如月二十九日の歌
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シルバーの電車は坂東の春の日と風を切り裂き北へと向かふ
明日から三月のような気がしていたが、今年は閏年なので、三月は明後日からである。なんとなく、月末の原稿締め切りを一日得したような気がしている。
三月は明後日からとはいえ、今日の陽気は三月下旬の暖かさになるそうだ。電車の窓から見上げる空も、春らしい色になっている気がする。
晴れているだけに、放射冷却で夜明けは寒いが、日が昇るにつれてぽかぽかした感じになってくる。風もそれほど冷たくはない。
その空の下を、反対方向に行く中距離電車が駆け抜ける。車体のシルバー部分が、陽光を反射してまぶしいほどだ。春の風がさらに加速している。
いよいよ本格的な春になろうとしている。
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それぞれは宙に浮きゐてつながれば天地を結ぶつるし飾りよ
常磐線取手駅の東西出口をつなぐ地下道の片側の壁が、市民ギャラリーになっていて、いつもいろいろな作品が展示してある。
最近は、「つるし飾り」 というのが飾られている。ひな祭りを控えた趣向なのだろう。
このように、布で作った小さな飾りを糸でつないでぶら下げるというのは、うちの田舎の 「傘福」 と同じ系統なのだろう。
庄内はひな祭りの盛んな土地柄だけに、傘福もかなり盛大だ。しかし、取手のつるし飾りもなかなか渋い趣がある。
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虚空とはこの歌を乗せ世に運ぶ見えぬ電波に満ちてゐるらし
昨日よりも気温は低いらしいのだが、風が弱い分、それほど寒くは感じない。
上にコートやパーカを羽織るのを忘れて車で仕事にでかけ、日が暮れてから帰ってきて、つくば学園都市のショッピングセンターで休憩しているのだが、広い駐車場を横切って店に入るときも、そんなに凍えるような気はしなかった。
明日からはますます気温が上がるらしい。さすがに立春を過ぎてからの冬型の気圧配置は、いくら強いとはいえ、長くは続かない。
実はモバイルのインターネット接続を、PHS から E-モバイルに変えた。速度は平均して一・二メガビットぐらい出るので、ブロードバンド接続というに不足はない。
以前は今日のように、コーヒーショップでの接続にはストレスがあったが、今はかなり快適になった。ありがたいことである。
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幅広き流れとなれば吹き下ろす風受けてこそ波も立つなれ
昨日の午後から一天にわかにかき曇り、一日半の暖かさがあっという間に遠ざかって、真冬の寒さに戻ってしまった。
大変な強風で、電車のダイヤは乱れまくったらしい。我が家の次女が幕張メッセで開かれるコンサートに出かけたのだが、行き帰りは大変な目にあったようだ。
ところで、昨日はどさくさ紛れに 「春一番」 の南風が吹いていたらしい。その後の北西風が強烈すぎたので、全然印象に残っていないのだが。
ニュースもかなり混乱している。電車のダイヤが乱れたのは、春一番の風のせいというよりは、その後の北西の強風のためなのようなのだが、多くのニュースの見出しでは、春一番が関東で猛威をふるい、交通が乱れたということになっている。
これについては、気象予報士の森田正光さんも一言二言述べている。(参照 1、2)
冷たい強風は今日も続いていて、外に出ると体感温度は真冬以下だ。我が家の裏の川は、なまじ川幅がひろくなったせいで、かなり波だっていて、ちょっとした迫力だ。
これまでは、狭い川幅が両側の土手に守られて、いくら強風でも川面の波は目立たなかったのに。ちょっと一丁前になると、世間の波風もまともに当たってくるのだろう。
今日はなんだか道歌っぽくなってしまった。
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初めてのバイエルを弾く子の如く鶯は今朝鳴き始めたり
暖かい朝である。ベッドから抜け出すのにそう大きな決意はいらない。
