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2009年4月30日

黄昏長く祭り近し

黄昏の長引く街に提灯のともりゐるなり祭り近づく


Wakalog_090430 連休に入ってしまったのだなあという気がする。朝の電車はいつもの八割足らずの混み具合。帰りも同じぐらいだ。

昨日よりもずっと暖かい。明日からは五月で、ずっと暖かくなるらしい。ようやく春本番。

いや、近頃は温暖化のせいか、いかにも春という時期はとても短い。あっという間に初夏という感じになる。明後日は八十八夜で、今年は五月五日から立夏だ。今年の春は、本当にわけのわからないうちに終わってしまいそうだ。

神田祭が近づいてきた。神田駅の前に奉納者の名前を記した提灯がともっている。もうしばらくすると、街にお囃子が響くようになる。

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2009年4月29日

鏡としての田

穏やかに空と世界を映し出す鏡となりて田は広がれり


Wakalog_090429 今日は快晴だった。四月二十九日という日は、大抵天気がよい。少なくとも、私が和歌ログを始めてから、四月二十九日に雨が降ったことがない。

同様に、十一月三日も降ったことがない。明治天皇と昭和天皇は、相当な晴れ男にておわすようなのだ。

田植えを控え、水とたっぷりと張った田に、快晴の空が映って青い。畦の家並みや屋敷林も、水面にくっきりと映り込んでいる。

毎年今頃になると、一面に広がる田が世を映す鏡になる。穏やかな日ほど鏡の鮮やかさは増す。

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2009年4月28日

雲の形移り行く

時は行く水張られたる田に映る雲の形の移るにつれて


Wakalog_090427 降っても暖かい、晴れても肌寒いという傾向はまだ続いているようで、今日もしっかり晴れたのに、風が冷たかった。

とはいえ、世の中はどんどん春としての動きが加速されている。明日からはゴールデンウィークの本番に突入だ。近所の田んぼも水が張られて、田植えの準備が進んでいる。

写真は夕暮れ近い田んぼの様子。天気が安定していないようで、午後になるとおかしな雲が湧いてくるが、雨になるほどではない。明日も晴れるようだ。

明後日あたりから、気温も上がって初夏を思わせる陽気になりそうである。三日からは帰郷。五日は母の三回忌だ。

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2009年4月27日

ツツジ地に萌ゆ

風渡る空より降りて地に萌ゆる躑躅の花を染むる光よ


Wakalog_090427 今日も、お天気の割に涼しい。というか、冷たいぐらいの風が吹いている。雨が降ってもそれほど寒くないかと思えば、晴れ渡っても肌寒い。

この天気は、冬型の気圧配置の産物のようだ。道理で風が冷たいわけだ。どうやら、連休の前半は低温が続いて、五月に入ってからようやく暖かくなりそうだ。

写真は、JR 常磐線取手駅前の植え込みのツツジ。ツツジって、どうして写真に撮るとこうもぺったりのっぺりとした感じになってしまうんだろう。

それでも、神田の街の舗道の植え込みよりは少しはマシに撮れたかもしれない。

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2009年4月26日

シャガの花咲き続く

近付けば妖しきまでの白き花ただ淡々と著莪は咲かすなり


Wakalog_090426 杉林の端に、シャガの花がますます増えている。ちょっと通りがかりに眺めれば、白い花が咲いているだけのように見えるが、近寄ってよく眺めると、妖しいまでの美しさの花だ。

気温が上がったり下がったりという忙しさをよそに、淡々としかもよく見れば妖艶にまで、自らの仕事をこなしているという風情である。

今日は夜通しの雨が上がってよく晴れた。明日からも晴れが続くが、週の前半は気温があまり上がらないようだ。行きつ戻りつの春に、植物たちは必要以上に付き合わないみたいである。

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2009年4月25日

立ち止まる春

新緑はただひたすらに芽吹くなり春は幾たび立ち止まるとも


Wakalog_090425 穀雨の時期に入っているというのに、今日はなんとまあ、寒いのである。冷たい雨が一日中降った。

茨城県南部の最高気温は 十二度だったという。十二度といえば、冬の間のちょっとあまり寒くない日という気温だ。冬物を洗濯屋に出してしまった人は、ちょっとあせったかもしれない。

