2024年9月17日
2024年6月 7日
2023年11月13日
2023年11月12日
2023年11月11日
2023年11月10日
世の中は午後四時半を過ぎたれば日暮れの闇に包まれしなり
今日はずっと所用で埼玉県の越谷までクルマで出かけていて、つくばの地に戻ったのは午後 6時頃だった。
日がだいぶ短くなっていて、越谷を出発した 4時過ぎには薄暗くなり始めていて、千葉県を通過する頃にはすっかり日が落ちてしまった。そして利根川を超えて茨城県に入った途端に、街灯が極端に減って真っ暗になってしまったので、思わず笑ってしまうほどだった。
昨日の夕方から急に気温が下がり、今日はジャケットを着なければ肌寒いほどで、急に夏が終わってまともな秋が来たという気がする。
ネットで東京の日の出と日の入り時刻を調べてみたところ、今日は日の出が 6時 11分で、日の入りが 16時 34分。日の入りが最も遅くなるのは 11月 30日の 16時 28分というから、もう 6分の差しかない。そして 12月 13日までは 日の入りが 16時 28分のままだ。
一方で日の出はさらに遅くなり、冬至を過ぎて年明け 13日の 6時 51分が一番遅い。朝の 7時近くにならないと日が昇らないのだ。
というわけで、帰宅した頃にはすっかり夜になっていたのだった。
2023年11月 9日
2023年11月 8日
2023年11月 7日
2023年11月 6日
より以前の記事一覧
- 裏の川に浮かべる鴨の数増えて暑さの中も秋は深まる 2023.11.05
- 川向かふ白くたなびく朝霧を紅きに染めて陽は昇り来る 2023.11.04
- Tシャツを一枚着れば汗をかく十一月の三日となりぬ 2023.11.03
- 渡り来し筑波の秋の暑き日に水辺の鴨も戸惑ひゐるらむ 2023.11.02
- 午後五時の南の空を見上ぐれば真夏の如き積乱雲立つ 2023.11.01
- 北の空に千切れて浮かぶ雲黒く秋の残照受くる能はず 2023.10.31
- 昼過ぎに眩しきほどの陽を浴びて明日ハロウィーンと呟いてみる 2023.10.30
- 年老ひて娘の腕を頼りとし夕暮れの土手歩く人あり 2023.10.29
- 冴え渡る空に皓々と輝くは真ん丸に近き十三夜月 2023.10.28
- 青空に夏思はせて湧き上がる入道雲を見上ぐる薄 2023.10.27
- 夕焼けで輝く飛行機雲なるかはたまた別の不思議の雲か 2023.10.26
- 薄雲は高くかかりて筑波嶺の姿を隠すことのなかりき 2023.10.25
- ショッピングモールの広き駐車場で強き陽射しに上着取りたり 2023.10.24
- 日暮れても月の明かりの照り渡る夜空に雲の布団かからず 2023.10.23
- 晴れ渡る真青の空に雲一つ浮かぶことなき秋の一日 2023.10.22
- 秋晴れの青砥の道を走りつつ白波五人男を思ふ 2023.10.21
- 汗はかけど草木は秋を告げてをり木槿の花もしをれて落ちて 2023.10.18
- 雲一つ見えぬ空では太陽が夏思はする熱量放つ 2023.10.17
- 川岸で奇妙なまでに増えきたる背高泡立草と薄よ 2023.10.16
- 夕刻に青空となり思ひ出す四文字言葉の放射冷却 2023.10.15
- 日暮れたる空に青空残りゐて明日雨降ると思はれぬなり 2023.10.14
- 庄内の最上の流れに別れ告げ板東の地に戻り来たれり 2023.10.13
- 気がつけば日は暮れてをり明朝はより秋深き故郷に向かふ 2023.10.10
- 波のなき水面に映る自らの姿に鷺は頓着もせず 2023.10.09
- 一週間足らずのうちに夏日から寒さの晩秋に移りたるなり 2023.10.08
- 一週間前の写真と見比べて日暮れの早くなりたるを知る 2023.10.07
- 水嵩の低くなりたる中州には青鷺一羽じつと動かず 2023.10.06
- 原付のハンドル上の蟷螂の眼光鋭く去る気配なし 2023.10.05
- ひいやりと秋風渡る川土手に小栴檀草てふ花ぞ咲く 2023.10.04
- 青空の広がりたれど汗だくにならぬは秋のありがたさかな 2023.10.03
- 波のなき川面に映る青鷺のじつと動かず日は暮れて行く 2023.10.02
- 雨雲の垂れ込め遂に降り始む秋そのものの景色なれども 2023.10.01
- 午後五時を過ぎて街灯点き始め日暮れの早くなりたるを知る 2023.09.30
- 川土手に白く小さき韮の花咲きては秋の気配連れ来る 2023.09.29
- 真夏日の続くうちにも秋の香を白き木槿は放ちゐるなり 2023.09.28
- 首筋に汗の伝ひて夏未だ終はり切れずに残りゐる秋 2023.09.27
- 夕映えの彼方去り行く夏を見て秋のつもりで暮らさむとぞ思ふ 2023.09.26
- 続きたる猛暑の日々を潜り抜けローズマリーの花戻り来ぬ 2023.09.25
- 暑すぎる夏は花にも暑すぎてその終はりゐるを喜びて咲く 2023.09.24
- 夏中は水面下たりし岡堰の浅き岸辺に草生え揃ふ 2023.09.23
- 花の数増え始めたる桃色の木槿が秋の風を呼びしか 2023.09.22
- 晩秋にしては不思議に温かき二日は過ぎて寒気来るらし 2022.11.30
- 花落ちて放射状なる抜け殻の風に揺れゐる小栴檀草 2022.11.28
- 少しずつ暮れの掃除に手を付けて日の沈むのに気付かざりけり 2022.11.26
- 霜月の夕映えの中にくつきりと浮かぶは富士の嶺のシルエット 2022.11.25
- ワールド杯初戦ドイツに勝ちたれば晩秋の空高く澄みたり 2022.11.24
- 青鷺の川に佇む足許に雨の波紋の広がりてあり 2022.11.23
- 十倍の望遠レンズで撮りたれば青鷺の羽根かくも麗し 2022.11.22
- ふと見れば日はとつぷりと暮れてをり年末までの短き昼よ 2022.11.21
- 秋晴れの僅かな風に薄揺れ遠くの空の雨を呼びゐる 2022.11.19
- iPhone のカメラで夜を映しても空に青みの残りゐるなり 2022.11.18
- 岡堰の水に映れる空も地も皆秋色に染まりゐるなり 2022.11.17
- 晩秋の日は落ちたれどいつまでも西の地平の赤みは消えず 2022.11.16
- 青空は西より広がり来たれども板東の地は暮れかけてをり 2022.11.15
- 明日より吹き来るといふ寒風の前触れなるかうろこ雲白し 2022.11.14
- 黒雲のつくばの空に広がりて忘れてゐたる雨の落ち来る 2022.11.13
- 対岸に続く刈田で籾を焼く煙の淡く昇る秋空 2022.11.12
- 秋更けて見かける鷺の増えきたり日向ぼこする青白三羽 2022.11.11
- 小貝川小春日和の中州には青鷺二羽と白鷺一羽 2022.11.10
- 沈む日を斜め後ろに受けながら白き山茶花の輝き失せず 2022.11.09
- 丸き月は地球の影でひつそりと薄赤くこそ光りゐるなれ 2022.11.08
- 長き首を伸ばして空に舞ひ上がる白鳥の如き雲流れ行く 2022.11.07
- 秋晴れの日の暮れてなほ明るきは月齢十一・七の月 2022.11.06
- 秋晴れの筑波の峠自転車で越えて走るも楽しかるらむ 2022.11.05
- 青空に真直ぐに続く並木道銀杏の葉は黄に染まりつつあり 2022.11.04
- 塀際のローズマリーの背の伸びて灌木らしくき姿となりぬ 2022.11.03
- 朝霧は晴れと言はるる通りにて日の暮るるまで青空なりき 2022.11.02
- 秋更けて小栴檀草実となればひつつき虫と化しかけてをり 2022.11.01
- ハロウィーンなど知らぬ気に帰宅するヘッドライトの列は途切れず 2022.10.31
- 水嵩の減りて波立つこともなき川に休める二羽の白鷺 2022.10.30
- 秋更けて空き地の草も木も刈られ木槿の枝も淋しくなりき 2022.10.29
- 晴れ渡る空の青さに忍び入り秋を知らせる夕陽の紅み 2022.10.28
- 秋の日の西に落ちかけ薄暗き北の空には筑波嶺も見えず 2022.10.27
- 晴れ渡る西の空には東京の空気を透かし白き富士の峰 2022.10.26
- 遙かなる日光の山の谷筋の白く染まれる様ぞ望める 2022.10.25
- 秋深き関東平野の南西を望めば遙か山の影無し 2022.10.24
- 沈み行く夕陽を浴びて空を舞ひねぐらに戻る白鷺三羽 2022.10.23
- この年も秋深まりてフェンス際にチェリーセージの紅き花増ゆ 2022.10.21
- 快晴の空は夕刻過ぐるまで雲の一つも浮かべざりけり 2022.10.20
- 晴れ渡る空を映せる川に立つ白鷺二羽に青鷺一羽 2022.10.19
- 土手際の柿の木になる赤き実の人も烏も採らず朽ち行く 2022.10.18
- 水量の減りたる川の水門で雨宿りする青鷺一羽 2022.10.17
- 昼過ぎに夏の暑さとなりたれば薄の穂並み突つ立ちてあり 2022.10.15
- はつきりとせぬ雲行きの日暮れ時やうやく青き空ぞ望める 2022.10.14
- 朝霧は川の流れとともに来て時の流れも白く染めゐる 2022.10.11
- 川土手の黄一面には染まらずに背高泡立草の盛衰 2022.10.10
- 川向こう秋の日暮れの県道を滑り消えゆく車の灯り 2022.10.09
- 秋風の止みて三日を咲く薔薇の動くことなくポーズ取りゐる 2022.10.08
- 青鷺は冷たき雨の降り注ぐ流れに立ちてじつと動かず 2022.10.07
- 四肢と背を丸めて石に擬態しつつ寒さに耐ふる雨蛙あり 2022.10.06
- 強風に煽られ常に揺れ動く薔薇はカメラを嗤ひゐるなり 2022.10.05
- 葛の葉に覆はれ尽くす街路樹の木の種類すらわからぬほどに 2022.10.04
- 秋風の渡る浅瀬に立ち尽くす青鷺の声夜に響くらむ 2022.10.03
- 秋空に真綿の如き白雲の浮かびて流るごくゆつくりと 2022.10.02
- 暮れかかりスマートフォンのカメラにも一番星の見事に映る 2022.10.01
- 家々の屋根は夕陽を浴びながら土手腹に影延ばしゐるなり 2022.09.30
- 土手に生ゆる白き木槿は秋空に向かひて今日も次々に咲く 2022.09.29
- 暑き夏過ぎし落差も厭はずに咲き続けゐるチェリーセージよ 2022.09.28
- 国葬と関わりもなく飛び回り気付けば秋の夜は更けて行く 2022.09.27
- 珍しき二日続きの晴天に鷺は刈田で餌を漁りゐる 2022.09.26
- 台風の東に去りし野の道に紅く萌え立つ彼岸花咲く 2022.09.25
- 台風は温帯低気圧となり刈田に水と鷺招きたり 2022.09.24
- 秋彼岸雨の止み間の土手道に小さく白き韮の花咲く 2022.09.23
- 夏過ぎて再び数を増し来たる白き木槿と緑の蕾 2022.09.22
- 台風の彼方に去りて立ち籠むる雲も冷たき色となりぬる 2022.09.21