窓から射す日にまどろんでいると、鶯の初音が聞こえた。盛んに繰り返し繰り返し鳴いているが、さすがにまだ鳴き慣れないので、理想的な 「ホーホケキョ」 にはほど遠い。
これは、バイエルを弾き始めた子供のピアノの練習を聞く感覚に似ている。
春はまだ早い。今日の夕刻からはまた真冬の寒さが戻ってくるというし。こうして寒さと暖かさを繰り返すに、だんだんと上手になって、理想のメスと出会うのだろう。
ところで、我が家の裏の川の拡幅工事が進み、ついに 「小川」 ではなくなった。去年の節分の頃の写真と比べると、まったく別の川である。
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明日よりは暴風雪の故郷で耐へ耐へてなほ人笑ふらむ
今日は急いで歩くと汗ばんでしまうほどの暖かさだった。三月下旬の暖かさだという。それなら、桜の咲く頃の陽気だ。暖かいはずである。
ところが、この暖かさは明日のお昼までで、それからは関東にも寒波がかかってきて木枯らしが吹き出し、明後日は冬に逆戻りになるという。なんとまあ、ほんの二~三日で、三か月分の天気をこの身に引き受けることになるわけだ。
そして、その寒波は関東以外の地域では明日のしょっぱなから猛威を振るうようだ。酒田の天気予報をみると、明日は 「暴風雪」 となっていた。関東の場合は 「真冬に逆戻り」 といっても、晴れマークには違いないから気楽だが、日本海側は大変だ。
だが、わが故郷の人たちは、耐えて耐えて、なお笑うことのできる人たちである。
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日暮れても時は春とぞ知られける朧に映ゆる街の灯見れば
昨日が二十四節季の雨水だったが、今日になってようやくそれらしい陽気になった。
とは言っても、それほど暖かさを感じるというほどでもなく、昨日まで吹いていた冷たい木枯らしが止んだだけという気がしないでもない。
それでも、数字データで言えば、昨日よりも二~三度気温が上がっているらしい。それで風が弱いのだから、なんとか暖かい気がしても不思議ではない。
この暖かさも週末までで、週明けはまた冬の寒さに戻るなんてことを言っている。周囲では誰もが、「寒いのはもういいよ」 とつぶやいているのだが、三月の声を聞くまでは、なかなか本当の春らしい陽気にはならないようだ。
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タクシーは旧正月を過ぎてなほイルミネーションの下をこそくぐれ
今日は出がけに車が久しぶりにパンクしてしまい、難儀なことだった。このパンクについては、今日付の "Today's Crack" の方にいろいろ書いておいたので、興味のある方はどうぞ。
タイヤ交換に手間がかかって、仕事場に着くのに 1時間ほど遅刻。その分、午後は大わらわだった。
空は晴れ渡っているが、風は相変わらず冷たい。明日から今週いっぱいはやや暖かくなるというが、本当だろうか。多少暖かくなっても、来週からはまた冬の寒さだというので、あまり期待しないでおこう。
日が暮れて取手駅に戻ってきて、ふと気付いたのだが、西口のイルミネーションが、クリスマスの頃からずっとそのままだ。旧正月も過ぎたているので、もしかして、このイルミネーションは年間通して飾りっぱなしなのだろうか。
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遥かなる富士の高嶺の白雪の赤み薄れて日は昇りたり
近頃、朝のでがけに毎日のように富士山が見える。小貝川の土手の向こうに、雪をいただいた頂上付近が、ひょいと覗いている。
空気が乾燥して風が強いから、遠くの山が見えるのだろう。近くの筑波山などは、山襞の一つ一つまできれいに見える。
ただ、肉眼ではかなり大きく見えるような気がしているのだが、デジカメで映そうとすると、さしもの富士山も、彼方のほんの一点のようなものだ。
この写真にしても、三倍ズームぎりぎりで撮影して、さらにその真ん中あたりをトリミングし、ようやくそれらしいものが見えるように細工している。
