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- 大雨の過ぎたる朝は日も見えず久方振りの霧が漂ふ 2023.09.09
- 窓ガラスの外の景色を吹く風に合はせ歪むる野分の雨よ 2023.09.08
- 降り注ぐツクツクホウシの鳴き声をじつと受け止め動かぬ木槿 2023.09.07
- 岡堰の開きて川面に落差なく流るる水よ秋を呼び込め 2023.09.06
- ショッピングモールの広きパーキング恐ろしきまで熱き車外よ 2023.09.05
- 朝からの雨は止めども蒸し暑き風の止むとは思はれぬ日よ 2023.09.04
- 暮れかけし空の写真を収めんと開けたる窓の外の暑さよ 2023.09.02
- 稲刈りの済みたる秋の田の上に真夏の熱き陽は降り注ぐ 2023.09.01
- 岡堰の水の減りたる姿のみ秋に近付きたりとぞ見ゆる 2023.08.31
- 一斉に刈られ二日と経たぬ間に枯草色で積もる雑草 2023.08.30
- 空を行く巨鯨の如き白雲の筑波の峰を見下ろしてをり 2023.08.28
- 夏の日の午後五時前の西空のあらゆる姿の雲と陽は浮く 2023.08.27
- 熱き日の北の地平に湧き上がるありとあらゆる形の雲よ 2023.08.26
- 照りつくる陽射しの熱き岡堰の青空に浮く真白き雲よ 2023.08.25
- 熱き陽の沈むを受けて側面の赤く輝く積乱雲よ 2023.08.24
- 大いなる入道雲を見下ろすが如くに黒き雲の湧き立つ 2023.08.23
- 田の彼方西より迫る雨雲に呑まるるを怖れ逃げ戻りたり 2023.08.22
- 白雲と黒雲混じり次々に湧きて流るる関東の空 2023.08.21
- 家のもの全ての熱き昼下がり握れば熱き階段の手すり 2023.08.20
- 毎日の暑さの故か稲の穂の黄色に変わり垂れ始めたり 2023.08.19
- 夕焼けの紅き光が西ならぬ北寄りの雲の隙間染めゐる 2023.08.18
- 巨大なる蜥蜴はつまり恐竜と入道雲の形で気付く 2023.08.17
- 知らぬ間に咲きたる百合の心なしか涼しき風を招き入るらむ 2023.08.16
- 姫女苑少なき夏と思ひしが土手に咲きゐるとぞ今日出会ふ 2023.08.15
- 屋根鳴らし降りては止むを繰り返す雨は告げゐる野分近しを 2023.08.14
- 台風の近づきゐるを示すかの如くに雨は正直に降る 2023.08.13
- 朝方の蒸し暑さ去り照りつくる陽射しで別の熱さとなりぬ 2023.08.12
- 拍子抜けするほど北の空青し遅き台風南の海に 2023.08.11
- 三時過ぎ傾きかけてゐるものの陽の熱量は衰えもせず 2023.08.10
- 大雨の降りては止みを繰り返し綿雲さえも灰色に染む 2023.08.09
- 彼方より湧く黒雲の頭上まで狙ひ定めて延び来たるなり 2023.08.08
- 見上ぐれば光和らぎ様々な形の雲の浮かぶ夕空 2023.08.07
- 青空の広がればまた黒雲に覆はれ空の落ちつかぬ日よ 2023.08.06
- 筑波嶺に沿ひて広がる田の稲も既に穂を付け垂れ始めをり 2023.08.05
- 雨降るといふアラームは空振りに終はり残るは蒸し暑さのみ 2023.08.04
- 真夏日の関東平野の最奥に白く巨大な積乱雲立つ 2023.08.03
- 遠くなる山に沿ひつつ怪異なる姿で入道雲は立ちゐる 2023.08.02
- 黒雲の下には雲と同じほど黒き色して雨柱立つ 2023.08.01
- 七月は今日で終はりとなりたればどれほど暑き八月となる 2023.07.31
- 日暮れては牛蛙鳴く声もせず静かなるかな熱帯夜とは 2023.07.30
- 熱く青き夏の虚空に長々と横たふてゐるかなとこ雲よ 2023.07.29
- 恐ろしき形相浮かべ湧き上がる午後二時過ぎの入道雲よ 2023.07.28
- 地を出でて七日で蝉は命尽く七十一年吾生きたるに 2023.07.27
- この年は真夏の陽射し浴びながら七十一と吾もなりたり 2023.07.26
- 暑き日の暮れかけて鳴く油蝉に日暮の声混じりて聞こゆ 2023.07.25
- 川土手に生ふ草木の緑濃く一分の隙も見えぬ午後なり 2023.07.24
- この梅雨に遅れて咲きし紫陽花の木槿のそばで咲き続けゐる 2023.07.23
- 見渡せば今年初めて爽やかに明けたる夏の朝の世界よ 2023.07.22
- じいじいと樹上にて鳴く油蝉は今朝一番に殻脱ぎ捨てしか 2023.07.21
- 大雨もあるとの予報外れしも久方ぶりの涼しき夜なり 2023.07.20
- むつとする風吹く堰の両岸は濃すぎるほどの緑に埋まる 2023.07.19
- 明日からの雨思はする雲かすめ飛行機雲の真っ直ぐ伸びる 2023.07.18
- 熱く照る陽射しのもとでこの夏の蝉の初めて鳴くを聞きたり 2023.07.17
- 夏空にかなとこ雲の広がりて衰え見せぬ午後六時半 2023.07.16
- この夏の暑さに耐えて咲き続け白とピンクの木槿の花よ 2023.07.15
- 田の向かふ筑波の峰の輪郭の数日ぶりにくつきりと見ゆ 2023.07.13
- 暑き日の自動車教習所の道をただゆつくりと車は動く 2023.07.12
- 薄雲に隠れたれども構はずに照りつくる陽は肌を焼くなり 2023.07.11
- もくもくと沸き上がりたる積乱雲見ればこの字の意味ぞ伝はる 2023.07.10
- 蒸し暑き日に狂ひ咲きしてゐるか霜柱てふ名の白き花 2023.07.09
- ひつそりと咲く紫陽花の背景は隙間もなしに梅雨の黒雲 2023.07.08
- じりじりと照りつくる陽のやうやくに傾きたれど頬伝ふ汗 2023.07.07
- 夕まぐれ熱き陽射しの去り行けばヘッドライトの際立ち来たり 2023.07.06
- この宵は雷もなく呑気にも鳴き続くるは牛蛙のみ 2023.07.05
- 真夏日に届かざる日を惜しむごと縦に重なるかなとこ雲よ 2023.07.04
- 梅雨晴れにせめて暑さを忘れむとしても吹き出す玉の汗なり 2023.07.03
- 夏空を映して青き川に添ふ土手に涼しき風は吹かざり 2023.07.02
- 週末に月末半期末までが重なれる日の蒸し暑さかな 2023.06.30
- 七月の声聞く前に耐へ切れずエアコン点けて風を浴びたり 2023.06.29
- エアコンの効く車内より川風の渡り来る土手歩くを選ぶ 2023.06.28
- 蒸し暑さ明日さらに増す予報なりエアコンのスイッチ確かめてゐる 2023.06.27
- 丸裸にされたるもなほ持ち直し花咲かせたる紫陽花強し 2023.06.26
- 土手際にこの夏も咲く姫女菀白き陽射しを連れて来たるか 2023.06.25
- 歯の治療終はりて帰る道すがら田の緑さえすつきりと見ゆ 2023.06.24
- 夏の日は長しといへどふと見れば車の灯り次々に過ぐ 2023.06.23
- 梅雨空は中休みして木槿にも初の一輪咲きゐたるなり 2023.06.21
- 板東の青空仰ぎ田に立てば隙間なきまで緑色なり 2023.06.20
- 青空は広がりおれど北東の風渡り来る岡堰涼し 2023.06.19
- 川向こう家並みの窓に灯りつき日の暮れたるに初めて気付く 2023.06.18
- 初めての熱中症といふものの入り口を見し日は暮れて行く 2023.06.17
- 緑濃き田を見下ろして黒雲は雨を落として去ることもなし 2023.06.16
- どこからか新手の下りきたるらしウシガエル鳴く声間近なり 2023.06.15
- 夕暮れの雲の切れ間の青空は週末になり広がるといふ 2023.06.14
- 明け方の小雨は去りて空高く晴れ渡れるを望みたるなり 2023.06.13
- 川水の溢れるることもなきままに明日は北海道に旅立つ 2023.06.09
- 川土手を境に川と田の見分けつくまで水位下がりたるなり 2023.06.08
- 百年に一度あるかなきかてふ豪雨の過ぎて三日経ちたり 2023.06.06
- 野分去り三日過ぎたる川の面は見下ろすほどに低くなりたり 2023.06.05
- 台風は去れどつくばの田と道を覆へる水に波は止まざり 2023.06.04
- 野分過ぎ水没したる道路には嘘の如くに青空映る 2023.06.03
- 風強く川に白波立つほどに台風二号近づき来たり 2023.06.02
- 台風の南の海にあるといひそを物語る風の吹きくる 2023.06.01
- 青空と白雲映し突然に轟音立てて落ちて行く水 2023.05.31
- 土手に咲く額紫陽花の数増えて午後の陽射しに驚きゐるか 2023.05.30
- 板東の梅雨入り前の空の下麦の畑は黄金に実る 2023.05.29
- 枯草に覆はれゐたる土手道の青く変はれる僅か半月 2023.05.28
- 仰々しき大葦切の囀りに秋の来るまで付き合はむとす 2023.05.25
- 青空と白雲映る田の畦に雲より白き鷺の佇む 2023.05.24
- 日の暮れて雨の止みたる向こう岸で家路を辿る車の灯り 2023.05.23
- 田に映るもの皆緑色なるに舞ひ降り来たる鷺のみ白し 2023.05.22
- 蛇舅母の逃げ込む先は水道のホースの束の下にてありけり 2023.05.21
- 朝からの雨は上がりて陽は沈みやうやく空の晴れ上がりたり 2023.05.20
- 写真撮る間もなきうちに夜の更けて冷たき雨は止みゐたるなり 2023.05.19
- 真夏日の明け猛暑日の川土手は草の緑の濃さの際立つ 2023.05.18
- 葦切と牛蛙とが川岸で鳴き競ひゐて今日は真夏日 2023.05.17
- 明くる日は真夏日といふ心地良き一日の早暮れむとすなり 2023.05.16
- 葉と茎に土砂降りの雨粒残しアカツメクサは風に揺れゐる 2023.05.15
- もうもうと人のはらわた震はせて牛蛙鳴く季節となりぬ 2023.05.14
- 水溜まり作るほどなる雨止めど四日は晴るることなしといふ 2023.05.13
- 週末に雨をもたらすてふ雲の筑波の里に未だかからず 2023.05.12
- どくだみの花増え始む例年の半月以上前倒しにて 2023.05.11
- 植えられて間もなき苗の小さきに透き通る田の水照らす陽よ 2023.05.10
- 青空に幾筋も這ふ筋雲の不思議なまでの白さを眺む 2023.05.09
- 六日間頑張り過ぎし高気圧の呼びたる寒さそして夕焼け 2023.05.08
- 人の世と天気はかくも重なりてことさらの如く変はるものなり 2023.05.07
- 青空は今日を限りに遠離り雨が寒さを連れてくるらし 2023.05.06
- 空の色をさらに濃くして映しゐる手賀沼渡り吹く風涼し 2023.05.05
- 青空の下で田植えは進みゐる隙間ばかりの目立ちをれども 2023.05.04
- 観光地高速道路の混雑を他人事として聞きゐる夕べ 2023.05.03
- 鯉のぼり空に泳ぎて気がつけば我もTシャツ一枚の夏 2023.05.02
- 例年に増して緑の濃き土手に夏鳥の声早くも響く 2023.05.01
- 晴れ曇り大雨嵐雷とこの日の空はよろず屋なりき 2022.09.01
- 真夏日に頭を垂るる稲の穂は稔りの故か暑さの故か 2022.08.31