- 西空に分厚く長き黒雲の帯は流れて途切れざるなり 2022.09.20
- 台風の呼ぶ黒雲の次々に来たりて雨を落とし去り行く 2022.09.19
- 白鷺の風避けて立つ川面では映る姿ぞ波に揺れゐる 2022.09.18
- 秋の日の暮れゆく空の高みより地平にかけてさまざまの雲 2022.09.17
- 青空の広がる朝に筑波嶺の姿を久しぶりに望みき 2022.09.16
- 曇りのち晴れの予報は当たらずに暗き刈田に糠撒かれをり 2022.09.15
- この秋の初の蜜柑を貰ひしに家に着くまで食べそびれをり 2022.09.14
- 雲晴れて日の射し来たる刈田にて籾殻つつく白鷺一羽 2022.09.13
- 秋の夜をテールランプの過ぎ行けば旅に出でたき思ひ湧き来る 2022.09.12
- 秋の日は刈田の彼方赤黒く思ひがけなき早さで沈む 2022.09.11
- 日の暮れて東の窓に昇りゐる月に初めて十五夜と知る 2022.09.10
- 白壁に空豆成りてあるごとく青葉羽衣止まりゐるなり 2022.09.09
- 日の沈み暗さ増したる県道をテールランプが次々に行く 2022.09.08
- 岡堰の水門開き上流と下流の水面差は消えゐたり 2022.09.07
- 夕焼けを見るのも何日ぶりなのか一筋縄で行かぬ天気よ 2022.09.06
- 土手道を歩けば虫の鳴く声の澄みて耳元近くに聞こゆ 2022.09.05
- 一時は降らずに済まぬ空なればすぐに晴るると待つを知りたり 2022.09.04
- 夕闇の中で川面は静まりて鏡の如く光りゐるなり 2022.09.03
- マジョラムの写真を撮りて再生し精霊飛蝗に初めて気付く 2022.09.02
- 夕暮れの飛龍の如き黒雲に大気は渦とまさしく知りぬ 2021.11.23
- 夕闇の雨の波紋の川沿ひに冬の寒さは流れ来るらむ 2021.11.22
- 月食の一夜明くれば雲一つなき空のあしたなりけり 2021.11.20
- ひむがしの空に浮かべる満月のただゆつくりと欠けて行くなり 2021.11.19
- 青空に刷毛を滑らせ描きたる等圧線のごとき白雲 2021.11.18
- 日は暮れて対岸の道を次々にヘッドライトが通り過ぎ行く 2021.11.17
- 牛久なる沼のほとりの渋滞は残り一月半の晩秋 2021.11.16
- 夕焼けの中に佇む富士の峰の富士山らしき影を望みき 2021.11.15
- 白鷺といふ鳥のただ何気なく佇む川を見るぞ嬉しき 2021.11.14
- 嘴を素早く水に突き入れて白鷺は魚を啄みて呑む 2021.11.13
- PC の画面を離れ見上ぐれば空には既に半月光る 2021.11.12
- 三日間不在のうちに薄の穂垂れ下がりたる姿となりぬ 2021.11.11
- 明日よりは田舎暮らしに戻らむと駅前ビルのネオンを仰ぐ 2021.11.10
- 暮れて行く空に増え行く雲見上げ明日の旅路に思ひをいたす 2021.11.07
- 棒立ちで風に揺るるといふこともなくただ光る河原の薄 2021.11.05
- 自転車で走れば小貝川の風微かな音で耳撫でて行く 2021.11.04
- 夕暮れの西の地平の黒雲のところどころの隙の夕焼け 2021.11.03
- 見下ろせる川面に映る白鷺は見上ぐる如く気高くも見ゆ 2021.11.02
- PC の画面よりふと目を逸らし外の日暮れて暗きに気付く 2021.11.01
- 薄雲を通して見ゆる青空も小雨の降るを止むる能はず 2021.10.31
- 秋晴れの日は穏やかに暮れかかり空に浮く雲動くことなし 2021.10.31
- 秋の陽は西の彼方に沈みたり富士の山影くつきりと残し 2021.10.29
- 一面に小さく赤き花咲くを赤蕎麦てふと初めて知りぬ 2021.10.28
- 小貝川秋の水面は細くして映れる空も狭くなりたり 2021.10.21
- 寒き朝風の彼方に富士の嶺の小さく白き頭のみ見ゆ 2021.10.20
- 陽は沈む西の地平に細く添ふ雲の隙間を紅く染めつつ 2021.10.19
- 日短く冬思わする寒風の空に浮かべる十三夜月 2021.10.18
- 東西の低き雲晴れ筑波嶺の夕陽を受くる稜線さやか 2021.10.17
- ショッピングセンター屋上駐車場より遙かの雲の切れ間を望む 2021.10.16
- ふと見れば日暮れて空は暗かりき午後の陽射しを浴びることなく 2021.10.15
- カーテンの向かふに紅き光射し朝日の昇り来るぞ嬉しき 2021.10.14
- 予報ほど大粒の雨降ることもなくセイタカアワダチソウも揺れざり 2021.10.13
- 青空の元でかくなる涼しさの訪るるのをしばし待たなむ 2021.10.12
- 変はりたる今日の天気の黒白の全ての雲が夕陽受けゐる 2021.10.10
- 川向かふ帰宅を急ぐ自動車のテールランプが遠離り行く 2021.10.09
- 小貝川中州の周り白鷺の群れを呼びゐる何ものぞある 2021.10.08
- 霧雨といふほどもなく微かなる雨が夜更けて音立て始む 2021.10.07
- 強風に揺るる薄の陰にあるセイタカアワダチソウの盛衰 2021.10.06
- 空映す霞ヶ浦の岸辺には秋桜の花風に揺れゐる 2021.10.05
- 対岸の枯れ葉の上に舞ひ降りて秋の日を受け鷺はくつろぐ 2021.10.04
- 吹く風に揺れなびく度きらめきて薄は日ごと秋色となる 2021.10.03
- 野分過ぎ強き陽射しに温まる玄関先で遊ぶ金蛇 2021.10.02
- 大粒で降り注ぐ雨集めつつ流るる川の幅は増し行く 2021.10.01
- 車検終へ戻る車のエアコンで野分の気配忘れむとぞする 2021.09.30
- 台風の近づきくれば雲間より見る青空の遠く去り行く 2021.09.29
- 穏やかに沈む夕陽は密かにも遠き野分と言葉交はすか 2021.09.28
- 午後五時を過ぎたる西の地平のみ黒雲湧きて夕陽見えざり 2021.09.27
- ひたち野に渡る風受けコスモスは秋を深める如く揺れゐる 2021.09.26
- 青空の広がり映る川面にはいささかも波立たず静まる 2021.09.25
- 木立より下に棲む虫誘ふごとツツピーツツピーと四十雀鳴く 2021.09.24
- 枯れ葉色の額の隙間に咲き残る白き木槿の花の減りゆく 2021.09.23
- 板東の広き刈田に蒸し暑き空気を残し陽は沈み行く 2021.09.22
- 秋蕎麦の真白き花の盛りなる常盤の道を帰り来たりき 2021.09.21
- ひむがしの赤き地平にぐいぐいと昇る朝日よ照らせ世界を 2021.09.20
- 久方の光の満つる休日に国道上の車動かず 2021.09.19
- 雨降りて止みてさてまた大雨の過ぎて薄日の射す夕まぐれ 2021.09.18
- 水中に狙い定めて白鷺はただ一瞬で魚を一呑み 2021.09.17
- 晴天と雨の俄に繰り返し洗濯物を入れてまた干す 2021.09.16
- 見上ぐれば秋の夜空に浮く雲を白く照らせる上弦の月 2021.09.15
- 涼しさの九月の奥に刈り残る稔りの稲の黄の色の見ゆ 2021.09.14
- 知らぬ間に日は暮れかかり青空の次第に薄く消えて行くなり 2021.09.13
- 爽やかに晴れ上がりたる秋空の下で刈田は眺めたきもの 2021.09.12
- 何事もなく帰宅する自動車のヘッドライトは滑るが如く 2021.09.11
- さりげなくそつとカメラを向けたるに鷺は気付きて飛び去りにけり 2021.09.09
- 青空をたちまち覆ふ黒雲の落とす雨粒大きく小さく 2021.09.08
- 晴れといふ予報なれども強情を張りて離れぬ秋雨前線 2021.09.07
- 水低く枯れ草色の中州には青鷺来たり羽を休める 2021.09.06
- この夏に枝を広げしローズマリーに薄紫の花の咲きたり 2021.09.05
- 川向こう細き県道の南より北に向かへる車のライト 2021.09.04
- 大粒の雨の波紋の広がれる川面に映る夕暮れの影 2021.09.03
- 稲の穂は冷たき雨に晒されてうら寂しきまで頭垂れゐる 2021.09.02
- 一日で夏の空気が入れ替わり秋となりたる九月の初日 2021.09.01
- 満月を囲める雲の小さきの照らされてあり明日より師走 2020.11.30
- 雲間よりわずかに漏るる月光の満月となる明日を待たなむ 2020.11.29
- 北風の吹き止みて日の入りたれば川面を照らす十三夜月 2020.11.28
- 歯の治療終はりて帰る道すがら家々の灯の増えてゆくなり 2020.11.27
- 霜月も残り五日となりたれば昔の幅で流るる川よ 2020.11.26
- 故郷の冬の始まり思はする灰色の雲浮かび動かず 2020.11.25
- その辺で採れたる柿のその辺の空気そのまま食ふぞ楽しき 2020.11.24
- 夕暮れの紅き陽のさす北の空に遙か日光の山々の見ゆ 2020.11.23
- 震度 5 の地震の後の夕焼けはいと穏やかに染まりゐたりき 2020.11.22
- 間近にて上がる花火の轟音の響きをれども光も見えず 2020.11.21
- 南より吹く突風の止みたれば夕焼け色の雲現はれり 2020.11.20
- 暖かき風の吹き来る方角を向きて佇む白鷺一羽 2020.11.19
- 快晴の日の没したる西空の糸の如くに細き三日月 2020.11.18
- 真直ぐなる地平の果ての夕焼けにただ一点の光は沈む 2020.11.16
- 風に揺るる高き薄の足許で咲くかセイタカアワダチソウよ 2020.11.15
- 平らなる刈田の北の青空に筑波の峰は静かに聳ゆ 2020.11.14
- 行く川の水嵩さがり倒木の枝とも根ともつかぬもの見ゆ 2020.11.13
- 青信号刈田の彼方灯りをり底冷えのする夜とはなりぬ 2020.11.10
- 北西の地平の上の冬雲は赤く分厚く夕陽に染まる 2020.11.09
- 土手道を颯爽と来て遠離る赤きズボンを見送る薄 2020.11.08
- 北陸の旅より戻りつくばなる日常の内に潜り込むなり 2020.11.07
- 一日中降り続きたる雨止みて雲間より漏る月の明かりよ 2020.11.03
- 故郷は冬に向ひてシベリアの寒気を集め始めたるらむ 2020.11.02
- 紫の花を咲かせて晩夏よりローズマリーは冬を越すらむ 2020.11.01
- 白鷺も首をすくめて寒風に耐ふるを思ひ出してゐるなり 2020.10.31
- 明日よりは冷え込むといふ見上ぐれば空の色さへそを語りをり 2020.10.30
- 十二夜の月は高きに昇れども世界は未だ薄明かりあり 2020.10.29
- 雨がちの半月ほどを取り返す勢ひ見せて日は昇りたり 2020.10.28
- 家々の窓に明かりの灯りたる月齢 10.3 の夜空よ 2020.10.27
- 夕刻の四時を過ぎても太陽は地平線には触れずありたり 2020.10.26