近頃、寒暖の差が激しい。最高気温が一日ごとに五度以上の差で上がったり下がったりする。体がついていくのに精一杯だ。

今日はちょっと出かけたついでに、守谷の 「美里」 というそば屋で鴨汁そばを食べた。このそば屋は、このあたりではベストスリーに入るそば屋である。

まったく田舎家という造りで、周囲に水路を巡らせ、苔と雑木を生やしている。ホタルを育てているので、苔の上には這い上がらないようにという注意書きがある。

写真はその苔と雑木の風景。

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2009年4月24日

ビルの入り口に張られし注連縄

注連縄の張られしビルは新緑の並木を映し光る銀色


Wakalog_090424 昨日の歌に注連縄が出てきたので、遅ればせながら、神田の街の軒先に張られた注連縄の写真を載せておこう。

これは某文具店の店先に張られた注連縄。木の細工を上手にビルの入り口の庇にはめ込んで、注連縄を張ってある。

毎年のことだから、きちんと取ってあるのだろうかとも思ったが、それにしては、白木の色が綺麗すぎる。多分、年ごとに新たに作っているのだろう。

この写真の庇は、磨き込まれた金属が鏡のようになっている。この角度だと、ちょうどよく舗道の並木の新緑が映り込んでいる。

無機質で近代的なビルに、こうして白木細工で注連縄が張ってあるというのが、なかなかうれしい。

半被姿のいなせなおじさんというより、おじいさんと言った方がよさそうな人がさっそうと通りを歩く。あの人たちは、普段はどこに隠れているんだろう。もうしばらくすると、街に祭囃子が流れ始める。

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2009年4月23日

ツツジの花の色

軒先に注連縄張らる街並みに躑躅の花の色ぞ増し行く


Wakalog_090423 神田の街の舗道に、植え込みのツツジが咲き誇っている。三~四年前までは、連休が明けてビジネス街に戻るといつの間にか満開になっているという印象だったが、最近は温暖化のせいなのか連休前にどんどん咲いてしまう。

ここ何年か、この季節になると舗道の植え込みのツツジの写真を撮り続けているのだが、ツツジという花は、写真にするとなぜかのっぺりした感じになってしまう。これまで満足できた写真は一枚もない。

今日の写真にしても、カメラの性能が上がった分、去年までよりずいぶんマシだが、それでもずいぶんのっぺり感がある。あるいは、人間の視覚の方がずいぶんアジャストして見ているのだろうか。

この花が咲くと、神田祭が近づいてくる。今年は本祭で、五月九日と十日の土曜と日曜がクライマックスになる。私はどちらも都合があって来られないが、その前からずいぶんそれらしい雰囲気に包まれるので、なんとなく浮き浮きしてしまう。

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2009年4月22日

ケシの咲く頃

この年のいかなる年になるらむかおぼろに見ゆる心地する春


Wakalog_090422 今日は暖かいが、明後日はまた涼しくなり、連休に入る前から、西日本は肌寒いほどの陽気になるらしい。自然は暖冬の帳尻合わせを今頃になってしているようだ。

ケシの花が咲いている。今頃の季節になるとそこら中に咲く。なかなか可愛らしい花だ。こんなにあちこちに咲いているのだから、法律で禁止された種類のケシではないのだろう。

近頃、超多忙という程ではないのだが、常に仕事に少しずつ追いかけられるぐらいの忙しさが続いている。この季節になると、今年がどんな年になるのか、おぼろげに見通せるようになってくる。いい年にしたいものだが、あせってもしょうがない。

もう少しのんびりした時間が取れるといいのだが、何となく気がせいていて、この和歌ログの英訳バージョン作成はさぼり気味だ。今日はしっかりと書いておこう。

Wondering what kind of year
Is this year going to be
Feel like foreseeing whole year
In this season of poppy

