2024年2月 6日
2024年2月 5日
2024年2月 4日
2024年2月 3日
2024年2月 2日
2024年2月 1日
2024年1月31日
2024年1月30日
2024年1月29日
2024年1月28日
より以前の記事一覧
- 北風に吹かれつつなほ暖かさ増したる陽射し選びゐる鴨 2024.01.27
- 日が沈み北風止めばひむがしの雲乗り越えて望月は照る 2024.01.26
- 筑波嶺を間近に望む冬空に電線走る縦横斜め 2024.01.25
- 関ヶ原は大雪の降り積もれども筑波に照れる十三夜月 2024.01.24
- 対岸に昇る朝日の見えぬほど冬の朝霧消ゆることなし 2024.01.23
- 暖かし冬の並木の花の芽の膨らみしかと思ひしほどに 2024.01.22
- 雨雲の晴れたる頃に日も沈み車のヘッドライト行き交う 2024.01.21
- 少しずつ雨の気配の増したれど川面に波紋できもせぬなり 2024.01.20
- 日の暮れて遠くに見ゆるマンションの灯りは白く夜はまだ長し 2024.01.19
- 浪速より戻れば広き関東の冬空の下仕事は尽きず 2024.01.18
- 北風の冷たく強く吹き来たり凍ゆる如く並木は並ぶ 2024.01.15
- 解け残る昨夜の雪の陽を浴びて消ゆるに時のかからざりけり 2024.01.14
- 雪下ろしの雷鳴りて日は暮れて気付けば土手の道白きなり 2024.01.13
- 冬の陽の一気に落ちし地平にはなかなか消えぬ赤みの残る 2024.01.12
- 午後三時晴れてしまへば関東の冬の青空風は吹くとも 2024.01.11
- どこまでも雲一つなき冬空も一夜明くれば曇出づるらし 2024.01.09
- 冬晴れの北風強き夕暮れに男体山の姿ぞ見ゆる 2024.01.08
- 暖かくも寒くも変はる正月の七日目の夜の更けて行くなり 2024.01.07
- 風もなく初春の如き陽の中で低くなりたる川面を見詰む 2024.01.06
- 新年の五日目の夜の県道をヘッドライトの列が行き過ぐ 2024.01.05
- 西空に龍の形の雲ありて三が日過ぎ動く世の中 2024.01.04
- 恒例の箱根駅伝眺めつつ焼き上げしパン食卓に乗る 2024.01.03
- 地の揺れて津波寄せたる新年の悲しみ越えて時はただ進む 2024.01.02
- 大晦日の夜空に昇り輝くは月齢十八をやや過ぎし月 2023.12.31
- 青空の下でツツピーツツピーと四十雀の声賑やかなりし 2023.12.30
- 冬空の低き地平に昇りたる十六夜月の紅く照りゐる 2023.12.29
- 北風は吹かねど寒き夕暮れに涸れ薄の穂丸まりてあり 2023.12.28
- どこまでも続く空き地と化したりし資材置き場を覆ふ冬空 2023.12.27
- 門松の立ち始めたる日暮れには真ん丸に近き十三夜月 2023.12.26
- クリスマスの夕日の中で紫陽花は枯れて気高き木乃伊となりぬ 2023.12.25
- 冬空に十日目の月浮かびゐて明日クリスマスイブとぞいふる 2023.12.23
- ひむがしの地平の雲の夕日受け故郷の冬の山並みに見ゆ 2023.12.22
- 午後三時冷たき川の対岸に長く伸びゐる家々の影 2023.12.21
- クリスマス近づきゐると思はれぬ波のほとんど立たぬ川面よ 2023.12.20
- 冬空の夕焼け色は明朝のさらなる冷えを告げてゐるらむ 2023.12.19
- 朝まだき震へて起きて冬らしき冬の寒さを思ひ出したり 2023.12.18
- 言はれたるほどの寒さを覚へずに見上ぐる空に三日月浮かぶ 2023.12.17
- 午後五時を過ぎて深まる夜の闇の彼方に洸る街の明かりよ 2023.12.15
- 空青く晴れ渡るとも北風は吹かず遠くの景色も霞む 2023.12.14
- 様々の形の雲がそれぞれの方角指して流るる日暮れ 2023.12.12
- 吹く風にそよぐ薄は辛うじて冬の季節を感ずるらむか 2023.12.11
- 電線の鳥もねぐらに帰りたる午後四時半の暗き田の道 2023.12.10
- サングラスなしには午後に帰宅することの能はぬ日暮れの早さ 2023.12.09
- みちのくの地より戻れば夕焼けの季節外れに大きく紅し 2023.12.07
- 過ぎ去りし秋に追ひつくこともなく寒天のもと燃ゆる紅葉よ 2023.12.05
- 午後四時を過ぎて景色のほとんどは日陰にうちに入りて哀しも 2023.12.04
- 冬の日の午後にこねたる玄麦の生地はふわりと焼き上がりたり 2023.12.03
- 冷え込みて眠る天然酵母には手の温もりを伝え捏ねたり 2023.12.02
- 午後五時にふと気がつけば世の中は夜の暗さに包まれてをり 2023.12.01
- 北からの強風に沿ひ鶴の首の如くに歪み雲流れ行く 2023.11.30
- 紅く染む西の地平の日を浴びて刈田に伸びる電柱の影 2023.11.29
- 黒雲に開ける穴より真直ぐなるスポットライトの如き陽光 2023.11.28
- コンビニの看板よりも下に見ゆビーバームーンは昇りたてにて 2023.11.27
- 一日を通し晴れ間の見えぬ日の暮れて漏れ来る月の明かりよ 2023.11.26
- 季節てふものを語るにこれまでの記憶は邪魔になるばかりなり 2023.11.25
- 日暮れても暖か過ぎる冬の日を小春日和と言ひたくもなし 2023.11.24
- 二日間小春日和の続きては穏やか過ぎる雲の動かず 2023.11.23
- 暖かき冬の日は暮れ県道に家路を急ぐ車のライト 2023.11.22
- 暖かき空気と冷たき空気とがせめぎ合ふらむ忙しき空 2023.11.21
- 穏やかに晴るるも風の冷たきに冬カーテンに吊るし変へたり 2023.11.20
- 北寄りに下の毛羽立つ黒雲の見えて季節は冬なりと知る 2023.11.19
- 竜巻になり損ねたる漏斗雲紅き夕陽に照らされてゐる 2023.11.18
- 土砂降りの雨昼過ぎに止みたるも冷たき風は吹き続けたり 2023.11.17
- 日没の西の空より巻積雲波そのものの如く広がる 2023.11.16
- 一目では冬の景色と知られぬも風に吹かれて震ふ寒さよ 2023.11.15
- 冬の陽の西の地平に沈みかけ紅と黒とに世界染め分く 2023.11.14
- 鴨たちはみな嘴で川底の土に潜める虫漁るらむ 2023.02.03
- 北寄りの冷たき風が日光の山々の影浮き彫りにせり 2023.02.02
- 昼過ぎて急に強まる寒風になびき耐えゐる涸れ薄たち 2023.02.01
- 夜明け前東の空のほの赤くなりたる頃の震へる寒さ 2023.01.31
- 雪雲は越後を越えて日光の山際にまで届きゐるらし 2023.01.30
- 青空は広がりをれど鴨たちは寒風避けて枯草の陰 2023.01.29
- 板東の土手に降りたる白雪の解くる間際の眩しき光 2023.01.28
- 冬用のタイヤに換えて帰宅せり夜には雪になると聞きせば 2023.01.27
- 板東の空も明日には雨か雪降るてふ予報出されゐるなり 2023.01.26
- 九州に雪降るまでの寒波とふつくばの地では空青けれど 2023.01.25
- 鯉跳ねて虫捕らふらし水面に丸き波紋の二つありたり 2023.01.24
- 朝方の雨は止めども雲厚く寒さはさらに続くものらし 2023.01.23
- 北風の一服しては穏やかに暮れゆく冬の夕べなりけり 2023.01.22
- 青空を映す川面に細かくも陰影深き波立ち止まず 2023.01.21
- 冬の朝靄の彼方筑波嶺が雲にそびゆるアルプスに見え 2023.01.20
- 緩やかにカーブを描く坂道を自転車で下る風を切りつつ 2023.01.19
- 青空の広がる奥に漂ふは油断のならぬ冬の気配か 2023.01.18
- 日光の山々照らす日の昇る位置が北へと戻りつつあり 2023.01.17
- しとしと降り続けたる冬の雨日暮れて止めば世界は影絵 2023.01.16
- 年明けてヘッドライトを反射する濡れたる路面初めて眺む 2023.01.15
- 三週間振りに降りたる雨止めば鷺は飛び来て魚を狙ふ 2023.01.14
- 降り出すといふ気配のみ漂へど日暮れて未だ雨音はせず 2023.01.13
- 湿り気といふ感覚をこの世より消して漂ふ白き筋雲 2023.01.12
- オリオン座冴えゆる冬空の地平近く夜間飛行の灯は点滅す 2023.01.11
- 寒風と同じき向きに行く川を押す如きなり波の陰影 2023.01.10
- 新年の一週間をやり過ごし自転車漕ぎて初詣せり 2023.01.09
- 夕焼けを受け里山の麓まで紅き刈田に伸ぶる我が影 2023.01.08
- 西空にまだ陽の沈み切らぬ間に昇り来たれる冬の望月 2023.01.07
- 昨日とは様変はりして穏やかに流るる川の白鷺一羽 2023.01.06
- 北風を真直ぐに受けて頬も凍る厳しき寒の季節となりぬ 2023.01.05
- 正月の三が日また四日目もあつといふ間に暮れて行くなり 2023.01.04
- 鴨たちの遊ぶ川面に白鷺の羽を広げて舞ひ降りむとす 2023.01.03
- 駅伝の中継を観て我が身をも動かさむとぞジョギングをする 2023.01.02
- 新年の近づく気配小貝川の上流を見て間近に感ず 2022.12.30
- 年末の掃除片付けするうちにふと気がつけば夜は更けてゐる 2022.12.29
- 年の暮れ仕事納めの帰り道車の灯り連なりてあり 2022.12.28
- 雲のなき西の彼方に陽は沈み後に残るは夕映えの富士 2022.12.27
- 雲一つなき冬空を真っ直ぐに区切りて延びる板東の地平 2022.12.26
- 板東は風は吹けどもクリスマス日和のうちに日暮れとなりぬ 2022.12.25
- クリスマス・イブを控へてよろよろと現れ消えし精霊蝗虫 2022.12.24
- 寒風に肩をすぼめて見上ぐれば冬の夜空に冴ゆるオリオン 2022.12.23
- 朝方の雨は上がりて青空の急に広がる年の瀬の午後 2022.12.22
- 暮れかけし真冬の空を飛行機が音も立てずに飛びて去るなり 2022.12.21
- 白鷺の二羽と軽鴨三羽との川面に遊ぶ絶妙間合い 2022.12.20
- 穏やかに晴れたる冬の青空に蒼き筑波のくつきりと立つ 2022.12.19
- 日の暮れて年明けまでの二週間何事もなく過ごしたきもの 2022.12.18
- 週明けのつくばの朝は氷点下続くとぞいふ覚悟して起きむ 2022.12.17
- 刈り込まれミイラの如き姿なる紫陽花よまた咲けとぞ祈る 2022.12.16
- 西向きの家の窓々一斉に赤く染めあげ陽は沈み行く 2022.12.15
- 朝霧の晴れたる空の青くして吹き降ろす風に身は震へたり 2022.12.14
- 筑波なる二つの峰は冬空の青きの下で結ばれゐたり 2022.12.12