- 秋空に腫れ上がりたるたんこぶの如き形の山の姿よ 2020.10.25
- 青空に二本の縞を刻むごと長く連なる雲は動かず 2020.10.24
- 川幅のやや広がりて水嵩も高くなりゐる十月下旬 2020.10.23
- 秋晴れの二日続きて明日はまた冷たき雨の降り注ぐらし 2020.10.22
- 秋空の眩しき夕陽沈み行く西に三日月既に浮かべり 2020.10.21
- 対岸を薄く煙らす朝霧の晴れて昼間の青空となり 2020.10.20
- 気がつけば日は暮れており明日はまた雨降ることのなき日となるらし 2020.10.19
- 雲の筋白く伸びたる青空を彼方の黒き雲な隠しそ 2020.10.18
- 朝方の分厚き雲の遠ざかりうろこ雲より透くる青空 2020.10.16
- 冷え込めば川の水嵩引き始めいつもの秋の景色となりぬ 2020.10.15
- この秋の薄はどこかみすぼらしく風に揺れては戻りゐるなり 2020.10.14
- 雲間より幾筋も地に降り注ぐ一直線の ray の軌跡よ 2020.10.13
- グリーンのネットの上でグレーとのまだらに染まりゐる青蛙 2020.10.12
- 鳥たちよ紫式部の光る実の時移るまでな啄みそ 2020.10.10
- 駐車場で深まる秋を思はする冷たき雨と早き日暮れと 2020.10.09
- 今シーズン初のフリース・ジャケット羽織り灯油ストーブのボタン押したり 2020.10.08
- 雨となり日の暮れたれば冷え冷えと晩秋の気の広がり来たり 2020.10.07
- 湿り気のなき風渡り川面には十八夜月映り込みたり 2020.10.06
- 雨上がり夕刻前の青空に勿体なしと思ふ身勝手 2020.10.05
- 吹く風の生暖かき夕刻は彼岸過ぎたる日本列島 2020.10.04
- 川岸で鉄砲ならぬ iPhone を向けし瞬間鵜は逃げ去りき 2020.10.03
- くつきりと晴れ渡りたる夜空には真の名月浮かびゐるなり 2020.10.02
- 中秋の名月なれば夕暮れを迎ふる前に雲の晴れたり 2020.10.01
- 夕暮れの早まりたれば県道に家路を辿る車のライト 2020.09.30
- 夕暮れに黄に色づける薄の穂わずかながらも垂れ下がりゐる 2020.09.29
- 白鷺と鴨の声する彼方より朝霧晴れて青き空見ゆ 2020.09.28
- 川土手に平らに続く風景に刈り残したる田の黄金色 2020.09.24
- 川向かうヘッドライトが流れ行き夜長の頃となりたるを知る 2020.09.23
- 秋彼岸空も川面も澄みきりて真東よりの陽は昇り来ぬ 2020.09.22
- 水草の初めて直に日を浴びて堰を緑に囲める彼岸 2020.09.21
- 秋の川の堤防の色に水嵩の減りたる跡の歴然と見ゆ 2020.09.20
- 川向こう家路を辿る自動車の灯が次々に流れ過ぎ去る 2020.09.19
- 遙かなる南米の風運ぶらしサルビア・グアラニティカといふ名の花 2020.09.18
- 一輪の萎るればまた新しき一輪の咲くウォーターリリー 2020.09.17
- 川に浮く鴨のにはかに増えゐたり季節は秋に進みたるなり 2020.09.16
- 水嵩の減りて中州の露出せる川ごみも今は流れたるらし 2020.09.14
- 雲の下見渡す限り刈り穂にて秋風の吹く頃となりたり 2020.09.13
- 秋来ぬと実感したる塀際にピンクと白の木槿咲きゐる 2020.09.12
- 青空の柱の如く立つ雲の見る間に来たり足早に去る 2020.09.11
- さまざまの形に浮かびまたさらにもくもくと湧く長月の雲 2020.09.10
- ひむがしに広がり立てる雷雲の縦横斜めに走る稲妻 2020.09.09
- 残暑とはいへど日暮れの早まりて対岸を行くヘッドライトよ 2020.09.08
- 列島をかすめて過ぎし台風の川面に刻む波影深し 2020.09.07
- ながつきに入りて暮れゆく対岸の道滑り行くヘッドライトよ 2020.09.06
- 綿雲の入道雲と膨らみて風に吹かれてかなとことなる 2020.09.05
- 明け方に稲穂の揺れてゐたる田の午後は刈田に変はりゐたりき 2020.09.03
- 窓の外久方ぶりに音立てて雨の落ち来る様に驚く 2020.09.02
- 川土手の緑の草に白く浮く思ひがけなきほどの朝露 2020.09.01
- 夜も更けて雲に隙間の空ききたり明くれば冬の朝となるらし 2019.11.28
- 午後五時の橋を行き交う自動車は全てライトを灯しゐるなり 2019.11.27
- 秋の気を葉に閉ぢ込めて地に落とし無きものとする銀杏の並木 2019.11.26
- 日暮れては冬の控ふる彼方より冷たき風の届き始めき 2019.11.25
- 昨日ほど冷たき雨にあらねども街は夜霧に包まれてをり 2019.11.24
- 神無月降る雨のいと冷たきに川越しに光る街頭滲む 2019.11.23
- 続きたる晴天を打ち消す如くこの雨はまだ降り続くらし 2019.11.22
- 秋晴れの空は今日にて見納めと天気予報のいふ頃となり 2019.11.21
- 冬晴れの色となりたる空の下刈田は未だ秋の色なり 2019.11.20
- 遠近を飛び歩きゐて知らぬ間に紅葉の色の深まりてあり 2019.11.18
- 薄とは晩秋の陽に照らされて光るものなり風に揺れもし 2019.11.17
- 川土手に立ちて遙かに眺むれば秋の流れの幅となりたり 2019.11.16
- 二割ほど欠けたる影の境目は月にてもまた夕暮れならむ 2019.11.15
- 上空に流るる風の方向を川のごとくに示す秋雲 2019.11.14
- 明日はまた北海道に発つという夕暮れとなり月は雲間に 2019.11.11
- 午後五時を過ぎれば既に日暮れにはあらず世界は宵となりゐる 2019.11.07
- 長々と続く鏡の川面には夕べの光映りゐたりき 2019.11.01
- 大雨の気配の去りてどこまでも滞りなき青空嬉し 2019.10.28
- 黒雲の穴の彼方の青空の未だ明るき秋の夕暮れ 2019.10.27
- 降り注ぐ雨を集めて水嵩の土手に迫れるつくばの川よ 2019.10.25
- うろこ雲つくばの空に固そうに浮かびゐるなり明日は雨とふ 2019.10.24
- 午後七時過ぎたる川の向こうには白黒のみの夜空広がる 2019.10.23
- 板東の雨止みたればすぐそこに虹といふもの立ち上りをり 2019.10.22
- 静かなる川面に丸き波立てて鴨たちはただゆつたりと泳ぐ 2019.10.21
- 収穫の済みたる畑を見下ろして風に吹かれて揺るる薄よ 2019.10.20
- 水嵩の引きたる川に白鷺の舞ひ来たりては魚を追ふなり 2019.10.19
- 台風の雨乾きたる田舎道犬の散歩の人が行き過ぐ 2019.10.18
- 日暮れより冷たき雨の降り始めやうやく乾ける刈田を濡らす 2019.10.17
- 台風を耐へて咲きゐるコスモスの最後の蜜を蜂は吸ひ飛ぶ 2019.10.16
- 川岸の木々がくつきり映り込む水嵩増した流れの中に 2019.10.15
- 台風の被害を綴るメール続くつくばの里は平穏なれど 2019.10.14
- 野分去り東の空にのつそりと重量感ある満月浮かぶ 2019.10.13
- 南より来る生ぬるき強風の川面に刻む深き波紋よ 2019.10.12
- 薄紅の花を咲かせしその朝に野分の雨に濡るる木槿よ 2019.10.11
- 遙かなる海上にある台風の端より来たる風渡る沼 2019.10.10
- 空の色そのまま青く映しゐる川沿いの土手でペダル漕ぎたり 2019.10.09
- 秋の日に鳥もひたすら眺めゐて風に吹かるる小紫の実 2019.10.08
- 望遠を効かせて写す我あるを知るよしもなく鷺は魚追ふ 2019.10.07
- 朝方の雨止みたれば風に揺るコスモスの疾く乾きたりけり 2019.10.06
- 自転車で街を走ればクルマでは見えざるものもしかと見えたり 2019.10.05
- 念入りに筆で描きたる如き雲入り日の蓋をする如く湧く 2019.10.02
- 青空の奥に浮かべる白雲の高さが空の高さとなりゐる 2019.10.01
- 百匹の猫も相手にできるほど土手に群れ揺る猫じゃらしあり 2019.09.30
- 川底に両脚付いて白鷺は時の経つのを眺めゐるなり 2019.09.29
- 彼岸過ぎふと気がつけば日は暮れてテールランプの赤く去り行く 2019.09.28
- 日暮れてはヘッドライトが県道を滑るが如く行く彼岸過ぎ 2019.09.27
- 図書館を囲む畑に向日葵の彼岸過ぎても咲き誇りをり 2019.09.26
- 水音の響く川面は白鷺と川鵜の群れで賑はいをれり 2019.09.25
- 秋の日の暮れて夜道に赤々とブレーキランプと信号灯る 2019.09.24
- 遙かなる海上を行く台風の風に沿ひゐる白雲の列 2019.09.23
- 台風の端より伸びる黒雲の西の空から広がりてあり 2019.09.22
- 日の射さぬ秋空の下柿の実の青きままにてぶら下がりをり 2019.09.21
- 花の蜜吸ひゐる蝶の何もかも忘れて光る羽の光よ 2019.09.20
- 我が宿の裏手の川に白鷺の戻り来たれり季節移りて 2019.09.19
- 日暮れより雨は上がりて波立たぬ川面に映る平らなる雲 2019.09.18
- 板東の刈田の彼方遠くしてただ青空と白雲のあり 2019.09.17
- 雨上がり西の空にはほんのりと夕焼け色の立ちて消え行く 2019.09.16
- 中秋の名月過ぎて二日経つ今宵も月は清かに光る 2019.09.15
- 牛蛙鳴く声絶ゑて静かなる土手に淋しき秋風渡る 2019.09.14
- 雑草を根こそぎ刈りて五日経ち再び緑立つ草原よ 2019.09.13
- 「涼しくていいねと」同じ挨拶を何度も交わす青空の下 2019.09.12
- 台風で飛ばされ流れ来たるらしバレーボールの川中にあり 2019.09.11
- 台風は遙か彼方の海上に去りたりといひ今日も猛暑に 2019.09.10
- 大雨で膨らむ土手の川面には夕焼け映る台風一過 2019.09.09
- 川面には波一つなき静けさのうちに野分は近づきてあり 2019.09.08
- 彼岸まで半月残りゐるといへ日暮れの早きことに驚く 2019.09.07
- 四角なる田をぐるぐると廻るうち稲は機械で刈り取られゐる 2019.09.06
- 物干し場の洗濯ばさみにしがみ付きジジジと鳴きて蝉は去りたり 2019.09.05
- 秋の日の陰るにつれて黒ずみて輪郭消ゆるうろこ雲なり 2019.09.02
- 青空に白き絵の具を落としたる如く広がる雲の秋なり 2019.09.01
- それほどの水位の上昇見ることもなく流れゐる小貝の流れ 2019.08.28
- この年も白き木槿の咲き始め夏終はるまで咲き続くらむ 2019.06.29
