師走二十九日の歌
さざ波に揺るる己の白き影に食ひ込む魚を鷺は捕るなり
今日から来年の正月四日までどこにも出かけなくていい日が始まる。ただ、出かけなくてもいいだけで、仕事はついて回っている。
仕上げなくてはならない原稿が二つある。やれやれ。
裏の川に、今日も白鷺が来ている。時々じっと首を曲げて水面をうかがっている。
決して水面に映る自分の姿に見とれているわけではなく、水面下の魚の動きに注目しているようなのだ。
さっと頭を水に突っ込み、すぐに引き上げると、くちばしから少しだけはみ出して動く、魚の尾のような影が見える。無理矢理に上を向いて、喉の奥に流し込む。丸呑みだ。よくまあ、あの細い首の中を通って胃の中まで落ちていくものである。
それに、こちらからはよく見えないが、鷺の足許には案外多くの魚が泳いでいるようなのだ。魚は鷺の脚を恐れずに近付いてしまうようなのである。水底から生える植物と錯覚してしまうのだろうか。
A snowy heron keeps watching in the sream
On little fish under its own rippled image
Suddenly, it caught and swallowed a quivering bream
Straightening up its thin neck and ridge
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