飲む水と吹き出す汗の間には何の隙間もなき昼下がり

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完全に梅雨が戻ったのだと思っていたが、今日は強烈な太陽が照りつけた。ちょっと晴れさえすれば、気温はすぐに三十二〜三度ぐらいになって、汗が噴き出す。

まだ青き穂の付き始めたる稲の頭垂るるに至らざるなり

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早くも稲に穂が付き始めた。まだ青いが、来月終わり頃には稲刈りを始めるところも出てくるだろう。

空梅雨の明けて自然は帳尻を合わすがごとく雲の広がる

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ここ数日、梅雨が戻ってきたような天気が続いている。六月下旬から空梅雨だったから、自然はその帳尻あわせをしているのかもしれない。

風渡る深夜営業スーパーのコイン精米の音響きをり

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深夜営業のスーパーで、ちょっと買い物をした。駐車場の隅にはコイン精米所があって、精米の音が響いていた。こんな夜中に精米している人もいるのだと、ちょっと驚いた。

近頃の悪しきニュースを束にして明朝早く捨ててしまはん

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明日は古新聞などの古紙回収の日なので、たまった新聞紙を紐でくくった。最近のつまらないニュースも一緒に処分できればいいのに。

明け方の雨止みたれば様々の蝉の声する高き梢よ

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梅雨前線が刺激されて、大雨警報が出ていたが、実際にはそれほどの大雨にはならずに済んだ。雨が止んだ午後には高い梢から、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシなど、いろいろな蝉の声が聞こえた。

七月の野に紫に咲く花のうちに桔梗は見事なりけり

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キキョウは俳句では初秋の季語ということになっているので、七月に咲いているのをみると、「え？ 本当にキキョウでいいの？」 なんて思ってしまうが、実際には結構早くから当たり前に咲いている花のようだ。

曇り空水辺の道の灯火の遠く光りて日はまだ暮れず

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夏至から一ヵ月以上経ったので、少しは日の入りが早くなったような気がする。梅雨が戻ってきたような空の下、灯がつき始めたが、まだまだ日は長い。

この雲の北に行くほど分厚さの増すらむ今日の変はらぬ暑さ

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今日は曇り空の優勢な一日だったが、暑さだけは衰えなかった。東北は大雨が続くらしい。

そうめんをすすりて暑き日を過ごしスナック菓子は減らず残れり

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どこかからおすそ分けでいただいた 「うなぎパイ」 というお菓子、決して不味いわけじゃないのだが、なかなか減らず、最後の三個になってからはさらに減らずにいつまでも残っている。

多分、近頃の暑さが原因だ。食欲が失せて、おやつ代わりに食べようという気になれないのである。

暑き日の駅前広場そこここの木陰を伝ひ人は行き過ぐ

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今日も暑い一日だった。ここはつくばエクスプレスの守谷駅前。いつの間にかモダンな駅舎になって、今は私も常磐線取手駅ではなく、ここを最寄りの駅としている。

湯気の立つ如くに揺るる西空に梅雨開け二日の日は落ちて行く

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梅雨明け二日目の日が落ちようとしている。今日も暑い一日だったが、夕陽はかくまで美しい。

板東の空はいつもと変はらねど梅雨明けたりとニュースではいふ

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今日、関東甲信、東海、近畿、中国地方の梅雨明けが発表されたが、この辺りは昨日までの方がずっとすっきりした青空で、梅雨明けの今日の方が雲が多い。気象庁も苦労の多いところである。

通り雨降り止まぬうちひむがしの空の高きに虹の出でたり

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白内障手術をして一週間が経った。目がかなり安定してきて、目に見える景色が本当に美しく、毎日感動している。

今日は少し雨が降った後で、虹が出ていた。手術前だったら、このぐらいの微妙な虹には気付かなかったかも知れない。

じりじりと夏の日の照る春日野の日陰を全て鹿は知るなり

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午前の一時間ほど時間があったので、奈良公園を散歩してみた。昼前から気温は上がる一方だが、春日野の全ての日陰を、鹿は知っているようなのである。

夕立の止みたる空はただ青し祇園祭のすぐ隣の地

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出張で奈良に来ている。すぐ隣の京都では、明日は祇園祭の本番だが、残念なことにそれを見ている余裕がない。

