霜月十日に詠める歌
天守閣も銅像もなき城跡をただひたすらに染める紅葉
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紅葉が見頃と聞いたので、昼前に岩手公園を訪ねた。美術館めぐりをしたかったのだが、時間の余裕がないので、紅葉見物にしたのである。
正解だった。見事な紅葉である。
岩手公園は盛岡城跡なのだが、石垣ばかりで、城の建物らしきものは何も残っていない。建物がなければ、藩主の像ぐらいはあってもいいものだが、それも見当たらない。
南部四十二代利祥 (としなか) が、二十四歳で日露戦争に戦死し、その功で、功五級金勲章を受けたことの顕彰像があったとのことだが、銅像本体は昭和十九年に軍需資材として供出されてしまい、今では石の台座のみが残っている。
だから、モニュメントとして見るべきものは、歌碑とか 「教育の像」 などで、いわゆる 「城跡」 としての訴求はあまりしていない。
このあたりが、奥床しさというか、おっとりというか、のんびりというか、底の浅い観光誘致に血眼にならないという点で、好ましいところである。個人的印象なのだが、南部の人は平均値としての 「上品度」 が、異常に高い。
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