- 一月と半分余り残したる平成三十年のコーヒー 2018.11.14
- ふと窓を振り返り見る午後五時に枯れ草色も緑も見えず 2018.11.13
- 猛暑より一瞬の間に変はりたる心持ちする冬の気配よ 2018.11.12
- 午後六時牛久沼には街の灯とブレーキランプの列が映り込む 2018.11.11
- エルニーニョ発生せりと伝へられ夜空に白き雲ぞ流るる 2018.11.10
- 長く伸びそして流れて消え去るは県道を行く車の灯かり 2018.11.09
- 四十年継ぎ足し育て今日に至る天然酵母のパンよ 2018.11.08
- 絞り染め思はする雲漂へど筑波の嶺は隠れざりけり 2018.11.07
- 水量を一気に増して流れゐる川の向こうに霞む家々 2018.11.06
- ふと見れば既に日暮れの時なりき白雲未だ見分けつけども 2018.11.05
- 湿りたる杉の木肌に走る皸を修復せるが如く匍ふ蔓 2018.11.04
- 舌先に僅かな刺激感じつつ酸味の強きヨーグルトすする 2018.11.03
- 夕暮れの道より望む筑波嶺のピークに昨日我はありたり 2018.11.02
- 筑波嶺の南西の空白雲に覆はれ太平洋は霞めり 2018.11.01
- 夏過ぎてきちんと秋は来たるらし薄の白き穂もほころびて 2018.10.31
- 秋空を横切りて飛ぶ旅客機の頼もしくさえ見ゆる輝き 2018.10.30
- 暮れて行く空には星が見え始め地には街の灯ともり始めき 2018.10.29
- 電線は見渡す限り留まりゐる烏の影に埋もれたるなり 2018.10.28
- 夜半より降り始めたる雨の止み日の暮れたるも月は見えざり 2018.10.27
- 雲陰に居待月てふ名の月の潜みゐてほの明かりのみ見ゆ 2018.10.26
- 長月の短き秋の空に浮く連夜の丸き月を見上げむ 2018.10.25
- 望月と見まがふまでの真ん丸の月を立待月といふらし 2018.10.24
- まだらなる黒雲越しに昇り来る望月の縁滲みゐるなり 2018.10.23
- 国道の彼方に秋の日は沈み信号の色滲み初めたり 2018.10.22
- 県道を走る車の照明の糸引く如く流れゐる宵 2018.10.18
- 田舎道最終バスの直前のライトの中でただ暗きのみ 2018.10.17
- 暗き雲途切るることもなき空に肌寒きまで風渡りゐる 2018.10.14
- 台風になぎ倒さるることもなく立つコスモスのそよ風に揺る 2018.10.13
- 斑色の台湾杜鵑といふ花の蜜吸ふ蜂の飛び来る 2018.10.12
- 峠より見る谷筋に僅かにも始まりゐるか紅葉の秋 2018.10.10
- 突然の小雨の後の青空はやや重たげに綿雲が浮く 2018.10.09
- 天候は行きつ戻りつ気がつけば秋の深まる足取りならむ 2018.10.08
- 時ならぬ暑さ戻りし日曜も日暮れて秋の夜長となりぬ 2018.10.07
- くつきりと浮かびゐたりし筑波嶺も瞬くうちに雲に覆はる 2018.10.06
- 予報では一日降らぬはずなりき雨に濡れたる路面の光る 2018.10.05
- 昨日の空を染めたる夕焼けは今日の小雨を止める能はず 2018.10.04
- 西空に夕焼け雲の輝きて小貝の流れ紅く染めたり 2018.10.03
- 南面の窓の網戸を這ひ廻る椿象の腹に見とれてをりき 2018.10.02
- 川幅を普段の倍にまで拡げ野分は夜明け前に去りたり 2018.10.01
- 台風の近づき来たる首都圏の人影もなき駅前に立つ 2018.09.30
- またしても非常に強き台風の道筋に我が列島はあり 2018.09.29
- 玄関のたたきの色に溶け込めど飛蝗は己が陰に気付かず 2018.09.28
- 小雨降る刈田に降りて白鷺はあさるともなく落ち穂をあさる 2018.09.27
- 川土手を越えて吹き来る秋風の彼岸過ぎたる肌寒さなり 2018.09.26
- 雨降りてそして止めども虫たちの鳴き通す声常に変はらず 2018.09.25
- 中秋の名月なれば黒雲も切れて夜空の片隅に寄る 2018.09.24
- 自転車で汗もかかずに渡りたり秋の彼岸の静かなる川 2018.09.23
- 雲量は日の暮るるまで減り続けふと見上ぐれば小望月照る 2018.09.22
- 本格的一歩手前の雨の降る暗き空の日今暮れむとす 2018.09.21
- 花咲かすこと思ひ出し次々に涼しき風に開く木槿よ 2018.09.20
- 暑き日のやや傾けばこの年の時節巡りて咲く彼岸花 2018.09.19
- エアコンのリモコンになど指一本触れたくもなき秋の日暮れよ 2018.09.17
- 舞ひ降りし白鷺が三歩近付けば青鷺は五歩遠ざかりたり 2018.09.16
- 猫じゃらし揺らす涼しき風はまた藪蚊にさへも嬉しきものらし 2018.09.15
- 薄紅き木槿は今日も秋風の渡る小川の岸に咲くなり 2018.09.14
- 久しくも忘れてゐたる肌寒き夕べの風の渡る川岸 2018.09.13
- 気がつけばこの地に住みて四十度目の稲刈り進む田にてありけり 2018.09.12
- 筋雲の波形に浮く青空に涼しき風の吹くぞ嬉しき 2018.09.11
- 日暮れても去らぬ暑さにエアコンのスイッチを切る手が動かざり 2018.09.10
- 湿り気を逃さぬやうに覆ひたる雲のそぞろに空を漂ふ 2018.09.09
- 行く夏を惜しむことなき夕暮れの風にやうやく涼しさをみる 2018.09.08
- 何処より千切れ来たるか横丁の空を横切る雲の速さよ 2018.09.04
- 野分より風流れ込み板東にわけのわからぬ湿り気のあり 2018.09.03
- 秋雨の降り注ぎ来て板東のさしもの熱も冷やされにけり 2018.09.02
- 街路樹の葉の色変はり始めたりさしもの夏も終はりゐるらし 2018.09.01
- この夏に日本各地を襲ひたる豪雨てふものつくばにも降る 2018.08.31
- 行く夏を惜しむ風情の湧くこともなき夕暮れの雲紅く染む 2018.08.30
- 全身に汗をかきつつ蒼過ぎる空と川とを眺めゐるなり 2018.08.27
- 三日ぶりに戻れるつくばの夜空には満月昇り稲妻光る 2018.08.26
- 相次いで野分近付く列島に縁の毛羽立つ雲の連なる 2018.08.23
- 猛暑日の空を映して空よりも青き流れと化する小川よ 2018.08.22
- 空晴れて暑さ戻れる歩道にはぺんぺん草と猫じゃらし生ふ 2018.08.21
- 秋風の渡るつくばの田の色の変はりて稲を刈る音聞こゆ 2018.08.20
- 半月の照れる夜更けに秋風の渡るつくばに戻り来たれり 2018.08.19
- 彼岸とはいえど冷たき雨の旅にぶらぶらいなりてふもの頬張る 2018.03.22
- かそかなる薄桃色に色づきて山の端染むるコナラの葉揺る 2017.11.18
- 川幅の狭くなりたる流れには十一月の空映りゐる 2017.11.08
- 道を埋めるブレーキランプは列をなし夕焼けよりも赤く光れり 2017.11.07
- 野分去り野山を揺らす吹き戻し木枯らし一号と名付けられたり 2017.10.30
- 雨粒の波紋大きく広がりて速き流れに消ゆることなし 2017.10.29
- 台風は遠くにあれど伸び来たる雲の下にて家に籠もれり 2017.10.28
- 水色と青の部分の広がれる天気予報の日本列島 2017.10.27
- 一本の細く伸びたる茎を囲みセージの花の紫に揺る 2017.10.26
- 月末の締め切りにらみ気がつけば陽は落ちて月も見えぬ夜なり 2017.10.25
- よく見れば野分の痕の残りゐるつくばの里に弱き日の射す 2017.10.24
- 野分去り強き風のみ残りゐる川面に深き波紋を刻み 2017.10.23
- 水量の増えたる川に降り注ぐ雨の波紋も流れゐるなり 2017.10.19
- 今夜より再び目立つ水色の広がるといふ天気予報図 2017.10.18
- 懐かしき青空のぞく午後の日の一挙に暮れて冷ゆる夜となる 2017.10.17
- 雲間より地上に注ぐ光より日輪さほど遠からずと知る 2017.10.12
- 貴重なる晴れ間を使へと言はるるも冷たき曇り空の一日 2017.10.11
- 清かなる風切りペダル漕ぎ行けば汗は乾きて滴り落ちず 2017.10.10
- 自転車のペダルを漕ぎて百キロの長き道のり行きて戻りぬ 2017.10.08
- 秋の日の中で光りてぶら下がるエンジェルトランペットといふ花 2017.10.07
- 駐車場の車の窓の雨粒のネオンの光映し出す頃 2017.10.06
- 北限の常陸の里でたわわなる顔のぞかせる青き蜜柑よ 2017.10.05
- ひむがしの空に浮かべる満月のあまりに丸く中秋と知る 2017.10.04
- 対岸の土手より空に響きゐる雑草を刈るエンジンの音 2017.10.03
- 秋の日の落ちて茜の色の消え無彩色なる世界となりぬ 2017.10.02
- 秋晴れの真青なる空目指しつつ若葉の色を残す木は伸ぶ 2017.10.01
- 曇りたる渡良瀬川の対岸に城の如きの建物の見ゆ 2017.09.30
- 川岸の道を平均二十五キロのスピード保ち自転車をこぐ 2017.09.29
- 風もなくそのまま冷ゆる秋の夜の雲の切れ目は刈田の彼方 2017.09.28
- 夜空には雲の切れ目を望むなり夜半に大雨降ると言ふとも 2017.09.27
- 左より秋の夕陽を浴びながら利根川超ゆる快速電車 2017.09.26
- 秋の日に紫の実を光らせて紫式部今此処にあり 2017.09.25
- サイクリングロードを行けば川沿いの風を求むる人の行き過ぐ 2017.09.24
- 西国に降りゐたる雨に追ひつかれつくばの道の濡れ光るなり 2017.09.22
- 昼前に薄雲出でて中折帽の如き推移のソーラー発電 2017.09.19
- 野分過ぎ世界の空気変はりたり刈田に注ぐ熱き日射しよ 2017.09.18
- 黒雲は低く山肌覆ひたり台風十八号の近付く 2017.09.17
- 沖縄を過ぎて本土に来るといふ野分を前に刈田広がる 2017.09.16
- そうめんをすすりて暑き日を過ごし明日の野分の雨を待つなり 2017.09.15
- 何処より飛び来て何処に消え去るか椿象の髭風に揺れゐる 2017.09.14
- 薄雲の切れたる彼方夕陽受け北関東に厚き雲湧く 2017.09.13
- 青空ののぞきやうやく秋の雲空を渡ると気付く夕刻 2017.09.12
- 川土手に赤き色合い滲ませて早彼岸花咲き始めたり 2017.09.11
- 今ひとつ青みの薄き秋空に真夏の如き雲の湧きゐる 2017.09.09
- ところによりぱらつくといふ雨は降る当地はきつとところにもよる 2017.09.08
- 飛び交ひて時に電線に止まりては巣に帰り行く烏の声よ 2017.09.07
- 高台の駐車場より見渡せば黒雲覆う三百六十度 2017.09.06
