睦月三十一日に詠める歌
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週明けより自由登校となる娘 駅まで送る朝は過ぎたり
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高校 3年の末娘が、卒業を控え、来週から自由登校になるという。つまり、毎日通学しなくてもよくなるということで、最寄りの駅に車で送るのは、あと何度かの登校日を除いて、今日で最後となった。
上の 2人は、自転車通学できるところにある同じ高校に通ったが、末娘だけはバスと電車を乗り継いで行かなければならない。田舎のバスは時間がかかるし、料金がばかに高いので、できるだけ私が駅まで送るようにしていた。
都心に勤めていたときは、自分の通勤の道すがらだったが、独立してからも車での送りだけは継続して、娘を送り届けるだけで、自宅に戻って仕事をすることも多くなった。これからはそれもなくなり、外に用のない日は、朝から閉じこもって仕事をする日も増えるだろう。
ほっとしたような、気の抜けたような気持ちである。車の屋根に雀が何羽も止まっている。
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絶妙の間合いをとりて猫二匹微睡みをれる昼下がりかな
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我が家には白と黒の二匹の雌猫がいる。親子でも姉妹でもない。白猫の方が先にもらわれてきて、後に黒猫を長女が拾ってきた。
二匹の猫は正確も正反対である。年下の黒猫の方が人なつっこいが、白猫は人の好き嫌いが激しい。
黒猫は年長の白猫と仲良くじゃれ合いたいらしいが、白猫はそれを嫌う。黒が一定以上に近づくと、フーッと鋭い声を出して威嚇する。
それでも、週末の帰郷で飼い主夫婦が不在で淋しかったためか、今日はいつに似ず距離をつめてまどろんでいた。ただし、黒猫がこれ以上間合いを詰めようとすると、白猫はいつものように威嚇する。絶妙の間合いである。
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寒鱈の汁の湯気立つ冬祭り雪撥ね上げて太鼓は響く
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昨日はほとんど雪が降らなかったが、今朝、目が覚めると一夜のうちに雪が積もっていた。
今日は商店街で 「日本海寒鱈祭り」 が催されたが、そこに出かけている間だけ、吹雪になった。寒鱈汁の最高のおかずは吹雪と寒さだから、ちょうどいい具合に天気の神様が粋な取り計らいをしてくれたものと見える。
祭りの出し物の太鼓のパフォーマンスは、雪の中で演じられた。吹雪の中での太鼓は、すばらしい。太鼓の皮に積もりかけた粉雪が、撥さばきとともに跳ね上がる。ちょっとした見ものであった。
ところで、1月 22日は、この和歌ログが独立サイトになった日、いわば独立記念日である。つまりこのサイトができて、今日でちょうど 1年である。
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トンネルを抜けし車窓は吹雪にてアインシュタインのホワイトアウト
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朝に出発して、新幹線と在来特急を乗り継いで酒田に着いた。
上越のトンネルを越えると、外はすっぽりと雪に覆われていた。吹雪になっているところもある。
吹雪の景色は、時速 200キロの新幹線の内側から見ると、ほとんどホワイトアウトに近い。外を歩いている人は、それなりにきちんと景色が見えているのだろうが、窓の内側からは何もかもが白いレースをかぶったようにおぼろだ。
車窓を隔てた内と外では、時間の感覚さえ別なのではないかという気がする。非常に速く動くものは時間の経過が遅くなるというアインシュタインの相対性理論を、唐突に思い出した。
ところが、酒田に着いたら、雪はほとんど積もっていない。吹雪を覚悟していたが、時折ちらちらと雪が舞うだけだ。夕方には青空までのぞいた。ありがたいことに、私はよくよくの晴れ男のようである。
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雪ならばいかほど積もりたるらむか冷たき雨を友と慶ぶ
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今、水戸からの帰り道、スタバで休憩してトールサイズのラテを飲んでいる。
ついに雪にはならなかった。さすがに茨城県の中央部を流れる那珂川を越えると風は冷たかったが、雨が雪に変わる寸前で踏みとどまってくれた。
その代わり、昨夜から風雨が強まり、今日も一日中雨になった。縁石に沿ってかなりの雨水がたまり、強風で飛ばされた小枝が沈みかけていた。
仕事仲間たちと、「もしも、これが雪に変わっていたら、大雪になって、帰れなくなっていたところだね」 と笑った。雨で喜ぶと言うのもおかしいが、雪にならずにすんだおかげで、足止めを食らわずに済んだ。やや強引かもしれないが、これも私の 「晴れ男伝説」 の一つに加えさせてもらおう。
一番ホッとしたのは、受験生たちだろうと思う。
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降るものは白きにあらで川面 (かはつら) の小さき紋に雨と知らるる
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昨日までの天気予報では、今日は大雪の恐れもあるということだったが、夜が明けてみると小雨である。
天気予報でも 、これ以上気温が下がることはないので、雪にはならずに済むと言っている。低気圧のコースが予想より 100km 以上南にずれこんだためらしい。
今日は仕事で、午後から水戸方面に車で出かける予定があるので、この予報のはずれはありがたい。このところ、私は仕事で遠出するときはずっと天気に恵まれているのだが、今回、雪が降らずに済んだのも 「晴れ男」 の延長線上にあると思っていいかもしれない。
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我の手に沿ひたる形のマウスにて作業の指は喜びをりき
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ようやく手に馴染むマウスを見つけて、昨日から使い始めた。
マウスは何個買い換えただろうか。ずっとマイクロソフトのマウスを使い続けてきたが、満足はしていなかった。ボタンの部分の傾斜が小さいので、人差し指と中指を添えるときに、微妙に緊張させてこの二本の指を浮かせていなければならない。そうしないと、うっかりすると関係のないところをクリックしてしまいそうになる。
新しく買ったマウスは、ボタンの傾斜角度があるので、指を自然に載せていても、つい弾みでクリックしてしまうということがない。これは長時間マウスを使った作業をする際に、とても楽である。
