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2006年4月30日

卯月三十日の歌

田の水の空を映して広がれば川は岸辺の花映し行く

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連休二日目。明日締め切りの原稿を一本抱えている。これを仕上げれば、連休後半は、なんとかのんびりできそうだ。

今日は天気がいい。この季節の天気の良さというのは、ぼんやりと霞んだ空を意味しているようだ。

冬の間の乾いた木枯らしが去り、風はほどよく水蒸気を含むようになる。世界に潤いが戻る。

小高い丘から眺めると、眼下に広がる田は水を張り、空を映している。空が目の上と足元にあり、その境目が地平線になる。

小川も水量を増し、岸辺の菜の花を映して流れている。この季節、日本は水の国になる。

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2006年4月29日

卯月二十九日の歌

鳴き声で左に一羽右に二羽雲雀昇ると知る田舎道

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今日は 「昭和の日」 かと思ったら、それは来年からで、今年はまだ 「みどりの日」 なのだそうだ。

春の田舎道を散歩すると、世界は鳥の声に満ちている。とくに、せわしげなヒバリの声はひっきりなしに聞こえている。

声のする方に目を凝らせても、なかなか見つからないが、左に一羽、右に二羽、必死に羽ばたきながら上っているのが目に浮かぶようだ。

他の鳥ならば、いともあっさり、すぅっと上ってしまうような高度を、ヒバリは、小さな羽を一心不乱に動かしながら、こけつまろびつ (空中だから、それはないのだが、イメージとして) 上っていく。

あれでは、さぞ息が切れるだろうと思うのだが、それにしては、息長く鳴き続けているから、案外平気なのだろうか。よくまあ、あれだけ鳴きながら、バタバタと羽を動かせるものだ。

さぞかし腹が空くだろうというのは、余計なお世話だろうか。

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2006年4月28日

卯月二十八日の歌

水を引く田に降り注ぐ鳥たちの声の波間に白き蝶舞ふ

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本当に春らしい日になった。夜明け頃はまだ肌寒い気がしたが、日が昇るに連れてどんどん暖かくなった。

そよ風が肌に心地よく、今年の春には珍しいほどの、絵に描いたような春の日和である。

裏の川の土手を散歩すると、春というのは穏やかなようで、実は音に満ち溢れている。

田に水を引くせせらぎの音、ヒバリ、スズメ、ムクドリなどなど、様々な鳥の鳴き声、魚の跳ねる思いがけず大きな水音、耳のそばをかすめる虫たちの羽音などなど。それらの音が、織り重ねられるように、一体になって聞こえる。

カエルまで盛大に鳴き始めた。明日の夕方前からは雨になるらしいが、気の早いことだ。

今日はモンシロチョウの姿をようやく写真に収めることができた。一瞬のチャンスだった。

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2006年4月27日

卯月二十七日の歌

連休の明けて人みな戻る頃街の躑躅は盛りなるらむ

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昨日までの天気予報では、関東は昼過ぎから雨ということだったので、朝には降られないと思っていたのだが、出掛けにはもう降り始めていた。

予報を見ると、「雨時々止む」 に変更されていた。というわけで、おおむね雨模様の一日である。

神田周辺の歩道には、ツツジ (あるいはサツキなのだろうか? 区別がつかない) の植え込みがあり、きれいなピンクの花が咲いている。雨に濡れて、ますます光沢が増しているようだ。

あさってから連休。一日と二日に休みを取れば、九連休になる。そうでなくても、五月三日からは、カレンダーどおりで五連休だ。

この辺りのビジネス街も、週末からは閑散としてしまう。その中で、ツツジの花も増え続けるわけだ。一日あたりから、天気も回復しそうだし、普通の勤め人は、あちこち行楽にでかけることだろう。

私にとっても、連休前進行の原稿締め切りラッシュが、ようやく峠を越えつつある。連休中は 「だらだら」 と仕事を続けることになりそうだ。

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2006年4月26日

卯月二十六日の歌

菜の花の咲き誇る土手蜜蜂の羽音は常に耳をかすむる

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花というのは、一年おきに休んだりするもののようだ。我が家の庭の梅は、昨年はとても綺麗にたくさんの花を付けたが、今年はほんの少し咲いただけで散ってしまった。