- 灰色に広がる雲にぽつかりと穴の開きたる日没の頃 2017.09.04
- 両側の窓に緑の迫り来て揺れ揺れ辿る山陰本線 2017.09.02
- 桃色と白の小さき花咲かせヒメツルソバは地を覆ひたり 2016.11.06
- 霜月の枯れ田の彼方陽は落ちて雲の腹さえ暗くなりゆく 2016.11.04
- 牛久沼の丘の起伏の彼方なる夕焼けが水に吸ひ取られ行く 2016.11.03
- 雲薄れ高架の北を見渡せば思ひのほかに筑波嶺ぞ小さき 2016.11.02
- 冷え冷えとしたる昼間に板東の木々は緑のままにて聳ゆ 2016.11.01
- 秋の日のするりと落ちて対岸のヘッドライトの滑りゆくなり 2016.10.31
- 地を覆ふヒメツルソバの桃色の小さき花の白くなりゆく 2016.10.30
- 枯れ葉色増え行く中で風に揺るコスモスは目の奥に染み入る 2016.10.29
- 雨降りの路面に赤と銀色の車の灯り深く映れり 2016.10.28
- 国道の土手越しに日を受けながら薄は光る穂を揺らしたり 2016.10.27
- 秋雨のフロントガラスをわずかにも濡らす日暮れに光る街の灯 2016.10.25
- 花も葉も散らせ尽くして桜木は見えざる華を内に宿すか 2016.10.24
- ひむがしの日射しを浴びて不規則に稜線伸びる南アルプス 2016.10.23
- みちのくの山の彼方に続きたる秋の青空なほ深まれり 2016.10.19
- 夕焼けの紅き西空撮り逃し残照のみの明日につながる 2016.10.18
- 降る雨もさほど長くは続くまじ川の水かさ低きままにて 2016.10.17
- 青空の沼に映りて天地の二倍になれる今日の嬉しさ 2016.10.16
- 死ぬるまで我は三碧木星の来る年の書を買ひ求めたり 2016.10.14
- 台風のまたもあるらしこの秋の三日続かぬ青空思ふ 2016.10.11
- 葉を落とし蕾も見えぬ桜木は秋空に身を隠し佇む 2016.10.10
- 緑なる葉は広がりて黄金色の菊に言葉を発せしむなり 2016.10.09
- 満開のダリアと菊が肩寄せて秋の花瓶に活けられてあり 2016.10.08
- 頬撫づる風の涼しき日の来るを人は今日まで待ちわびゐたり 2016.10.07
- ペダル漕ぎ利根川江戸川中川の三本の川渡りたるなり 2016.10.06
- 日の射さぬ秋とはいえど刈田にはひつじ生えして和らかなりき 2016.10.03
- 白鷺の一羽飛び去り二羽残る水面に真鴨五羽降り来たり 2016.10.02
- 秋風の吹かざるままに日は暮れて街灯はみな滲みゐるなり 2016.10.01
- この秋の長持ちのせぬ青空の機嫌取りせむ月替わりくる 2016.09.30
- 青鷺の流れの中に立てる瀬は思ひのほかに浅しとぞ知る 2016.09.29
- 細長き葉の風に揺れ地面には栗のいがのみかたまりてあり 2016.09.28
- ルッコラは土の恵みを僅かなる苦みと変へて我にもたらす 2016.09.27
- まことにも青き空より届きたり久方のてふ枕詞よ 2016.09.25
- 生けられし花瓶の上で白百合の花はだらりと俯きにけり 2016.09.24
- 雨不足日照不足に耐え来たり花の終はりに近づく木槿 2016.09.23
- 水しぶき上げて彼岸の日にかかる秋雨前線の下潜り行く 2016.09.22
- 曇り空映して川は重たげに流るる如く止まれる如く 2016.09.21
- 台風の風と雨との勢ひは時折休みそして強まる 2016.09.20
- 野分より伸び来る雲の間隙を突きて自転車漕ぎ帰りたり 2016.09.19
- 待ちゐたる雲居の切れ間巡り来て一夜遅れの名月を見る 2016.09.16
- 夕暮れのブレーキランプの眩しさで彼岸近付きつつあると知る 2016.09.15
- 猫じゃらしなびかする風吹かずして川面に波の立つこともなし 2016.09.13
- 夕暮れの川面に丸き波紋あり魚の跳ねたる音に続きて 2016.09.12
- 水かさの減りたる川の草むらに青鷺は立ちじっと動かず 2016.09.11
- 秋桜の僅かに揺れて咲きゐるは風の力か自ら揺るか 2016.09.10
- 日暮れには耳を澄ませば三種類鳴く虫の声聞こえくるなり 2016.09.09
- 日が沈みなほ蒸し暑き部屋の内華氏八十五度摂氏二十九度 2016.09.08
- これでもかと蒸し暑き日の夕空に秋の気配を探してをりぬ 2016.09.07
- イタリアン・グレイハウンド種の犬と秋の半日ともに暮らしき 2016.09.06
- 暑き日の底震はする遠雷の彼方を通り過ぎて暮れゆく 2016.09.05
- 黒雲の中より響く低き音は遠雷鳴るか飛行機飛ぶか 2016.09.04
- 野分去り青く澄みたる空のもと田は黄金にぞ変はりたりける 2016.09.02
- 柚子カボスそしてスダチにシークワーサー青き果実の香りぞゆかしき 2016.08.30
- 台風で倒れさらなる台風を稔りて待てる稲穂は重し 2016.08.28
- 家並みの彼方の空に僅かにも都会の明かり残る夕暮れ 2016.08.27
- 夕暮れの早まりゐるにふと気付く盆の過ぎたる午後六時過ぎ 2016.08.26
- 南洋の熱運び来る台風の狭間の青き空を望みぬ 2016.08.25
- 夕暮れの山並みの彼方雲切れて深みの増せる空となりたり 2016.08.24
- 台風は去れども空も人の気も晴れぬままなる一日なりき 2016.08.23
- 木を揺らし小枝をちぎり川幅を三倍にして野分去りたり 2016.08.22
- 西の地平かなとこ雲の両脇を紅染めて夏遠ざかる 2016.08.21
- 暮れて行く空に世界で一本の電信柱ただ立ちてあり 2016.08.14
- 我が宿の裏を流るる川面には秋思はするさざ波の立つ 2016.08.13
- 立秋に入ればさしもの向日葵も疲れの色の顔に出でたり 2016.08.11
- 蝉時雨降り注ぎゐる草むらに鈴虫の声聞こえ始めき 2016.08.10
- 旅行けば住宅街の道端に肉厚で咲くアマリリスの花 2016.05.19
- 熊本は揺れ続けるに加茂川の水の流れは穏やかなりき 2016.04.20
- 忙しなき日々の隙間にふと覗くもの求めゐる我に気付きぬ 2015.11.12
- マフラーを巻くには早き秋の夜は中途半端に染みる風吹く 2015.11.11
- 東北の日本海側にも似たる雲の空を蔽ひて秋は深まる 2015.11.10
- 何事も思ふことなくひたすらに立ち尽くす技青鷺に見る 2015.11.09
- 部屋干しの洗濯物は雨降りの外の空気とどこかつながる 2015.11.08
- 風向きは常に変はれば往復を向かひ風にてペダル漕ぎたり 2015.11.07
- 好天は今日までなれば川土手に犬の散歩の列をなしゐる 2015.11.06
- 控えめの二十二度てふ設定でストーブのスイッチ入れたる夜更け 2015.11.05
- 先月に注文したるものならむ百枚束の年賀状届く 2015.11.04
- 黄葉の山並み遙か聳え立つ甲武信の谷に白雪の見ゆ 2015.11.03
- 晩秋の日毎早まる日没の夕焼けの色薄まりてゆく 2015.11.01
- 小貝川に膝まで入りて竿を振り鮒釣る人の小さき背見ゆ 2015.10.30
- 枝先で勢ひ込みていちはやく染まるもみぢ葉我が姿なり 2015.10.27
- 真夜中に木枯らし一号吹き渡り明けて川面に深き波立つ 2015.10.25
- 牛久沼淡き紅薄れ行き夕焼け小焼けのオルゴール渡る 2015.10.24
- とりたてて綺麗といふに足らずとも八つ手の花の咲き始めたり 2015.10.22
- 道端に淡きピンクの色をして姫蔓蕎麦とふ花の広がる 2015.10.21
- 日没は日毎一分早まりて散歩の犬もはや通り過ぐ 2015.10.20
- 平らかに流るる川は平らなる水面に人の世を映し行く 2015.10.18
- 明くる日は穏やかに晴れ渡るとふ夕暮れ空にその兆し見る 2015.10.17
- ハロウィーン終はらぬうちにクリスマスケーキの香りし始めにけり 2015.10.16
- 露出せる川底に取り残されし発泡スチロールの白き箱 2015.10.15
- 黄昏は薄紫に空を染めまだ真直ぐにぞすすき立ちゐる 2015.10.14
- さわやかに暮れていく日のうちにある慌ただしさとよしなしごとよ 2015.10.13
- 地平まで広がり伸びる秋空を埋めて綿雲白く浮くなり 2015.10.12
- 小糠雨降り続きたる一日も日暮れて道は乾きゐたりき 2015.10.11
- 地平線に沿ひたる雲に区切られて蒼と紅に染まる夕空 2015.10.07
- 水かさの減りたる川の土手腹にセイタカアワダチソウ咲き始む 2015.10.06
- 小貝川に波紋を刻む向かい風かき分けながら自転車をこぐ 2015.10.05
- 坂道を風より速きスピードで我が自転車は真直ぐに下る 2015.10.04
- 穏やかに青空と白き雲を映す湖面は皆を善人にする 2015.10.03
- この年は夜来の風に散る花もなくて木槿は闇に佇む 2015.10.02
- 夜更けには嵐来るらし牛久沼にその前触れの波の立ちゐる 2015.10.01
- 秋の日のビルの隙間の取手駅に電車は滑り込みセーフなり 2015.09.30
- もくもくと上に伸び行く入道雲消えて広がる秋の白雲 2015.09.29
- 繁りたる緑の奥で柿の実は心を燃やす赤さ増しゐる 2015.09.28
- 虫の声聞く十五夜の月白くの静かの海にエルニーニョ映る 2015.09.27
- 泥水に浸かりて刈り取り前の稲は横倒しのまま人を待つなり 2015.09.26
- 穭田の緑に降りて容易には飛び立たず鷺は落ち穂食むなり 2015.09.25
- 何事もなく彼方なる灯火の見ゆる夜景のありがたきかな 2015.09.23
- 水害の現場をかすめ帰り来て明日ボランティアに行かむと思ふ 2015.09.21
- 暑き日の暮れたる宵のスーパーの駐車場の灯遠ざかり行く 2015.09.20
- 久々に汗をかきたる秋の日の夕暮れ空に浮かぶ三日月 2015.09.19
- 小夜更けてオニオンスープで暖を取る明日は夏日になるてふものの 2015.09.18
- 我が宿の裏手の川は水かさを再びましてその色暗し 2015.09.17
- 今夜より降るらしき雨夜更けても未だ降らざりつくばの里に 2015.09.16
- 三十里自転車漕ぎて埼玉と筑波のさとを結びたりけり 2015.09.15
- 空晴れて人の心もつぶすまでの重たき水の気配去りたり 2015.09.14
- 大雨の降り続きたる空晴れて夕暮れの光真直ぐ伸びたり 2015.09.12
- 渦を巻く濁流の川鎮まらず澄む青空を映すことなし 2015.09.11
- 大雨の合間の土手に立ちたれば草むらに虫鳴く声聞こゆ 2015.09.10
