新川辺り
その昔海にてありしかこの街は或ひは破戒僧の歩きをりしか
証券取引所のある兜町の最寄り駅は、地下鉄の茅場町である。私は普段、兜町なんていうところには、全然用事がなくて、時々行っても単に通り過ぎるだけなのだが、地下鉄茅場町駅で降りることは時々ある。駅をはさんで反対側の、新川方面に行くときだ。
新川の辺りも、とくにバブルの時期以後はビルが建ち並んで、あまり面白みのない街になってしまった。
この両側にビルが迫る川は、なんと、隅田川である。なんとなく違和感だが、まあしかたがない。もう少し遡ると、水天宮などのある辺りになるが、この辺になるとこんなものだ。それでも路地を歩くと、ところどころに昔の面影が残っている。
「隅田川」 「面影」 と続くと、歌舞伎の 「隅田川続俤」 (すみだがわごにちのおもかげ) という芝居を思い出す。普通は 「法界坊」 という方が馴染みがあるだろう。昔は破戒坊主がこの辺りを肩で風切って歩いていたのだろうか。当時は、この辺りは海だったろうか、いやぎりぎりで陸地だったろうか。
(写真をクリックすると、拡大表示されます)
| 固定リンク
コメント