裏の土手の菜の花も、一昨年は土手を黄色に染めたが、昨年はそれほどでもなかった。はたして、今年は見事なものである。土手一面が黄色だ。

実は、菜の花というのは、綺麗だけれど、香りがあまりよくない。何というか、堆肥に似た臭いがする。なんだか、今年の菜の花はとくにその臭いが強いような気がする。

だから、菜の花の咲き誇る中を通り過ぎると、いかにも田舎に来たような臭いがする。私はこういうのは嫌いじゃないからほとんど気にならないが、知らない人が来たら、ちょっと驚くかも知れない。

ミツバチがこの花の色に誘われて、ブンブンと羽音を立てて飛んできている。これなんかも、蜂を怖がる人は恐れをなしてしまうかも知れない。

郊外の田園地帯に住むと、臭いや蜂と仲良くなれる。

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2006年4月25日

卯月二十五日の歌

電線が雫を落とし自らの影をデフォルメする水溜り

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昨日の夜から雨になったようで、朝起きると、道路は一面しっとりと濡れていた。ところどころ大きな水溜りができているので、いちおうまともな量が降ったもののようだ。

天気予報では、曇り時々雨と言っていたが、なるほど、今日も先日同様、東京は昼休みを狙い済ましたような雨になった。

ただ、今日は風が弱い分、まだ始末がいい。

朝、駅に向かう道で、水溜りに空の映る光景が面白く、デジカメのシャッターを何度も押した。

その中に、電線から落ちる雫が自らの影をまるで電子的な処理でも施したようにデフォルメしている一枚があった。

安物のデジカメは、シャッターを切っても実際に映る瞬間との間にタイムラグがある。これは偶然に撮れた面白い一枚だ。

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2006年4月24日

卯月二十四日の歌

かげさせば枝垂れ桜の花の色盛りを過ぎてなほあはれなり

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今日もうららかな一日。ずいぶん日も長くなった。

ソメイヨシノはもうとっくに葉桜になってしまったが、茨城県の水戸より北に行けば、八重桜や枝垂れ桜がまだ辛うじて花を咲かせている。

車で通りかかったところにも、枝垂れ桜があったので、思わず停車してシャッターを押した。近くでよく見ると、花の色は盛りを過ぎて、今にも散りそうなのがわかった。

今日は、山手線のレールが浮き上がって、六時間も運転を見合わせたとニュースで聞いた。都内に用のある日でなくて助かった。とはいえ、都心は地下鉄網も発達しているので、それほど致命的なダメージではなかっただろう。地方都市なら大変なことになるが。

夕方から空がにわかに暗くなり、にわか雨になった。あの枝垂れ桜も、どんどん散り始めるだろう。

「かげさせば」 は、現代語とは逆で、「光がさせば」 との意。

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2006年4月23日

卯月二十三日の歌

糸引きて降り来る雲雀鳴き止めば蛙の声ぞ響き始むる

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本宅サイトの 「知のヴァーリトゥード」 が、今にも十五万ヒットを達成しようとしている。

キリプレに和歌を捧げることになっていて、楽しみにしてくれている定連さんもいるので、間違っても自分では踏めない。なかなか心臓に悪い。

月末から連休になるので、GW進行で、いろいろな原稿締め切りがたまっているのだが、仕事に手が付かない。早く達成して楽になりたいものである。

心を落ち着かせるために、少し裏の土手を散歩した。昨日は暖かかったが、今日はまた風が少し冷たくなっている。

それでも、菜の花はどんどん咲き広がり、水面近くを飛ぶ虫を捉えようと、魚が飛び上がる音が聞こえる。

ヒバリがひっきりなしに鳴いているが、鳴き声をする方に目をこらしても、なかなか姿を捉えることはできない。辛うじて芥子粒のような点の、必死に羽ばたいて揺れているのを見つけるが、次の瞬間にはまた空の中に溶けるように見えなくなる。