これしきのことだが、うれしさのあまり歌にしてしまった。
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霜白くフロントガラスを覆ひをり解けてなほまた凍りつく朝
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今日から末娘の高校の新学期。駅まで来るまで送った。
今朝はこの冬一番の冷え込みだったそうだ。車のガラス窓にびっしりと霜が降りて、前が全然見えない。風呂の残り湯をかけて解かしたが、その水分がまたすぐに凍る。こんなことはこの冬で初めてである。日が昇っても気温が氷点下ということだ。
再び凍った部分を、今度は解氷スプレーで解かしながら、なんとか大通りに出た。この道は南東方向に進むので、朝日があたって、解け残った部分の氷が見る間に消えていく。
三連休で 「ごとう日」 が今日にずれ込み、駅までの道は湯気を立てながら進む車で、かなりの渋滞だった。
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夜九時を過ぎたるスーパーマーケット白く光れり魚も野菜も
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近頃はスーパーマーケットもだいぶ遅くまで営業するようになった。近所にできたスーパーも、夜の 10時までやっている。
仕事の帰りに通りかかると、店内だけが白っぽい灯りで照らされ、色とりどりの商品の陳列されているのが見える。聞くところによると、スーパーやコンビニの店内は明るくしておかないと、売り上げが上がらないのだそうだ。
まるで商品のすべてがプラスチックでできているようにさえ見える、人工的な照明である。
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木枯らしの巨大駐車場その先にソリッド状のイルミネーション
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某会合に出席した帰り道、つくば学園都市に昨年できたショッピングセンターに立ち寄って夕食をとった。
広い駐車場だが、空きスペースを見つけるのが大変だ。あまり遠くに停めてしまうと、広大な駐車場の端から端まで横切らなければならない。ここまで広いと、駐車場という日本語より 「パーキングロット」 という英語の方がしっくりと来る。
ようやく空いたスペースに車を停めて、欲しかった本の買い物までしてしまう。
外は北風が吹いているが、ショッピングセンターの中は暖房が効いて汗ばむほどだ。色とりどりの明かりの点いた概観は、映画 「アメリカングラフィティ」 を思い出させる。
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引っ越しをすてふ娘の父なれどさほど淋しきものにはあらず
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長女が近く引っ越しをするという。都内に 3部屋ある一軒家を借りて、友人とシェアするということだ。
そんなわけで、彼女は引っ越しの準備で大わらわである。
急に娘が家を出て行くというわけで、父親としてはもう少し淋しい気がするものかと思っていたが、なぜかそれほどでもない。引っ越すと言っても、電車で 2時間で行ける距離というせいかもしれない。
とはいえ、もっと淋しがらなければならないのかもしれないと思って、画像はちょっとセンチメンタルな雰囲気を感じさせるものにしてみた。実際は、いかの塩辛を肴に、楽しく酒を飲んでいるだけなのだが。
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富士山の如き山影紅の空に立ちをりまさに富士にて
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昨日、初詣の帰り道、富士山がくっきりと見えたと書いた。茜色の空に、くっきりとしたシルエットになっていたのだった。
車の中で、「今日は秩父の山並がはっきり見えるね」 と言うと、妻が 「あっちにある富士山みたいな山は何なの?」 という。指さす方を見ると、「富士山みたい」 ではなく、まさに富士山なのだった。
年末年始休暇直後で、都心の空気がまだ汚れていなかったことと、昼過ぎから吹き始めた北西の季節風のおかげで、思いがけなくはっきりと見えた。
早朝に見えることはよくあるが、ほとんどは昼過ぎには雲に隠れてしまう。夕焼けをバックにして見えるということは珍しい。そんなわけで、車を止めてカメラに収めたのである。
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年末の雪かきの雪に埋もれたるその雪白く年を越しをり
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三が日が過ぎ、世の中がようやく動き始めた。
正月になってからはずっと晴天続きで、明け方をのぞけばそれほど寒さも厳しくなかったが、今夕から北風に変わって、明日は寒くなるという。
家の隣の空き地の日陰に、既に昨年になった12月に降った雪が、年を越してまだ解け残っている。なぜここだけこんなに残っているかと言えば、雪かきですくった雪を、この場所にどんどん捨てたため、周囲より高く積み上がってしまっていたからだ。
どんどん積み上げた時には、上の方はやや土の混じった色だったが、だんだん解けて一番下の方の雪が現れると、白い色を取り戻している。
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晴れ渡る筑波の空のその奥に故郷の吹雪見ゆる我なり
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正月二日の空は、真っ青に晴れ渡った。関東がこれほどの天気ということは、故郷の庄内は雪ということだ。
とくに昨日はかなりの雪が降ったらしい。電話で話した父が 「外になんか出られない」 と言っていた。
関東で何十年暮らしても、冬の青空はそのままには喜べない。それは、イコール庄内の吹雪だからだ。青空の奥に灰色の吹雪く空が見えるような気がする。
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ひむがしの空のまだしも明けぬ間にまず悦べばとりの鳴くらむ
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正確には元旦に詠んだものではなく、前年のうちに年賀状にしたためたものだが、便宜上、年の初めの歌とさせていただく。
「予祝」 ということがある。田植えの前に豊作を喜ぶ祭りを行うなどは、それである。前もって喜び、祝っておこうという思想が、日本にはある。
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