川面には風渡るらしその風の土手の上にも吹き来るを待つ

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今日も暑い一日だった。土手から川面を見下ろすと、さざ波が立っている。土手の上は暑苦しい無風状態なのに、水面には風が渡っているらしい。

階段の踊り場の窓の網戸には蟷螂のただ獲物待ちゐる

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階段の踊り場の窓をみると、網戸にカマキリがいて、何やら獲物を待っている様子だ。頭を下にして、ずいぶん長い間そのままの姿勢でいる。カマキリの世界もなかなか大変なのだろうと察した。

西日受け輝く地平彩りて流るる雲の錦を眺む

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一昨日白内障手術をしてから、目に見える世界がやたら美しくて感動しまくっている。

黒光りするが如くに雲の覆ふ北の地平に豪雨降るらむ

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夕方近くになり、北の空を眺めると真っ黒な雲が筑波山を覆い隠していた。ちょうどその頃、茨城県と福島県に 「記録的短時間大雨情報」 というのが出されていたと知ったのは、夜になってからである。

県南のつくば周辺では、小雨で済んだが、県北といわき周辺は豪雨になったらしい。

かくまでに世界の色ぞ美しき霞の取れぬ視界にも見ゆ

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白内障手術をした。目をあまり使えないので、今日はこれにて。

濃き影を地に落とす日の彼方より吹き来る風のただ熱きかな

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日本中で猛暑日となるところが多かったらしい。うくばの地もうだるほどの暑さだった。

夜更けには自動販売機ただ光り郵便ポストはただ人を待つ

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夜になってから急に買い物を思いつき、近所のスーパーに行った。店先の自動販売機と郵便ポストの佇まいは対照的だった。

老眼の目にはほとんど望月に見え小望月登りてありぬ

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昨夜の月が十三夜月で、今日の月齢は十四ということになる。「小望月」 というらしいが、満月に見えないこともなく、微妙なところだ。

消え残る飛行機雲の右側に既に現はる十三夜月

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まだ空は明るく、飛行機雲が白く消え残っているが、その隣に十三夜月が見えている。

高架線のコンクリートの橋脚を梅雨の晴れ間の入り日が染める

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つくばエクスプレスの高架線の橋脚を、入り日が薄赤く染めている。

野分去り二度の夕立過ぎにけり雨雲はまだ控へをれども

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台風三号は東海上に抜けたようだが、まだ前線の雲があるようだ。天気予報では夜中に降ることもあると言っていたが、その通りにまた大雨が降った。

前半に空梅雨だと、後半に必ず大雨が来る。

さまざまの色と形で梅雨空の下を飾るや百日草は

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訪ねた先の庭に、ヒャクニチソウ （だと思う） がきれいに咲いていた。いろいろな形と色がある。

見覚えのある駅とそれほど変わらざる昭和十年の取手の駅よ

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つくばの地に引っ越して来て以来、40年近く常磐線の取手駅を利用してきたが、最近はつくばエクスプレスの守谷駅を利用することが多い。そのため、取手駅はずいぶんご無沙汰していた。

久しぶりで取手駅で降りて、バスを待つ間、向川のショッピングビルに 「昭和 10年の取手駅」 を再現した模型が展示されているのを見つけた。さすが昭和十年で、駅の周囲はスカスカである。しかし駅舎は私が四十年前に引っ越して来た時と、それほど変わりがない。してみると、五十年以上それほど変わらない姿だったようなのである。

富士山の全貌見ゆる手前にはジェットコースターの軌道のみあり

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山梨からの帰路は、高速バスで東京駅まで帰ってきた。途中で富士急なんとかという遊園地のそばを通り過ぎたが、なんだかジェットコースターが動いている姿はついぞ見られなかった。日曜日だというのに。

それとも私が富士山ばかりに気を取られて、ジェットコースターに気付かなかっただけなおだろうか

中央線ホリデー快速の窓の外梅雨の雲のみ垂れ込むる見ゆ

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山梨県への出張で、それほど遠くに行くわけでもないので、中央線部分は 「ホリデー快速ビュー山梨号」 というのを利用した。特急券が必要なく、指定席に座る場合は五百二十円かかるということだったが、自由席でもガラガラだったので、快適だった。

それにしても、中央線というのはオシャレな電車が走っているものである。ただ、終始曇り空で時々小雨も降るという空模様だったので、山の景色はそれほどでもなかった。