- 日の暮れて冷たき風の吹く先に短き年を送らむとぞする 2022.12.11
- パソコンより目を外しては窓の外月出でたるに初めて気付く 2022.12.10
- 田の土は乾き乾きて図書館の椿の色を讃へゐるなり 2022.12.09
- 西空に早き日の入り見送りて振り返り見る冬の満月 2022.12.08
- すつかりと白くなりたる薄の穂を揺らす風吹くこともなき午後 2022.12.07
- 日が沈み雨止みたれば対岸の県道に霧漂ひ始む 2022.12.06
- 冬の雨止まず日暮れて身の内に騒ぎ始むる旅の虫あり 2022.12.05
- 暖かき陽射しに窓を開け放しサッシの汚れ拭き浄めたり 2022.12.04
- 冬空に浮かべる雲の白き筋風に吹かれて長く伸びゐる 2022.12.03
- 冬空に筑波望めど日光の山は見えざり雪の降るらむ 2022.12.02
- いきなりの冬は来たりて寒風を胸に受けつつ土手に佇む 2022.12.01
- 土手際のところどころに解け残る雪は日陰の在処を示す 2022.02.12
- 一夜明け真白き雪の日となりぬ土手に一本の足跡続き 2022.02.11
- 降るはずの雪は降らずに帰宅する車の列は流れ行くなり 2022.02.10
- 夜明けより雪降るといふ予報なり関東の空青く澄めども 2022.02.09
- この年も杉の花粉の少しずつ飛び始めたる気配を感ず 2022.02.08
- 鳥の影絶へてぞ冷ゆる裏の川に久方ぶりで真鴨の泳ぐ 2022.02.07
- 青空も川に映れば北風の吹く冷たさを伝へゐるなり 2022.02.06
- 青空に積雲浮かび重なれど冬の雷鳴るに至らず 2022.02.05
- 西空の雲の端には束の間の紅色の日の映りゐるなり 2022.02.04
- 澄み渡る空に吹く風冷たくもなく節分の日は暮れて行く 2022.02.03
- 欠けし歯の治療を終へて帰る道赤みの残る西の空なり 2022.02.02
- 北風の一日は暮れ県道を帰宅の車のライトが滑る 2022.02.01
- 昼過ぎも雲広がらぬ青空に木枯らしの吹く音の止まざり 2022.01.31
- 昼過ぎて雲広がれば水鳥の泳がぬ川にさざ波の立つ 2022.01.30
- 昇り来る朝日を受けて遙かにも白雪光る日光の山 2022.01.29
- 西の空僅かに赤く色づけど明日の夜明けは氷点下とふ 2022.01.28
- 夕暮れの空を黒雲覆へども関東は明日も晴れるとぞいふ 2022.01.27
- 水鳥の少なき川にただ一羽白鷺来たり羽根休めゐる 2022.01.26
- 叔母逝きしと知らせ届きて地吹雪の暗き空色目に浮かびたり 2022.01.25
- いつになく寒き冬ゆゑこの川を泳ぐ真鴨の数少なきか 2022.01.24
- 日は暮れて対岸の道を滑り行く帰宅のヘッドライトの列よ 2022.01.23
- 霜もなくただ乾きたる板東の刈田の彼方富士の峰白し 2022.01.22
- 厚みある雲の輪郭毛羽立ちて上空に吹く風を思はす 2022.01.21
- 北風の止みて暮れゆく川面には梢映りて動くことなし 2022.01.20
- 大寒を明日に控えてくつきりと家並みの影を宿す土手腹 2022.01.19
- 筑波嶺の斜面の森をくつきりと眺めて走る風の冬の日 2022.01.18
- 穏やかに流るる川を一列に微かなる波立てて行く鴨 2022.01.17
- 五時過ぎも明るき空に昇りたる満月の如き十三夜月 2022.01.16
- 筋雲と飛行機雲の幾重にも重なり冬の空賑はへり 2022.01.15
- 県道を辿るクルマのライトさえ北風の中揺らぐ心地す 2022.01.14
- 北風の止めば川面も穏やかに青空に浮く白雲映す 2022.01.13
- 出張の旅より戻り雨降りの一日は疾く暮れにけるかも 2022.01.11
- 昇る陽を受けたる雪の光りゐて空の青さは増して行くなり 2022.01.07
- 風音もなく川土手を白く染む筑波の雪をただ眺めたり 2022.01.06
- 日光の男体山の山筋も白雪に染む正月五日目 2022.01.05
- 正月の四日目も暮れ満天に星の冷たき光またたく 2022.01.04
- この年も過ぎむとしゐる三が日ヘッドライトもなき川向かふ 2022.01.03
- 電線に五羽止まりゐて四羽去り一羽で残る冬の雀よ 2022.01.02
- くつきりと波紋刻まれ行く川の呼び込む年は冷たかるらむ 2021.12.31
- 冬の日の水辺の葦の枯れ草の色に包まれ休みゐる鷺 2021.12.30
- 紫陽花の丸き形を残しつつミイラの如く枯るる花房 2021.12.29
- ひむがしの空の紅きに染まれども鏡の如く動かぬ川面 2021.12.28
- 夕焼けの西より右を眺むれば日光の山は雪雲の下 2021.12.27
- 関東の北まで迫る雪雲を遙かに眺め暮れゆく筑波 2021.12.26
- 明朝は寒さに震へ目覚ては吹雪の故郷偲ぶらむとぞ 2021.12.25
- 冬空に三筋の飛行機雲延びて暮るれば今年も聖夜とぞなる 2021.12.24
- 木枯らしをまともに受くる石垣の下で健気に寒菊は咲く 2021.12.23
- 土手草は冬至の日の出待ちゐたり霜を解かしてくれと願ひて 2021.12.22
- 屋根越しにぬつと昇ればことさらに大きく見ゆる十六夜月よ 2021.12.21
- 土手草の霜の白きをゆつくりと解かして冬の朝日は昇る 2021.12.20
- 澄み渡る冬の夜空にこの年のもっとも小さき満月浮かぶ 2021.12.19
- 木枯らしはやや収まれど川面には十五夜月の影ぞ揺れゐる 2021.12.18
- 木枯らしの昨日を嘘と思ふほど暖かき日の暮れて行くなり 2021.12.15
- 夕方となりて冷たき雨止めど夜闇の奥に寒さは続く 2021.12.14
- 初めての木枯らし吹けば刻まるる陰影深き波の川面よ 2021.12.13
- 冬空の常と異なる方角に筑波の峰を望み戻れり 2021.12.11
- ひたち野に未だ吹かざる木枯らしを呼ぶかの如く薄はなびく 2021.12.10
- 冬の陽は蓮根畑のその奥の西の地平に沈み行くなり 2021.12.09
- 冬の雨降り続きたる夕暮れに漸く止みて川静かなり 2021.12.08
- 訪ねたる二箇所で柚子をもらひたり微かに色の異なる二つ 2021.12.07
- 土手際で日を追ふごとに深々と頭垂れ行く枯れすすきなり 2021.12.06
- 気がつけば夕闇迫る頃なりき明るき写真写す間もなく 2021.12.05
- 年の瀬の来るに追はれてその後に年の明くるを未だ思はず 2021.12.05
- 浮かぶ雲流るる雲を見上げては雪降らす雲思ひ出すなり 2021.12.03
- 冬空にやや傾ける日を受けて遙かに立てる日光の山 2021.12.02
- 日没を過ぎて半時経つ空に残れる青み深くなりゆく 2021.11.30
- パソコンの画面よりらふと目を離し既に日暮れし世界に気付く 2021.11.29
- 屋根の影挟みて土手に白鷺と青鷺の二羽陽を浴びてゐる 2021.11.28
- ハンドルを左に切れば右側に眩しき夕陽移りたるなり 2021.11.27
- この歳もまた今日といふ一日も追ひ付くこともならず過ぎ行く 2021.11.26
- 田の道で自転車を漕ぐ西空に冬の日ははや傾きてあり 2021.11.25
- 対岸の夕日を受くる県道で家路を急ぐ自動車の列 2021.11.24
- 日暮れたる道路は冬の雨に濡れ白く長きに街灯を映す 2021.11.21
- ひむがしの空にゆつくり日は昇り冬の赤さに染まる朝焼け 2021.11.06
- 陽は沈み刈田の果てに滑り行くヘッドライトとテールランプよ 2021.10.27
- 庭先のローズマリーは本来の常緑低木たらんと育つ 2021.10.25
- ひむがしの空一面を赤く染め昇り来り来る陽をただ拝みたり 2021.10.24
- 見上ぐれば冬の青さの空なりき木枯らし一号吹かざりしかど 2021.10.23
- 雨止まぬ帰宅ラッシュの国道で車内暖房のスイッチを押す 2021.10.22
- 今朝方の筑波の地より目に見ゆる山腹までは真白なる富士 2021.02.03
- 黒雲と寒風により分けられし薄青き空僅かに望む 2021.02.02
- 寒風の吹き来る運動公園にスポーツをする人影もなし 2021.02.01
- 山里に吹雪もたらす風止みて川面の波も静まりきたり 2021.01.31
- 木枯らしの吹き荒れて空晴れ渡り遠くの山は霞ゐるなり 2021.01.30
- 雪止みて晴れ渡る空に太陽は眩しきまでに昇りきたれり 2021.01.29
- つくばにも冷たき風は吹き来たりみぞれは雪に変はりたるなり 2021.01.28
- 水量のやや戻りたる水門に白鷺は降り羽を休める 2021.01.27
- 足許の地球の廻るスピードで陽はぐいぐいと昇りくるなり 2021.01.26
- 冬晴れの夕空に浮く陰影は月齢十一・九の月 2021.01.25
- 降雪もあるとの予報当たらずに空はだんだん高くなりゆく 2021.01.24
- ぎらぎらととヘッドライトを映し込む今年初めて濡れたる路面 2021.01.23
- 冬用のタイヤに替えて二日後に降るかも知れぬ雪を待つなり 2021.01.22
- 冬の日は凍ゆる夜の明けてより青空のまま暮れて行くなり 2021.01.21
- 昇り来る朝日に映えて白雪に朱み加ふる日光の山 2021.01.20
- 耳を千切るほどの木枯らし吹く川に乱反射する冬の陽射しよ 2021.01.19
- お年玉年賀葉書の三等賞に当たりて鶴と亀とが遊ぶ 2021.01.18
- 寒天の元に置かれし赤と黄のパワーショベルの動くことなし 2021.01.17
- 西空に低く浮かべる三日月の影の部分も光りて映る 2021.01.16
- 寒き日の暮れて東の彼方には明日の陽射しの見ゆる心地す 2021.01.15
- 小貝川左岸に立てば夕暮れの上流に雲一つなきなり 2021.01.14
- 土手道と車の窓の白き霜を昇り来る陽も解かす能はず 2021.01.13
- 東京で霙降りたる寒き日につくばの雨の白くはならず 2021.01.12
- 紫陽花を株ごと枯らす寒風の明日は平地に雪を運ぶか 2021.01.11
- 木枯らしの雲を払ひて澄み渡る夜空の奥に光るオリオン 2021.01.10
- 新潟で雪かきをして疲れ切る友には言へぬほどの青空 2021.01.09
- 故郷を覆ふ地吹雪思はせて川面を走る波の影かな 2021.01.07
- 寒中の家に籠もりて暮らすうち知らぬ間に日は暮れてゐたりき 2021.01.06
- 明け方の気温は零下一度にて寒に入りたる空は曇れり 2021.01.05
- 残照の五時を過ぎても消えぬ空冬の寒さはこれからなれど 2021.01.04
- 新年の三日目の空日光の山の頂隠す層雲 2021.01.03