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2009年4月21日

タンポポのほけたる綿毛

蒲公英の未だ飛ばざる綿毛より軽きも軽き夢にぞほくる


Wakalog_090421 今朝はちょっと肌寒かった。風邪を引いてしまって熱でもあるのかと思ったが、家族全員が寒がっているので、実際に寒いのだと安心した。

日が昇るにつれて少しは暖かくなったが、昼頃からは雨模様になって、また冷やされたしまった。春先の天気は安定しない。

それでも、駅に向かう途中で綿毛になってしまったタンポポがたくさんあるのに気付いた。もう春はだいぶ進行してしまっているようなのである。

祖父の唯一郎の句に 「この春はほけたる蒲公英のみ見たり」 というのがある (参照)。自由律の俳人だったが、この句は妙に定型っぽい。「ほける」 というのはちょっと方言ぽいが、Goo 辞書を引くと 「古くなって色があせたり、けば立ってくる」 という語義が見つかった。

タンポポの綿毛になってしまったのを、「ほけたる」 と表現したのは、ちょっとおもしろい。「ほける」 は古語では 「ほく」 で、一般的な語義は、「惚ける 」 とか 「呆ける」 とかいうことなのだが。

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2009年4月20日

ハナミズキ咲く舗道

足早に駅に向かへば花水木咲けど見上ぐる人の少なし


Wakalog_090420 常磐線取手駅西口から国道六号に上る舗道は、ハナミズキの並木になっている。毎年桜が終わると白い花が咲く。ピンクの花もあるようだが、ここに咲くのは、全て白い花である。

もっとも、白い花のように見えるのは総苞というもので、真ん中のこちゃこちゃっとしたのが花なのだそうだ。

「ハナミズキ」 という名前を聞くと 「花見月」 という感じが連想され、それにしては 「ハナミヅキ」 ではなく 「ハナミズキ」 だなあと思っていたが、元々は 「ミズキ」 という植物の仲間で、その中でも花が綺麗で目立つので、「ハナミズキ」 というのだそうだ。調べてみるものである。

ようやく平年並みの春の陽気になったが、時々初夏の陽気になってしまうので、体がそっちの方に順応してしまい、平年並みでは暖かいという気がしない。それで、せっかく薄手の上着に移行したのに、また秋冬用の上着に戻ってしまった。

まあ、肌寒さは感じないので、また明日から薄手の上着に戻ろうと思う。

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2009年4月19日

キクモモという花

菊桃のその桃色の花びらの細きを透かし空に春充つ


Wakalog_090419 仕事で出かけた先の近く、民家の庭に見慣れない花が咲いている。遠目にはモモかと思ったが、近寄ってみると花の様子が全然違う。まるで木に咲いた菊のように見える。

聞いてみると、キクモモという花なのだそうだ。へぇ、初めて見た。帰宅してから Wikipedia で調べたら、モモの一種で、別名をゲンジグルマ (源氏車) というらしい。ほほう。

本当に、この歳になっても知らないことばかりである。そんなことを新たに知ることができるのは、和歌ログなんていう物好きなことを続けているおかげだ。こんなことをしていなかったら、全然気付かずに通り過ぎているところである。

もしかしたら、毎日写真を撮って三十一文字をひねり出すというのは、頭の体操になって、呆けずに済むかもしれない。

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2009年4月18日

箱庭的情景

夕暮れのおぼろの空の箱庭のごとき景色に我も立つなり


Wakalog_090418 水戸方面から車で帰宅の途中、まだ日も暮れていないので、常磐高速を途中で降り、国道もはずれて田舎道を迂回しながら走ってきた。

「春はあけぼの」 というが、夕暮れもなかなかきれいである。とくに関東の田舎道は起伏があるので、坂の上から見下ろすと、いかにもコンパクトな日本の田舎の風情である。

このコンパクトな風景の中に、細やかな心がつまっている。私なぞはかなり大雑把な方だが、それでも外国に行くと外国人がずいぶん大雑把に見えてしまう。

在日ブラジル人の友人に聞くと、日本に初めて着いたとき、廻りの景色が箱庭のようにみえたという。日系なので、「箱庭」 という文化は知っていたのだろう。そして、この箱庭的風景が細やかな心情を育んでいるのだろう。

