上かかってもまだ終わらない。今日は、引越しの日と諦めるしかなさそうだ。

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2004年3月 4日

平成十六年弥生四日に詠める歌

ユビキタスといふもの十年前ほど前のインターネットのやうに思はる

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有明のビッグサイトで開催されている ジャパンショップ展に来ている。大変な人出である。

記念セミナーは、あのトロンの坂村教授の 「ユビキタス・ネットワーキング」 についてのお話だった。かなり新しい示唆を与えられた気がする。

ユビキタスというのは、どこででもインターネットに接続できるものという程度の認識だったが、実はいろいろな商品情報が一瞬にして開示されるという、消費者利益につながるメリットがあるようだ。

今はそんなことを言われても漠然としたイメージしかないが、10年経てば当たり前の技術になっているかもしれない。10年前のインターネットがそうだった。なくても全然困らなかったのに、今はないと困る技術の最たるものになった。

この技術の発展に期待しよう。

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2004年3月 3日

平成十六年弥生三日に詠める歌

国道を風吹き抜ける黄昏に蜜柑色なりヘッドライトは

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北風が戻ってきて、ただでさえ冷たいのに、日が暮れかかると、ますます寒くなる。

今年の東京の 2月は、観測史上最も暖かな 2月だったそうだ。観測史というのは、せいぜい 100年あまりのことだろうが、その前は都市気候がなかったので、多分、何百年かのうちでも、最も暖かな 2月だったろう。

2月があまりにも暖かかったので、季節の帳尻あわせをするために、3月はこんなにも寒くなってしまった。国道を吹き抜ける風は、冬の冷たさだが、さすがに彼岸が近づいている。黄昏時が長くなった。

黄昏時の太陽の色とヘッドライトの色が混じり合って、暖色系のオレンジ色が国道を走りすぎている。日が沈み切ってしまうと、このオレンジ色は急速に色褪せる。

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2004年3月 2日

平成十六年弥生二日に詠める歌

自動車の窓に凍てつく霜までも半月前より戻り来たりぬ

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「寒の戻り」 とはよくぞ言ったもので、まさに冬が戻ってきた。昨日は昼頃小雪がちらついた。

「もう雪なんか降りそうにない」 と書いたのは、つい先週の木曜日。いやはやお恥ずかしい。春の季節感は大袈裟に行ったり来たりするということをてっきり忘れていた。

今朝起きたら、車のフロントウィンドウにはびっしりと霜が降りて凍り付いていた。さすがに真冬のような分厚さではないが、季節は 2週間以上逆戻りしたような気がした。

前にも書いたように思うが、この車の霜は、風呂の残り湯をさっとかけるとあっという間に解けてしまう。いくら専用の道具を使っても、ごりごりとこそげ落とすと、ガラスに細かい傷が付く。この 「残り湯方式」 はお薦めである。

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2004年3月 1日

平成十六年弥生一日に詠める歌

戻らぬと思はれし 「寒」 といふものの戻りてもなほ梅ほころびぬ

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2月の後半からすっかり春めいてしまい、もうこのまますっかり春になってしまいそうな気がしていたが、3月の声を聞いたとたんに、「寒の戻り」 が来た。

ラジオは、どこやらで横殴りの雪になったと言っている。

考えてみれば、このまま本格的に春になってしまったら、日本の季節がずれてしまうので、多少は季節が行ったり来たりして調整する必要があるわけだ。

そんな中で、庭の梅がようやくほころんできた。我が家の梅は、この辺では一番遅咲きで、近所の梅は既に七分咲き以上になっているのに、ようやく2~3輪が開いてきた。

詰めたい雨の合間を縫って撮影してみたが、カメラを持つ指先が、寒風にさらされて冷たいほどだった。しかし、この梅が満開になるころには、本当に 「春うらら」 になる。

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