- 台風の西に離れて行きたれば降りては晴るる空模様なり 2022.08.30
- 開け放ち置きたる窓を閉じる午後十月並みの涼しさといふ 2022.08.28
- 稲刈りの空にこの夏一番の入道雲は湧き上がりたり 2022.08.27
- 午後六時過ぐれば裏の川向かふ夕べの空となりにけるかも 2022.08.26
- 続きたる猛暑の中で岡堰はジャングル島と化してゐるなり 2022.08.25
- 夕空を雲は覆ひてこの夏の終はりの如き風渡り来ぬ 2022.08.24
- 樹の中のツクツクホウシとヒグラシと草むらで鳴くコオロギを聞く 2022.08.23
- この年も既に頭を垂れてゐる稲とは偉きものであるなり 2022.08.23
- 暑き日の続けど庭の白百合は移りゆく季を知りて咲くらむ 2022.08.21
- ひさかたの光に滲みなき空に筑波の峰のくつきりと立つ 2022.08.19
- 四度目のワクチン接種受くる日の雲の隙間に青空のぞく 2022.08.18
- 朝の雨止みたる後も盆過ぎの晴れ間はかくも短かきと知る 2022.08.17
- 暑き日の午後四時を過ぎ漸くに入道雲の低くなり行く 2022.08.16
- 僅かにも秋雲浮かぶ空の下で衰へ見せず夏草繁る 2022.08.15
- 台風を追ふが如くに北東に延びて消えゆく飛行機雲よ 2022.08.14
- 台風の近づき来るを知らぬげに秋津は停まり羽根休めゐる 2022.08.13
- 台風の近づき来るを物語る風に揺らるる川土手の草 2022.08.12
- 南には熱帯低気圧ありて台風となる約束であるらし 2022.08.11
- ショッピングセンター沿いの駐車場木陰で浴びる濃き蝉時雨 2022.08.10
- 身を焦がす熱き日射しを浴びながら白き木槿は健気にも咲く 2022.08.09
- 焼け焦げてさらにまた焦げ尽くしたる紫陽花の色窺われもせず 2022.08.08
- 青空の戻り広がる昼過ぎの日向に休む蜻蛉ありけり 2022.08.07
- 週明けは酷暑の戻り来るといふ束の間のごく普通の夏日 2022.08.06
- 田を渡る風は涼しきほどなれど稲穂の垂るる頃となりたり 2022.08.05
- 胸の内に涼しき空気満ち来るといふ感覚を思ひ出す朝 2022.08.04
- 熱き日の入るを見送る青き田にはや稲の穂の出でかかりをり 2022.08.03
- じりじりと日の照りつける中庭はベンチで休む人影もなし 2022.08.02
- 雲筋の縦方向に跳ね上がる空より熱さ射して来るなり 2022.08.01
- 体温を超ゆる気温で青空に真白き入道雲は沸き立つ 2022.07.31
- 日の暮るる間際まで空青くして蝉鳴く声の止むこともなし 2022.07.30
- 茨城の県北は今日も荒れ気味で入道雲の盛り上がりをり 2022.07.29
- 大雨の警報出でし北の空に真黒き積乱雲の湧き立つ 2022.07.28
- 高きまで盛り上がりゐし積乱雲いつしか消ゑて夏の日は暮る 2022.07.27
- 昨日の入道雲の降らせたる大雨上がり青空の見ゆ 2022.07.26
- 幼き日見上げてゐたるおとなしき積乱雲の今の世になし 2022.07.25
- 午後七時過ぎてさしもの暑き日も夕暮れ時の景色となれり 2022.07.24
- 干しゐたる白きタオルのその裏の蝉はジジジと鳴きて去りたり 2022.07.23
- 青空の広がりくればラジオでは二度目の梅雨の明けたりといふ 2022.07.22
- 筑波嶺の姿の空に溶け込まず見えたるほどの風に救はる 2022.07.21
- 青空に浮かべる雲の炎てふ文字に見えたるほどの暑さよ 2022.07.20
- 田の緑ふくよかなまで育ちても筑波嶺はただ雲に覆はる 2022.07.19
- 真青なる空の奥より降り来たる暑さの素の身に貯まりゆく 2022.07.18
- 朝からの陽射しに雨も加わりて蒸し暑き夏戻り来たれり 2022.07.17
- 北の空の雲の薄るる心地して明日は真夏の戻り来るらし 2022.07.16
- ニュースにて分厚き雲の覆ふてふ千葉方向の空暗きなり 2022.07.15
- 一日中冷たき雨の降り続き肌寒さてふもの思ひ出す 2022.07.14
- 雨雲も稲の緑も密にして青空も水も見ゆる隙なし 2022.07.13
- 風渡り涼しき昼にマジョラムの花の蜜吸ふ一匹の蜂 2022.07.12
- 紫陽花の酷暑に枯るる隣にて次々に咲く白き木槿よ 2022.07.11
- 土手に咲く赤詰草をそよがする風さへ吹かぬ選挙の朝よ 2022.07.10
- 様々の憶測情報交錯し季節感さえ乱るる夕べ 2022.07.09
- 筑波嶺を久方ぶりに見通せる昼前に人撃たれたるなり 2022.07.08
- 暦では小暑の区切りとはいえど既に大暑を過ぎし心地す 2022.07.07
- クリーピングタイムの小さき白き花に呼ばれし揚羽しばしとどまれ 2022.07.06
- 梅雨過ぎて酷暑を経たる夏空に雨をもたらす雲の湧き立つ 2022.07.05
- 薬局で目薬を買ひさしてみてドライアイてふものを癒やせり 2022.07.04
- 降る雨はフロントガラスを濡らせども熱き路面を濡らす能はず 2022.07.03
- 暑き日の午後二時にせる打ち水は三分後には乾きゐたりき 2022.07.02
- じりじりと熱き日射しの続きても蝶は花より飛び去らざりき 2022.07.01
- 川渡る風に吹かれて倒木の枝にとまれる鵜の仕合はせよ 2022.06.30
- 赤々と地平を染めて沈みてもまた昇り来る猛暑の日なり 2022.06.29
- この夏も木槿の花は開きゐて秋まで白く咲き通さむとす 2022.06.28
- この梅雨は史上最短なりといひ紫陽花は早枯れ始めたり 2022.06.27
- 夕立をもたらす雲の湧きをれどつくばまでには届かざりけり 2022.06.26
- ぎらぎらと照る陽の光砕け射す小貝の川の真中の波に 2022.06.25
- 暑き日に南東の風強くして入道雲は湧き上がらざり 2022.06.24
- 車輪梅の木の両側に紫陽花はピンクと青に咲き分かれをり 2022.06.23
- 梅雨空の日も晴れの日も変はりなく次々育つ紫陽花の房 2022.06.22
- 黒雲に覆はれたれど岡堰の緑はさらに濃きものとなり 2022.06.21
- 初めての真夏日に身は追ひつかずただ一つなる梅の実を見る 2022.06.20
- 西空に赤みは差せど蒸し暑き日の変はり目となることもなし 2022.06.18
- 梅雨の夜の川を渡れる生ぬるき風の窓より吹き込みもせず 2022.06.17
- 梅雨空の雲は予報を裏切りて晴るることなく日暮れとなりぬ 2022.06.16
- 雷鳴と土砂降り去りて青空の戻れるまでの二時間足らず 2022.06.12
- 岡堰を控え川幅一杯に水を湛えて行く小貝川 2022.06.11
- 寝落ちして気付けば日暮れ過ぎてゐて梅雨だるといふ言葉を知れり 2022.06.10
- 田の苗の狭くなりたる隙間には久方ぶりの青空映る 2022.06.09
- 梅雨寒で不意に季節は戻れども意を決してぞ額の花咲く 2022.06.08
- 朝方の陽射しはすぐに黒雲に隠され今日も梅雨寒となれり 2022.06.07
- 朝方の激しき雨は上がれども雲立ち籠めて梅雨寒の空 2022.06.06
- 知らぬ間に薔薇は次々開きをり季節は行きつ戻りつすれど 2022.06.05
- 夏といふ文字を貼り付けゐる如く積乱雲は高く湧き立つ 2022.06.02
- 田の苗と苗との隙間埋まりきて緑の色の濃くなりきたり 2022.06.01
- 大雨は止めどども川の水嵩は増して冷たき空色映す 2022.05.31
- 我が宿の空き地の薔薇は咲きにけり夏の陽射しの三日続きて 2022.05.30
- この年もフェンスの外で雄々しくも野生と化したる薔薇は咲くらむ 2022.05.29
- 川土手の白詰草の群生の端に赤詰草は寄り添ふ 2022.05.28
- 雨止めど分厚き雲の薄青き隙間を未だ川は映さず 2022.05.27
- 風吹けど寒さ覚ゆることもなく田に立つ波のただ流れ行く 2022.05.26
- 昇り来る朝日を映す鏡たる役目を果たし川は動かず 2022.05.25
- 部屋にあるコーヒーマシン使はずに外珈琲を三杯飲みき 2022.05.24
- 川の面に逆波の立つこと多く季節は遂に変はりたるらし 2022.05.23
- 蔦の葉にいのちの気配しみ込ませ日向ぼこするカミキリムシよ 2022.05.22
- 空中を落ち来る白き雨粒の写真に映る豪雨は去りぬ 2022.05.21
- 雨蛙の大合唱を伴奏に野太く低く牛蛙鳴く 2022.05.20
- 葦原でギョギョシギョギョーシキリキリと葦原雀賑やかに鳴く 2022.05.19
- 牛久沼夏風吹きて波は立つ空を映して青き湖面に 2022.05.18
- 田の稲は季節外れの寒さにも惑ふことなく育ちゐるなり 2022.05.17
- 白き芽の膨らみいたる車輪梅小さき花は今日咲きにけり 2022.05.13
- 低気圧近づき来たり田の面に分厚き雲の映りゐるなり 2022.05.12
- 茶の色で冬と春とを死にをれど生き返りたる紫陽花青し 2022.05.11
- 蜜蜂の羽音ひそめて飛び来たりフランスギクの花の蜜吸ふ 2022.05.10
- 肌寒き風吹き来るも軒下に菖蒲の花の咲くぞ嬉しき 2022.05.09
- この年も五月の声を聞きたれば車輪梅の花芽膨らみ始む 2022.05.08
- 暑き風涼しき風をやり過ごし白詰草の土手に増え行く 2022.05.07
- 暖かき風吹き渡る川土手に牛蛙鳴く声ぞ響ける 2022.05.06
- 暖かき陽に誘はれて一斉に咲き始めたるカミツレ白し 2022.05.05
- 鯉のぼり風に泳げる川原にはバーベキューする家族の集ふ 2022.05.04
- 涼しさといふよりむしろ肌寒き空気を呼びて雨の降りゐる 2021.08.31
- 明日よりは少しく暑さ和らぎて人の心地のするといふなり 2021.08.30
- 暑き日の二階の部屋の網戸越し視線を寄こす蟷螂のあり 2021.08.29
- 水門の流れも止まる川水のぬるさを鴨も厭ひゐるらむ 2021.08.28
- 太陽の昇り切るより世の中に暑さの満つる方が先なり 2021.08.27
- 一面の空気は熱きかたまりと化して我が身を焼かんとすなり 2021.08.26
- 二度目なる梅雨の開くるといふ前夜雲間に月の丸く輝く 2021.08.25
- 稲の穂の黄に染まりゐて田の色も黄緑色に変はりたるなり 2021.08.24
- ひらひらと花から花に飛び移りツマグロヒョウモン蜜を吸ひゐる 2021.08.23
- 雲間より顔を見せたる蝶鮫といふ名の月を写真にて捕る 2021.08.22
- 十年も前の火薬が目を覚まし線香花火燃え尽きて行く 2021.08.21
- 稲の穂の垂れ始むるも吹く風に秋の気配はまだ僅かなり 2021.08.20
- 夕暮れの地平に低く消えて行く夏の雲より筋雲の延ぶ 2021.08.19
- 雲のなき夜空で久しぶりに見る月齢九・五の月は照る 2021.08.18
- 日暮れたる涼しき風を取り込みてサーキュレーター静かに回る 2021.08.17
