鬱蒼とした木の中で鳴き尽くしぽとり落ち来て死ぬる蝉かな
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朝のうちは曇っていたが、いつの間にかまた夏空になった。セミが一日鳴いている。
どこか見えない木の陰で、声だけを響かせて鳴き、死ぬときになると、突然空中からぽとりと落ちてくる。
そして地面の上で 「ジジジ・・・」 と少しだけ鳴いてみせ、あとは、朽ちていくだけだ。
セミは地上に出て幼虫から成虫になると、ほぼ 一週間の命だという。その間、ずっと鳴き暮らし、子孫を残す。
一日鳴いたら、セミとしては永遠に鳴いたような気がするかも知れない。夏の時空を埋め尽くすような響きである。
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