そして、その鳴き声がぴたりと止むと、視界の端を、糸を引くように降りてくるのが見える。

ヒバリの代わりに、カエルが鳴き始めた。雨が近いのだろう。

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2006年4月22日

卯月二十二日の歌

八重桜花の盛りは過ぎ行けど萌ゆる葉にこそ色の留まれ

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久しぶりに、風の冷たくない、穏やかな晴れ。

近所の牛久沼のほとりにある小高い丘の運動公園から見下ろすと、湖面は青空を映して青く輝いていた。

ここには八重桜が多く植えられているが、それも盛りを過ぎて、だんだんと葉桜じみてきた。

八重桜の葉というのは、ちょっと赤味がかっていて、桜餅を包んだらいかにも美味しそうに見える。

日が傾く頃から空が曇ってしまい、少しひんやりとしてきた。今年は四月の半ばを過ぎても、汗ばむほどの陽気というのが、なかなかやってこない。

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2006年4月21日

卯月二十一日の歌

対岸に雲湧き上がり燕 (つばくろ) はついと視界を横切りて飛ぶ

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晴れたり曇ったり、ざっと降ったり、案外なんでもありの天気。それでも、風の冷たさはあまり感じなくなった。

満々と水を湛えた小貝川の岸から望むと、南側にもくもくとした入道雲のなりかけが見える。季節は確かに変わりつつある。

黒い雨雲、白い入道雲、青空の入り交じった空を見上げられるのも、このあたりの空が広いからだ。

ヒバリのさえずりがひっきりなしに聞こえ、時々ツバメがすいと視界を横切る。明日はさらに春めくらしい。

ちなみに、私は 「連休前進行」 で、書かなければならない原稿がたまっている。キーボードを打ち続ける週末になりそうだ。

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2006年4月20日

卯月二十日の歌

大粒の雨降り注ぐ首都高は水煙立ちて往来止まず

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朝のうちは日が射してさえいたのだが、昼前からにわかに空が黒くなり、昼休みに合わせるように大粒の雨になった。

風もかなり強いので、ビル風の吹きすぎる交差点などでは、傘をお猪口にしてしまう人もいた。

先に 「昼休みに合わせるように」 と言ったのは、午後一時頃にはまたしても青空がのぞいてきたからである。お昼休みに昼食を食べに出る人たちを、狙い撃ちにしたような雨だった。

昭和通りの上には首都高が通っているが、雨の一番激しいときには、車が通り過ぎるたびに水煙があがるほどだった。

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2006年4月19日

卯月十九日の歌

菜の花は土手の斜面に広がりて舞ひ飛ぶ蝶の白き点々

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今日から天気は下り坂と言われていた割には、それほどには崩れていない。

朝方は曇りがちで風も少し冷たかったが、午後からは時々陽も射してきて、風向きも少し変わり、暖かくなった。

ようやく、三日続けて暖かいという、春のような気のする陽気になった。

裏の土手に出てみると、菜の花がまた増えた。土手の斜面の黄色いパートが、どんどん広がっていく。

あたりを見ると、モンシロチョウが何匹もひらひらと舞っているのが見える。ただ、それを写真に収めるのは大変だ。こちらが近づいていくと、向こうも同じような距離を保つべく、さりげなく位置を変える。

遠くにいる蝶を写しても、写真になると、緑の中のほんの小さな白い点になるだけだ。そして、たまたま近くにきた蝶を写そうとしても、一瞬として同じところにとどまらず、ひらひらと動き続けるので、レンズで追うのは至難の業だ。

それを写すには、相当の時間を使って、たまたま運良く映る瞬間を待たなければならない。それでも、一昨年四月一日のログの写真 (参照) 程度のものだ。だから、今日は初めから諦めている。

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2006年4月18日

卯月十八日の歌

昼休みサラリーマンの足取りにせはしさもなし春めく舗道

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昨日は熱海に日帰り出張して温泉に入ることもなく、帰宅してから急な仕事をちょこまかとこなすうちに、睡眠時間四時間足らずとなってしまった。

若い頃と違って、睡眠は少なくとも六時間は取らないとちょっと疲れが残る。でもまあ、仕方がない。取手駅から始発電車に乗るので、座席を確保して、上野までの四十分ぐらい、眠ろうと考えた。

しかし、間が悪い。二つ目の我孫子駅で乗ってきた八十歳ぐらいに見える老夫婦が私の斜め前に並んで立った。その正面に座る若造とOL風は、席を替わる様子もない。

年寄りが立っているのを見ると、私はほとんど脊髄反射的に席を譲ってしまう。(自分自身が年寄りになるまでには、この癖は直したいものだ)