- 吾が内に旅に出たがる虫ぞ住む空を望めば騒ぐ虫なり 2021.08.16
- 明日もまた前線の雲九州にかかりて豪雨降り続くらし 2021.08.15
- これまでに経験したことなしといふ大雨は西日本に降る 2021.08.14
- 朝夕は肌寒ささへあるほどに変はる天気に驚き暮らす 2021.08.13
- この国の西の方では大雨の降り続きゐるとふ知らせ聞きつつ 2021.08.12
- 生ひ茂る緑葉の先小さくも白き花咲くローズマリーよ 2021.08.11
- 暮れて行く空に暑さと青さとが残りゐるなり盆近づけど 2021.08.10
- 水嵩を土手の縁まで増しながら逆波立てて行く小貝川 2021.08.09
- 日の暮れて雲消えゆけば青空の面影宿す夜空広がる 2021.08.08
- 黒雲がそのまま地まで落ちてゐる豪雨とはかく見ゆるものなり 2021.08.07
- 暑き日に光れる草に飛び来たりしおからとんぼ羽根休めゐる 2021.08.06
- 青空に白く平らに広がれる雲の形を見るぞ嬉しき 2021.08.05
- 八月はぽろり落ち来て腹を見せジジジと鳴きて蝉死ぬる月 2021.08.04
- 熱き陽を浴びてつくばの池の面に八重に咲きゐる藕糸てふ蓮 2021.08.03
- 暑き日の濃き青空の下にある稲穂は既に垂れ下がりゐる 2021.08.02
- 牛蛙さへ休みゐる暑き日にひたすら鳴くは油蝉なり 2021.08.01
- 暑き日の暮れかけてなほ川面には熱き青さの空映りゐる 2021.07.31
- 夏空が雷雨と変はりまた晴れて何でもありの雲の形よ 2021.07.30
- 水といふ重たきものをぐいぐいと空に押し上げ積乱雲立つ 2021.07.29
- 降るはずの雨降らずして台風は今東北を横切るといふ 2021.07.28
- 台風は遙か東の海上で時折雨を送り込むなり 2021.07.27
- 西空を赤く染めたる夕焼けは台風接近を語らざりけり 2021.07.26
- 海原も小貝の川も水なれば夏空映し青く輝く 2021.07.25
- 突然の土砂降りのなき夕刻に高き雲のみ白く輝く 2021.07.24
- 今日の日の地平の雲は大いなる入道雲となり損ねたり 2021.07.23
- 油蝉一声鳴けばその度に樹々の緑の濃さは深まる 2021.07.22
- 二回目のワクチン接種せんとする我が身に蝶の止まり動かず 2021.07.21
- むつとするまでに緑の濃き中で牛蛙二匹もうもうと鳴く 2021.07.20
- 田を覆ふ稲の緑に隙間なく夏の陽射しを受けて逃さず 2021.07.19
- 先端に小さく白き花付けて青空に映ゆアップルミント 2021.07.18
- 真夏日の水面に遊ぶ鳥たちも水のぬるきを感じゐるらむ 2021.07.17
- 木の緑空の青さのことさらに濃くなりし今日梅雨は明けたり 2021.07.16
- 梅雨明けは明日か明後日ならむとて中途半端に湧く積乱雲 2021.07.15
- 久方の光を注ぐ青空に白鳥のごと雲流れゐる 2021.07.14
- 雨ならぬ滝の如きの降りように玄関前は川と化したり 2021.07.13
- 空覆ふ黒雲てふは空中に漂ふ水の塊ならむ 2021.07.12
- 落雷と雨の波紋を地と水に刻みて厚き雨雲は去る 2021.07.11
- 筑波嶺の男体山の雲は晴れ西の空より雷を呼ぶ 2021.07.10
- 見上ぐれば雲の切れ間に薄らと青き空あり明日は旅立ち 2021.07.06
- 珍しく我が目に触れし雉のありカメラにポーズ取らざりしかど 2021.07.05
- いつまでも雨降り続け洗濯を四日続けて室内で干す 2021.07.04
- 大雨で川面がまさにすぐそこに迫れることに妻は驚く 2021.07.02
- 夏の日もふと気がつけば暮れてをり雨降る夜の広き川幅 2021.07.01
- 我が庭の小さき花の蜜を吸ふ蜂の羽音のさらにかそけし 2021.06.30
- 早朝の雨の中でも牛蛙とともに葦切ひたに鳴きゐる 2021.06.29
- 昼過ぎも雨とはならず自らの晴れ男ぶりありがたきかな 2021.06.27
- コンビニの駐車場より見る空のいつになきほど広き雲居よ 2021.06.26
- 日曜は雨となるらし週末の筑波の峰の稜線望む 2021.06.25
- ネジバナといふ名の花をワクチンの接種の日にぞ初めて知れる 2021.06.24
- 梅雨らしさ失せて青空広がれば明日はワクチン接種の日なり 2021.06.23
- 牛蛙一匹鳴けど行々子未だ鳴かざる梅雨の未明よ 2021.06.22
- 見上ぐれば日の傾かぬ夏至の空にありとあらゆる雲の湧きゐる 2021.06.21
- 我が宿の玄関脇のマジョラムの白くピンクの花咲き始む 2021.06.20
- いつもより四五日早く咲き始め風に揺れゐる白き木槿よ 2021.06.18
- 梅雨入りの翌々日の好天に我が二の腕は日に焼けしなり 2021.06.17
- 梅雨入りと言へども空は穏やかに小貝の川の幅のみ広し 2021.06.16
- 梅雨入りの翌日の空例年の如くに青く晴れ渡るなり 2021.06.15
- 梅雨入りの知らせ聞きたる昼過ぎに薄紫の花ぞ似合へる 2021.06.14
- 蕎麦を挽く水車の隙を吹く風としぶきを浴びて木々の葉青し 2021.06.13
- 我が庭を覆ふタイムの遠近に小さく白き花咲き始む 2021.06.12
- 本当の真夏は来ては居らぬらし夕暮れに吹く涼しき風よ 2021.06.11
- 土手草を刈り倒したる夏の日の暮れて行くなり午後七時半 2021.06.10
- 紫陽花の元の形は近しとふガクアジサイの咲き初めにけり 2021.06.09
- 明け切らぬ空に葦切二羽寄れば鳴き競ふ声響き渡れり 2021.06.08
- 塀際の蛍袋の白き花に蜜蜂入りて蜜を吸ふなり 2021.06.07
- しぶとくも梅雨に入らぬ常陸野に白き色した栗の花咲く 2021.06.06
- 夏風の渡る岸辺で葦切と牛蛙鳴く競うが如く 2021.06.05
- 帰宅して窓より見れば川岸の葦も梢も揺らす嵐よ 2021.06.04
- 川土手の葦の隙より波に浮くシマアジといふ名の鴨を見る 2021.06.03
- 田の緑育ち育ちて空の青映す水面(みなも)の狭くなりたり 2021.06.02
- 白雲のふわりと浮かび幼な児の絵に描く如き初夏の青空 2021.06.01
- いち早く花の季節の幕開けて夏に入るなり薄紅葵 2021.05.31
- 紫陽花の花房青く色づきて丸く大きく育ちたるなり 2021.05.30
- 微妙なるピンクの影を残しつつ梅雨入り前の陽は沈みたり 2021.05.29
- 梅雨入りの宣言の出ぬうちにとぞ色整ふる紫陽花の花 2021.05.27
- この夜の皆既月食伴へるスーパームーンは雲の影なり 2021.05.26
- イボタの木風に揺れゐる対岸に止むことのなき葦切の声 2021.05.25
- 我が庭のさして手入れもせぬ薔薇のこの年もまた咲き初めにけり 2021.05.24
- 紫陽花の若草色の小さきにありたる花房色づき始む 2021.05.23
- 微かなる雨粒を吸ひ紫の矢車菊はすつと立ちゐる 2021.05.22
- 黒雲の風に流され雨粒のざっと来たりてざっと去るなり 2021.05.21
- 昨日より大きく密に雨粒の波紋は川面覆ひゐるなり 2021.05.20
- しとしとといつまでも降る雨粒の波紋は波に揺られつつあり 2021.05.19
- 川土手に咲くギシギシといふ花の白き花粉の飛ぶ頃となり 2021.05.18
- 庭先のチェリーセージの花赤く冬の来るまで咲き通すらむ 2021.05.17
- 雨止みて玄関先に現れしマイマイガてふ名のつく毛虫 2021.05.16
- この年は三尺近き灌木の姿となりしローズマリーよ 2021.05.15
- 南より梅雨入り続き板東の地の紫陽花も花芽膨らむ 2021.05.14
- フェンス際低きところに人知れず薔薇は大きく咲いてゐたりき 2021.05.13
- ドクダミといふ花の名の気の毒になる小さきの庭に咲きたり 2021.05.12
- イボタてふ小さく白き花の咲く土手道に吹く風ぞ涼しき 2021.05.11
- 我が庭のフェンス越しなる草むらにオッタチカタバミてふ花の咲く 2021.05.10
- 咲く時期をヒメジョオンへと受け渡し役目終へつつあるハルジオン 2021.05.09
- この年も咲き始めたる車輪梅初夏の入り口開く花なり 2021.05.08
- この時期の最後の小さき紫の花咲かせゐるローズマリーよ 2021.05.07
- 対岸の木のいづれかにゐるらしき葦切の声響く青空 2021.05.06
- 連休の山の吹雪に呑まれたる命のあれど日は暮れていく 2021.05.05
- 伸びし日の多くを無駄に使ひゐて気付けば今日も暮れていくなり 2021.05.04
- 写したる場所を忘るるままなりき写真の場所に登り着きたり 2021.05.03
- 雷をいくつか落とし北に去る入道雲の衰へにけり 2021.05.02
- 昼時の土手にピンクにひつそりと夕化粧てふ名の花は咲く 2021.05.01
- 家々の窓に灯の点き始め空の青さの消ゆる五時過ぎ 2020.09.27
- 突然の涼しき風の夕暮れに家路を辿るクルマの灯かり 2020.08.31
- 猛暑日の三十五度の境目を越ゆることなき日の来るを待つ 2020.08.30
- 青空につくつくぼうしと油蝉鳴く声響き雲湧きもせず 2020.08.29
- もくもくとただひたすらにもくもくと積乱雲は沸き立ちにけり 2020.08.28
- 裏の川の小さき中州の端に立つ青鷺は疾く飛び去りにけり 2020.08.27
- 水嵩の下がれば草の生えきらぬ小さき中州現るる川 2020.08.26
- 秋近しと知るは涼しき風受けて稲穂の垂るる姿見る時 2020.08.25
- 盆過ぎて日暮れの早くなりたるは淋しくもあり嬉しくもあり 2020.08.24
- 雨上がり夕焼け空に三日月の浮かびゐる頃戻り来たりぬ 2020.08.23
- 夕方に降るかも知れずと言はれたる雨は降らずに暮れて行くなり 2020.08.22
- ドアノブを握れば熱き夏の午後除草の後も草は伸びゐる 2020.08.21
- 雲一つなき空の下広がれる田に黄の色の差し始めたり 2020.08.20
- 最近に廃せられたる小学校の白き外壁光る夏の日 2020.08.19
- 白百合の白き花弁の内側にしどけなきかな黄色の花粉 2020.08.18
- 北の空もくもくと湧く積乱雲は恵みの雨を降らせたるらし 2020.08.17
- 秋といふ季節が来ると思はれぬ暑さの元で垂るる稲穂よ 2020.08.16
- 筑波嶺を包み広がる西空でかなとこ雲は夕陽に染まる 2020.08.15
- 猛暑日の熱冷め切らぬ夜は明けて熱き日はまた昇り来たれり 2020.08.14
- きのこ雲思はせてこそ湧き上がる積乱雲は白きかたまり 2020.08.13
- もくもくと高き空まで湧き上がる入道雲の影の暗さよ 2020.08.12
- 真青なる空を映せる川面には風波立ちて白く輝く 2020.08.11
- 靴底の形にへこむアスファルト暑さの中で稲穂垂れゐる 2020.08.10