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2009年4月17日

寒き春の日の菜の花

菜の花のふわりと立ちて北風をやり過ごしゐる土手際の道


Wakalog_090417 目が覚めたら、やたらと寒い。茨城南部の最高気温は、予報では十三度だという。

関東南部では、冬の間のそんなに寒くない日という気温だ。既に初夏のような陽気に体が慣れてしまったから、ずいぶん寒く感じる。昼を過ぎてもゾクゾクする。

というわけで、せっかく夏向きの薄手の上着に衣替えしたばかりだが、またしても冬の間に来ていた上着に逆戻りした。さらに、今日は千葉に用事があって、帰りは深夜になるから、しっかり防寒対策をして、その上にパーカまで重ねて出てきた。

ところが、来てみるとさすがに千葉である。寒いことは寒いが、茨城ほどではない。パーカまで重ねて歩いていると、汗をかいてしまう。用心しすぎてしまったかもしれない。

写真は、冷たい鉛色の空を背景に立つ菜の花。

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2009年4月16日

シロツメクサ

道端の白詰草は阿蘭陀の硝子の器守り来たると


Wakalog_090416 今日から衣替えというか、薄手のジャケットで外出している。昨日までは、冬の間と同じジャケット (そんなに分厚いものではない) で、汗をかきかき歩いていた。

何しろ、自宅が利根川を渡った北関東だから (北関東の南端だが) 帰りが遅くなった時など、肌寒い時もあると思って、衣替えを先延ばしにしていたのである。

ところが、いくら遅くなっても全然肌寒くならない。本当に近頃は、初春のあとに急に初夏が来るという感じで、移行期間があっという間に終わる。

というわけで、今日からは初夏みたいな軽装である。

道端にクローバーの花が咲き始めた。シロツメクサともいうが、江戸時代にオランダから輸入されたガラス器の梱包に詰め物として使われていたことから、「白い花の咲く詰め草なので、こう呼ばれるようになったという。

なるほど、手近にいくらでも生えるから、緩衝材にはちょうど良かったのかもしれない。

Clovers by the roadside
Have come out  in this land
This grass may be stuffed inside
The package of glasses from Holland?

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2009年4月15日

桜が散って本当の春

明日よりは薄手の上着着て行かむ降る春雨に身を濡らすとも


Wakalog_090415 日が長くなったものである。仕事を終えて常磐線取手駅まで戻ってきても、まだ日は暮れきっていない。カメラを夜景モードにしなくても、黄昏の情景が写せる。

今日も暖かい一日だった。昨日の午後から雨になり、夜中から強風が吹いてはいたが、明けてしまえば快晴。風に吹かれても寒さは感じない。

桜の散った頃から本当の春になるというが、まさにそんな感じである。明日は今日より少し気温が下がり、午後から雨になるという。それでも、薄手のジャケットにしようと思う。

From tomorrow on I will be
In a lightweight spring jacket
Even though a cherry tree
And my body will get wet a bit

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2009年4月14日

シャガの花咲く

近寄れば妖しきまでの色映し著莪は一夜のうちに咲きたり


Wakalog_090414 一夜のうちにシャガの花が咲いた。常磐線取手駅近くに借りている駐車場近くのちょっとした林の端に、毎年この時期になると咲いてくれる。

昨日通りかかった時には咲いていなかったのだから、もしかして、昨日の日が暮れる前に最初の花が咲いたのかも知れないが、印象としてはまさに 「一夜にして咲いた」 という感じである。

学名は Iris Japonica というらしいが、本当は中国から入ってきた花だという。朱鷺の学名が Nipponia nippon というのも、別に日本原産じゃないんだから申し訳ない気もするが、今さら学名を変えるわけにもいかないから、中国の人にはちょっとだけ我慢してもらわなければ。

で、このシャガというのは、種子が発生しないので、日本に存在する全てのシャガは同一の遺伝子なんだそうだ。ソメイヨシノと同じなのだね。

遠目には目立たないが、近寄ってよく見るととても妖艶なところのある花である。私はこの花をかなり贔屓にしている。

近頃、忙しすぎて英訳を書いている暇がない。とくに今日の歌は、シャガに対応するまともな英語がないので、英詩にしにくい。元々英語版は 「時間的余裕がある時は」 という条件付きで添え始めたので、ご容赦頂きたい。