- 明日よりは大雨となるその先に裏の川面は高くなりたり 2015.09.09
- 台風の二つセットで近付くは今年のならひなればの雨よ 2015.09.08
- 信号を待つ間のエンジン停止して心地良きかな夜の静寂 2015.09.07
- 秋雨の滴の乾く暇もなく週末の晴れを稲は待つなり 2015.09.06
- あまりにもさりげなく咲く道端のカトレアらしき花を写せり 2015.09.05
- 川底の見え始めたる秋の川に小さき雨の波紋広がる 2015.09.03
- 珍しく晴れたる空に二つ三つ木槿の花の開きゐるなり 2015.09.02
- 夕暮れに僅かばかりの青空をのぞかせ今日といふ日の終はり 2015.09.01
- 木の葉散り実の地に落つる頃なれば "fall" といふも腑に落ちたりき 2015.08.31
- 数日の雨に濡れたる草むらで虫たちの声今日も増したり 2015.08.30
- 虫たちの声は日本のわが耳に障ることなく秋は更けゆく 2015.08.29
- 明るさの残る時分の電車にて帰宅する身をなんぞ恥ずべき 2015.08.28
- この夏の突然の終はり突然の再開となるに未だ至らず 2015.08.27
- 北の地の広き道路を吹く風に秋は清かに染みてあるなり 2015.08.24
- 街路樹の紅く染まりてこの年の分厚き秋の行くを見守る 2014.11.09
- 日の射さぬ川の畔にほほけたる薄の穂揺れ冬がまた来る 2014.11.08
- 裏庭は過ぎにし夏の終はりよりチェリーセージの散りてまた咲く 2014.11.06
- 木枯らしの吹きて冷え込む夜明けにも咲く寒菊のよき面構へ 2014.11.05
- 秋晴れの里の土手より北に望む筑波の嶺の際立ちてあり 2014.11.04
- 夕暮れの雲と陸との隙間には紅く染まれる空深かりし 2014.11.03
- 秋といふ季節のかくも長き年は二度となからむ薄の穂揺る 2014.11.02
- 白鷺は飛び去りてその白さのみ秋雨と薄霧のうち残りゐるなり 2014.11.01
- 三月前薄暮でありし午後七時暮れに暮れにし晩秋の七時 2014.10.30
- 秋空の色と入り日の色を浴び地にて凝縮したる桔梗よ 2014.10.29
- 谷といふ字のつく地名多き地の西の地平は夕焼けに染む 2014.10.28
- さざ波もなき夕凪の川面にはドコモの塔がすくと逆立つ 2014.10.27
- 秋空の青さの下で柿の実の赤きは秋の印なりけり 2014.10.24
- 大利根の流るる先の雲厚く秋の入り日の見ゆることなし 2014.10.23
- 音もせで降り始めたる通り雨を川面に満つる波紋にて知る 2014.10.20
- この年は柿食わぬうち気がつけば柿の季節は深まりてあり 2014.10.19
- 夕焼けの茜に染まる金ケ岳の中腹に紅葉始まりたるらむ 2014.10.18
- 何もなき空広々と見ゆる日は車を停めて歩きてぞみむ 2014.10.17
- 戻り来れば去りたるばかりの台風を忘れしごとき静かなる夜 2014.10.14
- 常陸野に白き花咲く蕎麦の道にはや新蕎麦の香り立ちたり 2014.10.12
- 我が宿の梅の木枝に止まり来て一羽の鳩のぐるぐると鳴く 2014.10.11
- 柿一つ葉を落としたる枝にあり中秋のうちの晩秋の色 2014.10.10
- 雲間よりこぼるる秋の月影は工事現場の灯より明るし 2014.10.09
- 地球なる星の影受け空に浮く月は球体なりと知る夜 2014.10.08
- 台風が空の薄皮一枚を持ち去りしごと晴れてゐるなり 2014.10.07
- 半日で野分去りたる秋空の暮るれば白き十三夜月 2014.10.06
- 雨の夜の野辺の一本道の奥の闇の彼方に野分あるらし 2014.10.05
- 薄紅の木槿は秋の深まるを知りて最後の花弁を開く 2014.10.04
- 濃き影を落とす真夏の如き日の下で猫じゃらしは揺れている 2014.10.03
- 何処より飛び来たれるか薄紅の木槿の咲きて秋は深まる 2014.10.02
- 秋風にセイタカアワダチソウは揺れ頭の先の色づき始む 2014.10.01
- 新蕎麦の出回るころにまた来むと思ひたるなり高速道に 2014.09.30
- 秋空の下に真白き花咲けば初めて蕎麦の畑と気付く 2014.09.29
- 日暮れにはまだ早しとぞ思ふ間にヘッドライトの遠くに光る 2014.09.28
- 秋空の奥に照る日の沈むまで苦にするまでもなき暑さかな 2014.09.27
- 秋らしさてふ日本語に真実味加へて白き雲浮かびゐる 2014.09.26
- 彼岸過ぎの宵闇の中帰宅する我を迎ふる鈴虫の声 2014.09.24
- 風渡る秋の彼岸の刈り田には穭生えして緑広がる 2014.09.23
- 利根川と一つになりて大海に注ぐ小貝の流れは青し 2014.09.22
- 球場でナイター試合のしゐるらむ遠くの夜空照らす照明 2014.09.19
- 老人の散歩の姿のみ目立つ土手の秋風揺るる猫じゃらし 2014.09.18
- 稲刈りを待つ田に接し刈り田あり色の違ひのさほどでもなし 2014.09.17
- 気がつけば日の暮れてゐる世の中に虫の声のみ鳴り鳴り響く 2014.09.16
- 宵闇の迫る六時を過ぎる頃車の行く手遙かの明かり 2014.09.15
- 中秋の乾きたる風吹く土手に百日紅の花は咲きをり 2014.09.14
- 夏過ぎて乾きたる風吹き渡る川に白鷺戻り来たれり 2014.09.13
- 川幅を広げて雨は去り行きぬ水面に波紋一つ残さず 2014.09.11
- 秋風のつくばの里に昼も夜もなく虫たちの声響きをり 2014.09.10
- 十六夜の月は大きく浮かびをり中秋の風わずかに吹きて 2014.09.09
- 中秋の名月の空覆ひたる台風十四号の黒雲 2014.09.08
- 二日見ぬうちに月こそ太りけれ明日中秋の名月となる 2014.09.07
- 鈴虫の当たり年なり我が宿の庭に膨らみ重なる音色 2014.09.06
- 黒雲に開きたる穴に宵月の出でて中秋の名月は遠し 2014.09.05
- 日常とはかくもゴージャスなるものかダリアは丸く道端に咲く 2014.09.04
- 綿雲の空に浮かべど伸び伸びて積乱雲には至らざりけり 2014.09.03
- 前庭に蟋蟀は鳴き裏庭に鈴虫鳴きて秋は深まる 2014.09.02
- この年の秋は早くも来にけらし頭を深く垂るる稲穂よ 2014.09.01
- 青空に綿雲浮かぶ坂東のクリスマス・イブにつながる光 2013.12.24
- 風寒き晩秋なるかさてはまた初冬なるかの知れぬ夕暮れ 2013.11.19
- 水嵩の低くなりたる川岸の小春日和に薄ぞ揺るる 2013.11.18
- 晩秋の高みに昇り地を進むヘッドライトに負けぬ望月 2013.11.17
- フルーツの味じわじわと茶に移りわが体にも染みる晩秋 2013.11.15
- 利根川を舟で下らば吹き渡る木枯らしの身に浸むる日なるらむ 2013.11.12
- 不意の雨止みたる宵の風のうちに間近に迫る冬を見たりき 2013.11.11
- 秋深み冬の気配の唐突にクリスマスツリー立ち始むなり 2013.11.10
- 廃屋の忘れ去られし軒下にグリーンカーテン名残の朝顔 2013.11.09
- 岡堰の彼方を染めて仄かなる夕焼けの色拾う川面よ 2013.11.08
- 真白なるマーガレットの花のみの五輪いけられ玄関にあり 2013.11.07
- 千日の光を受けし色なれば千日草は道端を埋む 2013.11.06
- 朝霧の残る刈田の奥深く青鷺飛びて鳴く声ぞする 2013.11.03
- 秋雨のいつしか止めば日の落ちし時も知られず既に夕闇 2013.11.02
- 白鷺は濁れる川に真白なる影を映して秋空深し 2013.10.31
- 見上ぐれば長く続かぬ秋空に追ひ立てらるる心地する頃 2013.10.30
- 夕暮れの携帯電話の基地局を飛び交う電波も川に映るか 2013.10.29
- うねうねと薄く波打つ筋雲の端より端に伸びる秋空 2013.10.28
- 川土手に木と家々の濃き影の映り刻まれ秋は過ぎゆく 2013.10.27
- 野分去り雲の切れ間に早々と晩秋色の青空を見る 2013.10.26
- 列島の空気はさらに入れ替わり野分の雨を夜は受けむとす 2013.10.25
- 遙かなる海に野分の迫る頃木槿は全て咲き尽くしたり 2013.10.24
- 川土手を覆ひゐたりき夏草も刈られ見上ぐる空の秋色 2013.10.23
- 快速で秋の日は落ちこの里に各駅停車の闇は広がる 2013.10.22
- 朝霧の薄らぎ行けば太陽は思いの外の高みにて照る 2013.10.21
- 秋深み草の茂れるわが庭にただ一匹のこほろぎぞ鳴く 2013.10.20
- 薄揺れ最期の木槿咲きかけて遂に咲かぬか風の冷たさ 2013.10.19
- 暑き日と肌寒き日の繰り返し秋ともしれぬ秋の甘酒 2013.10.18
- 青空に白く鎮まる半月の夜半に至りて黄味を増したり 2013.10.13
- 真夏日の日射しの中で薄揺れセイタカアワダチソウの色づく 2013.10.12
- 赤き実を激しく揺らし吹く風のなま暖かさ秋ならぬ秋 2013.10.11
- 緑布く穭田に降り白鷺は落穂あさるを忘れ佇む 2013.10.10
- 真夏日の今日名ばかりの十月の空に黒雲疾く流れ行く 2013.10.09
- 稲刈りの終れば元の川幅に戻り静かに行く小貝川 2013.10.07
- 飛び跳ぬる鯉の痕跡幾つもの同心円で広がる波紋 2013.10.06
- 雨に濡れ底なし沼の深みまで街の灯りを映す夜道よ 2013.10.05
- いつになく冷え込む夜半は暖かきうどんで滲む心地良き汗 2013.10.04
- 哀しきは己がブログにコメントしスパムとさるる長き秋の夜 2013.10.03
- 野の露は雲居の色に染まりゐて草の緑の透きて浮かばず 2013.10.02
- 夕暮れの空を流るる秋雲の切れ間に見ゆる時の移ろひ 2013.10.01
- 星見えぬことで雲居に覆はれて雨近づくと知れる夜空よ 2013.09.30
- ただ軽き秋の空気を透かし見るビルの灯りは瞬きもせず 2013.09.29
- つつましく咲き続けてはこの秋の最後に近き白き木槿よ 2013.09.28
- 錆の浮くフェンスの縁に錆色をしたる尾の秋津じつと動かず 2013.09.27
- 黒雲の彼方夕陽の柔らかく見ゆる黄昏に辿る家路よ 2013.09.26
- 暮るるまで日がな咳き込み家を出ず汗もかかずに過ごしたりけり 2013.09.25
- 彼岸過ぎ薄の揺るる常のことも常にあらずと思ふこの頃 2013.09.24
- 暑さ消す彼岸の風に何よりも激しく揺るるえのころぐさよ 2013.09.23
- 立葵移れる空にこの年の最後の花を咲かせゐるなり 2013.09.22
- 彼岸に入り汗ばみつつも涼しとふ挨拶するは口惜しきかな 2013.09.21