- 真夏日の夕陽は雲の西端を薄桃色に染め沈み行く 2020.08.09
- 向日葵といふ花は時に日輪に背を向けて咲くこともあるなり 2020.08.07
- 田の稲は未だ緑のままなれど穂の垂れ始めゐるに驚く 2020.08.06
- 雲のなき中天近く昇れども朧のままの十五夜の月 2020.08.05
- 真っ青に抜けたる如く晴れ渡る空の奥より日は射し来たり 2020.08.04
- 梅雨開けて三日目の空暮れかかり消え残りたる入道雲よ 2020.08.03
- 八月の声聞き遂に梅雨明けて二日目暮れて十二夜の月 2020.08.02
- 梅雨明けて盆過ぎまでの半月をどう過ごさむと思案する午後 2020.08.01
- 鬱蒼と繁れる葦の払はれて鬼百合の花現れ来たり 2020.07.31
- 梅雨明けを前に日暮れの少しずつ早くなりつつあると知りたり 2020.07.30
- 梅雨開けずピンクと白の木槿のみ数を増し行く七月下旬 2020.07.29
- 対岸の奥に霞むは廃校になりて久しき小学校よ 2020.07.28
- パンを焼くオーブンレンジの熱受けて体の奥の汗絞りたり 2020.07.27
- 明けてより晴れては曇りまたさらに土砂降りとなる誕生日なり 2020.07.26
- 土砂降りの雨は上がれど水に浸る玄関先に映る景色よ 2020.07.25
- 土手沿いの道埋め尽くす草叢の高さと密度この夏の様 2020.07.24
- 大雨をどっと降らせる黒雲の彼方より来て彼方にぞ去る 2020.07.23
- 文字通りバケツをひつくり返したる如き土砂降り遠ざかりゐる 2020.07.22
- 雲といふもので隠るることのなき空を映せる水の青さよ 2020.07.19
- 梅雨空の下の川面に水紋の大きく小さく広がりて消ゆ 2020.07.18
- 夜露なるかまた朝露か雨粒か葉で震えゐる大小の玉 2020.07.17
- 水嵩の少しく下がり波立たぬ水面に映る草の緑よ 2020.07.14
- 我が庭で白く小さく咲く花の蜜を吸ひゐるツマグロヒョウモン 2020.07.13
- かくまでに入道雲の湧き上がる空をこの夏初めて望む 2020.07.12
- 日の暮れて夜空の奥に透き通る青空らしき色合ひの見ゆ 2020.07.11
- 久方の光の空を吾よりも喜びゐるか白き木槿よ 2020.07.10
- 夜も更けて雨の弱まる川上の雲の切れ間の青き光よ 2020.07.09
- 陽光と青空てふはかくまでに嬉しきものと今日は知りたり 2020.07.08
- 今日もまた塊と化す葦の葉のなびけるそばに波走る川 2020.07.07
- 熊本の雨を知らずに静かなる川面を滑る如く行く鴨 2020.07.05
- 広き野の緑に染まる彼方には霞ヶ浦の水ぞ光れる 2020.07.04
- 強風になぎ倒されて昼過ぎも寝たるままなり川土手の葦 2020.07.03
- 梅雨明くる前の日暮れの人心地十・八てふ月齢の空 2020.07.02
- 大風は葦なぎ倒しぐいぐいと夏の気配を押しつけてくる 2020.07.01
- 今生きて一瞬後に死すこともあると告げゐる今日の雨風 2020.06.30
- 濃き緑連なる夏の地を覆ふ今日一日の梅雨晴れの空 2020.06.29
- 梅雨空の合間に覗く青空を腹の底まで受け入れておく 2020.06.28
- 庭を這うクリーピングタイムに誘われてツマグロヒョウモン常に舞ひ飛ぶ 2020.06.27
- 汗拭い如実に思ひ出してゐる蒸し暑さてふ言葉の意味を 2020.06.26
- 南側に木槿の花は咲き始め北は緑のままの正直 2020.06.25
- この年も木槿の花の咲き始む何の不思議もなきことなれど 2020.06.24
- 梅雨空の雲の隙間に広がれる青きを見上げ土手を歩きぬ 2020.06.23
- 梅雨寒の日暮れとなりて明日はまた暑さ戻るとラジオ告げゐる 2020.06.22
- 板東の夏至の雲居の厚くして部分日食望む能はず 2020.06.21
- 風止みて夜来の雨の上がりたる空に朝日は昇り来たれり 2020.06.20
- 強く降りまた弱く降り川面には大きくそして小さき波紋 2020.06.19
- 晴るるとも水の季節にありぬれば川太りたるままにて流る 2020.06.18
- 快晴の空を映して真っ青に逆波立てて流るる川よ 2020.06.17
- 日の暮れて風の収まる川面には静かに映る夜空あるなり 2020.06.16
- 川土手のマロウを時に揺らす風吹きても汗の乾くことなし 2020.06.15
- 緑濃き岸辺を泳ぐ鴨たちは我が姿にも気付くことなし 2020.06.14
- 蒸し暑き梅雨入りの後肌寒き風の吹き来る忙しさなり 2020.06.13
- 風に揺るる青田の中のをちこちに黄金色して麦は萌え立つ 2020.06.12
- 連なりて疾く流れ行く黒雲の厚さを見れば梅雨は来にけり 2020.06.11
- 青空を吹き渡る風ひた集め逆波立てて流るる川よ 2020.06.10
- 日の暮れて涼しさ戻る土手道にぽちゃりと魚の跳ぬる水音 2020.06.09
- 梅雨前の乾き切りたる土手に咲く昼咲月見草といふ花 2020.06.08
- ひむがしの空に浮かびて十六夜の如くに見ゆる十五夜の月 2020.06.07
- 土手道に汗のしたたる真夏日の木陰を選び紫陽花は咲く 2020.06.06
- 真夏日に迫る暑さの暮れかけて薄桃色の夕焼けとなる 2020.06.05
- 窓開けて南東の空見上ぐれば雲のかからぬ十二夜の月 2020.06.04
- 立ち籠むる雲の隙間の青空よ水の季節に入りて久しも 2020.06.02
- 初夏の野に策を弄せず白きままふと咲いてしまふ姫女苑なり 2020.06.01
- 川風を受けて小さき紫の鰭玻璃草の花は揺れゐる 2020.05.31
- 遠雷とともに吹き来る風に揺れ十薬の花は庭に増えゆく 2020.05.30
- 彼方より低き雷鳴招きゐる雷雲の卵てふもの 2020.05.29
- 黄金色の麦秋の野に育ちゐる矢車草の紫の花 2020.05.28
- 漸くに雲の隙間の広がれば苗の隙間は埋まりきたれり 2020.05.27
- 川土手に夏風渡りくるほどに鮮やかさ増す薄紅葵 2020.05.26
- 曇りたる空に満ちゐる葦切の鳴き声とともに流るる川よ 2020.05.25
- ひむがしの地平線よりぐいぐいと離るる朝日逞しきかな 2020.05.24
- 五日ぶりに太陽光と青空を眺めるのみで弾む心よ 2020.05.23
- 世の中は勝手に冷えてゐなされと強き花なり車輪梅咲く 2020.05.22
- 三日前真夏の暑さ味わひて突き落とされたる早春の寒さ 2020.05.21
- 植えられて間もなき苗も震へゐる梅雨寒のごとき今日の寒さよ 2020.05.20
- 水量の増えたる川を見下ろして風の湿り気受け止めてゐる 2020.05.19
- 梅雨空を思はするほど黒雲の立ち籠め先の見えざるぞ哀し 2020.05.18
- 川土手にこの年もまた増え始む赤詰草の丸く咲く花 2020.05.17
- 田の面の早苗は薄き緑にて小雨の地平線に広がる 2020.05.16
- 川土手に風の渡れば風につれ揺れてみせるか薄紅葵 2020.05.15
- 地平より顔のぞかせて朝日てふものはぐいぐいと昇り来るなり 2020.05.14
- もくもくと積乱雲の湧き上がる夏空の奥の白きまでの陽 2020.05.13
- 午前四時明るくなりて一日のやりくりのうち暮れて午後九時 2020.05.12
- 傘ささず歩きたれども雨粒の絶へぬ空にて半日過ぎぬ 2020.05.10
- 植えられし早苗の列の僅かにもくねりて戻る青空の下 2020.05.08
- 花の月といふまたの名を得て浮かぶ五月の満月夜空に白し 2020.05.07
- 今日といふ日もこの川は流れゐる初夏と初春の間の谷を 2020.05.06
- 対岸の廃校の影わずかにも浮かべて朝の霧は流れず 2020.05.05
- 川土手の草の色のみ深まれば今日もまた思ふ旅に出たしと 2020.05.04
- 牛蛙一晩鳴きてその後に暁烏また数多の小鳥 2020.05.03
- いつまでもぼんやりとした明るさで田植えを待つか板東の田よ 2020.05.02
- 時移り午後はTシャツ一枚で五月の風の土手を歩きぬ 2020.05.01
- 八月の最後の夜は更けていく夏終はるてふわけでもなきに 2019.08.31
- またしても雨の気配のする朝に小貝の流れ静かなりけり 2019.08.30
- 青空の一日続く晩夏とはかくも心を静かならしむ 2019.08.29
- 覚悟して雨を待てども日暮れまで降ることもなく雲流れたり 2019.08.27
- 暑き日々やや遠ざかり板東は稲穂の垂るる頃となりたり 2019.08.26
- 道端で枝を広げる木の下で涼みたきなり晩夏の日射し 2019.08.25
- 暑き日にぽとり落ち来て気持ちよく死ぬるものなり蝉てふ虫は 2019.08.24
- 水たまりに落つる一滴一滴が涼しさを地にもたらしてゐる 2019.08.23
- 先の週の台風十号消え去りて波一つなき小貝の流れ 2019.08.22
- 六日ぶり帰り来たれば稲の穂の頭垂れゐるつくばの里よ 2019.08.21
- 大雨の直後の里は蒸し暑き空気の中に蝉の声満つ 2019.08.20
- 台風の通り道なる西国に行く明日よりは秋と見ゆるか 2019.08.14
- 降るはずの雨降らずして蒸し暑さばかり増したる夕方の空 2019.08.13
- 盆近き日暮れの空にぼんやりと浮かべる月の月齢十一 2019.08.12
- 吹く風に遙か南の台風を思ひ続くる彼岸前なり 2019.08.11
- 筑波嶺を蔽いて昇り広がれる巨大積乱雲に見惚れき 2019.08.10
- 日暮れのみ秋の立ちたる如き色長く伸ばして雲薄れ行く 2019.08.09
- 沸き立ちて枝分かれする積乱雲の一つ一つの入道の様 2019.08.08
- 上空に風の吹くらし筋雲の白く伸び行くその方向に 2019.08.07
- 夕暮れの高き筋雲僅かにも茜の色を帯びて広がる 2019.08.06
- 日の落ちて空の青さの消えかかる世界の三十四度の気温 2019.08.05
- 夕焼けの上に広がる青空のなぜか懐かし乾きたる色 2019.08.04
- 暑き日の暮れかけてなほスマホでは気温三十度の表示消えざり 2019.08.03
- 山肌の白く煙りて見ゆるほど水蒸気立ち汗をもたらす 2019.08.02
- 東京の電車を一歩降り立てば体温よりも高き風渡る 2019.08.01
- 梅雨明けて三日目の朝板東の空に溢るる水蒸気の白 2019.07.31
- 山並みも雲の切れ間も白く霞む梅雨明けてより二日目の朝 2019.07.30
- エアコンのスイッチを入れ冷風の吹き出すまでの長き時間よ 2019.07.29
- 太陽の照り付けたれど板東の梅雨の明くるは明日になるらむ 2019.07.28
- 台風の先駆けとなる黒雲の落とす雫を受くる薊よ 2019.07.27
- 台風の近づき来たる故なるか雲の分厚く黒くなりゆく 2019.07.26
- 暑き日の育ちかけたる雷雲の夕立降らすまでに至らず 2019.07.25
- 梅雨明けを目前にして台風のニュースを聞きてただ驚けり 2019.07.24