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2009年4月13日

川面の朝日

朝霧の彼方に昇る朝日より川面に映る日の鮮やかさ


Wakalog_090413 朝霧が出ていた。朝霧の出た日は、大抵上天気になる。その通りの日になり、日中は初夏の陽気だった。

二階の窓から見下ろすと、水墨画のような朝霧の景色の中で、川面に太陽が妙にくっきりと映っている。本物の太陽は霧の中でぼんやりしているのに。

本物よりもくっきりと映る像があるわけがない。これって錯覚なのだろう。霧の彼方の太陽が実際以上にぼんやりと感じられ、川面に映る像は、他に何も映っていないから実際以上にくっきりと感じられる。

と、かくのごとくに論理的に解釈はしてみても、やはり実際の太陽はぼんやりしていて、川面に映る太陽に負けている。論理的な解釈も、時として錯覚に勝てない。

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2009年4月12日

花むしろ

春過ぐるまで待たずしてその色の土にぞ返る花むしろかな


Wakalog_090412

桜はぱっと咲いてぱっと散るものと思っていたが、今年はゆっくりと咲いてゆっくりと散っている。気候要因で変わるのは、当然といえば当然だが、何となく妙な感じだ。

近頃の桜は、開花宣言が出てから四~五日で満開になり、一週間目には葉桜になっていた。ところが、今年のつくば周辺の桜は一週間過ぎてようやく満開で、十日過ぎてようやく葉桜になりかけている。

根元に散っているのは、早めに咲いた花の散ったもので、後から咲いた花は、まだしっかりと枝にくっついている。

それでも、根元はだんだんと花びらで埋められ、「花むしろ」 になってきている。完全に葉桜になったら、もう初夏に近付いていく。

このところ、春らしい春を感じさせる時期はかなり短くなっている。冬が終わり、春だなあと思うと、あっという間に初夏になる。ちょうどいい加減の時期が短いのは、なんとなく気ぜわしい。

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2009年4月11日

土手の菜の花

新しき芝生の覆ふ土手腹に菜の花咲くはどの春ならむ


Wakalog_090411 今年はなんだか菜の花と疎遠になっているような気がしていたが、ようやく土手に咲く菜の花に巡り会えた。今日の強風のせいで、撮るのにずいぶん苦労したが、なんとかまともなのが一枚あった。

例年、我が家の階段の踊り場から、川の向う岸に咲き乱れる菜の花が見渡せたのだが、川の拡幅工事が完成して、向こう側の岸が新しくなってしまった。そのため、いつもの菜の花が見られないのである。

写真でわかるように、こちら側の岸の菜の花を透かして見える向う岸は、お洒落な芝生で覆われている。あんな芝生は今年の夏には雑草に負けて隠れてしまうんだろうが。

一昨日、山吹の花の黄色は春に合わない気がすると書いたが、菜の花の黄色は春そのものだ。同じ黄色でも、ちょっとした違いがこんなにも違った感じ方をさせる。不思議なものである。

それにしても、新しい土手に菜の花が毎年咲くようになるまで、何年かかるだろうか。

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2009年4月10日

クレマチス咲く

片仮名の名の付く花も敷島のあらたまの日に溶け込みて咲く


Wakalog_090410 今日は春というより初夏という方が良さそうな天気だった。もう、街を歩くにも半袖で十分である。

佐川急便の兄さんが、「暑いですねぇ。これからは肉体労働者はつらいっすよぉ」 と嘆いていた。暑いといってもまだ二十度を少し超えたばかりなのだが、体がまだ慣れていないので、ずいぶん暑く感じる。

この季節になると、周囲に花の種類が増えてくる。取手駅の近くに借りた駐車場から駅に向かう道に、薄紫のきれいな花が咲いている。写真に撮っておいて、後で図鑑で調べてみたところでは、どうもクレマチスという花のようだ。