思わず立ち上がり、ばあさんの方を座らせる。それを見れば、若造も立つだろうと思ったが、その気配も見せず、わざとらしく居眠りを始めた。こっちだって眠いのに。

若作りとはいえ、五十歳を過ぎたおっさんが席を替わってるんだから、若造よ、立てと言いたくなったが、次の柏駅で、降りる人がいて席が空いたので、そこにじいさんを座らせる。めでたしめでたし。

というわけで、睡眠不足である。

昼時に神田駅の近くで昼飯を食べた。歩道にはサラリーマンが溢れ、昨日よりますます春らしくなった太陽がまぶしい。

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2006年4月17日

卯月十七日の歌

相模なる海に霞の立ち初めて大島の影おぼろなりけり

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今日は熱海に日帰り出張。熱海まで来て、温泉にも入らず日帰りで帰ってしまうのは、いかにも惜しい気がするが、スケジュール上、仕方がない。そのうち、じっくりと温泉に入りに来ることにしよう。

熱海というところは、まさに海岸線ぎりぎりまで山が迫っている。海岸から少しでも離れると、急に上り坂になって、あっという間に標高三~四百メートルぐらいまで登ってしまう。

それだけに、高いところから海岸を見下ろすと、本当に景色がいい。

昨日までは曇りがちだったが、今日は晴れたので、その景色をしっかりと眺めることができた。晴れ男はこれだからありがたい。

ただ、海面が案外もやっていたので、伊豆大島はぼんやりと望めるだけだった。しかし、それも久しぶりで春らしい陽気になった証拠のようなものなので、贅沢を言ってはいけないだろう。

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2006年4月16日

卯月十六日の歌

黒き幹捩れ節くれ太しくも立ちてこそ咲け雲なす桜

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水戸の近くで、時々通る道の傍らに、一本の桜の木がある。今日通りかかったところ、少し葉桜になりかけてはいるが、まだまだ見事に咲いていた。

この木の幹の太さは、見事なものだ。多分、上の方を何度も何度も剪定しているうちに、幹の方はこれほどまでに太く成長したのだろう。

その黒く節くれだち、よじれ、苔をまとった姿は、花の季節以外は、まったく目立たない。しかし、花の季節になると、その周囲に華やかな雰囲気を充満させる。

この幹のあればこそである。その辺の細い桜の木とは違うのである。相当の年季が入っているのだ。

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2006年4月15日

卯月十五日の歌

川岸の小さき花のそれぞれの色は揺れをり風の音して

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昨夜から風が強まって、夜が明けてからも、常に風の音がゴウゴウと鳴っている。時には蒸気機関車の汽笛のように聞こえる。

今年の春はとにかく風が強い。しかも、南からではなく、北西や北東から冷たい風が吹くので、日射しは出るのだが、外を歩いてもあまり暖かくは感じない。

とはいいながら、庭や土手にいろいろの春の花が咲きそろってきた。菜の花、フキノトウ、ハコベ、ナズナ、ミモザなどなど。

そのほかにもいろいろな花があるのだが、なにしろ花の名前を知らないので、ここに挙げることができないのが残念だ。

毎年今頃になると、背の高くなるのが、ロケットというハーブだ。多分、妻が庭で育てたのが、周囲にも広がったのだろう。我が家の近くの土手にもちらほらと生えている。

小さな花が十文字になって、糸車のように見えることからこの名前が付いたという。

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2006年4月14日

卯月十四日の歌

花曇り映して広き川面にも若緑なる木々の差し色

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またしても花曇り。日曜日まで天気は下り坂だという。月曜日に伊豆に出張だから、そのあたりから晴れ間も見えそうだ。

菜種梅雨ともいう。そういえば、水の季節である。

小貝川の岡堰は、水門が調整されて水が満々と貯まり始めた。水かさが増えたので、冬の間は河川敷だったところも水に覆われた。

河川敷の盛り上がったところは、今は中州と化した。木の何本かは、水中にから生えているように見える。相変わらず風は強いので、水面はかなり波立っている。

この風の収まる頃には、そろそろ田植えが始まるだろう。

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2006年4月13日

卯月十三日の歌

朝霧に岸辺の木々はおぼろにて水面に映る影ぞ浮き立つ

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今日はかなり暖かい。朝のつくば一帯は、かなり濃い霧が出ていた。