- 駅伝の往路を身終へ知らぬ間に正月二日の日は暮れゐたり 2021.01.02
- この年の終はりを告ぐる夕焼けの奥に際立つ富士の姿よ 2020.12.31
- 本州を去る低気圧板東に長く伸びたる雲残したり 2020.12.30
- この年も残り三日の朝ぼらけ東の空の紅く染まれり 2020.12.29
- 廃校となりて残りし建物は真白きままで月に照らさる 2020.12.28
- 押し詰まり川の流れも岸に生ふ薄の色も乾ききりたり 2020.12.27
- ひむがしの雲を紅きに染めて後おもむろに陽は顔を見せたり 2020.12.25
- 吹くはずの南風吹かず雲ばかり広がりて底冷えのする午後 2020.12.24
- 青空に透き通るほど白く浮く月齢八・三の半月 2020.12.23
- 風渡る夜空の底の底までも星は埋もれず光りゐるなり 2020.12.22
- 寒風の渡る冬至の日は暮れて長き夕焼け続きゐるなり 2020.12.21
- 年の瀬の真青の空に筑波嶺を常とは別の角度より見る 2020.12.20
- 朝まだき北の地平で真白きに染まりて光る日光の山 2020.12.19
- 気がつけばあつといふ間に日の暮るる早さで年も暮れていくなり 2020.12.18
- ぶんぶんと風切り音を立てながら白き発電風車は回る 2020.12.17
- 枯れ薄なびく影より青鷺の流れの中に佇むを撮る 2020.12.16
- しんしんと冷え込んでくる昼下がり早くも兆す夕焼けの色 2020.12.15
- 動かざる空気の冷えてたちまちに板東は冬景色とぞなる 2020.12.14
- 冬の風北の地平の雲晴らし日光の山を間近に望む 2020.12.13
- 芯までも色の抜けたる枯れすすき小春日和の風に揺れゐる 2020.12.12
- 対岸を白く染めたる朝霧の晴れてぞ今日の青空となる 2020.12.11
- 寒空の灰色の雲引き立たせ枯草色の地上は冷ゆる 2020.12.10
- 冬空の南に座る雲の晴れ時間の果ての星ぞ光れる 2020.12.09
- 家路より西の地平と黒雲の細き隙間の紅き夕焼け 2020.12.08
- 太陽のそれほど早く沈まざる初冬の川を泳ぐ大鷭 2020.12.07
- ひむがしの空の紅きに染まる時白き半月真上に残る 2020.12.06
- 平年の十日も早き初雪の水戸に降りしとラジオ告げたり 2020.12.05
- 黒き羽に額とくちばしのみ白きオオバンてふ名の鳥の来たるか 2020.12.04
- 対岸を帰る車は早々とヘッドライトを点けてゐるなり 2020.12.03
- 深々と冷ゆる師走の雨の夜の彼方に光るグラウンドの灯 2020.12.02
- 見上ぐれば十六夜月の輪郭のけざやかなりき漆黒の空 2020.12.01
- 秋までは水底なりし中州まで剥き出しとなり木枯らしを呼ぶ 2020.11.12
- 紫陽花の丸き花房枯れ色のままに木枯らし浴びてゐるなり 2020.11.11
- 乾きたる空気を吸ひてなほ乾く人の心を潤はせたし 2020.02.05
- 田の道の彼方に沈む冬の日のアニメに出てくる如き光彩 2020.02.03
- 大雨の名残か空の青映す田のそばの道通り過ぎたり 2020.02.02
- 真夜中の夢うつつなるなゐ過ぎて東の空の朱く染まりぬ 2020.02.01
- 冬空に春の支度をする土よ誰に言はるるわけでもなきに 2020.01.31
- 頂きに雪の積もりて青空の前に浮き出る日光の山 2020.01.30
- 雨風で汚れ祓はれたる如く筑波の嶺の鮮やかに見ゆ 2020.01.29
- 大雨を避けて家路を急ぎゐるヘッドライトが行き過ぎて行く 2020.01.28
- 辛うじて雪にならずに済む夜の眠りを呼ばむホットミルクで 2020.01.27
- 板東の高速道を覆ふ空灰色にして日を通さざり 2020.01.26
- 週末は雪にはならぬ予報なり堰の水門全開の川 2020.01.25
- 午後六時過ぎたる道に残りたる光いよいよ雪を呼ぶらし 2020.01.23
- 月末に降るか降らぬか知れぬ雪に備えてスタッドレスに換えたり 2020.01.22
- 吹き渡る風に雲湧くこともならず日暮れの地平紅く染まりぬ 2020.01.21
- 粉雪の舞ひいたれどもこの度はつくばの里に積もらざりけり 2020.01.19
- 高層のホテルの部屋の窓辺より眺むる夜は冷え込みてあり 2020.01.18
- 今すぐに家に戻りて洗濯をしたくなるほど青き空なり 2020.01.16
- 黒雲の夕べとなりて広がれり天気予報の難しき日々 2020.01.15
- 窓を開け満天の星眺むれど冷たき風の吹き込まぬ夜 2020.01.13
- 灰色の空の彼方に荒涼といふ二文字の見ゆる如き日 2020.01.12
- 日の伸びて後に来るらむ本当の冬の寒さを思ふ頃なり 2020.01.11
- 寒きまま日暮れとなれば彼方なるヘッドライトの霧にぞ滲む 2020.01.08
- 剥き出しの川底見せて正月の小貝の川は静かなりけり 2020.01.07
- 雲の色次第に黒く変はり来て明日は冷たき雨の降るとふ 2020.01.06
- 正月の刈田の彼方筑波嶺は背に薄き雲従へて立つ 2020.01.04
- 雲一つなき空の下静かなる国道正月三日目の朝 2020.01.03
- 駅伝の往路をテレビ観戦し琥珀色した屠蘇を飲みたり 2020.01.02
- 衝突もやがて融合するさだめマウスてふ名の銀河は語る 2020.01.01
- 霧で明け夏思はする昼となり木枯らし吹ける大つごもりよ 2019.12.31
- 年賀状印刷を終え手書きにて一言添へて落ち着きにけり 2019.12.30
- 何事もなるようになるさだめなりこの年もあと三日となれば 2019.12.29
- この年も四日を残すのみとなり空席目立つ電車に乗りたり 2019.12.28
- 年の瀬の夕刻の空ほんのりと青さ残して暮れて行くなり 2019.12.27
- 越中の国より戻る板東の空を覆へる灰色の雲 2019.12.26
- 冬晴れは上越の山越えて行く越中にても我を待つらし 2019.12.24
- 冬告ぐる鴨の続々渡り来て川面の鳥は入れ替わりたり 2019.12.23
- 冬枯れの小貝の流れ岡堰の水門閉じることもなきなり 2019.12.22
- 川岸に一本のみで枯れ残り日毎の風に揺るる薄よ 2019.12.21
- 冬といふことを忘るる暖かき師走二十日の暮れて行くなり 2019.12.20
- 川底の見え始めたる冬の日の風に吹かれて柚子の実光る 2019.12.19
- 冬の日のはや暮れかかり明日もまた冷え込むといふ予報の流る 2019.12.18
- 川底で時折鯉が騒ぐらしごぼりごぼりと波が移動す 2019.12.17
- 来る年の賀状を求めデザインを作る作業を今日始めたり 2019.12.16
- うつすらと暈のかかりて日の昇る板東の冬の朝は穏やか 2019.12.15
- 日没の時刻は一分遅くなり川面に映る空まだ青し 2019.12.14
- 遙かなる北の地平の雲切れて望むは日光尾瀬の山々 2019.12.13
- 冬晴れの空の下では鳥のゐぬ川の流れに沿ひて波立つ 2019.12.12
- 十六時二十四分を境目に日没以後の暗さとなりぬ 2019.12.11
- 南天の赤き実を見て不意に知るこの年も早暮れむとするを 2019.12.10
- 寒き日の午後三時過ぎ灯油式ファンヒーターのうなり聞きゐる 2019.12.09
- 冬の日の地平の果ての残照は丸き地球の問はず語りか 2019.12.08
- 雨の師走都心に向かふ高速道赤き渋滞表示の目立つ 2019.12.07
- 冬の日の昇る前よりひむがしの空は冷たき紅に染まれり 2019.12.04
- 暖かき陽の射す午後もはや暮れて明日は冷たき風吹くといふ 2019.12.03
- 日暮れても空と雲との境目のくつきりと見ゆ師走二日目 2019.12.02
- 寒空の夕暮れ時の早きこと思ひ知らさる今日より師走 2019.12.01
- 神無月最後の夜空晴れ渡りオリオンの星座はつきりと見ゆ 2019.11.30
- 夕暮れの冷たき風の吹く奥の紅く染まりて冬は来たれり 2019.11.29
- 三連休初日の夕べ自動車道はラッシュを過ぎて流れゐるなり 2019.11.02
- 昼過ぎに冷たき風の吹き止みて日没の色赤み増したり 2019.02.03
- 雪下ろしと称する雷関東に鳴りて夜の底白く染まりぬ 2019.01.31
- 反射式灯油ストーブ赤くあり遠くて近き熱は伝はる 2019.01.30
- 寒中に春の兆しを探したくなれど見つけぬやうにする日よ 2019.01.29
- 人間の為すべき事もせぬうちに寒中の日は早暮れにけり 2019.01.28
- 青空の下で冷たき風の吹く冬の姿のままの田んぼよ 2019.01.27
- 地に落ちて一瞬すらも白きままとどまることの能はぬ雪よ 2019.01.26
- 午後六時近くになれど地平まで見通せるまで日は伸びたりき 2019.01.25
- 乾ききる空の彼方に沈む日の荘厳すぎるまでの赤さよ 2019.01.24
- 穏やかに沈む日のまた昇る明日我が故郷は吹雪となるらし 2019.01.23
- 雨のなき冬の川幅狭まれど川面に風紋深く刻まる 2019.01.22
- ひむがしの地平線より大いなるスーパームーンはぬつと昇りき 2019.01.21
- 雲のなき空に昇れる満月の明日はスーパームーンとなるらし 2019.01.20
- 午後六時まだ余光ある常磐路の高速道路に滑り込む我 2019.01.19
- 北風の吹き荒れ暮るる満天に貼り付く如く光る星々 2019.01.18
- みつちりとデスクワークに取り組みてふと気がつけば日暮れ過ぎたり 2019.01.15
- 新年の霞ヶ浦の湖面には空のみ映り雲の影なし 2019.01.14
- 十九日振りに降りたる板東の雨の夜半には雪と変はるか 2019.01.12
- 澄み渡る北に聳ゆる日光の男体山の頂き白し 2019.01.11
- 黒雲の覆ふといへど彼方には青空のぞく寒き一日 2019.01.10
- 西空を染める夕陽の彼方より吹き来る風に利根は波立つ 2019.01.09
- 気がつけば夕陽落ちたる西空にほつそりとした三日月浮かぶ 2019.01.08
- 年の瀬も開けても空は澄みきりて続けて十日筑波嶺を見る 2019.01.06
- 石岡の里より戻る道すがら日の沈みたる筑波の南 2019.01.05
- 三が日過ぎて日暮れの早きこと油断のならぬままにありけり 2019.01.04
- 北西に一直線に行く道に沿ひて真直ぐに雲は連なる 2019.01.03
- つくばより眺むる冬の西空は赤き入り日の最後の名残り 2019.01.02
- 海にてもまたやまにても生きてある気配を残し遊べくじらよ 2019.01.01