小貝川の土手に登ればもっと大きく見えそうなものだが、不思議なことに、その向こうの林に邪魔されて、さっぱり見えなくなる。そして、常磐線の電車に乗って利根川を越えるあたりで、また見えるようになる。
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「余寒の候」 と自動入力さるる日のビジネスレターに春を待つなり
今日はほとんど家でデスクワーク。休日というわけではないが、どこにも出かけなくても済むので、たまった疲れを取る絶好の機会だ。
夕方に、気分転換を兼ねて近くのホームセンターに買い物に出かける。
一日いい天気だと思っていたが、南西の方角から黒い雲が広がってきている。ラジオで、神奈川のあたりで雪を降らせる雲が発生して広がっていると言っていたが、それが茨城まで伸びてきたようだ。
とはいえ、つくばの地では雪が降るまでには至らなかった。ありがたい。
立春以後、主に 「春の歌」 というカテゴリーで歌を詠んでいるが、実際にはまだまだ風が冷たい。ワープロでビジネスレターを書き出すと、時候の挨拶は自動的に 「余寒の候、貴社ますますご清栄のことと……」 と自動入力される。今の世は便利なものである。
来週の半ばからは、少しは暖かくなるというので、それが楽しみだ。毎年二月の半ばを超えると、春めくのが待ち遠しい。
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新しき土手に菜の花咲く日まで幾つの春を我は越すらむ
我が家の裏を流れる川の拡幅工事が、いよいよ最終段階にさしかかっている。
写真で、川の真ん中に中州のように見えているのが、元々あった土手の崩されていく姿である。その向こう側に、新しい堤防ができていて、古い土手はどんどん掘り崩されて、姿を消していく。
以前は、「裏の小川」 と言っていたのだが、これからは、「裏のフツーの川」 と言おうか。
大雨が降っても、以前より水位の上昇の心配がなくなるのはありがたいが、春になっても向こう岸に乱れ咲く菜の花が眺められないのは寂しい。こちら側の土手から種が飛んで、向こう側にも咲くようになるまでに、どのくらいかかるだろう。
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大いなる空を映せる水溜り解けて凍りて干ることもなし
最低気温は昨日より今朝の方が低かったようだが、日が昇りきってしまうと、昨日よりは少しだけ暖かく感じる。「二月は光の春」 と言われるように、光だけをとれば本当に春らしくなっている。それでも、本当の春はもうちょっと先にあるようだ。
取手駅の近くに借りている駐車場の近くに、空き地がある。元はそこも駐車場だったが、今は完全に空き地だ。
多分、住宅を建てる予定だったのが、何かの事情で立てられなくなり、そのまま放りっぱなしになってしまったのだろう。
その空き地が、だいぶ前から朝日を受けてキラキラ光っていたのである。今日は早めに家を出たので、ちょっと時間的に余裕があり、近づいてみたら、雨水 (それと雪解け水) がたまって、大きな水溜りになっている。これがもう少し深かったら、水溜りというより 「池」 だ。
まだ表面の氷が解け切っていないので、光の反射が複雑になり、遠くから見ると妙にきれいに見える。
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凍りたる雨は朝日の差し来れば律儀に解けて水に戻りき
昨日書いたとおり、別の種類の寒さがやってきた。「寒々しさ」 から 「きりりとした寒さ」 への転換である。
昨日一日中、雨降りで気温の低い状態が続いた上に、夜中に急に晴れ渡ったので、道の水溜りがすべて凍ってしまっている。
朝日の当たったところから徐々に解け出して、駅に向かう頃にはぐしょぐしょになっているところが多くなっていたが、日陰は凍ったままだ。
面白いのは、写真のような日の当たるところと当たらないところの、微妙に交差したところである。柵の影が落ちているところは、日の昇るにつれて陰が移動すし、日の当たったところから順々に解け出している。
氷の解け方というのは、なかなか律儀なものである。
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地より湧く如くに建てる多宝塔我はいつの日真理を説くや