- 葉の上に僅かに残る水滴を洗い流して土砂降りは去る 2019.07.23
- 霧雨の川面に波紋立てぬ日に魚の跳ぬる音響きたり 2019.07.22
- 露宿す朝方の野にひつそりと小さく白く咲く姫女苑 2019.07.21
- 雨止みて露乾きたる草むらに精霊飛蝗休みゐるなり 2019.07.20
- 木立より落ちて地を這ふ芋虫の黒き体の金の模様よ 2019.07.19
- 綿雲の浮かび流るる青空を深く息吸ひ見上げたるなり 2019.07.17
- 梅雨空の下に真白き花咲かせ秋まで日毎咲き散る木槿 2019.07.16
- 五月雨をまるごと受くる参道の腐葉土覆ひ光る羊歯の葉 2019.07.15
- 雨止めど煙の如く沸く霧の山肌に沿ひ雲となり行く 2019.07.14
- この年の梅雨の明くるを待ちきれず向日葵咲けり大輪として 2019.07.13
- 梅雨空の下でかくまで赤き実となりたるトマト送られ来たり 2019.07.12
- 梅雨空の下で根元の見えぬほど緑の稲は育ちゐたりき 2019.07.08
- 新暦の七夕の日の川幅は冬の倍ほどなる小貝川 2019.07.07
- 蒸し暑き一日は暮れ雲間には月の明かりの透けるが如し 2019.07.06
- 灰色の雲地平まで広がりて南より雨運び来るらし 2019.07.05
- 大粒の雨降り止みて濡るる野にひめじょおんの花群れて咲きゐる 2019.07.04
- テレビでは川の溢るる大雨のニュースもあるに道乾きたり 2019.07.01
- 団子とはならず三和土を這ひまはる十匹ほどの団子虫たち 2019.06.30
- 蒸し暑き空気をポンと飛ばすごと野辺に向日葵咲き始めたり 2019.06.28
- 台風の近づき来るを知る故か葉の陰に咲く蓮もあるなり 2019.06.27
- 乾きたる青空は今日限りにて明日より梅雨の空となるらし 2019.06.26
- 水無月の雨の止みたる空き地には夏の野花の咲き始めたり 2019.06.25
- 夜明けより降りゐし雨は止みたれど夕焼け空となるに至らず 2019.06.24
- 額の花は梅雨前線北上と伝へらしに輝きを増す 2019.06.23
- 緑なす田を横切りて青空の彼方に送電線は溶け行く 2019.06.20
- ふるさとの地震を余所に茨城の大地に栗の花の咲きゐる 2019.06.19
- 夏の夜の一番星と思ひきに近づきそして去り行く飛行機 2019.06.18
- 梅雨時の晴れ間の奥に辛うじて筑波の双頭重なりて見ゆ 2019.06.17
- シャーベット色に盛りゐる紫陽花の影にひつそり咲く額の花 2019.06.16
- 梅雨時の本降りなれど雲薄れ小止みとなれば光る紫陽花 2019.06.15
- この年は見事なまでに薔薇咲けり次から次に開く蕾よ 2019.06.14
- 川向こうを滑るが如く移動する家路を辿る車のライト 2019.06.13
- ブルーベリー・ジャムを手作りヨーグルトに添えて食せり梅雨寒の夜 2019.06.12
- みちのくの涼しさよりも身に沁みて寒さのつのる板東の夜 2019.06.11
- 梅雨寒の関東の地に戻り来て震へて過ごす夕暮れの頃 2019.06.10
- 裏の川のこの水無月の牛蛙むらぎも揺らす声で鳴きゐる 2019.06.06
- ゴージャスといふ語を花に仕立つれば紅き薔薇てふ姿なるらむ 2019.06.05
- 土手際にポピーの如き顔をして昼咲月見草の花咲く 2019.06.04
- 地図の上に示されてゐる情報を身に取り込めりペダルを漕ぎて 2019.06.03
- 紫陽花のシャーベット色に咲きゐたり小さき蕾のままも見ゆれど 2019.06.02
- 愛宕山の風は少しくぬめりゐて彼方の雲に梅雨窺はる 2019.06.01
- 麦畑に大きく波を打たせゐる風に向かひて自転車を漕ぐ 2019.05.31
- この年はフェンスの枠をはみ出してドクダミの花地にあふれゐる 2019.05.30
- 青空を背景とする筑波嶺の頂上直下に雲のたなびく 2019.05.29
- 川土手に伸びてはびこる鴨萱を端から刈りて日暮れとなりぬ 2019.05.28
- グランドの灯の消えて後残り香の如き白さも薄くなりゆく 2019.05.27
- 地球とは足元のみにあらずして大丈夫なのか熱き大気も 2019.05.26
- 乾きたる熱き風吹く一日の暮れて皐月の夜半となりたり 2019.05.24
- 川土手に沿ひて吹き来る向かい風もペダル踏む脚止む能はざり 2019.05.23
- 大雨の雲は東に遠ざかり西に夕焼け紅く残れり 2019.05.22
- 満々と水を湛ふる田の彼方雲潜り抜け陽は沈まんとす 2019.05.19
- 晴れ渡る皐月の空を見もせずに二時間かけて草を引きたり 2019.05.18
- 小貝川に逆波立てて吹く風を正面に受けペダル漕ぎたり 2019.05.17
- 空の青薄れたれども確実に緑の濃さの増す山の端よ 2019.05.14
- 青空の久しくなりて田の面も薄緑色広がりてをり 2019.05.13
- 北東の風の冷たく吹き付けて行きつ戻りつする皐月なり 2019.05.12
- 悠々と我が行く前を横切りて林の奥に歩み去る雉 2019.05.11
- 亡き母の十三回忌控へゐて明日より出羽の空気の中に 2019.05.07
- 耳のそば囂々と鳴る逆風にペダル漕げども進まぬバイク 2019.05.05
- この朝に植えらし苗風に揺れ隙間に青き空映る田よ 2019.05.04
- 蒲公英の花摘み取れど摘み取れど白き綿毛の舞ひ飛ぶ令和 2019.05.01
- この年も田に水引かれ空映す一年といふ時の速さよ 2019.04.30
- 昼過ぎに雲の分厚くなりかけて川原の風に舞ふ鯉のぼり 2019.04.29
- 雲流れつくつく法師鳴きをれど秋思はする風は吹かざり 2018.08.14
- 一滴といふにも満たぬ蜜を吸ひまた宙に舞ふ小さき蝶よ 2018.08.13
- 青き田の少しく色の変はりきて稲穂の垂るる頃とはなりぬ 2018.08.12
- 八月の第二土曜の夜空には利根川越しに昇れる花火 2018.08.11
- 暑き日の蒸気の昇る筑波嶺の東に伸びるかなとこ雲よ 2018.08.10
- 野分去り元の暑さの戻り来て西空紅く燃えてゐるなり 2018.08.09
- これまでに聞きたる覚へなきほどの風音止まず野分近付く 2018.08.08
- 日の暮れて思ひがけなき冷たさの雨に濡れたる路面は光る 2018.08.07
- 玄関の石畳の色黒くして塩辛蜻蛉の尻尾のみ白し 2018.08.06
- 暗き空遠くで光る雷もつくばに雨を降らすことなし 2018.08.05
- 大接近してゐるといふ火の星の大きく見ゆる暑き夜空よ 2018.08.04
- 薄れ行くかなとこ雲といふ雲の名前も知らず見上ぐる子らよ 2018.08.03
- 日の暮るる刻限はやや早まれど夜風と呼ぶに足る風吹かず 2018.08.02
- 立ち上る蒸気は熱く筑波嶺を昇りて白き雲となりたり 2018.08.01
- 青空にことさらの雲湧きもせずただひたすらに暑き夏の日 2018.07.31
- 九州の果ての迷走台風の渦より伸びる雲の夕暮れ 2018.07.30
- 椎茸と思はるれども採る者のなきまま森を抜けて戻りき 2018.07.29
- 不可思議の夕焼け色の残りたる野分近付く空を見渡す 2018.07.27
- 晴れ男らしく晴れたる空仰ぎ六十六歳の誕生日なり 2018.07.26
- 体温を超えぬ気温に涼しさを感じることの今のしあわせ 2018.07.25
- 朝方に刈りたる草は昼過ぎに焦げたるごとく枯れ果ててをり 2018.07.24
- 大きなる蜘蛛の作れる労作の巣を払ふこと忍びなき午後 2018.07.23
- 炎天に焦げ付き色の変はりたる中で紫とどむる紫陽花 2018.07.22
- 祭礼の山車と太鼓のお囃子の過ぎて日はまだ高きにあれり 2018.07.21
- 郊外の小さき駅のバス停で人待つ我を焼く如き陽よ 2018.07.20
- 対岸の小学校はエアコンのなき夏を今日いかに越したるか 2018.07.19
- 辛うじて木の葉の色の緑なる暑き日は明け暑きまま暮る 2018.07.18
- 照りつくる熱き日差しの都心より戻り来たれる筑波の夜風 2018.07.17
- 暮れかけて筑波の嶺の彼方より響く雷鳴去るを待ちゐる 2018.07.16
- 熱き日に焼けたる色の向日葵は笑ふが如く立ち真直ぐなり 2018.07.15
- 熱帯夜明けて景色は立ち昇る水蒸気にて煙りゐるなり 2018.07.14
- 次々に白く咲いては散り落つる木槿の夏よ穏やかにあれ 2018.07.13
- 真夜中の雷雨は過ぎて明け方の道路は既に乾きをりたり 2018.07.12
- 夕暮れの入道雲の残骸の夜中にさらに盛り返すとは 2018.07.11
- 板東に大雨警報出でし午後土手にはびこる草を刈りたり 2018.07.10
- 水害に半旗をかけてゐる如く向日葵は立つ日を背に受けて 2018.07.09
- 被災地に降り注ぐ雨の少しでも引き受けたしと思ふ青空 2018.07.08
- 六日ぶりの青空見上げ様々の雲の浮かぶにしばし驚く 2018.07.07
- 強烈なる中休み経て強烈なる梅雨空戻りきたれるこの頃 2018.07.06
- 梅雨空の戻りて空に囂々と風音響く日暮れとなりぬ 2018.07.05
- 暑き日に蕎麦の代わりに蓮の花の輝きのみを見て帰りたり 2018.07.02
- 懲りもせずヒルクライムせる暑き日の暮れて空には居待月照る 2018.07.01
- 夏空に積乱雲の沸き立たぬ強風の午後自転車を漕ぐ 2018.06.30
- 梅雨明けの暑き一日暮れかけて風も少しく弱まりきたり 2018.06.29
- 梅雨空の消えて久しきこの夏の暑さの覚悟いよいよ決めむ 2018.06.28
- 自転車で山登りせる日の暮れに風はやうやく涼しくなれり 2018.06.27
- 田の水の温まりて草漂へば梅雨明けたりと思ふ日差しよ 2018.06.26
- 二の腕に日焼けのあとの境目の刻まれてありこの夏もまた 2018.06.25
- 梅雨晴れの休日午後の渋滞を避けて裏道抜け帰りたり 2018.06.24
- 川土手の何処かにある牛蛙昼夜を問はず野太くぞ鳴く 2018.06.23
- 梅雨空の下で膨らみ重なりて誰が見むとも紫陽花は咲く 2018.06.22
- この年も木槿の花の咲き揃ひ雲の少しく高くなりけり 2018.06.21
- この年は次から次に咲く薔薇の梅雨空の下紅く映えたり 2018.06.20
- 梅雨晴れの空の彼方に筑波嶺の二つの嶺の並び立ちたり 2018.06.19
- 降るやうで降らぬ梅雨空続きゐて稲の隙間の埋まりきたりき 2018.06.17
- 大輪も蕾も薔薇の木にありて紫陽花もあり木槿の花も 2018.06.16
- 咲く時期を間違へたりと一輪の木槿の花の雨に震へる 2018.06.15
- 空見上げ台風一過の日の射すを待ちゐるうちに日暮れとなりき 2018.06.12
- 田の面も林も緑色増して隙間の見えぬ頃となりたり 2018.06.11
- 台風の近づき来たりやうやくに雨降り始め道光りゐる 2018.06.10