クレマチスというのはなかなかバリエーションが多いみたいで、これもその中の一種のようだ。多分、どこかの庭で栽培していたのが林のほとりに飛んで増えたのだろう。

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2009年4月 9日

山吹の色

雲のごと桜の煙る足元に色染め変へて山吹の咲く


Wakalog_090409 「梅は咲いたか」 という端唄がある。

 梅は咲いたか 桜はまだかいな
 柳ゃなよなよ 風次第
 山吹ゃ浮気で 色ばっかり
 しょんがいな

と歌われるのだが、確かにこの季節で山吹の黄色はちょっと異色だ。私の個人的気分だけかもしれないが、こういう色は、秋の色という気がしてしまう。

「浮気で色ばっかり」 と歌われてもしょうがないなんて思ったりする。山吹は桜などに比べればむしろ地味に咲いていて、何の咎もないのだが。

写真は、常磐線取手駅近くに借りている駐車場の近くに咲いた山吹である。

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2009年4月 8日

春爛漫

空覆ふ吹雪となりて花散れば夢うつつより我も醒むるか


Wakalog_090408 春爛漫である。急に暖かくなって、朝起きるのが全然苦にならなくなった。

「春眠暁を覚えず」 というが、三月頃というのは確かに眠い。本当に眠い。朝起きる時だけでなく、一日中眠い。昼飯の後などはとくに眠い。会議中などはさらに殺人的に眠い。

あれは、冬の間の寒さで硬直した体がいっぺんに緩み始めるからだろうか。さすがに、四月に入ってからは眠気の時期もピークを過ぎたようで、朝はさっと起きられるし、一日中眠いということもなくなった。

ピークを過ぎたのは桜の花も同様で、つくば周辺の桜もそろそろ散り始めた。散った花びらが道路を埋め始めている。

桜が散ってしまうと、人間の体も夢から覚めたように覚醒して、新年度が本格的に始まる。花の散るのを惜しむのは、もう少し夢うつつの中にいたいという欲求なのかもしれない。

When the cherry blossoms fall
Liike a snowstorm that shade the sky
In the spring dream I hear the call
That wakes me up on the sly

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2009年4月 7日

桜の満開となれば

満開となればはや散る姿こそ見ゆる心地のする桜なれ


Wakalog_090407 今日は本当にいい陽気だった。気温は二十度近くまで上がったんじゃあるまいか。去年の暮れからずっと車につけっぱなしだったスタッドレスタイヤをはずして、ラジアルタイヤに戻した。

この冬は雪らしい雪はほとんど降らなかったので、ス タッドレスにしただけ馬鹿らしい気もするが、それでも 「いつ雪になっても大丈夫」 という安心感があっただけよしとしておこう。

つくば周辺の桜もいよいよ満開だ。岡堰も、田植えに備えて水を満々と蓄え始めた。その岸に咲く桜が、まるで雲のようだ。

桜が満開になると、もう散りゆく姿が見えるような気がしてしまうのは、歳を取った証拠なんだろうか。

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2009年4月 6日

花吹雪直前の桜

週末は一斉に散る花ならむ空さへ覆ふ花吹雪にて


Wakalog_090406自宅から駅の近くに借りた駐車場に行くのに、取手競輪場の広大な駐車場を通ると近道になる。この駐車場の廻りには桜の木が植えてあって、今、満開直前の桜が楽しめる。

競輪開催日は到底無理だが、そうでない日は、のんびりと花見をする人が多い。夜は夜桜見物をしている団体もある。

今日は朝から天気がよく、風も弱いので、先週のような寒さは感じない。今シーズン、初めてコートなしで出かけてみた。

桜というのは、満開を直前にして、早く咲いた花から少しずつ散り始めているようだ。木下にちらほらと花びらが見える。今週末になれば、盛りを過ぎた花が一斉に散り始めるだろう。桜の木の下は花びらが敷き詰められたようになる。そうなるとようやく、本当の春だ。

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2009年4月 5日

田舎の中学校のグランドに咲く桜

グランドを囲む桜は野球部の声の漏れくる三分咲きなり


Wakalog_090405 丘の上の中学校のグランドの周囲に、桜の木が植えてある。東京の上野とは違い、この辺りではまだ桜は三分咲きだ。

グランドでは野球部が練習している。強豪校というわけではないから、練習もゆったりとしたものだ。聞こえる声もそれほどシリアスには聞こえない。

そうしたゆったりとした声がすかすかに漏れ聞こえるほど、桜も隙間だらけである。呑気な光景だ。

みっちりと咲き、その下に人の洪水をまねく上野の桜と同じ遺伝子のソメイヨシノとは思われないほどの光景である。

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2009年4月 4日

アメリカ製の古い鉛筆削り

古き良きあめりかてふは錆の浮く鉛筆削り光るが如し


Wakalog_090404 我が家にアメリカ製のオールドファッションドなデザインの鉛筆削りがある。妻と暮らし始めた頃に買い求めたものだから、もう三十年以上前に買い求めたものだ。Boston というブランドが刻印されている。