- 正月を迎ふる供え窓枠の餅の隣に金盞花の花 2018.12.31
- 年の瀬の風吹き付けて乾きたる夜の彼方の鮮やかに見ゆ 2018.12.30
- プラスチック入りで小さき二段なるお供餅の飾られてあり 2018.12.29
- 澄み渡る夜空の奥に年の瀬を刻むが如くオリオン座あり 2018.12.28
- 年賀状印刷ソフトの住所録この世去りたる人の多さよ 2018.12.27
- クリスマス過ぎて一輪の薔薇咲きにけり地面に白き霜降りゐるに 2018.12.26
- 九十キロ自転車こげる帰り道西の地平の赤く染まれり 2018.12.24
- 明けてより日がな一日霧雨の細かく注ぐ天皇誕生日 2018.12.23
- 冬の日の茜の地平奥深く飽かず眺むるシルエットの富士 2018.12.21
- 天井に届かんとしてクリスマスツリー聳ゆる上野の駅よ 2018.12.18
- 一年で一番早く日の沈む師走半ばのヘッドライトよ 2018.12.17
- 寒風の吹き下ろす駅東口につましく光るイルミネーション 2018.12.16
- 短髪の頭にしみる木枯らしを忘れむとしてうどんをすする 2018.12.15
- 冴え渡る冬空に雲流れてもふたご座流星群は望めず 2018.12.14
- 忘れ物したる心地を別府湾の輝く波に残してぞ去る 2018.12.13
- 上野駅山手線のホームより眺むる街に夕闇迫る 2018.12.11
- 誰しもが冬来たりしと認めたる空に三日月冴え冴えと照る 2018.12.10
- 冬枯れの川の水門何事も用なき彼方筑波嶺が立つ 2018.12.09
- いつの間に季節ここまで巡りしか頬に覚ゆる冬の冷たさ 2018.12.08
- しつかりと檜の幹にへばりつき養分を吸ひ育ちゐる蔦 2018.12.07
- 街灯の明かりの奥の彼方より露の落ち来る気配する夜 2018.12.06
- 青空の広がりそして狭まりて暖かきまま暮るる冬の日 2018.12.05
- 日を浴びる湖面の橋を二十五キロのスピードで行く我と自転車 2018.12.04
- 日の暮れて冷たき風に変われどもペダル漕ぐ身は冷えもせぬなり 2018.12.03
- 木枯らしの吹かぬ師走に椿咲き師走二日は和歌ログ記念日 2018.12.02
- 風もなき小春日和の青空を飛行機雲が成田に向かふ 2018.12.01
- この冬は薄の穂さえなかなかに枯れず日差しの下で佇む 2018.11.30
- 振り向けば早き日暮れの県道を辿る車のライトが滲む 2018.11.28
- 隙間なく枯れ草色に染まりたる土手の紅葉はまだ散りもせず 2018.11.27
- 大いなる熊手の飾り下げられて上野の駅の人は足早 2018.11.26
- 二羽の蝶寄り添ふごとく舞ひ飛ぶは小春日和の森の端の道 2018.11.25
- ことさらに日暮れ早きを思ひ知るみちのくに雪降れるこの頃 2018.11.24
- 家中のカーテンを付け替へたれば冬とはむしろ暖かきとぞ知る 2018.11.23
- 振り向けば冴え冴えとせる地平より冷たき色の望月昇る 2018.11.22
- 今宵より冷たき雨になるといふいよいよ冬にさしかかりけり 2018.11.21
- 雲間より射し来る光明らかに傾きて日の短きを知る 2018.11.20
- 白樺の幹の色のみ白樺で紅葉の色紅葉たり得ず 2018.11.19
- 朝焼けの空の高きを悠々と鷲の如くに鷺が飛び行く 2018.11.18
- 寒空の郵便受けに次々に喪中欠礼葉書の届く 2018.11.17
- 木枯らしの夜空の元でナイターの草野球する人のあるらし 2018.11.16
- 冬用の上着をまとひ行く人の傍らで椿蕾付けたり 2018.11.15
- 塀際の僅かに残る白雪は十日あまりも解け残れるか 2018.02.03
- 積もることなく雪雲は遠ざかり鴨泳ぐ川静かなりけり 2018.02.02
- 夜の道は冷たき雨にしとど濡れ既に凍れる如くに光る 2018.02.01
- 雪解けて赤き夕陽のこの街に目には見えねど花粉舞ふらし 2018.01.29
- 土手際に解け残りたる白雪の白きままなる六日目の夜 2018.01.28
- 国道に積もりたる雪消え行けど田は白きまま夕べとなりぬ 2018.01.24
- 日輪はつくばを覆ふ白雪を解かし終はりて沈みたるらし 2018.01.23
- 四年前の立春の雪思はせて見る間に白くなりゆく土手よ 2018.01.22
- 雪降るといふ前日の夕焼けはガソリンスタンドの影を彩る 2018.01.21
- 日暮れたる街の端から端までを気の済むまでに速歩したりき 2018.01.20
- 毛羽立ちて風の強さを物語る雲の隙より光は溢る 2018.01.19
- 葉を落とし夜空の毛細血管となり立ち尽くす無言の欅 2018.01.18
- 鴨たちと一つの川に異なれる世界をもちて鷺は佇む 2018.01.17
- 明くる日は雨になるらし西空のいかに茜に染まりをれども 2018.01.16
- 小寒の冷たき風の吹き下ろす川面に泳ぐ一羽の子鴨 2018.01.15
- 西空を茜に染めて冬の陽は富士の裾野に沈み行きたり 2018.01.11
- 成田てふ国際空港に機首を向け光れる点の旅客機は行く 2018.01.10
- 年明けて道路の雨に濡れたるを初めて見たり温き風吹く 2018.01.08
- 青空の北の彼方を見渡せば雪を戴く那須の山々 2018.01.07
- 年明けの松の内なる一日は犬駈くるより早くにぞ暮るる 2018.01.06
- 岡の上板橋不動の初詣のライトアップの光を望む 2018.01.05
- 木枯らしの吹き抜けて行く新年の四日目も早暮れむとぞする 2018.01.04
- 三が日は怒濤の如く過ぎ行けど春の訪れ待つは長きか 2018.01.03
- 新しき年の夜空に冴え冴えと白く浮かべるスーパームーン 2018.01.02
- 白鷺は大晦日の川に降り立ちて今年最後の餌を漁りゐる 2017.12.31
- 年の瀬の空気の奥の富士山の背後に冬の日は沈み行く 2017.12.30
- あまりにも雲の少なき冬空のあつさりとした夕焼けに暮る 2017.12.29
- 県道に続く小さき交差点道の奥には冬の夕焼け 2017.12.28
- 磐城との境の街に向かひたり遅き日の出に見送られつつ 2017.12.27
- 西空を茜に染むる板東の冬の夕暮れのどかなりけり 2017.12.26
- 地吹雪を故郷にもち来たらせてつくばに余韻もたらす風よ 2017.12.25
- 土手下に未だ乾かざるいくつもの塚作りたる土竜何匹 2017.12.24
- 唯一の忘年会よりクリスマス・リースの下がる家に戻りき 2017.12.23
- 年賀状作る暇とてなき師走インクジェット・プリンターは音もたてざり 2017.12.22
- 夕焼けを指し歩かむと思へども冬の日は既に沈みゐたりき 2017.12.19
- 街角にイルミネーション増え来たりクリスマスイブ近付きにけり 2017.12.18
- ひむがしの空に横たふ雲を越え二度目の日の出見する朝焼け 2017.12.17
- 明け方の凍ゆるほどの寒さより椿の花で知る今は冬 2017.12.16
- 見上ぐれば冬の夜空に浮く雲の輪郭までもわかる明るさ 2017.12.15
- 日の入りの一分先に延びたれば一分なりの気楽さ生まる 2017.12.14
- 見上ぐれば思ひのほかの明るさで夜空を渡る雲白きなり 2017.12.13
- この冬はオイルヒーターてふものでそこはかとなく部屋暖かし 2017.12.12
- 自転車のペダル踏み込み切る風の冷たさの増す夕暮れの街 2017.12.11
- カーテンを開ければ霜つく窓の外冷たき黄金色の朝焼け 2017.12.10
- 足早に川面を歩く白鷺をカメラのレンズ追ふ能はざり 2017.12.09
- 川土手を冬枯れ色に染め尽くし流るともなく川流れ行く 2017.12.08
- 青鷺は水面に映る美しきおのが姿に気付くことなし 2017.12.07
- 木枯らしの住宅街にぽつぽつとイルミネーション点き始めたり 2017.12.06
- 朝霧の立ち籠めるその上にある空の青さの見え始めたり 2017.12.05
- この年も様々ありて頻繁に喪中葉書の来る頃となる 2017.12.04
- 日暮れより雲広がりて大いなるスーパームーン見損なひたり 2017.12.03
- 午後四時の時報の前に夕刻の遅き景色と今日はなりたり 2017.12.01
- ブルーベリー・ジャムを解かして湯気の立つホットミルクを寒き夜に飲む 2017.11.30
- 立冬を遙かに過ぎて土手際に咲く姫女菀花びら細し 2017.11.29
- 郊外のパーキングロットの日は暮れてコーヒー美味し深く息吐く 2017.11.28
- 日の暮るる時刻は早くなりにけり午後五時過ぎの深き夜闇よ 2017.11.27
- 愛宕なる嶺より見れば籾を焼く煙の白く昇りゐるなり 2017.11.26
- 冬枯れの川の彼方にくつきりと山襞見せて筑波嶺は経つ 2017.11.25
- 目の前の分厚き雲の隙間より冬の日射しの漏れて地に降る 2017.11.24
- 郊外の見渡す限り自動車の並ぶ彼方に冬の日は落つ 2017.11.23
- 空覆ふ雲より落つる雨粒の中に冷たき冬は潜めり 2017.11.22
- この秋は咲く花の数少なくて葉も落としたる木槿の淋し 2017.11.21
- 吹き降ろす冷たき風のどこまでも空を覆ひて走る冬の日 2017.11.20
- 背後より昇り来る陽を身に纏ひ雪を戴き立てる富士の嶺 2017.11.19
- 葉を落とし太黒き枝を縦横に伸ばして椚光を通す 2017.11.17
- 青空と同じき色の川の面は北西の風受けて波立つ 2017.11.16
- 時ならぬわめくが如き鳴き声の猫を夜闇に追ひやりたりき 2017.11.15
- 太陽光発電量のモニターも冬来たること示してをりぬ 2017.11.14
- 湯気の立つポタージュスープにふうふうと息吹きかけて冬は来たりき 2017.11.13
- 日が暮れて家に着きたる寒き夜の川の向こうに家並み望まる 2017.11.10
- 関東の冷たき風にたまりかね葛根湯の束を取り出す 2017.11.09
- 恵方とふ北北西の空に向けつくばエクスプレスの線路は延びる 2017.02.03
- 久方の光の春の近づける川の流れに木枯らしは吹く 2017.02.02
- 日の沈む西の空より吹き降ろす冷たき風を受けペダルこぐ 2017.02.01
- 太陽光パネルは美しき曲線を描きて電気起こしてゐたり 2017.01.31
- 真直ぐなる道路の奥の一点に陽は沈み行き残る夕映え 2017.01.30
- 夕暮れの遅くなりたる上州の風にまぶしき光の香り 2017.01.29
- 暖かき南の風の吹き止みて日暮れにははや冷気寄せ来る 2017.01.28
