玄関で人待ちゐたる老猫の誇りも高き白き毛並みよ
Old white lady cat / Waiting for someone at the front door / In her fine coat of fur
日が暮れて我が家に帰ってくると、玄関のところに我が家の白猫がぽつんと、誰かドアを開けてくれるのを待っていた。
この白猫は我が家の二匹の猫のうち、年上の方で、今では十七歳になった。人間でいえば九十歳以上にあたるばあさん猫である。
一度老衰でよぼよぼになり、死を覚悟したのだが、家人総出の介護で持ち直した。持ち直したとはいえ、往時の敏捷さはなく、何をするにももっさりである。高いところに飛び乗るジャンプ力も消え失せてしまった。
前は台所の窓まで飛び上がり、隙間から爪を突っ込んでサッシをこじ開け、自力で家の中に入ることもできたが、今は出入りは玄関ドアを誰かに開けてもらわないと無理になった。
しかし、この白猫は年下の黒猫と違って、プライドだけはやたらに高い。私が玄関ドアを開けてやっても、すぐには入ろうとせず、やや間をおいてから 「ふん、せっかくやからしゃあない。入ったるわ」 ってな感じで、渋々ながらを装って入る。
年は取っても、なかなかのものなのである。
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