買い求めた頃には既にちょっと古いデザインが売り物の品物だったが、今となってはスチールの部分にはうっすらとサビが浮き出て、見るからに骨董品だ。

日本製の昔の鉛筆削りは、机の端に締め付けて固定するタイプが多かったが、これはゴムの吸盤で机の面に固定する仕掛けになっている。これはなかなか優秀で、今でも取っ手を倒して真空にすると、大抵の机にはぴったりと吸い付く。

そんなわけで、今でも現役で使おうと思えば使えるが、最近は実用品というより、部屋のアクセサリー的な小物になっている。なかなか雰囲気のある品物である。

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2009年4月 3日

上野の山の満開の桜

華やぎを超えて哀しき花なればいや咲きてこそ散り行け桜


Wakalog_090403_2 朝、ちょっとだけ時間に余裕があったので、上野駅で途中下車してみた。上野公園の桜をみようと思ったのである。

それはそれは、見事な満開だった。満開の上に、人ごみも大変なものだった。早々に写真を撮って引き上げてきた。

桜の木の下にはブルーシートがびっしりと敷き詰められ、新入社員らしき若いお兄さんが数人、所在なげに座り込んでいる。これが噂に聞く 「新入社員の最初の仕事 - 花見の場所取り」 というものらしい。

初めて見た。気の毒な光景だった。

満開の桜は見事だが、その中には常に哀しみが潜んでいる。

Due to the burden of sorrows and gloom
Taking inside its gorgeous shade
Cherry blossoms have come into full bloom
And will be gone soon without any charade

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2009年4月 2日

風の冷たき黄昏

花見には風の冷たき黄昏を通勤電車は切り裂きて行く


Wakalog_090402 空は快晴だが、風がまだ冷たい。昨日よりは日が射すだけまだましだが、明日にならないと暖かさは戻らないようだ。

日だけはどんどん長くなっている。夕方の六時近くになっても、まだ青空だ。神田駅のプラットフォームの端から北の方角を見ると、青空の中に雲が一つも見えない。

上野の山は、もう桜が満開だという。明日は暖かくなるというから、絶好の花見日和になるだろう。帰りにちょっと寄ってみたい気もするが、その頃はもう宴会モードになっていて、ゆっくり夜桜見物なんてできないだろうなあ。

Wind is still too cold to enjoy fine day
Viewing cherry blossoms in full bloom
Commuting train goes chopping its way
In the twilight filled with cherry fume

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2009年4月 1日

寒い春の桜

寒々しき春に桜の色染まず空しくベルを鳴らす人あり


Wakalog_090401 つくば周辺の桜も、ようやく 「開花しました」 という段階から、二分咲き、三分咲きと言っていいレベルになってきた。ただ、木によって咲き方はいろいろで、日当たりとか風通しみたいな要素にかなり左右されるようだ。

この写真は固まって咲いている部分をアップで撮ったのだが、そのまわりは蕾ばかりというのがわかるだろう。

朝から小雨模様で日が射さないので、昼になってもかなり肌寒い。三月の半ば過ぎからの低温はちょっとだけ異常な現象らしい。先月二十四日に気象庁が 「東日本と西日本の低温に関する全般気象情報」 という情報を出しているほどだし。

それにしても、自然というのはどこかで帳尻を合わせてバランスをとろうとするものだ。暖冬だと、大抵春先に寒い。どこかに溜まっていた寒気が、遅ればせながら流れ出しているのだろう。冬のうちにさっさと出てくれればいいのだが、出過ぎると厳冬になってしまい、それもまた大変だ。

この寒さのおかげで、桜の開花宣言が出てから、満開になるまでの期間がやたらと長くなっている。長く桜を楽しめるのはいいが、ぱっと咲いてぱっと散る桜特有の、爆発的に華やかな光景は、多少薄まってしまうだろう。

In such spring with dark sky
Cherry blossoms hesitate in rain
Watching the season goes by
And a man rings a bell in vain

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