弥生十七日の歌
春嵐に薙ぎ払はれて己が巣の遙か彼方に雲雀降りたり
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「三月は風の春」 とはよく言ったもので、夕べから大変な風である。時折、ごぉっという音とともに家が揺れる。
風向きが東風でなくてよかった。東風がこんなに強かったら、高波の塩害で、また野菜が値上がりするところだった。
裏の川は、土手で囲まれた小さな川なので、川面はあまり風の影響を受けないのだが、それでも、今日は波の影が深く刻まれ、その影もかなりの速さで移動している。
それでも、雨は降らずに、だんだんと日射しは出始めた。
土手の向こうの刈田から、雲雀が舞い上がったが、あまりの風でなぎ落とされそうになり、ずいぶん斜めの線を引いて地上に降りた。あれでは、自分の巣に戻るのが大変だろう。
鳴き声も、いつもの 「ピヨピヨ」 というものから悲鳴のような 「ピィー」 という声に変わり、よほど慌てていたようだ。
雲雀のあんな声は初めて聞いた。
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