- 南風吹けども春の風ならず夕暮れの空に春を窺ふ 2017.01.27
- 夕映えに染まれる彼方ただ紅し空も地平もあの山影も 2017.01.26
- 大寒の寒さの底の底に吹く木枯らしに耐え筑波嶺は立つ 2017.01.25
- 雲一つなき夕映えの真ん中に冬の筑波は聳えゐるなり 2017.01.24
- 筑波嶺の彼方より吹く木枯らしの刻む波紋は疾く流れ行く 2017.01.23
- 寒中の日射しは広き河川敷を春の如くに照らしゐたりき 2017.01.22
- 寒中の残照受くる筑波嶺を常とは変はる角度より見る 2017.01.21
- 真夜中に行き降るといふ予報なれど外には白き物の見えざり 2017.01.20
- 寒風の吹く川岸に痩せこけて枯れ薄立つただ立ち尽くす 2017.01.18
- 西側の外壁の色紅く染め冬の日は今沈み行くなり 2017.01.17
- 日射しのみ明るき里に吹き渡る冷たき風に寒菊は揺る 2017.01.16
- 一年で最も遅く昇り来て冷気を分くる紅き朝日よ 2017.01.15
- 上空に零下四十二度といふ冷気の南下すなる夕暮れ 2017.01.14
- 川岸に篠竹雪の降るを待つおのれの色を暗きに変へて 2017.01.13
- ひむがしの空に浮かべる望月の日頃にまして大いなるかな 2017.01.12
- 水平に走る南の地平には雲流れゐて山影もなし 2017.01.11
- 切れ味の鋭きビルの輪郭を浮き上がらせて陽は沈みたり 2017.01.10
- ディーゼル車の時折過ぎてその後の静寂長き常総の駅 2017.01.09
- 自転車をバッグに詰めて辿りたり街灯映る氷雨の道を 2017.01.08
- 冬空の青きを指してくつきりと立てる欅の影を見つむる 2017.01.07
- 沈み行く夕日を刷毛で何遍も撫でたるごとき筋雲走る 2017.01.06
- 一面の枯れ草色の土手腹の緑に変はる松の内かな 2017.01.05
- 筑波嶺の二つの峠さらにまたその奥の坂でペダル漕ぎたり 2017.01.04
- 人間が同じコースをひた走りかくも差の付く駅伝てふもの 2017.01.03
- 正月の二日目の陽は沈みたり何事もなく平穏無事に 2017.01.02
- この年の大つごもりのスーパーでパック入りなる鏡餅を買ふ 2016.12.31
- 西空に師走の夕日沈み行き明くればつひに大晦日とは 2016.12.30
- 干し柿のゼリーの如き実の内の陽の味わひの口に踊れり 2016.12.29
- 年明けに遠くまで行く年賀状プリンターより吐き出さるなり 2016.12.26
- 日没はやや遅くなり牛久なる沼の水面に残る夕映え 2016.12.25
- 日が暮れて家に戻れば手作りのクリスマスリースに天使微笑む 2016.12.24
- わずかにも西の地平に残りたる雲居を染めて冬の陽沈む 2016.12.23
- 土手際にもぐら塚並びその地下にもぐらの道のありとぞ知らるる 2016.12.22
- 西向きの窓に夕日のくれなゐを映して燃ゆる家ぞまぶしき 2016.12.21
- くつきりと足跡残す狸とはかくも身近に生くるものなり 2016.12.20
- 新聞に折り込まれたる暦にて半月経てば来年と知る 2016.12.19
- 木枯らしの吹き止みたるか静かなる梢の影の三重の塔 2016.12.18
- 木枯らしに向かひて坂を下るにも必死にペダル漕ぐ我はあり 2016.12.17
- 寒き日のさらに寒さの増す夜に淹れたてのエスプレッソ・コーヒーをすする 2016.12.16
- 降るといふ予報に反し日暮れても遠くの家並み輪郭消えず 2016.12.13
- 筑波嶺の二つの峰の中程に灯火見ゆる冬の黄昏 2016.12.11
- どこまでも続く枯れ田と青空の境目にある人の棲む跡 2016.12.10
- 静かなる川に僅かの波刻み大鷭といふ鳥泳ぎゐる 2016.12.09
- 傾ける日を追ひかけて冬空を翔る筋雲朱に染まりゆく 2016.12.08
- 満月の如く明るき冬の夜の半月は天の真中にぞある 2016.12.07
- 木枯らしに吹かれて揺るる枝先に未だ青きまま木槿の実あり 2016.12.06
- 冬の日の川面の色も淡白に薄白き空映して流る 2016.12.05
- 北風の吹き残したる蒲公英の白き綿毛に黒き粒あり 2016.12.04
- 冬晴れの続く時分になりたれば我が故郷の厚き雲思ふ 2016.12.03
- 冬晴れの元で自転車漕ぎたれば師走二日は和歌ログ記念日 2016.12.02
- 初雪と木枯らしを経て穭田も枯れ野の色に変はりたりけり 2016.12.01
- 県道の縁石際に散り積もる落ち葉を時に震はする風 2016.11.30
- 夏用の手袋をして自転車を漕ぎて冷たき木枯らしを知る 2016.11.29
- 愛宕なる山より遙かひむがしの霞ヶ浦より鹿嶋まで見ゆ 2016.11.28
- 里山に低くたなびく白きもの霧ともつかず雲ともつかず 2016.11.27
- 寒空に中途半端に飾られし駅前広場のクリスマスツリー 2016.11.26
- 日暮れての電柱の下に解け残る昨日の雪の汚れぬ白さ 2016.11.25
- 初雪は自ら白きのみならず世界を白と黒のみに染む 2016.11.24
- 川に立ち水中の魚追ひながら冬支度する白鷺のあり 2016.11.23
- 映り込む陽は細かなる波にくだけ沼は静かに暮れて行くなり 2016.11.22
- コンバインの深きわだちに冬の雨溜まり刈田の窓となりたり 2016.11.21
- 雲海の岸辺の如き山の端の冷気を割きて陽は昇りくる 2016.11.20
- 冬の雨一日降りて折りたたみ傘は幾度も濡れては乾く 2016.11.19
- 乗客の少なきバスのロボットの如き車内に冬の陽は射す 2016.11.18
- 木枯らしの吹き止みて漕ぐ自転車のタイヤの音の耳に届けり 2016.11.17
- 夕暮れの冬の風受け自転車を漕げば吹き出す汗もなきなり 2016.11.16
- 夜の更けてエスプレッソに湯気は立つスーパームーンの雲に隠れて 2016.11.14
- 日の出づる一歩手前の世の中の冷え尽くしたる朝焼けの空 2016.11.13
- 我ありと人に知らするためにのみもぐらは塚を作り行きしか 2016.11.12
- 夕闇の向こう岸なる県道にヘッドライトが通り過ぎゆく 2016.11.11
- 日暮れては冷たき風の強まりて信州までも飛べと吹き抜く 2016.11.09
- 降りもせず晴るるわけでもなき空に中途半端の秋風が吹く 2016.11.08
- 青空の地平を赤紫に染め冬を立てたる陽は沈み行く 2016.11.07
- 節分の深く澄みたる青空を鏡のごとく映し行く川 2016.02.03
- 冬晴れの北風強く自転車で走る我が身をぐいと押し留む 2016.02.02
- 自動車のヘッドライトの点く時刻は大寒過ぎて遅くなりたり 2016.02.01
- バスに揺れ後部座席の車窓より見下ろす冬の野も揺れてゐる 2016.01.31
- 一日を氷雨と泥にさらされて防寒靴は寿命となりぬ 2016.01.30
- この雨の雪に変はらぬ宵のうちヘッドライトは国道を流る 2016.01.29
- うらうらと照る日は春の如くにて風切り走る小貝川の土手 2016.01.28
- 穏やかに暮れていくなる西空に静かに明くる朝伺ふ 2016.01.27
- 寒中の愛宕山にて春先の桜の花の幻影を見る 2016.01.26
- 寒空の下で輝く盛り場の看板と車のブレーキランプ 2016.01.25
- 寒き日の宵の帰宅にストーブを点けて蜜柑の皮を剥きたり 2016.01.24
- 冬らしき彼草色にならぬ土手を犬の散歩の人の行き交う 2016.01.23
- 土手草に降りたる霜を和らかに解かす朝日の昇り来たりぬ 2016.01.14
- 土手草の霜は朝日に解くる時ただ一瞬の乱反射せり 2016.01.13
- 愛のなき石切場での接吻はいづこの恋人たちが交わすや 2016.01.12
- 葉を落とし既に枯れたる白き花の散り残りたる高き梢よ 2016.01.10
- 暖かき冬の青空映しつつ川は鏡のごとく静まる 2016.01.09
- 日溜まりで動けば心地よき汗をかけども今は寒の内なり 2016.01.08
- 信号の赤き光と溶け合へるライトアップの三重の塔 2016.01.06
- 正月の仕事を無事に始めたる勤め帰りの車の列よ 2016.01.05
- 日暮れたる筑波の道に吹く風を一身に受けペダル漕ぎたり 2016.01.04
- 小貝川に波は立たざり青空と白雲映す水は行けども 2016.01.03
- Uターンラッシュの始まりたりといふ対岸の県道は静かなれども 2016.01.02
- 土手腹に枯れ残りたる薊あり緑のままで年を越すらむ 2015.12.31
- 遙かなるエルニーニョ思ふ土手草の青々として冬枯れもせず 2015.12.30
- 年の瀬の風は冷たく青空を渡れど木々の小枝も揺れず 2015.12.29
- 夕焼けの地平も郊外電車より降りる人らも御用納めき 2015.12.28
- 冬晴れの筑波の空を新しき駅のホームのガラス越しに見る 2015.12.27
- 次々にプリンターより吐き出され束となりゆく年賀葉書よ 2015.12.26
- 雪のなき板東の地のクリスマスの青空を行けつくばエクスプレス 2015.12.25
- 年賀状に手も付けぬまま冬の日の暮れてクリスマス・イブとなるなり 2015.12.24
- 雲一つなき西空を薄紅に染めて冬至の日は暮れて行く 2015.12.22
- 天空を青く染めたる冬の日は地平を紅く染めつつ沈む 2015.12.21
- 不思議なる黄金色に冬の日を反射し光る川原の薄 2015.12.19
- 冬の日の元で見事に干からびて紫陽花は年を越さんとすなり 2015.12.18
- この年を忘れむとして何事か忘るることぞあると牡蠣食ふ 2015.12.17
- 寒菊の大輪のまま枯れ色もなく木枯らしの中で揺れゐる 2015.12.16
- 冬の宵の川向こうなる県道を滑るがごとくヘッドライト行く 2015.12.14
- 降るといふ予報裏切り雨粒の一つも落ちぬ冬の日は暮る 2015.12.13
- 南天の真つ赤に染まる冬の日に吹く弱き風の雨を呼ぶらむ 2015.12.12
- 道端の雑草はまだ青々と落ち葉の色を浮き立たせゐる 2015.12.11
- 水深の浅くなりたる冬の川に降り立ち魚を白鷺は追ふ 2015.12.10
- 小貝川の河原で冬の薄の穂は不思議なほどに輝きて揺る 2015.12.09
- 明け方はさぞ冷ゆるらむ見渡せど雲ひとつなき冬晴れの空 2015.12.07
- 武蔵野の冬の黄昏吹く風は筑波の里の風より冷たし 2015.12.06
- 通い慣れしふとした場所で日の暮れて初めて気付く昭和の景色 2015.12.05