- 穭田の彼方に秋の白雲の漂ふ見えて名月を待つ 2013.09.19
- 名月を明日に控へてひむがしの空より小望月は昇れり 2013.09.18
- 利根川は溢るるほどの流れにて秋の夕陽に照らされゐたり 2013.09.17
- 大会の終りし野球グランドの芝はひたすら緑なりけり 2013.09.14
- 稲刈りは進み水嵩減る川の昔の姿ぞ思ひ出さるる 2013.09.13
- 野を行けば渡れる蝉の鳴き声もつくつく法師のみとなりけり 2013.09.10
- 青空を横に流るる白雲の下に広がり行く穭生え 2013.09.09
- 雨上がり朝に咲ける昼顔の黄昏までにしぼみたりけり 2013.09.08
- 存外に静かなるなり近頃の中学校の運動会とは 2013.09.07
- 夜長なれば生き返りたる心地して生き返りたる街灯見上ぐ 2013.09.06
- 穏やかに晴れたる空を見上ぐればその穏やかさありがたきかな 2013.09.05
- 真黒にも湧き上がる雲の外側に危ふく存す日常世界 2013.09.04
- 晩夏とも初秋ともつかぬ青空と二十一世紀の海風よ 2013.09.03
- 背の中に頭(かうべ)を埋め木枯らしを受け始めたる川に立つ鴨 2012.11.06
- 晩秋の空は雲居に覆はれて店の灯りで暮るるとぞ知る 2012.11.05
- 秋の夜のコーヒーショップの店先のテーブルにつく人影もなし 2012.11.01
- 産土(うぶすな)の神の社に幹太く欅は聳ゆ空を覆ひて 2012.10.31
- 真ん丸の十六夜月の照る下をヘッドライトが音もなく行く 2012.10.30
- 街の灯の冴え冴えとして揺れざるをただ心にて揺らしみる秋 2012.10.29
- 蕎麦を食えば宵闇に降る秋雨の粒の細かく漂ひにけり 2012.10.28
- 黄に赤に咲きゐる秋の花々のマリーゴールドてふ名を知りぬ 2012.10.27
- 駅前のロータリーには人気なく最終バスは出て行きにけり 2012.10.25
- 薄墨を流せし如く湧く雲の染まり始むる紅葉を覆ふ 2012.10.23
- 黄昏の空には何の目印もなく暮れて行く薄も揺れず 2012.10.19
- 土手下でことさら目立つこともなくセイタカアワダチソウが咲きゐる 2012.10.18
- 鴨汁に蕎麦を浸して立ち昇る香りとともに啜り込みたり 2012.10.16
- テーブルに籠一杯の香りして既に蜜柑の季節となりぬ 2012.10.14
- 白雲の乾きて青き空に伸び銀杏は未だ緑にて立つ 2012.10.13
- 我が宿の窓辺に映る半袖のポロシャツの影晩秋は遠し 2012.10.12
- 夕焼けの雲控へ目に流れゐて宵のうち降る雨を示すか 2012.10.11
- 秋風に波立つ川の白鷺の首より先の像を結ばず 2012.10.08
- 行く水も秋の色にぞ染まりける棲む鯉もまた太しかるらむ 2012.10.07
- 対岸の所々に穴の開く雲の隙より漏るる黄昏 2012.10.06
- 残暑過ぎ花芽の焼けず開きたる木槿の白の目にぞ涼しき 2012.10.05
- 青空の下で魚追ふ鷺たちの白き姿の揺るる川面よ 2012.10.04
- 日暮れての上野の駅の灯は白く都会の秋に溶け込みて行く 2012.10.02
- 十六夜の月といふより望月の全き丸みの月ぞ見上ぐる 2012.10.01
- 待宵の月を望みてこの年の野分の前の名月とせむ 2012.09.29
- 雲の縁巡る季節の境目の空に浮き立つ黄昏の時 2012.09.28
- 日帰りの出張終へてつくばなる地に立てば秋は深まりてあり 2012.09.27
- 日の暮れのかく早きとぞ知りにける高速道のレストランにて 2012.09.26
- 小名浜の雲を染めたる夕焼けに暗き影なき時来るを待つ 2012.09.25
- どんぐりは日に光る葉と変はりなき青き色にて成りそめゐたり 2012.09.24
- カーテンの隙よりのぞく宵闇に彼岸の雨の降り残りたり 2012.09.23
- をちこちの旅より戻り坂東のいと早き日の入りに驚く 2012.09.22
- 暑き日の刈田に緑敷き詰めて白き鷺舞ふ様を照らせり 2012.09.19
- ぎらぎらと目を射すほどの青空の下で木槿は絶えず咲きゐる 2012.09.13
- 目の痛くなるほど青き空の下に川底見せて水淀みゐる 2012.09.12
- 川土手の枯れ草色は枯れたるにあらで日焼けし草の色なり 2012.09.10
- 季節とは日暮れて進むものなれば残暑を嗤ふ虫たちの声 2012.09.09
- 完熟の果肉が剥がれ種のみがするりと残る桃ぞ嬉しき 2012.09.08
- 水面の下には長き脚を沈め首を伸ばして魚を追ふ鷺 2012.09.07
- をちこちに街の灯映す水溜まり残りて秋の風渡りゐる 2012.09.06
- みちのくの土産の梨と桃の色の夏の終わりを告げてぞ香る 2012.09.04
- 待ちゐたる雨は降るには降りたれど地面を冷やすほどには降らざり 2012.08.31
- 坂東の降らざる雨を待つうちに乾き果て行く花芽ぞ悲しき 2012.08.28
- 縦に湧く夏雲の彼方広々と白く流るる秋の雲見ゆ 2012.08.27
- 新品の運転免許を交付され白き日射しの中を帰宅す 2012.08.26
- 空の青あまりに濃きに地に実る稲穂は未だ刈られざるなり 2012.08.25
- 汗をかくペットボトルの冷たさを我が体内に注ぎ込むなり 2012.08.24
- 真青なる残暑の空の陽を受けて頭を垂るる今日の稲穂よ 2012.08.23
- いにしへに影の射すとぞ言ひけるもむべなるかなと思ふ空色 2012.08.22
- 乾きたる土を覆へる枯れ草の色も焼け付く川土手の道 2012.08.21
- まぶしさの残暑の日射し受けながら百日草は路地裏に咲く 2012.08.19
- 雷の遠離りまた近づきて濃き水蒸気昇り降りす 2012.08.18
- 妙高の高原の秋に紫陽花の不思議に白き花の咲きゐる 2012.08.10
- 青空に白き木槿の花は咲き散りまた咲きて秋を呼ぶなり 2012.08.09
- 坂東の真青の空に秋立てば秋の姿の雲ぞ流るる 2012.08.08
- サルビアの小さく紅き花びらを揺らすほどにも風吹かぬ午後 2011.11.29
- 緑なる竹の隙間を縫ふごとく深まる秋を知らする紅葉 2011.11.28
- 晩秋に何気なく咲くパンジーの秋とも冬ともつかぬ花色 2011.11.27
- 夕暮れの冷たき風に暖かき光を送るクリスマスツリー 2011.11.26
- 晩秋とも初冬ともつかぬ乾きたる冷たき空気の奥に日は入る 2011.11.25
- 北風の吹き降る川は波だけが疾く渡りゐて水は動かず 2011.11.24
- 冷え冷えとした風吹けば世の中の秋といふ字の消えてゆくなり 2011.11.23
- 紅葉葉に結びし夜露日を浴びて流るれど地に落つることなし 2011.11.22
- 青鷺は姿に似合はぬぎやあといふ声を残して飛び去りにけり 2011.11.15
- 夜更けても肩をすぼむるほどの風吹かず人らのかろき足取り 2011.11.14
- 平成の秋に明治の小説を電子の文字で読み進むなり 2011.11.13
- 降り積もる落ち葉の色の浮世絵の色に重なり秋は深まる 2011.11.12
- 晩秋の薄の穂から茎に垂るる雨の滴のわずかに光る 2011.11.11
- 秋深み干て現れし川底に足跡残し鴨は去りたり 2011.11.06
- 秋深み日ごとに落ちて減る柿の色を求めて鳥の飛び来る 2011.11.05
- 色満つる休耕田を吹き抜けて宇宙に届けコスモスの風 2011.11.04
- 吹き渡る風よりほかに秋といふ節の知らるるものなき都会 2011.11.02
- 薄の穂わずかに揺るる夕暮れの風とも言へぬ風ぞ渡れる 2011.11.01
- 夕暮れに雨は来たりき対岸のからす静まりかはづ鳴き初む 2011.10.30
- 貴船より鞍馬にかけて歩きしを思ひ出すなり貴船菊見て 2011.10.28
- 人影も白鷺も見ぬ刈田には深まる秋の風通り過ぐ 2011.10.27
- 県道をヘッドライトの列は行く辿る家路のあるぞ嬉しき 2011.10.26
- 川岸に身を縮め咲く様となればセイタカアワダチソウも憎めず 2011.10.25
- 庄内は秋にてありぬ戻りくれば筑波の秋も深まりてあり 2011.10.24
- 秋桜の咲くただ中に佇めば宇宙に一人坐する心地す 2011.10.15
- 潔白の愛は或ひは足許の真白き花の形なるらむ 2011.10.14
- テーブルの蜜柑の蒼き宵の口LEDの真直ぐの光 2011.10.13
- 僅かにも赤みを帯びて山肌は白き浮き雲支へゐたりき 2011.10.12
- 猫のゐぬ家にはただの風に揺るるゑのころぐさでしかなき草よ 2011.10.11
- 黄昏をみて秋なりと思はるる日の多きこの年の幸い 2011.10.10
- 徒らに塾して落つる柿の実の三日経ちても朽ちぬ赤さよ 2011.10.09
- いかほどに直角なして交はれど理に落ちぬなり秋の夜のビル 2011.10.08
- さざ波の川面に刻む陰影に秋のすべてのありとぞ見ゆる 2011.10.07
- 秋風に光る薄の軽ろければ揺らして楽し重たきことも 2011.10.06
- 野分遠く去りて残れる泥水の跡より下で遊ぶ白鷺 2011.10.05
- 根の下に何を眠らせかくも紅く曼珠沙華咲く彼岸過ぎ来て 2011.10.04
- 平らなる川面に映る雲の色の暮れてゆくなり平らなるまま 2011.10.02
- 秋なれば燃ゆる赤にはなかりせど明日の好き日を見する夕焼け 2011.10.01
- 闇の中遠きバイクの爆音を銀色に弾き光るテルモス 2011.09.30
- 這ふ虫の秋の日射しに羽化しては風に羽ばたくものとなるらむ 2011.09.29
- 秋の夜に浮かぶ薄の彼方より青鷺の鳴く声ぞ聞こゆる 2011.09.28
- 青白き光のネットの内側で球打つ音もせぬ宵の口 2011.09.27
- 夕暮れの川を七度跳ねてのち鯉は何処の水を泳ぐや 2011.09.23
- 逆波を立つる流れは大いなる水の塊なりとぞ知らるる 2011.09.21
- 庄内といふ名の川の鎮まるをつくばの地よりわれ祈りゐる 2011.09.20
- 黒雲の遙か野分に連なればわれも南の人の心地す 2011.09.19
- 白鷺は足先のみを水につけ秋の流れを大股に行く 2011.09.15
- 白鷺は水面に映る自らの白き姿の奥に魚追ふ 2011.09.12
- 土手腹の緑と枯れ草色を分くる境に夏の川面はありき 2011.09.09
- 台風の雲まだ去らぬ空の下に白く小さき姫女苑咲く 2011.09.04
- 虫の音の聞こえて広き駐車場の何処にか草むらのあるらむ 2011.09.03
- 木槿とは秋の花なり前線の北に咲きゐて色こそ映れ 2011.08.20