東京湾でも相当の濃霧だったようで、船の衝突事故があったと報じられている。

朝霧は、晴れてしまえばその日は上天気になるものと相場が決まっているが、今日のところは、あまりいい天気にはならないようだ。

家を出る頃には、濃霧は少しは薄れていたが、小貝川を越えるあたりの景色は、まるで水墨画のような風情だった。その代わり、運転はかなり慎重にならざるを得なかったが。

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2006年4月12日

卯月十二日の歌

椋鳥は餌を啄みて顧みず草に連なる白玉の露

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四月も中旬となれば、いつもの年ならもっとぽかぽかした日があってもいいのだが、今年は外出するのにコートやパーカが欠かせない。日が暮れると風が冷たくなってしまうからだ。

昨日からの雨が昼前に止んだが、相変わらずどんよりとしている。寒いというほどではないが、暖かいとはとても言えない。

それでも、土手の道には虫が出てきているらしく、それをついばむムクドリの群れが押し寄せている。あの、桜を花ごと落としてしまうムクドリである。君たち、近頃ちょっと増えすぎじゃないか。

土手の両斜面には、冬の間には見られなかった緑の草がびっしりと生えてきた。その草に、今まで降っていた雨が丸い水滴になってのっている。

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2006年4月11日

卯月十一日の歌

江戸の代のお玉が池の水面には如何なる波紋広がりゐしか

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今日もひんやりした一日だ。朝から小雨模様である。今年の春は、暖かな陽気が長く続かない。

神田近辺は古くからの街だが、今ではビル街に生まれ変わってしまって、昔の面影はなかなか見出せない。

人形佐七で有名なお玉が池は、かなり大きな池だったようだが、今ではその跡に 「お玉稲荷大明神」 という小さな神社があるだけだ。

江戸時代、お玉が池は桜の名所だったので 「桜ヶ池」 と呼ばれていて、その畔の茶屋の看板娘が 「お玉」 という名前だったという。、

『江戸名所図会』によると、二人の男に同時に懸想されて悩んだお玉が、池に身投げしてしまい、「お玉稲荷」 はそのゆかりの祠であるらしい。入り組んだ事情があったもののようだ。

お玉が池は人形佐七の他にも、北辰一刀流の千葉道場があったことでも有名だ。坂本龍馬も通ったところである。また、江戸最初の 「お玉ヶ池種痘所」 のあった所としても知られており、現在の東京大学医学部発祥の地でもある。

今日はお玉が池跡周辺の案内になってしまった。

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2006年4月10日

卯月十日の歌

田を起こすエンジンの音聞こえ来て菜の花の黄と若緑萌ゆ

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暖かかった昨日から一変して、冷たい風の月曜日。

こう寒暖の差が激しいと、いくら私でも風邪を引いてしまうと、自分を納得させている。その風邪も、医者の薬を飲み始めて三日目、かなりよくなった。

普段、薬を飲み慣れていない原始人体質のせいか、いつもよく効く。

外は寒いが、このところ忙しくて家の周りを散歩することもできなかったので、パーカを羽織って一回りしてみた。

いつのまにか、土手には菜の花が咲き始めている。いつも思うのだが、菜の花の黄色とその茎と葉の緑色は、とても華やかなのに目にやさしい。心を和らげてくれる。

川の向こうの田んぼでは、そろそろトラクターの音が響き始めた。

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2006年4月 9日

卯月九日の歌

街灯の光少しく滲みをりほどよく湿る春風の中

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今日は久しぶりに穏やかな春らしい天気だった。風邪も医者にもらった薬が効いているようで、かなり楽になった。

夜になって、つくば学園都市のあたりを通りかかると、色とりどりの街灯やネオンが、すこしにじんで見える。湿り気のある春の空気だ。

車の窓を開け放してみても、風は冷たく感じない。ようやく春の風である。

明日はもう移動性高気圧が去ってしまって、雨も降るらしい。そして、またしても冬の寒さが戻りそうだ。今年の春は、春らしい陽気が長く続かない。

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2006年4月 8日

卯月八日の歌

川岸に緑色こそ増しにけれ冷たき風のかはたれなれど

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どうも風邪気味のようだ。春先になって風邪を引くなんて、ここ二十年ぐらいなかったのだが、今年の春の寒暖の差にやられたのかも知れない。