- エルニーニョの日は落ちかけていつまでも暖色の光残りゐるなり 2015.12.04
- 冬の日は釣瓶よりなほ速く落ちヘッドライトが県道を行く 2015.12.03
- 一年で最も早く日の暮れて寒々しき風吹く頃となり 2015.12.01
- 茎細く花もまばらに咲きをれど冬のコスモス上を向くなり 2015.11.30
- 日暮れても対岸の空白みをり街の灯離れ吾はペダル漕ぐ 2015.11.29
- 牛久沼に寒風寄するその先に冬の夕焼け赤暗く染む 2015.11.28
- 魚すきの出汁効かせたる野菜鍋を気に入りのカップに注ぎ温もる 2015.11.27
- 日暮るるのあまりに早き節となり遠くの街の明かり恋ひしき 2015.11.26
- もみぢ葉はしとど冷たき雨に濡れ散り尽くす時未だ来たらず 2015.11.25
- 風よぎりペダルを漕ぎて戻りくれば空には冬の十三夜月 2015.11.24
- 風邪らしき思ひは宵のの暖かきうどんすすりて消えて行きたり 2015.11.23
- 日暮るるは早くなりたり夕焼けの終はりたるさえ覚へなくして 2015.11.22
- 川土手のすすきの穂先ほほけてもなびかする風吹くこともなし 2015.11.21
- 既に冬立ちてゐるらし故郷の空に似る雲低く立ち込め 2015.11.13
- 雪呼ぶと思はれいたる黒雲の即かず離れず夜半となるらし 2015.02.05
- 青空の川面に映る彼方には雪雲ありて近づきつつあり 2015.02.04
- 節分のまだ明かりさすひむがしの空に望月の早昇りをり 2015.02.03
- 大寒の筑波降ろしの通ひ路の川一面に波は刻まる 2015.02.02
- 木枯らしに渡る雲なく澄み渡る大寒の空の十三夜月 2015.01.31
- 朝方の雪に代わりて降る雨の丸く小さき波紋途切れず 2015.01.30
- 南風湖面を渡り大寒の日射しを春の如くに映す 2015.01.29
- 竹林の丸ごとしなる北風に春の空気は吹き飛びにけり 2015.01.28
- 川に添ひ自転車で行く道に吹く風に分け入る頬の冷たさ 2015.01.26
- 早朝のフロントガラスの白き霜は一瞬にして日に解け込めり 2015.01.25
- 贅肉をそぎ落としたる修行僧思はせて立つ冬の桜木 2015.01.24
- 青空を区切りて厚き雲の湧くその下よりは北部山沿ひ 2015.01.23
- 有情にも非情にもまた様々の微かな音で氷雨は注ぐ 2015.01.21
- 夕方の五時過ぎてなほ眼の奥に光の当たる明るさ嬉し 2015.01.20
- 日の入りてまた戻り来る夜明けまで暗き時間は縮み来たれり 2015.01.19
- 夕映えのうちに木枯らし吹き止めば家々の屋根木立浮き立つ 2015.01.18
- 木枯らしの駐車場から玄関まで十歩足らずのうちの寒さよ 2015.01.17
- 宵となり冬の黒雲毛羽立てば上空の風強しと知らる 2015.01.16
- 九州に降り始めたりという雨を明日は連れ来るこの曇り空 2015.01.14
- 残照の土手を夫婦のランナーが並びて心地良き速さなり 2015.01.12
- 固き皮の剥けにくきを剥き頬張れば思ひの外に美味なる蜜柑 2015.01.11
- 籾を焼く煙は空に昇らずに西谷田川の対岸を蔽ふ 2015.01.10
- 木枯らしの駐車場には山茶花の赤き花咲き散るを耐えゐる 2015.01.09
- 松の内過ぎたる寺の境内で最後の露天たたみてありぬ 2015.01.08
- 寒風に見ゆる限りの輪郭の際立ちてある冬の夕映え 2015.01.07
- 主なき冬を迎へて山茶花はただ一輪の花もつけざり 2015.01.06
- さる人の葬儀の夜に冴え冴えと冬の満月上り来たれり 2015.01.05
- 百枚の賀状を出して百枚の賀状をもらう松の内なり 2015.01.04
- 白鷺は川面の波の模様には一瞥もせずただ魚を追ふ 2015.01.03
- 正月の二日目の夜は更けにけり皓々と照る十三夜月 2015.01.02
- 年賀状印刷終はり辛うじて年明け前に投函したり 2014.12.31
- 年末の夜の国道を行き来する車のライト絶ゆる時あり 2014.12.30
- 歳神を迎ふる餅も今風にプラスティックで蔽はれてあり 2014.12.29
- 鳥の巣の作りかけらしきものあるを次の宿主のために残さむ 2014.12.28
- 年の瀬のよしなしごとを片付けてまた放り出し嗚呼上野駅 2014.12.27
- クリスマスイブより明くる松の内の玄関先を彩る飾り 2014.12.26
- 夕暮れの里に明かりの二つ三つ灯りて人の心はせはし 2014.12.25
- 川面にはさざ波の立つこともなしイブは静かに更けていくらむ 2014.12.24
- 夕暮れの冬空のもと筑波嶺の浮き立ちてあり登るを待つらむ 2014.12.23
- よしきりの声を背に受け水中に首を没して鴨は藻を食む 2014.12.20
- 寒き夜の冷えたる体温めんと湯気の立ちたるうどんをすする 2014.12.19
- 水面に細かき筋の波を立て薄を揺らし北風は吹く 2014.12.18
- 枯れ残るホトケノザの葉に置く霜の朝日を受けて輝くを待つ 2014.12.14
- この冬の一番といふ冷え込みと冬晴れを経て淡き夕焼け 2014.12.13
- 選挙カーの音遠ざかりクリスマス・イルミネーション浮かび上がりぬ 2014.12.12
- 日も年も勢ひつけて暮れかかり脳裏に浮かぶ賀状てふ文字 2014.12.11
- 図書館に続く芝生に人影も見えずひたすら木枯らしは吹く 2014.12.09
- ひつそりと枯るればさほど憎らしくあらずセイタカアワダチソウも 2014.12.08
- 世の中が冷え切りて空澄み渡り冬の朝日の昇り来るなり 2014.12.07
- 寒天を雲渡りゐるその彼方冬の満月は白く照るなり 2014.12.06
- 白菜のうまみ閉じ込め湯気立ててタジン鍋てふ道具は熱し 2014.12.03
- 朝霧は昼過ぎまでも残りたり季節のどこの変はり目なるや 2014.12.01
- それまでは霧に包まれゐたること空晴れ渡り気付きたるなり 2014.11.29
- 犬を連れ散歩する人影もなし雨降りさうで降らぬ夕暮れ 2014.11.28
- 天空に白き三日月残しつつ小春日和の日は沈み行く 2014.11.27
- 揺れ揺るる白き薄の振幅の冷たき風に吹かるる帰宅 2014.11.26
- 絶妙の間合いで不意に広がりて我が存在に届く菊の香 2014.11.25
- 葉の散りし木槿を透かし対岸の冬枯れの色見ゆる夕暮れ 2014.11.24
- 小春日は三日続かぬものなれば冬の深まる様をただ見む 2014.11.23
- ゆつくりと絵を見るうちに世の中は小春日和の日が傾けり 2014.11.21
- 長々き今年の秋は終はりたり影絵の如き細き梢よ 2014.11.20
- 晩秋の甲斐路の駅に吹き付くる三月季節を進みたる風 2014.11.18
- 冬枯れの色となりゆくこの土手を三十七年眺め来たりき 2014.11.17
- 校庭の金網沿いの一本が葉を残しゐる桜の並木 2014.11.16
- 冬用の分厚きカーテンは自らの重みで皺を伸ばし広がる 2014.11.15
- 人も鳥も腹は満たされ青空に鈴なりの柿獲る者もなし 2014.11.14
- 赤緑金色の玉のクリスマスツリーに白きトナカイは跳ぬ 2014.11.13
- 立冬の筑波を包む山霧に濡れにぞ濡れて咲く躑躅あり 2014.11.12
- 冬至過ぎて日は疾く入りて夕焼けと呼ぶほど燃ゆる空とはならず 2014.11.10
- 立冬の日は疾く暮るる夕暮れの過ぎたることも気付かざるほど 2014.11.07
- アロエとも思はれぬほど薄き葉の薄き緑で冬越すいのち 2014.02.03
- 店先に冬とはいへど咲く花の数あるものよホームセンター 2014.02.01
- 暖かき大寒の日の映り込む穏やかすぎる川の流れよ 2014.01.31
- 大寒の土手の道から時を透かし何時てふことのなき明日を見る 2014.01.30
- 大寒の風に揺れゐる枯れ薄の根元に緑萌え出づるなり 2014.01.29
- 白鷺は首をSの字に曲げて水中の餌に狙い定める 2014.01.28
- 大寒の葉を落としたる欅には夕焼け空がよく似合いたり 2014.01.27
- 大寒の午前七時の太陽は地平線より離れて久し 2014.01.26
- 大寒の林の際に四十雀二羽あり頬と腹の白さよ 2014.01.25
- 枯れ草にこぼれ落ちたる一匙のかき氷として残る淡雪 2014.01.24
- 真青なり立体交差を潜り抜く底の底より見上ぐる冬晴れ 2014.01.23
- 淡雪の上に漂ふ朝霧の彼方に寒の陽は昇り来る 2014.01.22
- 駅裏の工事現場の管理棟の冬の宵には似合わぬ灯り 2014.01.21
- 土手道の霜と見紛う薄雪の溶けて乾きて忘らるる朝 2014.01.19
- 山茶花の根元の土を覆ひたる赤くなまめかしき花弁よ 2014.01.17
- 地中にもいたき寒さは及ぶらむもぐら塚見ることぞ少なき 2014.01.16
- 寒風を運ぶ分厚き雲晴れて冬の冷たき夕陽射しくる 2014.01.15
- 正月の十日過ぎてふ格別の間合いで届く達筆の賀状 2014.01.11
- しんしんと冷ゆる空には宵月の高く上がれる旧正月前 2014.01.10
- 遠きかな冬の雨夜の自動車の窓の曇りの外の景色は 2014.01.09
- 駐車場に店の灯りが映り込み予報通りに雨降り来たる 2014.01.08
- 一年の最初の七日暮れむとす明日の午後より雨になるとふ 2014.01.07
- 初仕事終へて凍てつく風の中ヘッドライトは家路を辿る 2014.01.06
- 指先と頬で夜風を受けながら冬の土手行く自転車の人 2014.01.05
- 青空と冬の刈田の境界に人の暮らしを望む正月 2014.01.04
- 坂東の刈田の彼方沈む陽を見送り戻る初詣の道 2014.01.03
- スーパーで求めし小さき鏡餅透明プラスチックのうちに 2013.12.31
- 歳も日も茜に染めて暮れてゆく空に輝く宵の明星 2013.12.29
- 賑はへるボート遊びの人影も絶えて師走の沼に雨降る 2013.12.27
- 鈴なりの南天揺らす空っ風に彩らるなり冬の駐車場 2013.12.26
- 乾きたる空気の果てに乾きたる土色透かし筑波嶺は見ゆ 2013.12.25
- 一片の葉もなき冬の木槿にも花の名残の額ぞ残れる 2013.12.22
- 年の瀬にもちたきものは青空に白雲なびく静けき心 2013.12.21
- 冬の日の堅めのパンにジャムを塗り熱きスープを添へし朝食 2013.12.20
- 一昨日の悲しきまでの夕陽より一分遅き日の入りを眺む 2013.12.15
- 宵月の彼方で冬のオリオンの光は昔ほどに届かず 2013.12.13
