皐月二十九日の歌
ドナドナは仔牛なりしかトラックの荷台の豚の鼻ぞ哀しき
朝、水戸街道の裏道を車で走っていると、真ん前を行くトラックの荷台の隙間から、豚の鼻がのぞいていた。
何頭もの豚が折り重なるように荷台に載せられていて、格子の隙間から鼻を出している。その鼻の色は妙に血色の良いピンク色で、なまめかしささえ漂っている。
赤信号で止まった時に、カメラを向けると、豚たちは一斉にこちらに注目しているような気がする。
「ドナドナ」 という歌では、荷車に載せられて市場に連れて行かれるのは、一頭の仔牛だった。私が延々と後を追うように走ったトラックは、ぎゅうぎゅう詰めの豚である。
そのトラックは、水戸近くの中央食肉公社と書かれた看板のある門の中に消えていった。
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