如月一日の歌
下町に空き地現れモルタルと波板トタンが日の目を浴びる
神田駅周辺は昔ながらの路地が多い。昭和三十年代を思わせるような、せいぜい二~三階の建物が隙間なくびっしりと並んでいる。
その中の一軒が取り壊されて、突然空き地ができたりすると、それまで人目に晒されなかった建物の横の壁面が現れる。
安っぽいトタンや、ボロボロになったモルタルの壁面が、二十一世紀の東京都心に、開き直ったように堂々と顔を出す。これがなかなかの風情だ。
建物が取り壊された跡地は、いかにも間に合わせ的な駐車場になっている。ビルを建てるには狭すぎるのだろう。
そのうち、取り壊される建物が増え、区画整理がされて、それなりに大きなビルが建つことになるのかもしれない。そうなると、この辺りの景観もまったく変わってしまうだろう。
| 固定リンク
« 睦月三十一日の歌 | トップページ | 如月二日の歌 »
コメント
そう、この側面<陰>が切ないんです!
一見、完璧なまでの近代と・・置いて来た昔がちらり!
そこに、現実を垣間見る!この感じが・・せつないんです!
投稿: 歩遅子 | 2007年2月 1日 16時57分
>そう、この側面<陰>が切ないんです!
なるほど。<陰>は、背後というより、側面にあったりするんですね。
モダニズムというのは、側面の存在を忘れがちなのかもしれません。
それだけに、側面がもろに晒されると、<陰>がさらけ出されてしまうんでしょうね。
投稿: tak | 2007年2月 2日 00時20分