昨日から広島にいる。仕事のアポイントは午後なので、午前中に強行軍で厳島神社に行ってきた。とはいえ、広島市内からこんなにすぐに行けるとは知らなかったので、ひょんなことから拾い物をさせてもらった感じだ。
天気は昨日とは一転して晴れ。私は本当に晴れ男である。ありがたいことである。
写真は厳島神社の境内から出てちょっと小高いところにある多宝塔。赤い柱の回廊の厳島神社の様子は、既に皆様おなじみだろうから、ここではあえて載せないでおく。
この多宝塔、私のイメージの中の多宝塔にとても近い佇まいで、なんだか嬉しくなってしまった。
釈迦が法華経を説いたとき、地から多宝塔が湧出し、その中に坐した多宝如来が 「善哉、善哉 (よきかな、よきかな)」 と祝福して、釈迦を招き入れ、自らの隣に坐さしめたと伝えられている。
その後も、法華経が説かれる度に多宝如来は湧出して、その真理を証明し給うというのだが、私はまだその姿を見たことがないので、「もっともらしいこと」 は説いても、未だ真理を説いたことがないのだろうね。
安芸の宮島は、とてもあっけらかんとした世俗的な雰囲気に満ちていた。
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降りしきる雪のフィルターを潜り抜け新幹線は安芸に着きたり
昼過ぎの新幹線で、広島に付いた。広島での仕事は明日の昼過ぎから始まるのだが、天気予報で雪が降るだのなんどのと、かなり不安なことを言うので、大事をとって前日のうちに着いたというわけである。
明日の早朝に発っても、時刻表どおりならぎりぎり間に合うのだが、明後日には水戸にいなければならないので、早朝に発って深夜に帰宅というハードスケジュールになる。
それに、今日も静岡あたりから大阪まではすっかり雪模様で、減速運転のため20分以上の遅れになった。明日は回復するらしいので大丈夫だろうが、まあ、前日入りは正解ということにしておこう。
それにしても、東海道新幹線の窓からずっと雪景色を眺めたのは、これが初めてだ。まるで関東から雪のフィルターを潜り抜けて山陽道に着いたような気がする。この冬は暖冬なんていう予報は、これですっかり外れたと、結論付けていいだろう。
途中の雪景色を眺めていると、数時間後の関東もこうなるのだろうと思われたが、広島について家に電話し、「雪はどうだい?」 と聞くと、「雨よ~」 というので、ちょっと気が抜けてしまった。
写真は橋の上から撮った広島の夜景。明日は午前中は暇なので、もしかしたら厳島神社に行けるかもしれない。
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週末は雪降るらむと告げられて金曜の夜の人は足早
晴れても晴れても、風は寒い。明日は昼から雪になるそうだ。
写真は取手駅西口のロータリーからエスカレーターで地上に下るところ。家路を急ぐ人たちが、次々に駅から吐き出されてくる。
明日は、昼から広島行きである。仕事の予定は明後日なのだが、微妙なスケジュールで、明後日の早朝発ちだと、もしかして雪で新幹線が遅れたら、間に合わなくなるおそれがあるので、大事を取って明日のうちに広島入りしておこうと思う。
その代わり、仕事を終えて帰ってくると、多分夜中になって、日付が変わっているだろう。本来なら、明日の早朝に発って明後日はゆっくりと広島に泊まりたいところだが、十一日には、水戸方面で仕事があるので、どうしても帰ってこなければならない。
世の中が三連休だというのに、私は全然休みじゃないのである。せいぜい、明日はのんびりと広島入りして、明後日の午前中は、うまくいけば厳島神社に参拝できるといいなあ。
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夜通しの雪凍みつきて昇り来る旧正月の日を照り返す
旧正月である。日本以外の多くのアジア諸国にとっては今日が正月で、盛大に祝われているはずだが、日本はまことに静かなものである
昨日の朝、出掛けに降っていた雪は、東京都心では、昼前には雨に変わっていた。そして、日が暮れてつくばの里に戻ると、深々とした雪だった。