- 塊の如く見えたる紫陽花は手まりの如し中空にして 2018.06.09
- 草刈りを終へたる土手に風渡り少しく息をつきたる心地す 2018.06.08
- 一面の草を刈りたる川土手に蛍袋を残しおきたり 2018.06.07
- 梅雨入りは真夏に向ける入り口の狭き扉の前の足踏み 2018.06.06
- 葦切の鳴き声のみの聞こえ来て姿の見えぬ暑き日の午後 2018.06.05
- この年の梅雨入り前の陽光と風を身に受けペダル漕ぎたり 2018.06.04
- 地下道の入り口近き天井で親ほどに育ち燕の雛鳴く 2018.06.03
- 山法師真昼の白き光浴びやや薄緑色に染まれり 2018.06.02
- 砂糖菓子のボールの如く重なりて紫陽花は咲く薄紫に 2018.06.01
- 走り梅雨雲立ち籠むる夕暮れの彼方をヘッドライトが走る 2018.05.31
- 昨年の今頃はまだ満開でありし車輪梅既に枯れたり 2018.05.30
- 梅雨前の夏思はする晴天に薄紅葵立ちて咲きゐる 2018.05.29
- 九州と四国の梅雨に入りたるを板東の地の紫陽花は知る 2018.05.28
- 青空を灰色の雲覆へどもローズマリーの紫は映ゆ 2018.05.27
- 水色と薄紫に反射して泡立つ如く紫陽花は咲く 2018.05.25
- いつまでも残照のある夜空には白雲流れ星は見えざり 2018.05.24
- 百マイル以上の道を走りたり雨降る中をハンドル握り 2018.05.23
- 紫陽花の薄青色の花咲けり日は射しをれど梅雨がまた来る 2018.05.22
- 田の面に空映りゐて遠ざかるほどに早苗の緑の勝る 2018.05.21
- どくだみの花咲く庭の隅々に五月の日差し届きゐるなり 2018.05.20
- 板東の青空の下ハンドルを切れば緑の畑広がる 2018.05.19
- 近付けば葉の色にあらず小さくも咲き出づるなり紅葉の花は 2018.05.16
- 少しずつ色づきかくる紫陽花に梅雨はそれほど遠からずと見ゆ 2018.05.15
- 新緑の森に一際目立ちゐる赤き若葉の萌ゆるもみじよ 2018.05.14
- この年の初紫陽花の呼びたるか昼過ぎに雨降り始めたり 2018.05.13
- 昼過ぎに日差し来たりて青空の見事なまでに広がりてあり 2018.05.10
- 冷え込みは冷え込みとして関せずに粛々と花咲く車輪梅 2018.05.09
- 連休の過ぎたる初日自転車の中学生を濡らす雨粒 2018.05.07
- 南より嵐は来るか湖面には深き影もつ波の立ちゐる 2018.05.06
- 雲一つなき青空の下吹き渡る風に向ひてペダル漕ぎたり 2018.05.05
- 日暮れより冷たき風が雲を呼びかはづの声の高まりきたり 2018.05.04
- 川岸の篠竹揺らし家々の軒を鳴らして五月の嵐 2018.05.03
- 田の水に映れる空の色薄く雲との境辛うじて知る 2018.05.02
- 車輪梅明日は咲くらむ予報ではメイストームの来るといへども 2018.05.01
- 様々の色求めても菖蒲には菖蒲の都合ありて紫 2018.04.30
- 黒鴨は春めく川の青空を映す部分を選びて泳ぐ 2018.02.23
- 都心では大雨洪水警報の裏切らぬほど降りたりといふ 2017.08.30
- 天候の不順にやっと追ひ付きて木槿は花を開きたりけり 2017.08.29
- 垂直の壁を自由に蟷螂は登り降りして秋に備へゐる 2017.08.28
- 湿り気の薄れて青き空の下板東の田は色付きにけり 2017.08.27
- 流れ出る汗を拭きつつ見上ぐれば雲の部分の多き空なり 2017.08.25
- 立秋を過ぎて戻れる夏の日に稲穂は頭垂れ始めたり 2017.08.24
- 立秋を過ぎて処暑てふ節となり突然戻り来たる真夏日 2017.08.23
- 図書館の屋根の彼方で稲妻の光れど音の聞こえざりけり 2017.08.22
- 水かさの増したる川に映り込む電波塔の先わずかに揺らぐ 2017.08.14
- 我が宿の真上に晴れと曇りとの境目ありて不思議の風吹く 2017.08.13
- 灰色の雲の下には似合わざりただ一輪の木槿の花よ 2017.08.11
- 猛暑日のつくばの道を乗客は我一人なるバスの揺れ揺る 2017.08.09
- 立秋を一日過ぎて板東の稲穂は頭垂れ始めたり 2017.08.08
- 昼過ぎの立木の影の濃き庭に野分の気配まだ近付かず 2017.08.07
- 紫陽花の狂ひ咲きたる八月の戻り梅雨なる空の暗さよ 2017.08.06
- 薄暗き雲の覆へる八月の空に青さの面影もなし 2017.08.05
- 水面に見慣れぬ波紋浮かべつつ強くも吹かぬ風渡りゐる 2017.08.04
- 黒雲の覆へる空の日は落ちて残照の色わずかなりけり 2017.08.03
- 黒雲のさほど厚きにあらずとも立ち籠めて日の刺さぬ八月 2017.08.02
- 糠雨の降り止みそしてまた降りて田は隙間なく緑に埋まる 2017.08.01
- 飲む水と吹き出す汗の間には何の隙間もなき昼下がり 2017.07.31
- まだ青き穂の付き始めたる稲の頭垂るるに至らざるなり 2017.07.30
- 空梅雨の明けて自然は帳尻を合わすがごとく雲の広がる 2017.07.29
- 風渡る深夜営業スーパーのコイン精米の音響きをり 2017.07.28
- 近頃の悪しきニュースを束にして明朝早く捨ててしまはん 2017.07.27
- 明け方の雨止みたれば様々の蝉の声する高き梢よ 2017.07.26
- 七月の野に紫に咲く花のうちに桔梗は見事なりけり 2017.07.25
- 曇り空水辺の道の灯火の遠く光りて日はまだ暮れず 2017.07.24
- この雲の北に行くほど分厚さの増すらむ今日の変はらぬ暑さ 2017.07.23
- そうめんをすすりて暑き日を過ごしスナック菓子は減らず残れり 2017.07.22
- 暑き日の駅前広場そこここの木陰を伝ひ人は行き過ぐ 2017.07.21
- 湯気の立つ如くに揺るる西空に梅雨開け二日の日は落ちて行く 2017.07.20
- 板東の空はいつもと変はらねど梅雨明けたりとニュースではいふ 2017.07.19
- 通り雨降り止まぬうちひむがしの空の高きに虹の出でたり 2017.07.18
- じりじりと夏の日の照る春日野の日陰を全て鹿は知るなり 2017.07.17
- 川面には風渡るらしその風の土手の上にも吹き来るを待つ 2017.07.15
- 階段の踊り場の窓の網戸には蟷螂のただ獲物待ちゐる 2017.07.14
- 西日受け輝く地平彩りて流るる雲の錦を眺む 2017.07.13
- 黒光りするが如くに雲の覆ふ北の地平に豪雨降るらむ 2017.07.12
- かくまでに世界の色ぞ美しき霞の取れぬ視界にも見ゆ 2017.07.11
- 濃き影を地に落とす日の彼方より吹き来る風のただ熱きかな 2017.07.10
- 夜更けには自動販売機ただ光り郵便ポストはただ人を待つ 2017.07.09
- 老眼の目にはほとんど望月に見え小望月登りてありぬ 2017.07.08
- 消え残る飛行機雲の右側に既に現はる十三夜月 2017.07.07
- 高架線のコンクリートの橋脚を梅雨の晴れ間の入り日が染める 2017.07.06
- 野分去り二度の夕立過ぎにけり雨雲はまだ控へをれども 2017.07.05
- さまざまの色と形で梅雨空の下を飾るや百日草は 2017.07.04
- 一夏を咲き通すため梅雨空にまず一輪と木槿咲きたり 2017.06.30
- 葉の蔭に隠れて僅か一つのみ成りたる梅の実をもぎ採りき 2017.06.29
- 梅雨空の下で静かに揺れもせず真白き色で山法師咲く 2017.06.29
- 栗の花目立たぬ色で咲きたれど咲き並びてぞ目立ち始むる 2017.06.27
- 忘れゐたる遠き時代の古傷の痛みを思い出す梅雨の空 2017.06.26
- 真ん丸のボールの如く咲きそろふ一歩手前のアガパンサスよ 2017.06.25
- その羽の影絵の如き模様して小さき花の蜜を吸ふ蝶 2017.06.24
- 紫の小さき花のかたまりの徐々に大きく盛れる紫陽花 2017.06.23
- 紫陽花の葉の間より雨を弾きホタルブクロの生え来たるなり 2017.06.22
- 対岸に十年かけて育ちきて土手の高さを超えたる木々よ 2017.06.20
- 空梅雨といふ言葉さへ他人事と思へるほどの空の青さよ 2017.06.19
- 川端にやや小さくも咲き残る薄紅葵風を光らす 2017.06.12
- 川土手の茂みの雉は悠々と歩きて人に怯えざるなり 2017.06.11
- 川土手に幾匹棲むか牛蛙声を競わせ鳴き通す夜 2017.06.10
- 心地良き湿り気の風吹き渡る梅雨の晴れ間の筋雲白し 2017.06.09
- 梅雨に入り梅雨らしき雨降らぬ日は川土手の木の育ちゐるなり 2017.06.08
- それらしき雨降ることもなきうちに紫陽花の色で梅雨に入りたり 2017.06.07
- 水満つる田に緑なす苗の育ち鏡は今は絨毯となり 2017.06.06
- 夏の日の暮れゆく先の西空に湧きたる雲の静まり行けり 2017.06.05
- 紫陽花は葉の緑色取り戻し今朝は小さき花咲かせたり 2017.06.04
- 青空の戻り来たれば土手沿ひの薄紅葵風に光れり 2017.06.03
- 生きてあるその一日の暮るる時明くる日のあることぞ嬉しき 2017.06.02
- 夕暮れの雲居の色の紫にその隙間さえ赤紫に 2017.05.30
- 土手伝ひ利根を辿れば青空の彼方に山の姿も見えず 2017.05.29
- 夕暮れの西の空には黒雲の思ひの外に厚く漂ふ 2017.05.28
- 夏の日の午後の空気を真ん丸にマフィンは分けて供されたりき 2017.05.27
- 南より吹き来る夜の風のうちに夏の気配の忍び入るなり 2017.05.26
- 夜も更けてフロントガラスを濡らすとも言はれぬほどに濡らす糠雨 2017.05.24
- 幾重にも咲く車輪梅の蜜求め蜂は幾度も飛び来たるなり 2017.05.23
- 暑き日の電線走る街並みの彼方に赤き日は沈み行く 2017.05.20
- 夏空の奥にさらなる灼熱の暑き日射しは控へゐるなり 2017.05.19
- 辛うじて空の晴れたる昼下がり田んぼの青み増したるを知る 2017.05.18
- 川土手にかはづの声の響き初め日毎に大きくなるを楽しむ 2017.05.17
- 萌え出づる若葉の影を浮き立たせ五月も半ば遅き夕暮れ 2017.05.16
- 街行けば人汗ばみて動かざる人は肌寒しと嘆く午後 2017.05.15
- 土手腹に薄紅葵咲き始む白詰草の背の高さで 2017.05.14
- 一日を降り通したる雨止まず遠くのヘッドライトの滲む 2017.05.13
- 蒲公英の白き綿毛はその中に命宿せる恐竜の卵 2017.05.12
- 見上ぐれば入道雲になりかけの分厚き雲の立ち上がりゐる 2017.05.11
- 田の面にそよとも波の立たぬ日の世のものすべて映し込み暮る 2017.05.10
- 夜中より乾きたる世を和らぐる雨の降るらしああおぼろ月 2017.05.09
- 人々の心も山も枯れ草も乾き乾きて炎消えざり 2017.05.08
