長月八日の歌
紫陽花の狂い咲きする秋の日に未だ踏まざる熊野路を思ふ
常磐線取手駅の近くに借りている駐車場は、すり鉢の底のような地形にあり、どこに行くにも急な上り坂である。
朝に駐車場に着いて、駅に向かう時には息が切れる。それでも、自然に運動になるのはありがたいと思って、他に移らないでいる。
夜になって駐車場に戻る時には楽かというと、そうでもない。急な下り坂を下るというのも、けっこうな運動である。
その駐車場の近くの林の端に、紫陽花の木があり、梅雨時にはきれいな花を咲かせる。今年六月二十七日の和歌日記でも写真入りで詠っている。こんなような歌だ。
紫陽花のたつぷりと咲くこの梅雨の明くれば我は熊野に行かむ
梅雨が明けたら熊野に行きたいと詠っているのだが、実はまだ行っていない。熊野は大阪からも結構遠いので、出張のついでにちょっと立ち寄るというわけにもいかない。その気で行かないと行けないところのようなのだ。
私が熊野に行けないままにぐずぐずしているものだから、この駐車場の近くの紫陽花が、せかすように狂い咲きしてしまった。見事なボリュームで咲き誇っている。
いくら紫陽花にせかされても、なかなか熊野に行く機会には恵まれないでいる。ああ、今年か来年には行きたいものだ。
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