昨日医者から薬をもらってきた。この薬を飲むと、猛烈に眠くなって、昨日からずいぶん爆睡している。

このところちょっと疲れ気味だったので、ちょうどよい休養の時かと思っている。

午前中に聞いたラジオの天気予報では、「コンピュータの計算結果では 『降らない』 ということだが、予報士の勘と経験から、昼頃降ると言う予報にしておきたい」 と言っていた。

結果は、晴れたり曇ったりの忙しい天気で、昼過ぎにちゃんと雨も降った。予報士の勘と経験の勝利だった。お見事。

夕刻に裏の土手に出ると、だいぶ緑が増えたが、相変わらず冷たい風が強く吹いている。天気図は一時的に冬型のような様相になっているようだ。桜並木の下は、さぞかし花吹雪になっていることだろう。

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2006年4月 7日

卯月七日の歌

道の端に舞ふ花びらの色させど今はな醒めそ春の日の夢

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近所に 「桜のトンネル」 と言われる道がある。今年も道の両側の桜が見事に咲いた。

少しだけ満開を過ぎたようで、葉の緑色が目立ち始めているが、それでもまだきれいなものである。ルーフウィンドウのついた車で、ゆっくりと通りすぎたら、さぞかし綺麗に見えるだろう。

今年は桜の開花から例年になく冷え込む日が多かったので、花の咲いている期間が長いような気がする。

しかし、長いからといって、花見をするには好都合かというと、そうではない。とくに夜などは風が冷たすぎて、震えてしまう。

典型的な二律背反である。かくいう今日も、かなり寒い。そういうわけで、なんとか今度の土曜、日曜まではもちそうだ。

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2006年4月 6日

卯月六日の歌

花吹雪舞ひ来たりては道の端の夜来の雨の跡を覆ひぬ

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今日は朝からいい天気だが、相変わらず風だけは強い。

取手競輪場の駐車場の桜がついに満開を過ぎて、花が盛大に散り始めている。今朝方通りかかったときには、強風に煽られて、まさに花吹雪である。

昨日の雨のせいで、道端に大きな水溜りができていて、そこに花びらがびっしりと浮かんでいる。

川面にびっしりと浮かぶ桜の花びらは 「花いかだ」 というが、こういうのは、なんと言うのだろう。やはり、「花いかだ」 でいいのだろうか。

今週は今日までびっしりと東京神田での仕事が入っていて、明日は自宅の仕事場にこもることになる。明日からは少し天気が下り坂になるらしい。

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2006年4月 5日

卯月五日の歌

水撥ねるタイヤの音を花の散る午後の通低音として聞く

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朝から雨。天気予報では、たいした降りにはならず、止んでいる時間の方が長いぐらいなので、外出には折り畳み傘で十分などと言っていたが、全然止まない。

天気予報が悪いほうに外れるのは珍しい。こういうのは、苦情が出るケースだろう。

外を歩くと、結構風も吹いているのだが、それほど冷たい風ではない。だから、雨に濡れてもそれほど冷たいものではない。やはり、春の雨だ。

今年の春、関東で風が強いのは、日本海の海水温が低いからだという。日本海は陸地に囲まれているので、海水温が比較的高い傾向があるのだが、今年の冬の大雪を降らせるために散々水蒸気を蒸発させてしまったので、水温が下がってしまったらしい。

それで、いつもは日本海付近に発生する低気圧が、北海道の東海上付近にずれてしまい、そのせいで、冬型に近い気圧配置になって、北西風が強く入ってくるというのである。

この冬の豪雪の影響は、春になってもまだまだ続いているようだ。

今日は神田の近くにいるが、窓の外から、ひっきりなしに車のタイヤの上げる水しぶきの音が聞こえてくる。

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2006年4月 4日

卯月四日の歌

春嵐に堪へて咲きたる曙に花のままにて落つる桜よ

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近頃、あちこちで、「今年の桜は花ごと落ちる」 という話を聞く。今朝、取手周辺の桜をみると、確かに花ごとボタボタ落ちている。

古来、桜は花びらごとに 「散る」 ものとされ、ボタンなどの 「落ちる」 とは一線を画していた。しかし、これでは、桜も 「落ちる」 ものになってしまったじゃないか。