- サルビアの小さき花の咲き乱れ自ら赤き花束となる 2013.12.12
- 何処より飛び来たれるかわが庭の草の上なる銀杏の一葉 2013.12.11
- 大雨と暴風さらに冷え込みを告げし予報の外れし仕合わせ 2013.12.10
- 暖房を切り香を焚く静寂の隙間に藤の色忍び入る 2013.12.09
- 獅子柚子といふ名の果実玄関の魔除けとなりて君臨すなり 2013.12.08
- 立て札の高さよりその土手に這ふ影長きなり冬の日の午後 2013.12.07
- 残照も弱まりてゆく西空に飛ぶ鳥もなき冬の夕暮れ 2013.12.06
- きらきらと輝くほどの寒風に吹かれ薄の穂も光るなり 2013.12.05
- 二時間の駐車のうちに落ち来たる欅の枯葉窓を飾りぬ 2013.12.04
- 白鷺も鴨も来たらずただ青き空を映して行く今日の川 2013.12.03
- ごつごつと節くれ立ちたる如くなる柚子の香りと偕なる夜更け 2013.12.01
- 吹き来たるつくばおろしを一身に受けて薄は真直ぐに立たず 2013.11.28
- 千日を埋め余りある色合いの変化とともに千日紅咲く 2013.11.27
- ぽつぽつと届く喪中欠礼の葉書を透かし彼方を望む 2013.11.26
- 南国の山の端に生ふる葉も紅く色づきにけり風ぞ冷たき 2013.11.21
- 長崎の荒海越えて吹き来たる風に冴えわたるイルミネーション 2013.11.20
- テレビ画面はオーストリアの山中の斜面を滑る風を伝へき 2013.02.12
- 手袋の片方のみのポケットにありて失せたる片方を待つ 2013.02.11
- 夕暮れの空には春を思はする色漂へど風ぞ冷たき 2013.02.10
- 上空の風様々に吹きわたり様々の柄で漏れ来る日射し 2013.02.09
- 甲州に雲は重たく広がれどありがたきかな雪は降らざり 2013.02.06
- 時ならぬイルミネーションが灯りゐて駅前は雪を待つ風情なり 2013.02.05
- 棒切れとして朽ち果てていくはずの命が今は太き幹なり 2013.02.04
- 人は皆豆まきをしてゐるらむかまた太巻きを頬張るらむか 2013.02.03
- 節分を明日に控へて暖かき風吹けば死はごく身近なり 2013.02.02
- 春のごとき日射しの中で白鷺は浅き川面に己を映す 2013.02.01
- 関東の冬はかくなるものなりと穏やかに日は沈み行きたり 2013.01.31
- パン生地の中の酵母よ寒さにも負けず膨らめと声かけこねる 2013.01.28
- 十六夜の月は昇りていささかのためらひもなく冬空に照る 2013.01.27
- 十五夜の月照り渡る天空の奥より降れる冷気を受けむ 2013.01.26
- 冴え冴えとして照り渡る小望月冷気満るを忘れ見上ぐる 2013.01.25
- プリンターの青のインクを買ひ足して見上ぐる空に十三夜月 2013.01.24
- 雪かきで放り投げたる雪の山解け残りをり光失ひ 2013.01.23
- 解け残る雪の白さの街灯に光りて時は止まりゐるなり 2013.01.22
- 日暮れより降るかもしれぬとふ雪の降ることもなく夜は更けてゆく 2013.01.21
- 凍てつかぬうちに家路を辿らむとヘッドライトが列なしてゆく 2013.01.18
- 三日経てど都会の道に解け残る雪は褪せず白く光れり 2013.01.17
- 解け残る雪踏み行けばざくざくと砕くる音の心地良きかな 2013.01.15
- アクセルとブレーキを踏む誘惑を打ち払ひ行く雪の田舎道 2013.01.14
- 枯れ薄と同じき色で小寒のセイタカアワダチソウは立ちゐる 2013.01.12
- ほほけ果て木乃伊の如く干涸らびたる薄を揺らす小寒の風 2013.01.10
- 水量の乏しき冬の川底を白鷺はしばし大股で歩く 2013.01.09
- 七草と言ふには早き小寒の晴れ間に小さき雲ぞ流るる 2013.01.07
- 高々と飛行機雲は伸びて行き寒の雲間を縫いて消えざり 2013.01.05
- 冬色の刈田の彼方筑波嶺は冷たき風を従へて立つ 2013.01.04
- 一年で一番短き三日間の三が日てふ日は終はるなり 2013.01.03
- みんなみに押し下げらるる雨雲は年改まる露払いなり 2012.12.31
- アスファルトに霰の当たる音のしてみぞれと知れる冬の黄昏 2012.12.30
- 故郷に帰る人らがお土産の荷物を引きて急ぐターミナル 2012.12.29
- 曇り空御用納めの図書館に返却の人ちらほらと来る 2012.12.28
- 到来の干し柿食へば南国の日溜まりの味舌に広がる 2012.12.27
- 北西の季節風吹く方向より流るる川に濃き波の影 2012.12.26
- 冬晴れの西の茜に富士の嶺の小さき影ぞ浮かびゐるなり 2012.12.25
- 里山の懐はただ原野にて世はクリスマス・イブにそ向かふ 2012.12.24
- 丸裸の高き梢は居心地のよきところらし鵯(ひよどり)は鳴く 2012.12.23
- カーナビの指す矢印に逆らはず冬の夜更けを戻り来たれり 2012.12.22
- 天の冬尽くされ未だ地の冬の極まらぬ日は早くも暮れぬ 2012.12.21
- 何万年繰り返すとも天然は惰性を越えてかくも新し 2012.12.20
- 木枯らしの吹くほどにわが胸の内にぬくもるものを見出さむとす 2012.12.19
- 夜明けには氷点下まで下がるとふ風変はるとも薄は問はず 2012.12.18
- 夜明けまで降り続きたる雨止めば早くも乾く常陸の刈田 2012.12.16
- 冬雲の地上の霧とつながりて分厚く空を覆ふ夕暮れ 2012.12.15
- 行く雲は堅き氷の粒なれば空を氷河の青に染めゐる 2012.12.13
- 真青なる冬空の下木枯らしの月極駐車場は埋まらず 2012.12.12
- この街のエアポケットに降り積もる落ち葉を踏みて時を横切る 2012.12.11
- 人の死の伝へらるる日蜘蛛の巣の如き霜降る車の窓に 2012.12.10
- 水面で同心円に揺れ動く波紋引き連れ歩く青鷺 2012.12.04
- 冬空にくつきりと立つ輪郭の師走二日は和歌ログ記念日 2012.12.02
- 真白なる粒が車の窓を流れ見る間に解けてゆくも初雪 2012.12.01
- 冬枯れの色に染まりし川土手の彼方で鷺の鳴く声聞こゆ 2012.11.30
- 冬の陽は天気予報の言ふほどに暖かきにはあらざりしなり 2012.11.29
- 冬空の厚き黒雲にぽつかりと開く穴より日は射し来たり 2012.11.28
- 生け垣の上に降り積むもみぢ葉の紅色に影はさしたり 2012.11.26
- 冬の日のすべて際立つ青空に遅き朝日は昇り来たれり 2012.11.25
- 寒空に未だ開かぬ溝蕎麦の群れて薄桃色となるなり 2012.11.24
- 山の神が狙い澄まして染めしかと疑ふほどに紅きもみじよ 2012.11.19
- 坂東の青く抜けたる冬空を床の間に飾る菊と南天 2012.11.18
- 土砂降りの雨の止みたる星空に冴えたる冬の輝きはあり 2012.11.17
- 丸裸の冬の桜の内に宿る圧倒的に花咲く力 2012.11.15
- 急坂の丸き模様を柿の実に見立ててこびりつく枯葉かな 2012.11.14
- 振り向けば駅の周りにともる灯の初冬の風に際立ちてあり 2012.11.12
- 柿の実の塀の外まで実りたる鳥の啄むままの赤さよ 2012.11.11
- 土手際のほほけ初めにし薄の穂小春日和の風に揺れゐる 2012.11.10
- 電柱の遠近法で立ち並び消えゆく先に冬の筑波嶺 2012.11.08
- 今日からは冬晴れと吹く木枯らしの季節となるを待つ我ならむ 2012.11.07
- 恐る恐る囓れば渋きにあらざれど関東の柿はがりりと堅し 2012.10.24
- 節分の日は傾けど筑波嶺の稜線は空に際立ちて見ゆ 2012.02.03
- 幾重にも高速道と歩道とが重なる隙を北風は吹く 2012.02.02
- 毛羽立ちて刷毛ではきたる如き雲を作る冬日と乾きたる風 2012.01.30
- 冬空の青さはビルに遮られ木枯らしのみが届く都心よ 2012.01.29
- 富士五湖になゐふる波の立ちたる日奥底までも澄み渡る空 2012.01.28
- 寒き日は寒しとはいへことさらに暖まらむと思はざるなり 2012.01.27
- 人の踏まぬ草地に残る白雪の僅かに光る青空の朝 2012.01.26
- アスファルトが湖面の如くゆらゆらと街の灯映す冬の夜の雨 2012.01.21
- ビル風の時折抜くる駅前の広場に雪は積もらざりけり 2012.01.20
- 日暮れたる里の木立を揺すりゐる雨呼ぶ風か雪呼ぶ風か 2012.01.19
- 日の昇る速さで解くる朝霜の消えて枯れ草色の土手なり 2012.01.18
- ちぎれ雲飛び交う空を映し行くさざ波もなき川の青さよ 2012.01.17
- 冬晴れの西日に光る飛行機はつくばの空を悠々と滑る 2012.01.14
- 乾きたるえのころぐさは寒中に取り残されて風に揺れゐる 2012.01.13
- 板橋の道を辿れば不動なる三重の塔の影ぞ浮き立つ 2012.01.12
- 喉の奥に葛根湯の苦みあり明くれば風邪を忘れ目覚めむ 2012.01.11
- 電車一本乗り逃がしたる冬の午後の日射し求むるプラットホーム 2012.01.10
- 寒のうちに咲く菜の花の色映えて春近しまた春まだ遠し 2012.01.09
- 早咲きの水仙は白き花びらを八重になびかせ春招くなり 2012.01.08
- こともなく七日過ぐれば我もまた平成二十四年の人なり 2012.01.07
- 小寒の日の木枯らしの和らげば日だまりにゐて空を見上げき 2012.01.06
- 松の内の日の短さよそしてまたこの一年も短かるらむ 2012.01.05
- 水面に跳びはね出でて水中に戻りし鯉の鱗光れり 2012.01.04
- 茜さす西の雲間にこの年の最初の夕日沈み行くなり 2012.01.01
- 鳥の鳴く他に聞こゆる音もなき里の安らに暮れてゆくなり 2011.12.31
- 暮れてゆくこの柔らかき冬の日を我がふるさとに分けてやりたし 2011.12.30
- 電線の遠近法で消えてゆく彼方に冬の日は沈み行く 2011.12.29
- 上越の山に降り積む雪はいつ解けてつくばに流れ来るらむ 2011.12.28
- 白鷺も鴨も戻りてさざ波に揺るる己の影に出会ひき 2011.12.27
- 水鳥の姿を見せぬこの川の黄昏の奥に何潜むらむ 2011.12.26
- 聖夜明けて空に映れる南天のいや赤き実と常葉の緑 2011.12.25
- 坂東を流るる川の対岸にことさら紅く冬陽は沈む 2011.12.23
- 黄昏のコーヒーショップの店先の最後の客もつひに去りたり 2011.12.21
- 霜をおく庭の敷石に何処より飛び来るらむ小さきもみぢ葉 2011.12.18