- 空よりも岸の若葉の色を映し流るる川は我が心なり 2017.05.07
- 緑濃き葉陰に蕾膨らみて車輪梅咲く季節近付く 2017.05.06
- 自転車の往きも帰りも向かひ風ただその風と我は友なり 2017.05.05
- 土手草の勢ひは今一年で一番なりとため息をつく 2017.05.04
- 筑波嶺を見渡す田にはさやさやと小さき苗の風に揺れゐる 2017.05.02
- 板東の夕陽の沈む西空を見渡す限り山影のなし 2017.05.01
- 白日の夏は幼き頃に見し動くものなき昭和に帰る 2016.08.12
- 暑き日の暑きままなる夕暮れの入道雲の少しく崩る 2016.08.09
- 対岸に二匹棲むらし牛蛙むらぎも揺らす声で鳴きゐる 2016.08.08
- 台風の南海上を進むらし風は窓より吹き抜けて行く 2016.08.07
- 泥水の中に潜めるよきものを吸い上げてさく睡蓮の花 2016.08.06
- 夏空はほとんど雲に覆われて蒸し暑さのみ届く地上よ 2016.08.05
- 汗に濡れ見渡す大暑の夕暮れの彼方に秋は必ずやあり 2016.08.04
- 熱き田で稲穂は青き色のまま早くも頭垂れ始めたり 2016.08.03
- 秋までを咲き通すらむ木槿花咲き初むるあり咲き終はるあり 2016.07.30
- 板東の広野をよぎり海までも心のはぜる夏は来たれり 2016.07.29
- 坂東の梅雨明けたれば日暮れても雲居の果てのやや青みたり 2016.07.28
- 辛うじて雨の降らざる空の下風に逆らいペダル漕ぎたり 2016.07.27
- 淡々と仕事をこなしふと見れば誕生日の日は沈みゐたりき 2016.07.26
- 丹精をことさら人に押しつけず夏空の下咲く百日草 2016.07.25
- 夏空を渡る涼しき風を得んと車の窓を開け放し行く 2016.07.24
- コンビニの隣の池で極楽の色に染まりて咲く蓮の花 2016.07.23
- オホーツク高気圧より吹き来たる風に染まれる灰色の雲 2016.07.22
- 開きてはその日を越さず足元にぽとりと落つる白き木槿よ 2016.07.21
- 夏休み始まる広き青空に飛行機雲は溶けて行くなり 2016.07.20
- 図書館の立木の隙に緑田は広がりてあり小貝川まで 2016.07.18
- 世の中の悲しきことを知らずして緑の中で暮らしたき日々 2016.07.16
- 暑き日の風に乱るるブロンドの髪想はせて向日葵は咲く 2016.07.15
- 湿りたる風吹き抜ける国道を行く自動車の影も絶えたり 2016.07.13
- 暑き日の暮れて明くれば梅雨戻ることを告げゐる上弦の月 2016.07.12
- 午後七時過ぎて明るき夏の日の長々しさにしばし戸惑ふ 2016.07.11
- 雨雲の途切れて青き空のぞく黄昏の道でペダル漕ぎたり 2016.07.09
- 目の前の赤信号にブレーキをかければ涼しき風も止みたり 2016.07.07
- 夕暮れに雲居の切れて一瞬の日の刺して後の蒸し暑き夜 2016.07.06
- 夕凪の土手の臭ひをそれぞれに嗅ぎつつ人と犬が行き過ぐ 2016.07.05
- 黒雲は流れ遠雷響きゐて白き木槿は咲き始めたり 2016.07.04
- 夕暮れの田の彼方なる高層のビルはビジネスホテルの灯り 2016.07.03
- 夏空の奥の奥より直線の太陽光が注ぎ来るなり 2016.07.02
- 細長き口を伸ばしてマジョリカの蜜を吸いゐるツマグロヒョウモン 2016.07.01
- 土手腹を覆ひ尽くせる雑草の草いきれ吸ふ夕暮れの頃 2016.06.29
- 小雨止み風も吹かぬに梅雨寒の空気を映し川は動かず 2016.06.28
- マジョラムの花咲きたれど蜜蜂をよぶほどの花盛りにあらず 2016.06.27
- 川土手の内側に木の育ちゐて我ありとその枝を張りたり 2016.06.26
- 少し降りすぐに止みたる梅雨空の下で喜び紫陽花は咲く 2016.06.24
- 牛久沼の湖面に映る街灯の長く伸びゐて揺るることなし 2016.06.23
- 七時半過ぎて写真に里山の稜線の影映る夏至の日 2016.06.22
- 県道の高みより見る上総なる森の緑は暗きまで濃し 2016.06.21
- 梅の実のやや熟したる色合いで冷蔵庫にあるこの年の梅雨 2016.06.20
- 信号で自転車を漕ぐ足止めて敷石沿いの松葉菊見る 2016.06.14
- 年老ひし薔薇の枝より三つ四つと紅き薔薇咲くこの年ぞよき 2016.06.12
- コンフリーに毒あると聞き大量に食せざれども掘り捨てたりき 2016.06.11
- 田の苗は伸びて隙間も埋められて緑の絨毯広がりにけり 2016.06.09
- 筑波嶺の麓の道の両側の薄緑色栗の花咲く 2016.06.08
- 雨降らぬ梅雨三日目の川土手に白詰草は帯なして咲く 2016.06.07
- 梅雨に入り薄紫に盛り上がる紫陽花雨の降るを待ちゐる 2016.06.06
- 梅雨入りの嘘の如くに晴れたれば自転車に乗り風切りて行く 2016.06.05
- この年の最初の花を開かせて夏の顔する裏の紅薔薇 2016.06.04
- 束の間の初夏の晴天の夕暮れの彼方に潜む梅雨の気配よ 2016.06.03
- 青空の下を渡れる薫風を梅雨入り前に思ひ切り吸ふ 2016.06.02
- 七日間の夏の不在は紫陽花を咲かせて庭に色加へたり 2016.06.01
- 風を受け早苗は強くなびけるに田は空映し波も立たざり 2016.05.25
- 小貝川の水面に映る新緑の一際冴ゆる頃となりたり 2016.05.24
- 黄昏のつくばの空を眺めつつ自転車を漕ぎ家路につかむ 2016.05.23
- ひむがしに十六夜月の輝ける下で二匹の牛蛙鳴く 2016.05.22
- 夕立の通り過ぎたる跡ならむ途切れと途切れに濡れたる夜道 2016.05.21
- 田を見れば早苗の色の点描で描きし鏡広がりてあり 2016.05.20
- 夜半にかけ雨の予感の光ある黄昏時の国道を行く 2016.05.16
- 全開の窓吹き抜くる風を受け黄昏時の田舎道行く 2016.05.15
- クローバーの白き花咲く隣には赤詰草の咲く風の朝 2016.05.14
- 明日よりの多忙の半月を前にして川面のごとく穏やかにあらむ 2016.05.13
- この土地の水に合ふらむ車輪梅の生成色なる花の増え行く 2016.05.12
- 田を渡る風は熱さを増して行き日本は東南アジアとぞなる 2016.05.10
- 車輪梅の花咲き始む車輪梅は慎ましく咲く強き花なり 2016.05.08
- 里山の斜面に小さき穴を掘り苗木を植えて埋め戻したり 2016.05.07
- 小雨降る空の下でも色冴えて雨否定する躑躅咲きをり 2016.05.06
- 丸ごとの西瓜をこなすこともまた大仕事なり夫婦二人に 2015.08.23
- 気がつけば刈田の景色広がれりその奥にある秋の気配よ 2015.08.22
- 一日に青空のぞきさらにまた小雨降るなる日常の夏 2015.08.21
- 八日間の不在のうちに常陸野の稲穂は頭垂れ始めをり 2015.08.20
- 愛宕山の頂上直下に灯りゐる明かりは神社の灯火ならむ 2015.08.12
- ひむがしの夕空蔽ふ鱗雲の隙間を通り逃げよ残暑よ 2015.08.11
- 暮るる日も善き哉々(かなかな)と鳴く蝉の声潜り抜けペダル踏み行く 2015.08.09
- 北東の風渡り来てエルニーニョの夏とはかくの如しとぞ思ふ 2015.08.08
- 灼熱に自然のドライフラワーとなり立秋に向かう紫陽花 2015.08.07
- 筑波嶺を蔽ふ黒雲広がりて遠雷の音の聞こゆる夕べ 2015.08.06
- 巨大なるショッピングセンターの駐車場より売り場に向かふ猛暑日の昼 2015.08.05
- 橋の下の水面を刻むさざ波で渡り来る風あるを知りたり 2015.08.04
- 鬱蒼といふ二文字のかくまでに似合ふ景色に我は入るなり 2015.08.03
- 今朝方に聞こえて来たる一匹のつくつくぼふしの声消えにけり 2015.08.02
- 水面には波一つなく川岸の草も動かず暑き日は暮る 2015.08.01
- 炎天の下を歩けば畦道に向かひてお辞儀する稲穂あり 2015.07.31
- 南より帰り来たりて振り向けばおぼろなれども望月浮かぶ 2015.07.30
- 干からびてしわだらけなる紫陽花の奥に潜める瑞々しさよ 2015.07.29
- 夕暮れの蝉の声するその奥で微かに鳴るか遠雷の音 2015.07.28
- 夏の日に彩度を増して道沿ひの花壇の花は咲き乱れをり 2015.07.27
- 地平には入道雲になりそびれ夕焼けのうち縮みゆくあり 2015.07.26
- 対岸でかっぱ祭りのあるらしき牛久の沼に熱風渡る 2015.07.25
- 土用なる丑の日は暮れ蕎麦食えば店先に照る半月白し 2015.07.24
- 夏の陽は西に沈みてまたすぐに東の空に昇り来むとす 2015.07.23
- 夕暮れの影宿したる川面には細かき波の風紋動く 2015.07.22
- 人影はまばらといえど皇居前広場なりけり真夏日の空 2015.07.21
- 里山に白く生えたる茸の名はドクツルタケといふものならむ 2015.07.19
- 川面には吹く風の姿映りをり台風十一号は近付く 2015.07.15
- ひむがしの地平になびく雲居抜け日はまた今日も地を焦がすらむ 2015.07.14
- 必ずやこちら向きにて一斉にすつくと立てる向日葵の花 2015.07.13
- 見逃せば失ふことのありたりと思ふほどなる見頃の薔薇よ 2015.07.12
- ペダル漕ぐ脚の回転真直ぐなる道に延びゆきみどり野となる 2015.07.11
- 久方の日射しを浴びて太陽光パネルは嬉しがる風情なり 2015.07.10
- 電力の三割を自家発電し梅雨空の下日々を過ごさむ 2015.07.09
- 梅雨空の過ぎ去るを待ち木槿の木は小さき花を咲かせ続ける 2015.07.08
- 雨降りの日は雨降りの余恵あり紫陽花の房膨らみをれば 2015.07.07
- 雨に濡れ額紫陽花の咲く日々の太陽光のパネルも濡れゐる 2015.07.06
- 数日の雨は夕暮れ時に止み橋の灯火のくつきりと映ゆ 2015.07.05
- ただ二日の不在のうちに夏は進み木槿の花の数は増したり 2015.07.04
- 紅き薔薇は盛りを過ぎて少年の寝起きの髪の如くなりたり 2015.07.01
- 残照の対岸の家並み灯のともる間を滑るヘッドライトよ 2015.06.30
- マジョラムの小さき花に蜂集い微かなる蜜僅かづつ吸ふ 2015.06.29
- 自転車のロングライドの帰り道赤詰草の土手に揺れゐる 2015.06.28
- 梅雨空の僅かの光捉えつつパネルは電気作りゐたるか 2015.06.27
- 大輪の百合の香りに酔ひしれて覚むれば夏は深まりをりぬ 2015.06.24
- 雷鳴と驟雨は後に心地良き風を残して足早に去りぬ 2015.06.23
- こんもりと小山の如く葦原を蔽ひて伸びる葛の葉青し 2015.06.22
- 夕刻を過ぎても雲の切れ間には夏至前日の光漂ふ 2015.06.21
- 花のうちに蛍の入らぬこの里で蛍袋の風に揺れゐる 2015.06.20