桜がこんなふうにボタボタ落ちるのは、天変地異の前触れではないかという話もあるが、調べてみると、ムクドリが蜜を吸うために、花の付け根から食いちぎってしまうんだそうだ。(参照

そういえば、取手駅周辺は、確かにムクドリの大量発生でかなり大変なことになっているが、桜まで被害を蒙るとは知らなかった。

ムクドリとしては、花ごと地面に落とす方が蜜を吸いやすいのだろうが、人間には興ざめなことである。こういうのを、枕草子なんかでは、「すさまじきもの」 と言ったのだろう。

古来、「すさまじきもの」 なんて、あまり和歌には詠まれなかったんだろうが、今日はちょっと型破りということで。

ちなみに、桜は 「散る」、牡丹は 「落ちる」 、梅は 「こぼれる」 んだそうだ。日本語はなかなか味わい深い。

【卯月十二日 追記】

誤解していた。ムクドリは一度花を地面に落としてから蜜を吸うのかと思っていたが、花の付け根の密の溜まっている箇所から直接すうために、くちばしで千切って花を落としてしまうらしい。

それから、開花してから冷え込みが続くと、桜の自己防御としていくつかの花を落としてしまうこともあるらしい。

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2006年4月 3日

卯月三日の歌

つくばよりわづかに望む富士の嶺の何ゆゑかくも大きかるらむ

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春先は風の強い日が多いものだが、今朝方の風は最近の中では一番だった。

朝の出掛けに玄関のドアを開けようとすると、風圧で押し戻されるほどで、駅の近くに借りた駐車場まで行くのに、車が流されてしまうほどだった。

その代わり、空気が澄んでいるので、つくばの里からも富士山の姿がくっきりと望まれた。たっぷりと雪が積もっている。

目で見た富士山は堂々としているが、写真に収めると、コンパクト・デジカメの三倍程度の望遠機能では、遠くにぽつんと映っているだけになる。今回の写真は、大幅なトリミングで大きく見えるようにした。印象としては、まさにこのくらいに大きく見えるのである。

取手駅周辺の桜もついに満開になって、少しずつ散り始めている。今日明日が見頃だろう。週の半ばからは、散った花びらを眺めることになりそうだ。

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2006年4月 2日

卯月二日の歌

迫り来る春の嵐を楠木は既に知るらむ枝も揺らさで

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060402

一日中、水戸方面で仕事。朝のうちは天気がよかったが、日が暮れてから帰ろうとすると、雨になっていた。

常磐道を南下するほどに、雨は激しくなり、風も強まる。スピードを八十キロまで落とす。途中で、事故現場に遭遇。セダンらしき車が大型トラックにぶつかったらしく、大破していた。

事故直後らしく、警察はまだ到着していない。セダンに乗っていた人は、かなりの怪我をしているだろう。とはいいながら、停まるわけにもいかず、そのまま行き過ぎる。

高速道路を降りて、つくばの大型ショッピングセンターのコーヒーショップで休憩している。

デジカメの画像を眺めていると、今朝、道路わきの大木を写した画像が出てきた。何の木だろう。クスノキだろうか。

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2006年4月 1日

卯月一日の歌

川縁の桜は四分の花咲きて六分の蕾膨らみてあり

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四月に入って、ようやく少しは暖かい気がしてきた。小貝川の土手に咲く桜は、取手の競輪場の桜よりも、ずっと開花が遅れている。

まだ四分咲きといったところで、花の数よりも蕾の数の方がずっと多い。同じ地域でも、ちょっとした環境の違いが開花に影響するようだ。

それでも、昨夜あたりに夜桜見物をした人がいるようで、桜の木の下には、ゴミでふくれた袋が積んである。どうして持ち帰らないのだろうか。

ゴミを散らかすことにかけては、花見客は日本最悪である。その次にひどいのは、釣り師で、渓流沿いにコンビニ弁当のビニールの残骸が放り出されている光景をよく見かける。

普段はかなり行儀のいい日本人なのだが、ちょっと雰囲気に流されると、途端にヒンシュクものに成り下がる。

ところで、梅と桜というのは、遠目には区別がつきにくいが、こうしてアップの写真にしてみると、桜の花は梅の花よりずっと大きく開くのがわかる。それに比べると、梅は慎ましい。

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