逆古今現象
朝ぼらけ雪と見まがふ月明かり褪せぬ間に日は昇り来たれり
百人一首に、次のような坂上是則の歌がある。
朝ぼらけ有明の月とみるまでに吉野の里にふれる白雪
出典が古今集のこの歌を、私は長らく 「ウソ」 と思っていた。月と見まごうほどの雪なんて、ちょっとないんじゃないか、技巧による虚実皮膜のおもしろさじゃないかと思っていたのである。
ところが、今日の未明は皓々とした満月に照らされて、地面にうっすらと雪が積もったように見えた。逆古今集である。これがあるなら、その逆もまた真なりだろう。坂上是則は決して技巧に走ったわけじゃなく、素直な感動を詠んだのだ。きっと。
その月明かりがフェイドアウトすると、東の空に見事な朝日が昇ってきた。冬の朝日は素晴らしい。庄内ではなかなか見ることのできない風景だ。
The full moon gave us an illusion
Of white snow as if covered river banks
Then, the dawn shows us a glorious fusion
That sings a song of great thanks
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