- 何事も思はずハンドルを握りゐる冷ゆる師走の夜の家路よ 2011.12.17
- 黒雲を縁取るごとく昇り来る冬の積乱雲ぞ分厚き 2011.12.16
- 雲間より漏れ来る日射し植え込みの赤き山茶花を明く彩る 2011.12.14
- 冬の日の入り急ぎゐる坂東の西の大地は平らかなりき 2011.12.13
- フリースのキャップを耳まで深く被りエアコンを忘れキーボード打つ 2011.12.12
- 天頂の月食を見て明くる日の沈む冬陽の大いなるかな 2011.12.11
- 雲晴れて地球の影を映しゐる三日月ほどの月を見るなり 2011.12.10
- 夕映えの師走の空に一ひらの雲も浮かばず凛として冷ゆ 2011.12.09
- 駅前の雑踏もややいつもより華やかにして聖夜近づく 2011.12.08
- 枯尾花ほほけたる穂はひとひらの風をはらみて日だまりに解く 2011.12.07
- 父のゐぬ庭にも赤き山茶花の咲く頃四十九日とぞなる 2011.12.01
- クリスマスカラー溢るる街角を歩けばクリスマス近しと思はる 2011.11.30
- 板東に季節を分くる風吹けどテラスに人の姿見えざり 2011.02.03
- 明くる日は節分となる風景の奥にぞ偲ぶ蕎麦の花白く 2011.02.02
- 冬の花なれど咲きたる様を見れば春近しとぞ思ふ水仙 2011.01.29
- 一日は確かに長くなりにけり遠くの道のヘッドライトよ 2011.01.28
- 地吹雪のなき板東の冬にゐて寒しと呟く唇凍えず 2011.01.26
- 篭の内にでこぼこの柚子八個あり今宵も香る湯を楽しまむ 2011.01.25
- 何といふことなき景色冷え冷えと連なるばかり春めく日まで 2011.01.24
- ひむがしの明きを眺め県道を行けばはや日の出づる頃なり 2011.01.23
- 冬の日の沈む彼方の北寄りに雪山を越え朱に染まる雲 2011.01.22
- 板東の冬の変はらぬ青空の下のため息にぬくもりもなし 2011.01.21
- 寒き夜の草むらに身を潜ませて黒猫は人の帰るを待ちゐき 2011.01.20
- 果てしなき青さの空に溶くるとも人の言葉よ今を瞬け 2011.01.19
- 冬の樹の枝黒くして蒼天に巣を張るごとく広がりてあり 2011.01.18
- 午後五時を過ぎたる街に残りゐるほの明るさの奥を望みき 2011.01.17
- 板東に降りたる雪は青空に決して染まらず朝日に映ゆる 2011.01.16
- 水戸の地はみぞれ降りゐてつくばには寒風のみの吹き下ろしゐる 2011.01.15
- 素裸の欅の枝の間隙に白く凍えて浮かぶ宵月 2011.01.14
- 寒空に停め置かれたる自転車の光冷たきのみにもあらず 2011.01.13
- 底冷えの中で冷たき両頬をさらに冷たき指でさすりき 2011.01.12
- 木枯らしの吹き込む駅の見慣れたる顔も生き返る写真の力 2011.01.11
- 夕暮れの茜の空に吹き渡る木枯らし分けて立つ富士の影 2011.01.10
- 首を上げ下流を望む水鳥の如き枯れ枝波に流れず 2011.01.08
- 筑波嶺の蒼天を背に際だちて野に生ゆる草見ることもなし 2011.01.07
- 知らぬ間に仕事始めとなりにけり昼の写真を撮る間もなきに 2011.01.06
- 水底を貫き映る蒼天の虚空に満つる深き青さよ 2011.01.05
- 三が日過ぎたる色の朝の日はしカーテン越しに昇り来るなり 2011.01.04
- 波立たぬ川面に映る夕映えの雲居の色も際も流れず 2011.01.03
- 月にても冬のオリオンの足下(そっか)にも兎はありて刀抜かざり 2011.01.01
- 波紋立つところはいつも決まりゐて流るる川の年は暮れゆく 2010.12.31
- 籾焼きの煙は風に煽られて地を這ひ香り我に届かず 2010.12.30
- 年の瀬の日暮れの空に微かにも消え残りゐる夕焼けの色 2010.12.29
- 黄昏の冬空に浮かぶものもなく奥行きのみを立体視せり 2010.12.28
- ふるさとの雪は少しく解けかけて常夜灯の如く冷たく光るか 2010.12.26
- クリスマスの夜風に吹かれ一日の仕事を忘れ脳を冷やさむ 2010.12.25
- クリスマスイブに一匹残されて黒猫は小さくにゃあと鳴きけり 2010.12.24
- 枯れ薄久方の日に身を染めてさざ波寄する岸の辺に立つ 2010.12.23
- この年もせむと思ひし半分もせぬうちにこそ押し詰まりけれ 2010.12.20
- 靴底を通し伝はる微かにも霜柱の土に還る感触 2010.12.19
- 何物もまとふことなき冬の木の小枝の先の浴びる光よ 2010.12.18
- コスモスの休耕田に咲く冬の映すものなき空ぞ見上ぐる 2010.12.16
- 雪落とし身を軽くして関東に流れ着きたる千切れ雲黒し 2010.12.15
- 南極の日に小春日を浴びながら北極てふ名の白き花咲く 2010.12.14
- 流れ込む浮き世のよしなしごとどもを荒波立てて消す日本海 2010.12.13
- 木枯らしも吹かぬ夜空に白々と深夜スーパーの灯は漏れていく 2010.12.12
- 風に舞ふ落ち葉はしばし生け垣の上で最後の色ぞ止むる 2010.12.11
- 期日前投票をせし帰り道おぼろに望む冬の夕焼け 2010.12.10
- 立ち枯れのまま植え込みの紫陽花は色香を残し年を越すらむ 2010.12.09
- 昨夜散る落ち葉は歩道の敷石を彩りて今朝ははがれまいとす 2010.12.08
- 大木の高きは人に見上げられ冬の虚空に引き込まんため 2010.12.07
- 北風に吹かれ夢よりうつし世に戻れる如く赤き薔薇咲く 2010.12.04
- 銀杏よ冬の嵐に散り残り赤紫の街の灯に染まれ 2010.12.03
- ふと気付くコーヒーショップの窓際の降誕祭の小さき飾り 2010.11.29
- さし昇る冬の朝日の赤き日に庄内の地の黒雲を偲ぶ 2010.11.28
- 一年はわけのわからぬものでありあと一月でわかるでもなし 2010.11.27
- 筑波嶺の青き山影望む日に冬思はする風渡るなり 2010.11.23
- イザナギとイザナミの山ふところに小春日を浴び我は立つなり 2010.11.19
- 夕焼けの名残の空にのど飴の薄赤き色の雲流れ行く 2010.11.18
- クリスマスの入り口で未だクリスマスに距離を置くなりショッピングセンター 2010.11.17
- 凪の刻すすきは冬の入り口で時間を止めて棒立ちに立つ 2010.11.16
- 蕎麦屋酒する人なし 2010.02.16
- 冬なのか春なのか 2010.02.15
- 利根川に映る黒雲 2010.02.13
- 都市の冬の夕暮れ 2010.02.12
- 雪を待つ 2010.02.11
- 寒さ戻る 2010.02.10
- 日射しと北風 2010.02.07
- 冬の街の灯 2010.02.06
- 朝日を待つ白雪 2010.02.04
- 雪止みて青空 2010.02.02
- 雪のつくば 2010.02.01
- 低き雲居 2010.01.31
- 冬の大根畑 2010.01.30
- 冬空の東京タワー 2010.01.29
- 越えられぬ春との境 2010.01.28
- 房総半島の梅 2010.01.24
- 冬空の下の葱 2010.01.23
- iPhone の本皮ケース 2010.01.22
- 一雨降って冬に戻る 2010.01.21
- 春のような陽気の大寒 2010.01.20
- 微かなる霜柱 2010.01.19
- 冬の夕焼け 2010.01.18
- 夕映えの中の筑波嶺 2010.01.17
- 青空を映す冬の川 2010.01.16
- 街路樹のシルエット 2010.01.15
- 日が延びつつある 2010.01.14
- 降り、解けかけ、凍り、改めて解くる雪 2010.01.13
- 雨に光るイルミネーション 2010.01.12
- ヒヨドリも鳴かぬ日 2010.01.11
- 散り残りたるイチョウ 2010.01.08
- 日溜まりのゴイサギ 2010.01.06
- 故郷は暴風雪といふ 2010.01.05
- 地に落ちて、凍てつき解くる山茶花の花びら 2010.01.04
- 霜を解かす朝日 2010.01.03
- 大晦日の川の波 2009.12.31
- 灯火の暖かさ 2009.12.30
- 冬枯れ色のネコジャラシ 2009.12.28
- 斑入りの山茶花 2009.12.27
- お堀に映るクリスマスの青空 2009.12.25
- つくばのホワイトクリスマスを待つ 2009.12.24
- 天皇誕生日の空 2009.12.23
- 寒波、峠を越す 2009.12.22
- 遠くの富士 2009.12.21
- 地面に落ちしミニトマト 2009.12.20
- りんごとみかん 2009.12.19
- プラタナスの枯れ葉 2009.12.18
- 赤き看板 2009.12.17
- 灯の消えし電車 2009.12.16
- 古徳沼のオオハクチョウ 2009.12.13
- 魚の跳ねる音 2009.12.12
- 山茶花の選択 2009.12.11
- 上野の山のクリスマスツリー 2009.12.09
- お堀越しの田安門 2009.12.08
- さざ波に映る白鷺 2009.12.07
- 朝霧の日 2009.12.06
- 南天に降り注ぐ枯葉と雨 2009.12.05
- 冬の朝の竹林 2009.12.04
- 雨の舗道に映るイルミネーション 2009.12.03
- 節分の街 2009.02.03
- 久しぶりの霜柱 2009.02.02
- 梅の蕾ちらほら 2009.02.01
- 潤ひの冬の雨 2009.01.31
- 枯れ枝の節に光る雫 2009.01.30
- 雪を知らぬ山茶花 2009.01.29
- 大寒の朝、駅の西口 2009.01.27
- 寒い朝 2009.01.26
- 土に還れぬ銀杏 2009.01.21
- 雲居の間よりほとばしる青空 2009.01.19
- 闇に浮かぶ三重の塔 2009.01.18
- 山茶花の奥の春 2009.01.16
- 下町の貼り紙 2009.01.15
- 霜と霜柱 2009.01.14
- 有明の霜 2009.01.13
- 逆古今現象 2009.01.11
- 入れ子の波 2009.01.10
- 雪はたいしたこともなく 2009.01.09
- 花は現る 狂ひ咲きても 2009.01.08
- 七草とはいうものの 2009.01.07
- 冬晴れを横切る飛行機雲 2009.01.06
- 世界の動き始めし夕映え 2009.01.05
- 睦月三日の歌 2009.01.03
- 睦月二日の歌 2009.01.02
- 平成二十年大晦日の歌 2008.12.31
最近のコメント