- 今の世にみらいの灯る横浜の港に赤い靴の音せず 2010.11.26
- 車停めただ眺めゐる紅のもみぢ降り来よ山より里へ 2010.11.14
- くつきりと際立つビルの黄昏に迎ふる冬の影こそ見ゆれ 2010.11.12
- 庄内も今朝は青空なりといふ竹林揺らす風も吹きゐて 2010.11.11
- 愛宕山の隧道の彼方浄きなり同じき秋の光なれども 2010.11.10
- 柿の枝に柿残りゐて鳥たちも今しばらくの秋に鳴くらむ 2010.11.08
- 栗のいがに鳥の残せるがらんどうの奥まで秋の日は届かざり 2010.11.07
- すさまじき声を聞きたる明け方の川に青鷺穏やかに立つ 2010.11.06
- 首を曲げ体に埋める鴨の如くマフラーに首を埋める明け方 2010.11.05
- そこここに波紋浮かびて魚潜むと知れども鴨はただ浮かびゐる 2010.11.04
- 日を受けて光る薄の穂の下で揺るる川面は空の色なり 2010.11.03
- 蒼天の彼方に見ゆる富士の嶺の雪いただきて秋は深まる 2010.11.02
- 雨上がり空に青さの戻り来てプラタナスの葉色づき始む 2010.11.01
- 玄関で人待ちゐたる老猫の誇りも高き白き毛並みよ 2010.10.31
- 裏の川に鴨渡り来て泳ぎゐるながめのうちに秋は更けゆく 2010.10.30
- 明くる日は野分の来るといふ空に冷たき雲の渡りゐるなり 2010.10.29
- 越前の土産の菓子は木枯らしの吹く日に残り二つとなりぬ 2010.10.28
- 松茸を千円で売ると呼ぶ声を残し上野の風は吹き過ぐ 2010.10.27
- ふるさとの新米炊けばふるさとの移り香のして秋の夜は更く 2010.10.26
- 神田川水の流れもビル影もふと止まりゐる秋の夕暮れ 2010.10.25
- 日を知るといふ名の橋を仰ぎ見て旅行く先の空を偲べり 2010.10.22
- 秋の暮れ恋ふ人もなく沈むでもなく街の灯を浴びて歩かむ 2010.10.21
- 苅田来てひこばえに成る穂を見れば去りにし夏の日を思ひけり 2010.10.20
- 風受けて日暮れの頬に甦る長らく忘れゐし冷たさよ 2010.10.19
- 街灯に光る薄の穂陰にて尿(いばり)する猫に秋の夜長し 2010.10.18
- 秋の日のフロントガラスに座りゐる蛙と見合ひ五十キロ走りぬ 2010.10.17
- 秋の日に秋らしき日とひとりごち欠くるものなく望む夕焼け 2010.10.16
- 黄金の竿てふ花のこの秋も泡立てる黄に色付きにけり 2010.10.15
- 飛びゐても葦の先でも風を受け秋津は羽を揺らし張るなり 2010.10.13
- 草刈り機の音止めばただ鵯の声満ち満つる静けさなりき 2010.10.11
- 夕焼けを受けきることもなきままに雲は千切れて流れ行くなり 2010.10.10
- 雨の夜の街の灯映し海よりも深き路面に我は乗り出す 2010.10.09
- 秋晴れに遅れて来たる子の如く白き木槿は身を縮め咲く 2010.10.08
- 鴨たちの来る頃となり行く川も冷たき空の色こそ湛へ 2010.10.07
- 駅までの空さやかにて道ばたの狗尾草の揺る風もなし 2010.10.06
- 黒猫の子犬の如く甘え来て栲繩 (たくなは) の長き秋の夜は更く 2010.10.05
- 香り立つ蕎麦をたぐりぬ常陸なる里に深まる秋空の下 2010.10.04
- 月草の移ろふ野辺に鳴く虫の声ぞ添ひ来る家路辿れば 2010.10.03
- デジタルの波動を圧し艶やかに南瓜は時を封じて堅し 2010.10.02
- 一昨日の雨は川幅いつぱいのさざ波となり入り日に映ゆる 2010.10.01
- 胸の内の忍ぶ思ひを密やかに吐き出せばかくも秋となりたり 2010.09.30
- 秋の日にもの語らんと思へどもその影も見ず語るべきもの 2010.09.29
- 雨止めど雲居の晴れぬ夕空をビルの灯はただ無関係に染む 2010.09.28
- 対岸の雨に煙ればあの夏は対岸よりも遠きに去りぬ 2010.09.27
- 宵闇の中に浮き立つスーパーの中で浮き立つ新米を求む 2010.09.26
- 黄昏を染めて滲みて秋色は深まりてまた薄れ行くなり 2010.09.25
- 国道の端にこそ咲け蕎麦の花真白なれどもかくも目立たず 2010.09.24
- 細れ波立つ白鷺の脚細し秋は冷たく不意に来にけり 2010.09.23
- 熱き風吹き抜くる先なきままの停車場に射す名月の影 2010.09.22
- 地下深く人を連れ行くエスカレーターは秋の日のごとく沈み行くなり 2010.09.21
- 日暮れても開け放ちたる窓越しの彼岸の風を分くる虫の音 2010.09.20
- よくぞ無事で乗り切りたるとこの夏を思ひ返して彼岸となりたり 2010.09.19
- それぞれの虫は他を通低音として夜明けまでびたに鳴くなり 2010.09.18
- 葡萄吸へば冷たき舌の如きもの吾が熱き舌を舐め喉を押し開く 2010.09.17
- 濡れ縁の一枚板に夏の日の炎を埋めて雨は過ぎたり 2010.09.16
- ビル影の細き谷間を埋め尽くす雲居も染めで沈む日の秋 2010.09.15
- 日暮れより風に揺れたる木槿の枝に白き花こそ増えたりと見ゆれ 2010.09.14
- 涼風を呼ぶは日暮れて降る雨か夏に倦みたる人の心か 2010.09.13
- 風吹けば時ぞ移ろふ今まさに時移ろはす風吹き渡る 2010.09.12
- 川岸の枯れ葦の先に止まりたる秋津動かず水動くとも 2010.09.11
- ビルの影小径の幅に伸びたれば細き空より涼風ぞ吹く 2010.09.10
- 落つるべき実は落ちにけりそれもまた慈悲にやあらむ野分ぞ過ぎし 2010.09.09
- 久方の雨連れ来ては日の本を駆け抜けて野分宵に消えたり 2010.09.08
- 下町の隙間 2009.11.26
- 晩秋のパンダ橋 2009.11.25
- 都会の山茶花 2009.11.24
- 新嘗祭の夕暮れ 2009.11.23
- 鉛色の空 2009.11.19
- 光溢れて 2009.11.17
- 晩秋の野の花 2009.11.16
- 暖かき立冬過ぎ 2009.11.15
- 川面に立つ薄 2009.11.14
- ゆつたりと流るる鴨 2009.11.13
- クリスマスツリー 2009.11.12
- 悲しき秋雨 2009.11.11
- 小春の神田川 2009.11.10
- 朝霧の出た日 2009.11.09
- 小よく大を制す 2009.11.08
- 魚呑み下す鷺 2009.11.07
- 常磐線快速電車 2009.11.06
- クリスマスはまだ遠いが 2009.11.05
- 山茶花の蕾 2009.11.04
- シルエットの富士 2009.11.03
- 寒気が入り込む 2009.11.02
- 朝靄たなびく刈田 2009.11.01
- 猫じゃらし揺る 2009.10.31
- 宵を行く郊外電車 2009.10.30
- 秋の川を渡る鴨たち 2009.10.26
- センニチコウ光る 2009.10.25
- 菊咲き誇る 2009.10.24
- 夜のターミナル駅 2009.10.23
- 光る竹 2009.10.22
- 駐車場の千日草 2009.10.21
- 朝霧薄れ行く 2009.10.16
- とんぼ群れ飛ぶ 2009.10.12
- 流れに抗し立つ白鷺 2009.10.11
- 薄なびく 2009.10.10
- 野分過ぎたり 2009.10.09
- 台風で飛ばされたるもの 2009.10.08
- 野分近づく 2009.10.07
- 野分を待つ木槿 2009.10.06
- 台風が来るらしい 2009.10.05
- 秋桜と蝶 2009.10.04
- 中秋の名月と遠き花火 2009.10.03
- 名の知れぬ白き花 2009.10.02
- 柿の色のバラエティ 2009.10.01
- 風になびく薄 2009.09.29
- 柿の実色づく 2009.09.28
- 鴨の飛び立てる川面に 2009.09.27
- 木槿はやはり秋の花 2009.09.26
- 秋の彼岸 2009.09.24
- 花壇の色鮮やか 2009.09.22
- ススキの穂の白く光りて 2009.09.21
- キバナコスモス 2009.09.18
- マツバギクの絨毯 2009.09.17
- ヒルガオの色 2009.09.16
- 黄昏の刻の早まる 2009.09.14
- ラーメン屋の裏口 2009.09.13
- 紫蘇の花に寄せらるる蛾 2009.09.12
- 高き空にとどまる秋の雲 2009.09.11
- 沈み残れる宵月 2009.09.10
- 所在なき秋 2009.09.09
- 稲刈りが始まる 2009.09.08
- 水引の花 2009.09.07
- すすきの穂、出始む 2009.09.06
- 虫の音に包まれて 2009.09.05
- 駆け込みでなく蝉たち 2009.09.04
- 黒雲の彼方の朝日 2009.09.03
- 風吹き残る世の中 2009.09.01
- 野分迫る 2009.08.31
- 朝焼けに思ふ 2009.08.30
- 谷筋を渡る蝉の声 2009.08.29
- 夜の国道を望む 2009.08.28
- 初秋の街の宵の口 2009.08.27
- 初秋の七日月 2009.08.26
- 夏過ぎし日の夕焼け 2009.08.25
- 霜月九日の歌 2008.11.09
- 霜月八日の歌 2008.11.08
- 霜月七日の歌 2008.11.07
- 霜月六日の歌 2008.11.06
- 霜月五日の歌 2008.11.05
- 霜月四日の歌 2008.11.04
- 霜月三日の歌 2008.11.03
- 霜月二日の歌 2008.11.02
- 霜月一日の歌 2008.11.01
- 神無月三十一日の歌 2008.10.31
- 神無月二十九日の歌 2008.10.29
- 神無月二十六日の歌 2008.10.26
- 神無月二十五日の歌 2008.10.25
- 神無月二十四日の歌 2008.10.24
- 神無月二十三日の歌 2008.10.23
- 神無月二十二日の歌 2008.10.22
- 神無月二十日の歌 2008.10.20
- 神無月十九日の歌 2008.10.19
- 神無月十五日の歌 2008.10.15
- 神無月十四日の歌 2008.10.14
- 神無月十二日の歌 2008.10.12
- 神無月十一日の歌 2008.10.11
- 神無月九日の歌 2008.10.09
- 神無月七日の歌 2008.10.07
- 神無月六日の歌 2008.10.06
- 神無月五日の歌 2008.10.05
- 神無月四日の歌 2008.10.04
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