皐月二十四日の歌
久方の奄美の島の織り人の息遣いして車輪梅咲く
いつの間にか、我が家の裏手のシャリンバイが白い花を咲かせていた。既に何度か書いたが、この木は、我が家の長女が子どもの頃、道端に落ちていた棒っ切れを拾ってきて地面に挿しておいたら、根付いて成長したものである。
長い間、何の木かわからなかったのだが、数年前、植木やさんに教えてもらってシャリンバイだとわかった。
シャリンバイといえば、私はすぐに奄美大島が思い起こされる。大島紬の関連で視察に行ったとき、おの漆黒の色を染め出すのが、このシャリンバイのチップだと知った。チップから抽出された色素が糸を染め、それを泥田の中に埋めることで、土の中の触媒と反応して黒に変わる。そして、それを三度ほど繰り返す。
気の遠くなるような作業である。値段の張るのも道理である。私はこのシャリンバイの花が咲くたびに、奄美大島での感動を思い出す。
「久方の」 は 「光」 とか 「天 (あま)」 にかかる枕詞だが、無理矢理に 「奄美大島」 の 「あま」 にかけている。
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