だから、茨城の県南部では、一日雪だったのか、あるいは昼には雨に変わったものが日が暮れてまた雪になったのか、そのあたりの事情はさっぱりわからない。とにかく、雪は夜通し降ったもののようだ。
雪は未明には止んで、夜明けには太陽の昇ってくるのが見えた。屋根屋根に僅かに積もった雪が、カチカチに凍って朝日を照り返している。
日本海側の雪は何日も降り続くが、関東の雪は翌日には上がって上天気になることが多い。太陽の照り返しでまぶしい雪景色というのは、私の故郷ではあまりないことで、十八歳で上京して初めての冬は、なんだか珍しいものでも見るような気がしたのを憶えている。
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吹く風に肩はすくめど節分の雪の名残に春を見るなり
四日ぶりで東京都心に出てきている。立春を過ぎたとはいえ、風は冷たい。それでも、日差しはなんとなく真冬の頃とは違ってきているので、カテゴリーは 「春の歌」 ということにしておこう。
我が家の周囲は、まだ田んぼや土手など、土のあるところは真っ白なのだが、さすが都心である。雪はほとんど消えてしまっている。
とはいえ、私は一昨日のテレビを全然見ていないので、東京でどのくらい雪が積もったのかは、この目で確かめていない。ラジオニュースでは 「三センチの積雪」 とのことだったが、こういう数字は必ずしも実感通りというわけじゃないし。
人づてには 「結構積もったよ」 とだけ聞いた。しかし、東京の人の 「結構積もった」 が実際にどのくらいなのかというのも、実のところ、さっぱり見当が付かない。東北日本海側出身者の実感としては、少なくとも十センチぐらい積もらないと 「結構積もった」 とは言いにくい。それ以下なら、「少し積もった」 程度である。
よくみると、イチョウ並木の根元に僅かに白いものが見える。近づいてみると、雪には違いないが、土で汚れてかろうじてへばりついているだけだ。「結構積もった」 というのも、内輪に見ておいた方がよさそうだ。
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立春の日に支へられ卵立つ倒るるはずのなきものとして
立春である。外を見渡すと、田んぼは昨日の雪でまだ真っ白なのだが、日射しはとても明るい。道路の雪はどんどん解けている。
「立春には卵が立つ」 という中国古来の言い伝えを知り、「別に立春でなくても卵は立つ」 とばかり、実証実験してみたのは、一昨年の二月一日だった。
で、卵は見事に立ったのだった。しかも、二つも。この日、
重心を地球の底に落としつつ卵二つはふわりと立ちぬ
と詠んでいる。
昨年の立春は雑用であちこち駆け回っていたので、すっかり忘れていたが、今年は、正真正銘の立春に、卵を立ててみようと思ったのである。
一昨年ほど物好きな取り組みをするほどの時間もないので、卵を一個だけ冷蔵庫から取り出して、悪戦苦闘を開始した。それでも、五分もかからずに、卵は見事に立った。コツは、「卵の身になる」 ことである。
一度立ってしまうと、周りで多少がたごとしたぐらいでは倒れない。見た目よりはずっとしっかりとしたものである。
立春でなくても卵は立つが、立春に立った卵は、また格別である。
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何事もなき一日の暮れて行く空に僅かに春の色見ゆ
だいぶ日が長くなった。冬至の前は夕方四時にはかなり暗くなっていたが、今は五時を過ぎても写真のようなものである。空はまだまだ明るい。
とはいえ、風はまだまだ冷たい。確かに正月三が日ぐらいまでは暖冬だったような気がするが、それからこっちは、かなり寒い。
近頃、ダイエットがうまくいっていて、かなり腹の周りが絞れたような気がする。おかげで、夕暮れの街をさっそうと気分よく歩けるのがありがたい。やはり、体は軽い方がいい。
週末だが、私には土日は関係ない。今日も帰宅してからまだまだ仕事がある。なかなか面倒なことだが、体調がいいのであまり苦にならない。ありがたいことである。
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