- 紫に細かき花のマジョラムは雨に濡れつつ蜜蜂を待つ 2015.06.19
- 愛宕なる火伏せの神の社より梅雨の常陸の野を見下ろしぬ 2015.06.18
- 鮮やかに咲ける花こそ嬉しけれ花粉に涙することもなく 2015.06.16
- 青空はやや霞みゐてこの夏の暑さのほどを未だ語らず 2015.06.15
- 我が庭より咥へて帰る枯れ草を褥に敷きて鳩は寝ぬるか 2015.06.13
- 梅雨に入り三日目にして土手際の木槿の花の咲き初めにけり 2015.06.12
- 薄雲の次第に厚き雨雲となるを見上げて立葵白し 2015.06.11
- 梅雨入りの翌々日の晴天は毎年のこと川面も青し 2015.06.10
- 田の緑濃く育ちきて一面の曇れる空を映す隙なし 2015.06.09
- 家々の灯の滲みゐて梅雨入りの近きを知らす瞬きの時 2015.06.08
- 栗のさけば今年も夏近くやがて来る秋も遠からむと思ふ 2015.06.07
- 裏庭で赤紫の紫陽花に青紫は隣り合ひ咲く 2015.06.06
- 梅雨に入る前から梅雨の色をして紫陽花ははや満開となりぬ 2015.06.05
- 水かさの増えたる川は夏空の青を細かき波間に映す 2015.06.04
- 西空の雲は途切れて梅雨入りの前の夕焼け赤く染まれり 2015.06.03
- 鴨萱といふ名の草の裏土手に増え来てやがて梅雨に入るらむ 2015.06.02
- 一面が緑の色に染まりつつ梅雨入り前の田は静かなり 2015.05.29
- 紫陽花のまづ淡き色に咲き初めて次第に移る夏の色へと 2015.05.28
- 赤白のぼかし模様の色合いで日射しの中に咲く躑躅かな 2015.05.27
- 絶妙の間合いを保ち陽光を分け合ひて咲くじふやくの花 2015.05.26
- その名前わからぬままにとどめおく花多きうち季節は移る 2015.05.25
- ふと見れば夕焼け空の奔流に白波のごとき雲ぞ流るる 2015.05.24
- 青空に薄紅の色散りばめてこの年も咲く土手のマロウよ 2015.05.22
- 明け方の雨は躑躅の花びらに光る滴を残して去りぬ 2015.05.16
- 果てもなき宇宙の姿映す如く薄紫の野薊は咲く 2015.05.15
- 九州の初夏の大地に暖かさ沸き立つほどの底力あり 2015.05.14
- 土手際は花の宝庫ぞ一斉に咲く花の中松葉菊光る 2015.05.13
- 時ならぬ雨風温帯敵気圧に変わりたれども初夏の台風 2015.05.12
- 金蘭といふ名の花の自生する土手のふもとの値打ちを思ふ 2015.05.11
- 黒雲の夕べとなりて広がれば田の片隅に映る夕焼け 2015.05.10
- 朝方の小雨止みたる空の下に深紅の薔薇の咲き初めてあり 2015.05.09
- 青空がありさへすれば水といふ重たきものも平和なるなり 2015.05.08
- 川沿いの自転車道路のカーブごとに風の抵抗変わる不思議よ 2015.05.07
- 田の水の空を映して青き中に一直線に並ぶ早苗よ 2015.05.06
- 日の暮れに空に漂ふ鱗雲は秋の雲にてあるらむと思ふ 2014.08.31
- 夏はもう過ぎたりといふ人多しさざ波の立つ川行き行きて 2014.08.30
- 女郎蜘蛛車を停めて丁重に窓の外へと退出願ふ 2014.08.27
- この夏の暑き盛りは過ぎたりと水面の色で告げて行く川 2014.08.26
- 蝉が鳴き日の傾けば蟋蟀や松虫鳴きて夏は暮れゆく 2014.08.25
- 雑草の増え行く主なき庭にこの夏も咲く白百合の花 2014.08.24
- 処暑となり眩しからざる日も暮れぬうちより虫の声ぞ聞こゆる 2014.08.23
- どうとでもしてくれといふ青さなり立秋過ぎの空のしかかる 2014.08.22
- 咲き代わり散り代わりては花びらの地に落ちてなお木槿なりけり 2014.08.21
- 日暮れても関東平野の青空の蓄熱層と化してぞ暑き 2014.08.20
- 日替わりで晴と雨との続く頃明日上方に吾は旅立つ 2014.08.15
- 晴れと雨の一日ごとに訪れて今日は雨降る番の一日 2014.08.14
- マイボトルてふものを買い換へたるは暑き日の旅の友となるゆゑ 2014.08.13
- 北海の地より戻れば北海で浴びたるほどの北風の吹く 2014.08.09
- 雨上がり湿気はあれど蒸し暑しといふこともなし北の大地は 2014.08.08
- アブラゼミニイニイゼミにヒグラシにツクツクホウシも早鳴き始む 2014.08.06
- 土手道の臭木とふ木の花と実を見れば忘るる葉の臭きこと 2014.08.05
- 鳥たちに目立たぬやうに青きまま枝に下がれる柿の実ひとつ 2014.08.04
- 西に降る大雨のその一割も降れば熱帯夜とはならぬに 2014.08.03
- この年の七夕もまた暑き日の暮れて銀河の揺るるを見るか 2014.08.02
- 土手草の刈られ干し草色となり南の風を遮るものなし 2014.08.01
- 土手際に枯れ残りたる松葉菊は真夏に残る春の色なり 2014.07.31
- 見渡せば青田の彼方灯がともり夕焼け色に染まる西空 2014.07.30
- みちのくの暑き日差しを行く水に落として二十三回忌なり 2014.07.28
- 暑き日の空を覆へる黒雲と地表ぶ白き稲妻 2014.07.27
- この暑き季節に吾は生まれしと赤き夕日を見送り思ふ 2014.07.26
- 宵闇の立体交差の底に淀む暑き空気に潤む街の灯 2014.07.25
- 暑き日の暮れて涼しき風吹くを待てど涼しき風は吹かざり 2014.07.24
- 梅雨明けの土手の緑に埋もれつつ咲く昼顔の数の増したり 2014.07.22
- 夕暮れの空はあしたの梅雨明けを思はせ深く高く澄みたり 2014.07.21
- 梅雨明けは間近にありと西空の雲居の語る夕べなりけり 2014.07.20
- 白木槿日に輝けど気も狂ふほどの暑さは未だ来たらず 2014.07.17
- 梅雨明けはいつとなるらむ咲き並ぶ向日葵越しに見上ぐる空よ 2014.07.14
- 夏祭り近付けるらし注連縄の八坂神社の鳥居に向かふ 2014.07.13
- 雨露の乾かぬ土手に昼顔が一輪咲きて梅雨明けを待つ 2014.07.12
- 野分過ぎ細き夕焼け光りをり西の地平の雲の隙間に 2014.07.11
- 風吹けば木槿は枝にしがみつき土手の葦揺り野分近付く 2014.07.10
- 水無月の水は川面を盛り上げて葉の上でまた丸く転がる 2014.07.09
- ひさかたの光射し来る草の上に小さきなれど虫は飛び交ふ 2014.07.08
- だんだんと夏の深まる色合ひをがくあじさいは増してゆくなり 2014.07.07
- 朝霧の薄くたなびく彼方より梅雨の晴れ間の日は昇り来ぬ 2014.07.06
- 用意したるマイボトルの水手つかずに持ち帰りたる梅雨寒の今日 2014.07.04
- 土手際に白き木槿はこの年も咲き初めにけり三月先見て 2014.06.30
- 雲低く垂れ込めゐるは雷の鳴り響くらむ北部山沿ひ 2014.06.29
- 黒雲の低きにありてその下の薄紅葵高く伸びたり 2014.06.28
- 明け方の雲晴れかかる空の下今年最初の蝉の声聞く 2014.06.27
- この夏の枕詞としたきほどエルニーニョの夏深まりきたり 2014.06.26
- ひつそりとエルニーニョの夏色の空映して雨に濡るる紫陽花 2014.06.25
- 梅雨晴れの少しばかりの道草をものともせずに日はまだ高し 2014.06.22
- 青空にエルニーニョなる現象を知るや知らずや白雲の浮く 2014.06.21
- 両岸で牛蛙鳴く川土手に緑いや濃く光は白し 2014.06.20
- 日暮れには雷鳴るといふ空の青きを映し利根川は行く 2014.06.19
- 板東の田は緑なす絨毯の如くになりぬ梅雨空の下で 2014.06.18
- 暗闇にフラッシュたけば浮かび出す紫陽花大きく育ちたるなり 2014.06.17
- 辿り着けば雨の名残の濃き夜道夏の匂ひを宿して続く 2014.06.09
- 雨の夜の路面に映る街の灯は舌舐めずりして地の底に這ふ 2014.06.06
- 梅雨となれば山ふところの路傍にも街の歩道にも咲く額の花 2014.06.05
- 我が宿の庭より飛びて増えし花をこの夏もまた眺めゐるなり 2014.06.04
- 田の面の緑を透かし見ゆる水の鏡のやがて埋まり行くなり 2014.06.03
- 忍び寄る夜霧の中におぼろげに車の行き来見ゆる常陸野 2014.06.02
- 緑なる水の季節となりにけり田も川も吹く風のうちにも 2014.05.30
- 風邪引きの腹に響くは土手際で絶えず鳴きゐる牛蛙の声 2014.05.29
- 日を浴びる芥子の赤きに迫り来る梅雨を思ひて足を止めたり 2014.05.28
- 風の凪ぐその瞬間に田の水は世界を映す鏡となりぬ 2014.05.27
- 筑波嶺の二つの頂きを撫づるごとく雲降り来たり雨が近づく 2014.05.26
- 十薬の一斉に咲く頃となりぬ半月で梅雨ふた月で真夏 2014.05.25
- 初夏の風渡れば青き麦の穂の膨らみ始め空もまた青し 2014.05.24
- 畦道を一直線につなぎゐて街灯は田の水に映れり 2014.05.23
- 新しきデジカメで撮る嬉しさよ薄紅葵の背景のぼけ 2014.05.22
- さざ波の渡り来る田にうねうねと列なして揺る早苗小さし 2014.05.21
- さまざまの鳥の声聞く朝まだき起きんすれど覚めぬ我が夢 2014.05.20
- 奄美なる大島紬を染めきたる色思はせて車輪梅咲く 2014.05.18
- おづおづと俯きて薔薇咲きにけり二年振りなる世界に出で来て 2014.05.17
- 大いなる居待月昇る田に映る己が姿を見つむる如く 2014.05.16
- 車輪梅はバラ科の花の装ひを見せて一輪一輪と咲く 2014.05.15
- 車輪梅過ぎにし年の幻にあらず咲き初む再びの夏 2014.05.14
- わずかにも立つさざ波をやりすごし田はおぼろなる鏡とぞなる 2014.05.13
- 世の中の湿り気は今増ゆるなり田に張らる水川を行く水 2014.05.12
- この土手に薄紅葵咲き初めて年の半ばにさしかかると知る 2014.05.11
- 暖かくも涼しくもなき甲州の夜の街道に車途絶えず 2014.05.09
- 夕日のみ存在感を増しゐたり初夏になりたるばかりの空に 2014.05.08
- 藤棚の房の揺るるは風の吹く故か風吹くは房揺る故か 2014.05.07
- 鉄色の寒さの夏を呼ぶ風か若葉も空の影となりたり 2014.05.06
- 北海の地より戻れば田も土手も緑の色の濃き世界なり 2014.05.05
- この夏の暑さに負けていたりしが木槿は息を吹き返したり 2013.09.02
- 灼熱の地面を冷やす雨をもて秋の空気を呼びたき今宵 2013.09.01
- 台風の看板おろし海を来る雲の塊に連なる空よ 2013.08.31
- 交流の電気にしびれる心地してバッタは宙を震わせて飛ぶ 2013.08.30
- 夏空の下で稲穂の垂るる日に吹き来る風を涼風と呼ばむ 2013.08.28
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