如月四日の歌
立春の日に支へられ卵立つ倒るるはずのなきものとして
立春である。外を見渡すと、田んぼは昨日の雪でまだ真っ白なのだが、日射しはとても明るい。道路の雪はどんどん解けている。
「立春には卵が立つ」 という中国古来の言い伝えを知り、「別に立春でなくても卵は立つ」 とばかり、実証実験してみたのは、一昨年の二月一日だった。
で、卵は見事に立ったのだった。しかも、二つも。この日、
重心を地球の底に落としつつ卵二つはふわりと立ちぬ
と詠んでいる。
昨年の立春は雑用であちこち駆け回っていたので、すっかり忘れていたが、今年は、正真正銘の立春に、卵を立ててみようと思ったのである。
一昨年ほど物好きな取り組みをするほどの時間もないので、卵を一個だけ冷蔵庫から取り出して、悪戦苦闘を開始した。それでも、五分もかからずに、卵は見事に立った。コツは、「卵の身になる」 ことである。
一度立ってしまうと、周りで多少がたごとしたぐらいでは倒れない。見た目よりはずっとしっかりとしたものである。
立春でなくても卵は立つが、立春に立った卵は、また格別である。
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