神無月二十七日の歌
戸口にて家人の帰宅待ち詫びし白猫の背の夜闇に浮かぶ
今日、夜が更けてから帰宅すると、玄関の前に我が家の猫がちょこんと座っている。我が家には猫が二匹いるが、これは年長の白猫だ。もう一匹は年少の黒猫である。
この二匹の猫は、毛の色も性格も対照的である。
年少の黒猫は素直で人なつっこいが、この白猫は、なかなか気むずかしい。ちょっとやそっとでは隙を見せないし、油断すると、猫パンチを繰り出してきたりする。
多分、外に出たまま閉め出しをくって家の中に入れなくなってしまったのだろう。今日は家人は皆出かけていて、開けてくれる者がなかったのだ。
それで、玄関を開けて入れてやろうとするのだが、この白猫はなかなか素直になれない。
「ウ、ウチは、別に入れてくれゆうて、頼んどるんちゃうねんで」 と言わんばかりに背を向けて、すぐには入ろうとしない。
こちらも、この猫の性格はわかっているので、それじゃあとばかりに、玄関のドアを閉めてしまう。するとしばらくして、今度は、庭の方からニャアニャアいう鳴き声が聞える。そこで初めて、ベランダの戸を開けてやる。
白猫は、「ふん、まだ外にいたいねんけど、せっかくやから、入ったるわ」 という顔をして、大いばりで入ってくる。なかなかの気位なのである。
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