葉月十九日の歌
鳴き方を研ぎ澄ます間もなく死ぬるつくつくほふしの夏ははかなし
嘘のようにしのぎやすかったのは昨日一日だけで、今日はまた暑さが戻ってきた。とはいえ、体に耐性ができてしまっているのか、三十三度や三十四度では、「まだまだ大丈夫」 という気がする。
耐性ができてしまったのはありがたいが、そうなってしまうほどの今年の暑さは、あまりありがたくない。
ツクツクホウシの鳴き声が目立ってきた。シズル感たぷりのアブラゼミの声に取って代って、この声が主流派になると、今年の夏も終わりに近づく。例年なら、夏の終わりは名残惜しいような気がするが、今年は 「早く終わってくれ」 と思うばかりだ。
以前、"Today's Crack" の 「ツクツクホウシの修練」 という記事に、"ツクツクホウシは、「オウシ、ツクツクツク・・・オウシ、ツクツクツク・・・」 と、何度か繰り返すと、根気が続かなくなり、「ツクツク・・・ピーギョーピーギョー」 と、ウヤムヤに帰してしまうのである" と書いたことがある。
ツクツクホウシは、蝉の中では最も複雑な鳴き方をするのだが、悲しいことに、その鳴き方を完成段階にまで高めることができない。鳴き始めてたった一週間で命が尽きてしまうので、ウグイスのようには修練ができないからだと、私は根拠もなく思っている。
蝉の命と同様に、夏もはかない。今年の 「はかなさ」 は、ちょっと強烈だが。
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